2017年08月18日

苦闘続くベガルタに、中野嘉大の勇気

 ベガルタ1-0サンフレッチェ。
 私にとっては、久々のユアテック詣でのこの試合、ベガルタは8試合ぶりの勝ち点3を獲得した。
 前半は残念な内容だったが、ハーフタイムの修正が絶品(詳細は後述)。後半は完全にペースを確保し、51分に奥埜が先制。以降は、再三すばやい速攻から分厚い攻めを見せ、好機をつかんだのだが追加点は奪えず。終盤、サンフレッチェのパワープレイに苦しめられたが、何とか守り切った。
 いや、1点差でリードし、終盤危うい場面に絶叫し、選手と共に戦い抜くのは、サポータ冥利の1つ。中々生観戦しない不良サポータが、このような快感を味わえたのだから、ありがたいことだ。

 前半のベガルタは攻守ともに機能しなかった。
 出場停止の平岡に代わり中央のDFに入った大岩が、判断よくラインを上げるのだが、左DF増嶋と左MF中野の反応が鈍く、オフサイドラインが上がらない。ために、サンフレッチェのワントップのパトリックに幾度もよい体制でボールを受けられて、難しい状況を作られた。チームとして、分厚い守備的なサッカーをねらっているのではないのだから、ラインを上げる勇気は必須なのだが。
 さらに悪いことに、攻めに転じたところで、左サイドでボールを受けた中野が前を向いて仕掛けようとせずに、内側を向いてボールを受ける。そのため、せっかくボールを確保して前に出ようとした他の選手の前進が止まってしまう。そうなると、せっかくタッチライン沿いでキープしたボールを、ピッチ中央に戻すことになり、敵MFにカットされ、いわゆるショートカウンタを食らうリスクも高まる。中野のような個人技で敵を抜き去る能力が高い選手は、前に出ようとするだけで、敵を警戒させ後方に押し下げることが可能になるのだが。やれるはずのタレントが、消極的なプレイに終始したのが、もどかしかった。

 しかし、後半状況は劇的に改善された。
 中野が勇気を発揮し、前を向いてボールを受け、前進するようになったのだ。そうすれば同サイドの増嶋も、ラインを上げられるようになる。すると、センタの大岩も一層前に出ることができる。結果として、中野の対面の丹羽は中野の突破を怖れて後方に下がり、戻りの遅いパトリックとアンデルソンロペスを孤立させることに成功、以降は完全にベガルタペースで試合は進む。51分の先制点も、動きがよくなった中野の前進から、西村が強シュート、GK中林がはじいたボールを、詰めていた奥埜が決めて先制したものだった。
 その後も試合はベガルタペースで続く。大岩を軸とした最終ラインの押し上げが効果的で、おもしろいように、中野、三田、富田、古林の4MFがルーズボールを拾い、左右のDF増嶋と椎橋がそこに加わり、効果的なボールが前線に入る。石原のいやらしいキープと、西村と奥埜の長駆も効果的で、ベガルタは幾度も好機をつかむ。しかし、どうしても2点目が奪えない。
 問題はこれだけ攻勢をとりながら、追加点を奪えなかったこと。まあ、こう言ってしまうと、身も蓋もないのだが、各選手のシュート力に課題があるのだ。特に、中野、古林、(古林に代わった)蜂須賀らが、アウトサイドから中央に切れ込んで、ほぼフリーでミドルシュートを狙うのだが決めきれない。どうしてもカットインしてのシュートと言うものは、敵GKからはシュートコースを見極められやすいものだから、GKのタイミングを外すなり、読まれづらいコースを狙うなりの工夫が欲しい。
 また、シャドーを務める西村だが、相手を抜ききる前にもっとシュートを狙う意識を高められないものか。強引な持ち出しは、ここ2〜3か月、ますます凄みを増している。そこに加えて、持ち上がろうとする時点で、どこに持ち出し、どこでシュートを打ち、どこに決めるのか、もっともっと意識を高めて欲しい。今シーズン着実に上昇する西村だからこそ、要求が贅沢になってくる。もちろん、シュート力と言う意味では最高のクリスランがいる。しかし、クリスランは、ボールを収める力が弱いだけに、フルタイム使うのが難しい。そうこう考えると、西村の一層の向上と工夫に期待したくなる。頼むぞ。
 余談ながら、元サンフレッチェの石原と、かつてのチームメートの千葉と水本との丁々発止は、何ともおもしろいものだった。お互い長所短所や、プレイイングディスタンスを知りぬいているのだろう。絵に描いたような、騙し騙されの攻防は、実に見どころが多かった。さらに余談、石原のボールの受け方、ターン、身体の入れ方などを集めた映像を、どなたか作ってもらえないだろうか。サッカーの難しさがわかってきた小学校上学年や中学生に、恰好の教材となると思うのだが。
 最後の10分、サンフレッチェはパワープレイに転じる。パトリック、アンデルソンロペスに工藤が並ぶFW陣は、中々強力ゆえ、ほうりこまれるとさすがに劣勢となる。こういう時こそ、ラインを高くして、パワープレイをさせないように中盤を機能させたいところだったが、うまくいかず最後は押し込まれるままとなってしまった。それでも、各選手の献身的努力と、シュミットのファインプレイで何とか零封に成功、何とか勝ちきることができた。やれやれである。
 このあたりは、ボランチの運動量確保に課題があるように思う。渡邊監督の、主将富田とゲームメーカ三田への信頼は絶大で、(それは結構なことなのだが)2人が少々疲弊しても、交代しない。しかし、このように単純な方策で押し込まれてしまう欠点の改善は必須だ。2人をどうしてもピッチに残したいのならば、三田を一列上げて、梁や藤村をボランチに起用し運動量を確保する手段もあると思うのだが。

