ただ、願望が実現した今、何とも言えぬ様々な感情が訪れている。
もちろん嬉しくて嬉しく仕方がないのも確かだ。あっけなく決まってしまって少々気が抜けているのも確かだ。現地に行きそびれた間抜けさを呪っているのも確かだ。現地で戦った友人達に羨望しているのも確かだ。セレッソより3時間早く一番乗りできた事にシメシメと思っているのも確かだ。来週末の少年団の練習でベルマーレサポータの友人達と顔を合わせ、「いやあロスタイムに追いついてよかったねえ」と語るのが愉しみで仕方のないのも確かだ。各方面から寄せていただいている祝辞に感謝の言葉もないのも確かだ。来期J1の列強達がユアテックに来襲するのを想像するだけで嬉しくなってしまうのも確かだ。東北のクラブ同士が国内のトップリーグでダービーマッチを行える事(たぶん、大丈夫だよな、待っててくれよ!)の感動が言葉にならないのも確かだ(私の青春の全ては宮城県のいや東北地方のサッカー界にあったのだ)。実は私が確保している情報は全て夢の中の話で、目が覚めたらまだまだリーグ半ばでライバル達とたごまっているのではないかと幾度も思い返したのも確かだ。試合終了直後、現地にいる友人に電話し、現地の「べがるた!せんだい!」コールを電話から耳にして50前後の大人同士絶句してしまったのは秘密だ。この写真を見る度に目頭が熱くなるのももっと秘密だ。もちろん、私の戦士達のコメントを読むと、もう涙が止まらなくなるのは何があっても秘密だ。
千葉のコメントを抜粋しよう。
前回の昇格に比べ、今の方がしっかりと気持ちを持っていますね。あの時には一緒になって喜んでいた自分の姿を思い出します。今は、やっとスタートラインにたてるという思いが強いです。本当に皆さんに感謝してします。梁をはじめ、今年の当初には(仙台でサッカーを続けるか)まよっていた選手たちが一緒に残ってくれて、もう一度上を目指してくれたことは、すごく心強かったですし、そこで何か達成できなければ意味がなかったので。形として出るまではしっかりと前を向いて戦っていこうと話はしていましたが、今回こういう形で決まったことは、選手たちにも非常に自信になったと思います。そう、以前もしつこく述べたが、この歓喜の分岐点となったのは、千葉直樹のあの鮮やかな得点だった。私はチームがどん底だった時期のあの苦しい試合を、このベガルタのシンボルと言うべきベテランの献身で勝利した時、シーズン末での歓喜を確信した。
そして、もう1つ語りたい事。
勝ち点勘定的にベガルタがほぼ抜け出しを確定したのは45節のサガン戦だった。このサガン戦、前節までフル出場していた渡辺広大が警告累積で出場停止(44試合フル出場して4枚の警告、これは十分に合格点だ)、そこで広大の代わりにピッチに立ったのは木谷公亮だった。木谷がベガルタに移籍して来たのは05年シーズン、J2に陥落して2期目の事だった。以降、木谷はベガルタの守備陣の中核として常に君臨してきた。同シーズンに名門市立船橋の主将として、多くの期待を受けて加入した新人渡辺広大は、常に木谷の大きな壁にはね返され中々出場機会を得る事ができなかった。
広大が完全にポジションを確保できたのは、5期目にあたる今期が初めてだったのだ。ただし、この木谷の分厚い壁を打ち破ったからこそ、広大はベガルタのレギュラを確保すると同時に、J2最高のCBとなる事もできた。木谷の壁はそれだけ厚かったのだ。そして、定位置を確保した広大は、今期ただの1試合もその座を譲る事がなかった、このサガン戦まで。
その広大に代って登場したのは木谷だった。今期のリーグは初出場。しかし、木谷はまるで昨期と同じように知的に激しくプレイ。今期たった1試合のプレイなのに、堂々たるプレイでチームを引き締め、サガンを振り落とす引き分け獲得に貢献した。広大に定位置を奪われながらも、木谷はしっかりと体調を整え、最も難しい試合に準備していたのだ。広大欠場は、木谷の存在でベガルタにとっては苦境にはならなかった。この木谷のプレイこそ、今期のベガルタの強さの証だったのだ。
来シーズン、ユアテックには、中澤佑二が、田中マルクス闘莉王が、長友佑都が、遠藤保仁が、中村憲剛が、岡崎慎司が、そして佐藤寿人が来襲する。私は千葉直樹と木谷公亮と共に、彼らを迎え撃ち、打ち破りたい。
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