 ベガルタにとっては、本当に貴重な勝ち点3確保となった。結果も嬉しかったが、試合内容、特に後半の内容がよかったからだ。
 6月後半から7月上旬にかけてのホームでのセレッソ戦、ガンバ戦は、かなり質の高い攻撃ができたのは確かだったが、守備はガタガタだった。さらに、続くヴィッセル戦では、名将ネルシーニョ氏に両翼を的確に抑えられ有効な攻撃はできず、守備面の弱点も執拗に狙われ完敗し、中断期間を迎えた。さすがに渡邊監督も、まずいと思ったのだろう、中断期間は守備の修正に多くの時間を割いた模様で、レイソル戦以降、守備はかなり改善された。ところが、その背反か、攻撃はほとんど機能しなくなっていた。
 レイソル戦の終了間際の同点弾は、どう考えても幸運の賜物。続くアントラーズ戦は、濃霧と言う不運はあったものの、シュートは僅か1本。そして、連戦で行われたジュビロ戦は、敵の組織的なフォアチェックを抜け出せず、「よくもまあ失点しなかったものだ」と言う超幸運な0対0だった。
 そうこう考えると、後半完全にペースをつかみ、幾度も好機をつかみ勝ち取ったこの勝利は本当に重要だ。しかも、守備面で大きな破綻もなかったのだし。

 今シーズン、従来のいわゆる4-4-2から、3-4-3に配置を切り替え、両サイドを前面に押し出すやり方を採用したベガルタ。その前面への押し上げが奏功し、相手の監督から、お褒めの言葉を頂戴した試合もあった。しかし、落ち着いて振り返ってみると、明確な成果を発揮した試合は案外と少ない。守備面で大きな破綻がなく、良好な攻撃ができた試合は、敵地で3-0と快勝したエスパルス戦と、同じく敵地で押し込みながら1-1の引き分けに終わったマリノス戦くらいではなかったか。
 今後、このサンフレッチェ戦のように、守備面の課題を丁寧につぶした上で、いかにマイボールを大事にして人数をかけた攻撃をしっかりやり遂げることができるか。ベガルタが、上位進出を目指すためには、サッカーの質を上げていくしかないのだ。
 続くのは敵地での、アルビレックス戦、コンサドーレ戦。共に今シーズンは苦闘しているクラブだが、試合内容は悪くなく、選手の個人能力も我が軍とは、ほぼ互角と関げてよいだろう。彼我の戦闘能力差、残留争いの星勘定、そして敵にとってホームゲームであることを考えれば、両クラブともベガルタから勝ち点3を獲得することを目指してくるのは自明だ。
 その難敵を相手とするときに重要なのは、試合内容の充実に尽きる。ようやく獲得しつつある攻守のバランス、両翼の勇気、シュートの改善、終盤までの運動力の確保。これらを、しっかりと行うことが、今後の上位進出はもちろん、この2試合でのより多くの勝ち点獲得にも重要なはずだ。
 よい成果を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 20:26| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月04日

石川直樹との別れ

 石川直樹が、コンサドーレに完全移籍した。
 今シーズンに入り、スタメンの座を奪われていた石川。したがって、他クラブからオファーがあれば、石川が移籍の決断をするのは不思議ではない。ベガルタにとっては貴重な控え選手ゆえ、戦闘能力と言う意味でも痛いし、何より石川がいなくなると考えると寂しい。しかし、ここは快く送り出すしかない。そして、新たな環境での活躍を期待したい。ベガルタ戦以外でだが。
 それにしても、この4年半の貢献には感謝しても感謝しきれない。特に2014年シーズンに、我々がJ1に残留できたのは、石川の八面六臂の活躍があってのこと。あの難しい時期のベガルタを支えてくれた石川のプレイ振りを、私は忘れることができない。

 石川は、ベガルタにACLに出場したの2013年シーズンに、ベガルタに加入した。
 当時のベガルタは、菅井、梁、関口、富田と言った2000年代前半に加入した生え抜き選手に加え、J1再昇格の2010年シーズン前後に獲得した、林、鎌田、角田、太田、赤嶺、そしてウイルソン、さらには朴柱成と言った、移籍で獲得したタレントの個人能力を存分に発揮させることで輝いたチームだった。こう言ったピンポイントの移籍選手獲得の格段のうまさと、手倉森監督の格段の手腕により、我々はACL出場の栄冠をつかむことができた。
 けれども、そこには背反があった。それぞれの選手たちは、みな己の選手としてのピークを迎える年齢、つまり20代後半にベガルタにやってきた。そのため、2014年シーズンには一気に反動が来た。チームの老齢化が隠しようがなくなったのだ。
 その2014年シーズンに常時出場し、チームを支えたのが、石川だった。石川はベガルタの一番難しい時期を支えた存在だったのだ。そして、翌2015年シーズンより、ベガルタは奥埜に代表される自前の若手選手を次々に登場させ、新たなステージに移ることができた。

 石川はセンタバックもサイドバックもこなし、左足のキックが魅力。その左足は、センタバックでは高精度のロングフィードに、サイドバックでは好クロスに活かされる。左利きで、いずれの位置もこなせるタレントは日本では珍しい。私的には、日本のマルディーニなのだ。
 守備においては、いわゆるスピードは今一歩だが、敵の攻撃を読む能力に秀でている。ただし、昨シーズンあたりから、年齢的なこともあるだろうが、単純なスピード不足で敵のサイドプレイヤに突破を許す頻度が増えてきて、「そろそろサイドバックは難しいかな」と言う印象だった。
 そして、ベガルタが今シーズン3DFを採用したこともあり、石川はいわゆる左のセンタバックで起用された。ところが、そうなると局面によっては、サイドでの守備が必要となり、上記したスピード不足の課題を露呈することもあった。そのため、敵FWへの応対が丁寧な増嶋に定位置を奪われた格好となっていた。
 それでも、石川はルヴァンカップでは主将を務め、2次ラウンド進出を支え、ベガルタにとっては、貴重な貴重な控えの守備者った。そして、勤勉な石川のことだ。丁寧に自分の長所短所を整理し、レギュラ奪回を狙っていたはずだ。その奪回劇を堪能させてもらう前に、コンサドーレからのオファーが届いたと言うことだろう。

 石川の移籍が発表された日に行われたレイソル戦。同じポジションに椎橋慧也が抜擢された。椎橋は、落ち着いたポジション修正、敵の縦パスへのはね返し、正確なフィードを見せてくれた。そして見事なドリブルの攻め上がりから、石原に決定的なラストパスも通した。もちろん、加速したクリスティアーノや伊東に、後方を突かれるなど、肝心の守備はまだまだ課題は多い。それでも、椎橋のプレイは我々に大きな期待を抱かせるものだった。石川が去ることにより、椎橋は機会を得た。そして、椎橋と同年齢の小島や常田に機会が訪れる可能性があるだろう。さらには、3日には新しいブラジル人CBのヴィシニウスの獲得が発表された。去る者があれば、来る者もいるのだ。

 改めて、4年半の間、ベガルタのために粉骨砕身してくれた石川直樹に感謝したい。ありがとうございました。
posted by 武藤文雄 at 01:23| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

蜂須賀孝治の充実と課題

 J1第19節、ベガルタ1-1レイソル。

 中断前3試合で、毎試合のように大量失点をして3連敗していたベガルタ。さすがに、この試合では守備を相当意識した試合を行った。蜂須賀と中野の両サイドMFが、素早く最終ラインに入り、3-4-3と言うよりは、5-4-1と言う並び。もちろん、ボールをしっかりとキープする狙いは変わっていないから、蜂須賀と中野は幾度も上下動を繰り返す必要があり、負担は非常に重い。
 そして、ベガルタの守備は非常によく機能。石原と西村が長い距離を走る逆襲速攻、蜂須賀の強引な右サイド持ち出しに大岩と西村がからむ右サイドからの崩しなど、上々の展開で後半半ばまで試合は進む。
 しかし後半半ば過ぎ、ベガルタはCKから先制を許す。その後、ベガルタは中々有効な攻め込みができない。クリスランと石原が、レイソルの中谷、中山の若きCBに押さえられ、結果両翼に起点を作れなかったのだ。中でも、シーズン当初より上半身が明らかにたくましくなった中谷は、忌々しい事この上なく、カバーリングの妙と、体幹の強さを存分に発揮されてしまった。
 それでも、アディショナルタイム、クリスランが狡猾な動きから、中野のスルーパスを呼び込み、左から抜け出し鋭く低いクロス、石原が見事なスクリーンプレイからボールを落とし、中野が叩き込んで同点。
 まずはやれやれである。この勝ち点1は、ベガルタにとっては、本当に貴重なものとなった。

 ともあれ。CKから奪われた失点は、ほろ苦いものだった。
 レイソルに分厚い攻めを仕掛けられたが、ベガルタ守備陣も丹念に対応。富田が実に見事なボール奪取を見せたものの、蜂須賀がクリアすればよいものの中途半端につなぎを狙い拾われ、シュートまで持ち込まれたのをブロックして許したCKからだった。
 そして、キッカーのクリスティアーノがファーサイドを狙ったボールに、見事な出足で飛び出した伊東に、蜂須賀の前でヘディングを許し、決められてしまった。
 つまり、蜂須賀が提供したCKの対応を、蜂須賀が誤まり、失点してしまったのだ。

 つらいことだが、中断前の3連敗、失点場面に幾度も蜂須賀はからんでいた。ガンバに許した決勝点は、ガンバのFKに一番ファーサイドにいた蜂須賀が対応できず、ファビオにヘディングシュートを許したものだった。ヴィッセルに許した先制点は、蜂須賀が不用意につなごうとしたボールを奪われたものだった。
 この日のレイソル戦の失点は、蜂須賀はつい最近行ったミスを再度犯してしまったために、許したものだったのだ。

 蜂須賀は2013年シーズン、仙台大から特別指定選手を経てベガルタに加入したサイドプレイヤ。180pの体躯、利き足は右だが左でもしっかりとクロスを蹴ることができ、縦への疾走を繰り返すことができる。しかし、中々定位置をつかむことができずに5シーズン目を迎えた。
 蜂須賀がレギュラに定着できなかった要因はいくつかある。元々、ベガルタの右サイドバックには、クラブのレジェンドでもある菅井直樹がいたこともあった。蜂須賀自身が、ベガルタ加入以降複数回下半身の大怪我をしたこともあった。ただ、それらに加えて、時々びっくりするようなミスをする悪癖があったのだ。中盤でパスをつないでいるときに、簡単な横パスを提供してしまう。逆サイドから攻め込まれているときに、敵に揺さぶられているわけものないのに、ボールウォッチャになってしまうなど。
 それでも今シーズンの蜂須賀は格段に成長している。幾度も上下動を行える脚力を活かし、いずれの試合でもスプリント数は格段の回数を誇る。縦に出た右クロスも、切り返した左クロスも、精度が向上した。敵サイドプレイヤに対する守備応対も随分と粘り強くなった。中盤でのつなぎも、逆サイドへの展開を含め、間違いなく上達した。
 渡邉監督が目指すサッカーでは、サイドMFの充実が何より重要。そして、左サイドで高い評価を得ていた新人永戸の負傷離脱はあまりに残念。しかし、その他のサイドMFとしては、ようやく負傷が癒えた中野、グランパスから獲得した古林、ベテランの菅井、若手の茂木、小島など候補選手は多い。しかし、蜂須賀には彼らライバルにはない、体格の強さ、空中戦の強さ、そして何より上下動をいとわない脚力がある。
 そして、我がクラブは、少々欠点がある選手を見捨てる贅沢は許されない。蜂須賀が己の長所を活かし、短所を改善することで、格段のサイドプレイヤに成長すること。それが、今シーズンの上位進出のカギを握るのだ。

 頑張ってくれ、蜂須賀よ。 
posted by 武藤文雄 at 00:12| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月10日

ロシアに向けたの準備が整った試合

 日本1対1シリア。

 前半はひどかった。ボールがしっかりと回らず、およそ中盤が機能しない。 思うようにボールを保持できない故、無理な縦パスが多く、ボールを失う悪循環。さらに、ハリルホジッチ氏が「デュエル」を要求するからだろう、敵のボール保持時間が多いのに、無理に強く当たりに行くから、かわされピンチを増やす。
 それでも、今の日本はFWの個人能力が高い。前線で大迫はしっかりと持ちこたえるし、原口は幾度もシュートまで持ち込む。前半終了間際の久保のシュートも惜しかった。しかし、シリアのDFも強い。特に主将のアルサリフは、ロンドン五輪予選から、我々に立ち塞がっていた名手(大迫との丁々発止当時も今も見事な戦いだ)で、今日もすばらしいプレイを見せてくれた。と言うことで、前半日本がリードしてもおかしくはなかった。もちろん、リードされても不思議はなかったが、充実の川島と麻也を軸に、何とか守り切る。
 後半開始早々も同じ展開。そして、押し込まれた展開から許したCK、ショートコーナへの緩慢な対応、期待のCB昌子の目測ミスから、あえ無く先制を許した。

 元々、この試合はとても難しい試合だ。
 何よりアウェイ(と言っても中立地だが)イラク戦に勝ち点3を確保するのが最重要事項。そのための準備となるこのシリア戦は、体調のピークを合わせるわけにはいかない。しかし、ビジネス上の理由で、満員の大観衆を集めて仰々しい試合としなければならないのがつらいところ(いつもいつも語っているが、カスミを食うだけでは生きられないのだから、しかたがない)。そうなると、そうひどい試合を見せると勢いが出ない。
 さらに、以下の特殊条件が重なる。今回の代表強化セッションは、欧州のシーズンが終了し、選手達は休暇前にもうひと頑張りと言うタイミング。加えて、久々にハリルホジッチ氏が、欧州クラブ所属選手を集中強化(あるいは観察)できる貴重な機会。
 そうこう考えると、何とも焦点の絞りづらい試合なのだが、このままでは、内容は悪いは、結果も出ないと言うことになる。その状況でイラク戦に臨むのでは、何とも重苦しい雰囲気になってしまう。

 内容が悪いと言えば、タイ戦もそうだった。中盤でのボール回しが明らかに劣勢にもかかわらず、香川、岡崎、久保の見事なシュート力で点差を広げ、麻也を軸に最終ラインでしのぎ続け、あげくは川島のPKストップ。チームとしての機能は褒められたものではなかったが、気が付いてみれば、スコアだけ見ると4対0の完勝だった。悪いなりに拾った試合ではなく、すごく悪かったけれど完勝だったのだ。日本代表を40余年見続けているが、あれほど内容が悪い中で、結果だけがすばらしかった試合はなかった。また、その前のUAE戦は、アウェイゲームで、序盤に久保が先制したこともあり、守備的にペースを握ればよい試合だったが、中盤から崩した好機は少なかった。つまり、今年に入って能動的に中盤が機能した試合はなかったのだ。これは長谷部の負傷離脱の影響もあったのだが。
 言ってみれば、今年に入っての日本代表は、モドリッチのいないレアル・マドリード、イニエスタがいないバルセロナのようなサッカーを見せていたのだ。これでは、安定した試合は望めないし、何より相手DFが当方のFWより能力が高ければ、点はとれない。そして、残念ながら、大迫も原口も、クリスチャン・ロナウドやメッシの域には達していない。
 さらに振り返れば、日本にとって貴重な強化期間だった1次予選で、ハリルホジッチ氏は先を見据えた準備をあまり行わなかった。必ずしも本調子でなかった本田、香川を軸にした攻撃ラインを拘泥、組織守備が崩壊しても試合結果がよければ、それでよしとの態度だった。
 そして、最終予選でいきなりUAEに苦杯し、イラクに苦戦して、慌てて組織守備を整備。原口、大迫を抜擢し、攻守を建て直した。平行して、吉田麻也が格段の成長を遂げたのが大きかった。このあたり、ハリルホジッチ氏の追い込まれたときの手腕はさすが、と言うべきだろう。
 ただし、上記の通り、スコア的に完勝だった敵地UAE戦にしても、ホームタイ戦にしても、中盤でのボール回しは褒められたものではなかった。そして、このシリア戦の前半、これが3試合続くと言うことは偶然ではない。長谷部がいないと、中盤の展開力が激減するのだ。そして、イラクはアジアの中では、日本、ウズベキスタンと並び、中盤の展開力が高い国だ。この状態で、この厄介な相手と戦うのか。いや、それでも予選は勝ち抜ける確率は高かろうが、33歳の長谷部を頼りに、ロシアに向かおうと言うのか。さすがに楽観的な私も、イヤな気分にとらわれ始めた。

 しかし、答えは簡単に見つかった。
 本田圭佑のインサイドハーフ起用だった。
 ザッケローニ氏時代の本田は、年齢的にも全盛期、トップ下で圧倒的な存在ではあった。しかし、細かすぎる崩しに拘泥したり、強引な持ち出しを狙い過ぎる傾向があった。そして、その本田の自己過剰評価と共に、ブラジルで日本は沈んで行った記憶は新しい。
 けれども、この日の本田は違った。
 交代時間が前後したが、アンカーに入った井手口の、早くて速い展開のサポートを受け、本田が長短のパスを繰り出し、中盤をリードした。そこに乾が加わり、溜めを作りつつ突然得意のドリブルで突破も狙う。こうなると、倉田も持ち味が出て来て、中盤で落ち着いてバランスがとれる。
 この日の本田は、自己過剰評価などみじんも感じさせず、よい意味で自己顕示欲を発揮しつつ、落ち着いて中盤を構成した。試合を積んで、大迫との位置関係が整理されれば、いっそう変化あふれる中盤が作れるようになるだろう。こうして軸ができれば、周囲の選手も役割が決まってくるはずだ。
 我々は、本田圭佑と共に、1人のトッププレイヤの登場、成長、飛躍、停滞を愉しんできた。そして、そのドラマに、成熟と言う新たな章が、刻まれようとしている。代表サポータならではの人生の贅沢である。

 遠藤保仁の後継者は、すぐそばにいたのだ。

 川島−麻也−本田−大迫と、縦のラインがしっかりと固まった。これにより、ロシアのベスト8以上に向けてチームの中軸がようやく整理された。本大会まで約1年、ちょうど、タフなイラク戦、豪州戦、サウジ戦を控える。準備状況としては最適なタイミングなのではないか。
 本田が、このシリア戦と同じポジションで常時出場できる的確なクラブを選択することを期待したい。そうすれば、このシリア戦は、ロシアに向けた準備が整った試合と記憶されることだろう。
posted by 武藤文雄 at 13:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月03日

南米との相性の悪さと未来への希望

 ユース代表は、2次ラウンド1回戦ベネズエラ戦、0対0で迎えた延長後半、CKから失点し悔しい敗退。

 今大会は、冨安のミスで敗退した大会と記憶すべきだろう。
 煮詰まった延長後半立ち上がりの敵CK、冨安は目測を誤り、ベネズエラ主将エレーラにフリーでヘディングシュートを許してしまった。110分間これだけタフな試合を繰り広げた上での判断ミス。集中力の欠如ゆえのミスだったが、冨安を攻める気持ちは一切ない。また、冨安がいなければ、我々はここまで勝ち残ることはできなかった。冨安の魅力は、1対1の強さ。特に、加速に乗って仕掛けてくる敵FWへの対応のうまさは格段で、順調に成長してくれれば、日本サッカー史最高の守備者にまで成長する可能性を持たせてくれた。つまり、現在の師匠である井原正巳を超える存在になるのではないかと。
 しかし、この悔しい試合では、肝心要の場面で、目測ミスから痛恨の失点を許してしまった。これだけの逸材なのだ。「冨安のミス」と、皆で明確に記憶し、捲土重来を期してもらうべきだろう。

 悔しいけれど、戦闘能力に僅かだが明確な差があった。一方で、このチームは、日本のの伝統的強さに新たな要素が加わった魅力があった。

 まず、悔しいが明確な差について。ベネズエラとの差は、歴史的に幾度も見てきた、典型的な南米強豪国との間に見られるものだった。
 元々我々は、南米勢とは、相性が非常に悪い。90年代半ば、日本が世界大会に常時出場するようになった以降、ワールドカップ、五輪、ワールドユースで、日本は南米のチームにほとんど勝っていない。アトランタ五輪のブラジル戦と、ナイジェリアワールドユー ス準決勝のウルグアイくらいではないか。この要因には、「絡みキープ力?」とでも呼ぶべきか南米独特の各選手の1対1のうまさと、勝負どころを見極める集中力の二つがあると思っている。

 まず前者の「絡みキープ力」。
 0対0で迎えた後半、ベネズエラはフォアチェックで日本DF陣に厳しいプレスをかけてきた。日本はこれを抜け出すことができず、ベネズエラに攻勢を許した。それでも、中山と冨安を軸に丁寧にしのぎ、それなりに意図的な逆襲を狙ってはいたが、有効な攻撃頻度は少なかった。
 少々乱暴な総論で語る。この日もそうだったのだが、南米の選手達は単純な1対1の競り合い、それも粘り強く身体を絡めてのキープがうまい。そして、その「絡みキープ力」と対すると、日本は持ち前のパスワークの精度が落ち、ペースをつかめなくなる傾向がある。
 欧州やアフリカが相手だと、南米ほど絡みキープが執拗でないため、よりパワフルな選手がいても、日本はパスワークで圧倒できることも多いのだが。ちなみに南米勢は、欧州勢との対戦では、欧州の単純なパワーの前に、絡みキープがうまくいかず苦戦することもある。まあ、このあたりは、ジャンケンと言うか、相性と言うものなだろう。
 南米勢と互角以上に戦うためには、こう言った絡みキープ力を高める必要がある。そのためには、はやり言葉で言うデュエルとかインテンシティとかだけではなく、純粋なボール扱いの技術、身体の使い方、ボールを受ける前の準備、競り合う中での判断など、多面的な強化が必要に思う。そして、そのためには、1対1で勝つための執着、創意工夫を必死に考える習慣付けが必要。これは、指導の現場と言うよりは、サッカーを語る我々が、「絡みキープ力」で勝てる選手を称え続けることが重要に思う。

  次に後者の勝負どころを見極める能力。
 後半、日本は粘り強くしのぎ続け、延長まで持ち込む。そして、延長に入るや、さすがにベネズエラに疲労が目立ち、日本も押し返せる時間帯が増えてきて、シメシメと思っていた。ところが、延長後半、キックオフから攻め込まれ、FKを奪われ、その流れからの連続CKから失点してしまった。しかも、悔しいことに、敵の精神的支柱のマークを当方の守備の大黒柱がし損ねての失点である。それにしても、ここでのキックオフ直後のベネズエラ各選手の集中力には感心した。
 南米勢との試合で、勝負どころで見事な集中や変化を付けられて、やられることは多い。この大会のウルグアイ戦の失点時もそうだった。昨年のリオ五輪でも、コロンビアに許した先制点は、当方の僅かな守備陣のミスを活かされたものだった。
 この感覚を、いかに若年層の選手たちに身につけてもらうか。陳腐な考えだが、若い頃から厳しい試合を経験してもらうしかないのではないか。具体的には、Jユース所属時代から、J2なりJ3のクラブにレンタルに出し、毎週末サポータに後押しされながら(場合によっては罵倒されながら)、勝ち点を1つでも積み上げる(多くのクラブでは、下位に近づかないようにもがく)経験だ。プリンスリーグや、U23でのJ3の試合では、このような経験は難しい。一番似ているのは、高校選手権になるが、これは勝ち抜き戦と言う構造から、多くの選手が経験できない欠点がある(もっとも、そのような欠点があるから、格段の難しさとなり、貴重な経験となるのだが)。

 一方で、今回のチームは、過去のユース代表と比較しても、実に魅力的だった。日本の伝統である、細かなパスワークも、粘り強い集団守備も高いレベルだった。いずれの試合でも、ペースを握った時間帯は、素早いパスワークが奏功し、変化あふれる攻撃を見せてくれた。特に市丸と三好は判断力と技術に優れたMF、この2人が遠藤保仁と中村憲剛の配下として、Jを戦っていることは非常に意味があると思っている。中山も非常に優れたCBで、落ち着いたカバーリングと精度の高いフィードは魅力的だった。久保については、色々な意味で標準外のところもあり、別に検討してみたい。
 ともあれ、今回のチームを魅力的にしていたのは、冨安と堂安だろう。
 冨安については、冒頭に述べた通り。この手の若年層大会で、ここまで格段の素材力を見せてくれたタレントはほとんど記憶にない。師匠の井原正巳は、当時に日本の戦闘能力の低さもあり、世界のトップレベルと対峙する権利を得ることができたのは20代後半になってからだった。対して、冨安は18歳でこれだけ鮮やかな失敗経験を積むことができた。前途洋々たる未来である。もちろん、ここから、大人の身体に育つときに今の強さと速さが維持できるか、ちょっと猫背気味の体型など、気になることもあるが、これだけのタレントがこれだけの経験を詰めたことを素直に喜びたい。
 そして堂安、あのイタリア戦の2得点で十分。日本サッカー史上最高の攻撃創造主と言えば、やはり中村俊輔と言うことなるだろう。そして堂安は、俊輔があれだけ気の遠くなるような努力を積んでもどうしてもできなかった、屈強な守備者をボールタッチと緩急の変化で突破する能力を18歳で身につけている。もちろん、贅沢を言えばキリがない。特に押し込まれたベネズエラ戦の後半に、ちょっと引いて市丸あたりとボールをキープして、試合を落ち着けて欲しかった。今の堂安の年齢で、A代表マッチでそのようなプレイを見せてくれたタレントは少なくない。ディエゴ・マラドーナとか、ミッシェル・プラティニとか、ネイマールとか。
 冨安にせよ、堂安にせよ、最大の課題は、いかに早く自分のクラブで絶対的な存在になるかだろう。自分のクラブで、いかに研鑽を積み続けられるか、期待していきたい。

 我々が多数の好素材を保有していることを再確認できる大会だった。そして、公式国際試合と言うものは楽しいものだと、再確認できた。よい時代はまだまだ続く。
posted by 武藤文雄 at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月29日

渡邉監督、順調だからこそ柔軟な采配を

 イタリア戦の堂安の2発もすごかったが、昨日のアルビレックス戦ののクリスランの決勝弾も相当な難易度だった。テレビ桟敷とは言え、これだけ鮮やかな得点で幾度も歓喜することができたのだから、誠に結構な週末だった。

 ベガルタは、アルビレックスに2対1でかろうじて逆転勝利。敵地でエスパルスに3対0で快勝した以降、4試合ぶりの貴重な勝利となった。
 ちょっと過去3試合を振り返ってみる。
 まずホームのFC東京戦。前半CKのこぼれ球、ゾーンディフェンスがカバーできない地域に位置取りした大久保に、ペナルティエリア外側あたりから、地を這うような強烈な一撃を決められる(生観戦してたのですが、美しい弾道だった、くそぅ)。さらに後半、シュミットのミスを突かれ大久保にもう一発食らう。強引な攻めは森重に止められるため、三田を中心に丁寧に変化をつけた攻めを展開。しかし、どうしてもGK林を破ることはできなかった。大久保、森重、林と言った、個人能力の高い選手に敗れた試合だった。
 続く敵地の大宮戦。前半は完全に圧倒、敵DFの軽率なミスで得たPK崩れからクリスランが先制。その後も複数回好機をつかむ。ところが、後半CKからニアを固める(最近のはやり言葉ではストーン)クリスランが簡単に敵に前に入られフリックされて、ファーサイドフリーの山越に決められ同点を許す。これにより、連敗続きの大宮がホームの大声援の後押しで勢いを増す。特にFW瀬川の献身的なフォアチェックに苦戦。西村の軽率なボールロストからの速攻から、大前に鮮やかな個人技を発揮され決勝点を奪われた。ペースを奪われた時間帯に無理をしてしまい、悪い流れのまま無理をしてやられると言うもったいない試合だった。
 そして前節の敵地横浜戦。この試合も前半から敵を圧倒する。決定機は前節前半より多いくらいだったが決められない。選手達にも焦りがあったのか、フィニッシュに向けて、妙に凝ったパス回しを始める。イヤな予感がしていたら、案の定中盤のミスから速攻を食らい、前半アディショナルタイムに先制を許す最悪の展開。それでも後半もよいペースを維持、CKから大岩が同点弾を決め、その後も攻め込んだが、どうしても中澤を破れず、引き分けに終わった。フィニッシュには課題が残ったが、90分間攻勢をとれたのは明るい材料と思われた。

 そうこうして迎えたこの新潟戦。前節からの勢いをそのまま継続したように前半から攻勢をとる。しかし、フィニッシュに工夫が足りず決めることができない。特に高いクロスの多くを、新潟CB宋株熏にはね返されていたのだから、ラストパスにもう一工夫欲しいところだった。
 しかし、好事魔多し。後半立ち上がりに、中盤で簡単に奪われて、速攻から決定機を許すも、かろうじてしのぐ。そして、それ以降、押し込むことができなくなる。そして、無理に攻め込もうとしては中盤でボールを奪われ、さらに2度好機を許す。そして、60分過ぎ、前線で石原がうまいキープを見せるがフォローに入った梁?との連係ミスから簡単にボールを奪われ、またも速攻を許し、とうとう先制点を奪われてしまう。
 これは、渡邉監督の采配ミスだろう。後半立ち上がりから、思うような展開が叶わず、幾度も速攻から決定機を許していたのだから、何がしかの修正を行うべきだった。梁に代えて西村を入れて運動量を増やし敵DFを押し下げてもよかた。この日久々にベンチに入った野沢を起用して全体の展開をスローにする手段もあったはずだ。もちろん、中盤を構成する富田や三田に、ベンチから「無理して前ばかりいかず、ゆっくり展開せよ」と指示する手段もあった。しかし、後半立ち上がりの15分間、あれだけペースが悪くなっていたのに、渡邉氏は何も手を打たなかった。
 大宮戦もそうだが、敵がアグレッシブになることで、今までうまく行っていた展開が叶わなくなることはあるものだ。それに対して、無理にうまく行っていたときと同じやり方にこだわるのは、どうしても無理が生じてしまう。

 失点後、渡邉氏は果断な采配を振るう。クリスランと西村を同時投入、基本的に後半交代することが多い梁はさておき、今シーズン攻撃の要としてほぼフル出場していた石原を比較的早い時間帯に外したのは、相当な決断だった。
 この交代はうまく行った。いきなり西村が遠い距離からミドルシュートを放つなど、再三縦に出る勢いを見せ、新潟DFを押し下げることに成功したからだ。そして、ベガルタは再び攻勢をとると、少しずつ新潟の選手に疲労が目立ち始める。
 そして83分、西村との連係で抜け出そうとしたクリスランが倒されPK獲得し同点。さらにその直後、永戸が守備ラインとGKの間に見事なクロスを通す。そして、クリスランがものすごい得点を決めてくれた。左からのクロスをジャンプして左アウトで左前方にトラップ、それを左足のジャンプボレーで叩き込んだのだ。クリスランがトラップした瞬間、「ヘディングシュートを狙えよ」と文句を言ったのはひみつだ。
 その後は、一度ホニに抜け出されシュミットのファインプレイでしのいだ場面を除いては、丁寧に時計を進めタイムアップ、久々の勝利とあいなった。まずはやれやれである。

 勝ったのは嬉しい。しかも逆転劇の快感は格段だ。けれども、後半序盤の悪い時間帯に、しっかり修正できていれば、ああも易々と失点しなかったのではないか。そして、大宮戦に続き、悪い時間帯に修正し損ねたのは気になる。

 勝ち点は思うように伸びていないが、チーム作りは順調に進んでいるのは間違いない。
 今シーズンから始めた両翼を押し出す3DFの連係は、試合ごとによくなっている。開幕当初から、よく機能している左サイドの新人永戸は、この日もアシスト以外でも、工夫したクロスを再三上げている(同点直前、西村に合わせたグラウンダのクロスも見事だった)。加えて、ここ最近、右サイドの蜂須賀が、脚力と両足を扱える長所を活かせるようになってきた。今期の移籍組で最も期待された中野も復活してきたし、ここにはふてぶてしさが武器の茂木もいる。
 前線の選手層も相当なものだ。石原と梁の異なる知性、奥埜の献身と裏抜け、西村のアグレッシブさ、佐々木匠の技巧は間違いない、ルヴァンカップを見た限りではまだまだ野沢も元気だ。そしてクリスランのズドーン。これだけのタレントを、どう組み合わせるか。
 若い選手の台頭も多く、選手層も着実に厚くなっている。結構なことだ。ルヴァンカップを含め、西村、匠、椎橋と言ったタレントが存分に機能している。他クラブの関係者に笑われるだろうが、我がクラブが20歳そこそこのタレントを機能させられたのは、J2時代の菅井、関口、萬代ら以来なのだ。

 渡邉氏は、見事にチームを作ってきている。だからこそ、いっそう柔軟な采配を期待したいのだ。せっかく、ここまで質の高いサッカーの息吹が感じられるのだから、それを存分に活かしたいではないか。
 まあ、そうそう思うように行かないから、おもしろいのですがね。
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月28日

ワールドユース、まずは1次ラウンド突破

 ワールドユース(最近はU20ワールドカップと言うらしいが、この呼び名の方がずっと好きなので、あしからず)、グループリーグの無事突破が決定。
 いや、よかった、よかった。しかも、進出を決めたイタリア戦、序盤に2失点する最悪のスタートから巻き返し、堂安の鮮やかな個人能力による2得点で追いついたのだから堪えられない。
 加えて、試合終盤には、あのイタリアと相互忖度で試合をクローズさせたのだから、もう最高。単調な約15分間のすばらしさ、現地に行かなかったことを心底後悔した。
 さらに、これが土曜日の晩なのだから、酒が進むと言うものだ。

 しかもですよ。3試合とも先制点を奪われ七転八倒を余儀なくされたのだから、我らの若い戦士たちには格好の経験となった。
 もっとも、その失敗要因は、非常に悩ましいものだったが。南アフリカ戦は、いわゆる初戦の序盤の緊張。ウルグアイ戦は、小川の負傷退場に対する過剰な負の反応。そして、イタリア戦序盤の最終ライン調整のグズグズさ。ウルグアイ戦の2点目を除いた4失点はいずれも、こう言ったおかしくなった時間帯に奪われたもの。
 しかし、これらの失点後落ち着いた後は、(結果的にリードしている)敵は丁寧に守備を固めてきた。それにもかかわらず、日本は伝統のすばやいパスワークに加え、三好、堂安、久保の個人技で再三相手守備を崩すことができた。一方、前掛かりになったが故の敵の逆襲は、冨安の圧倒的な守備能力と中山の冷静な対応で、しっかり止めてしまう。
 これだけの能力の選手たちが、どうして上記のような不首尾を演じてしまうのか。

 自らへの過小評価のためではないか。そして、これこそ日本サッカー界の最大の欠点なのではないか。

 ウルグアイもイタリアも確かに強かった。しかし、落ち着いて戦っている場面を見れば当方の戦闘能力は何ら遜色がなかったのは、誰の目にも明らかだろう。先制を許してしまった後に、落ち着いて粘り強く自分たちのペースに引き戻せたのだから、選手達の精神力も大したものだ。
 そうこう考えれば結論は明らかではないか。あのような不首尾を演じてしまうのは、自分たちの能力に対する自信のなさなのだ。言い換えると、敵への過剰なリスペクト。
 そしてこれは、マスコミを中心にした周辺が「相手が強い、日本が弱い」と過剰に騒ぎ、「日本のあれがダメ、これがダメ」と騒ぎ立てることによるのではないか。
 誤解しないで欲しいが、私は別に日本代表がワールドカップに優勝できると言っているのではない。現実は厳しく、いまだ日本からは、欧州チャンピオンズリーグを制するようなチームで、コンスタントに活躍する選手を輩出はできていない。
 しかし、イタリアの守備者のすべてが日本の守備者より能力が高い訳でも、スペインの若年層育成組織のすべてが日本の組織より優れているわけではない、と言うことをいいたいのだ。実際、この試合では、イタリアの中盤選手達は堂安をまったく止められなかった。イタリアのFWは単身では冨安をまったく突破できなかった。
 だから、試合開始から選手達がもっと自らの能力に自信をもって戦っていれば、こんな苦しい戦いにならなかったと言いたいのだ。そして、そのためには、いたずらな自虐論はやめて欲しいのだ。もちろん、このユース代表のタレントたちが、欧州南米の同年代の名手たちに劣らない微分値の成長曲線を維持できるかどうかは、別な話なのだが。
 まずは、2次ラウンドで、腰を引かずに堂々と戦ってください。

 ともあれ、今日の堂安はすばらしかった。正直言って、南アフリカ戦でも、ウルグアイ戦でも、内山氏が、必ずしも本調子とは思えない堂安に最後まで拘泥した采配に疑問を感じていた。
 申し訳ありませんでした。私が間違っていました。
 あれだけ身体が伸び切った状態で、しっかりと空中でボールにミート。ペナルティエリアで3人を抜き去った後に、丁寧に内側の左足でボールにミート。クライフとディエゴだよな。クライフはインサイド、堂安はアウトサイドだったし、ディエゴの挙動開始点はハーフウェイライン、堂安はバイタルエリアだったけれどね。
 このまま、大会終了後、堂安はユベントスに行ってしまうのではないかとの思いはあるが、彼の将来はこれからなのは言うまでもない。1979年のディエゴとなるか、2005年のオランダのクインシーにとどまるか。
 まずは、2次ラウンドで、ディエゴへの道を歩んでください。

 改めて国際試合と言うものはおもしろいものだと感心するこの大会。
 そして、ここ最近、ワールドユース出場権を逸し続けたことは、日本サッカーの損失だとの意見をよく耳にした。正直言って、私はこれらの意見にはあまり賛同できなかった。もちろん、出場できれば、それに越したことはないし、選手達はすばらしい経験を積めたことだろう。けれども、出場権を得られなくとも、日本は常に五倫出場権をしっかりと獲得し、優秀な選手は次々にA代表に登場し続けている。ワールドユースに出られなくとも、致命的な損失はないのではないか、と私は考えていたのだ。
 しかし、今大会を見ると私は間違えていたように思う。やはり、ワールドユースの出場権を逸し続けてきたことは大きな損失だったのだ。なぜならば、我々サポータが、こんなおもしろいタイトルマッチを愉しむ機会を逸し続けてきたのだから。
posted by 武藤文雄 at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月08日

取られも取られたり

 ベガルタはレッズに0対7で惨敗。
 1週間根を詰めて働いて迎える愉しい週末が、これで始まるのだから、サポータ稼業はやめられない。現地に行かれなかった己の情けなさを呪い、大差がつけられても奮戦してくれた選手たちを誇りに思い、現地で最後まで声援を送り続けた友人たちに感謝したい。

 まあ、言い古された話ではあるが、0対7で1試合負けるのは、0対1で7回負けるよりも格段にマシなのだ。今シーズンはルパンカップを含め7試合を行い、得点は3、失点はこのレッズ戦を含め17。それでも、リーグ戦で勝ち点9を確保しているのだから、最高の成果を挙げていると理解すべきだろうな。

 勝敗そのものも、大差がついてしまったことも、2点目が分岐点となった。得点力に乏しい我が軍は、西川や遠藤航が後方を固めるレッズから大量点をとるのは難しい。ために、2点差になった時点で、ベガルタの選手達の守備統率意識が崩れてしまった。一方で選手達の敢闘精神はすばらしかったのだけれども(終了間際の梁の逸機がその典型だった)。3点目はミスがらみだが、武藤へのアプローチに連動がなくズドーン。4点目のPK提供の平岡の宇賀神に対して無謀なタックル。5点目はレッズの速攻に対しラインが揃わない。
 選手1人1人が頑張っても、あれだけ守備組織がおかしくなると、レッズの攻撃は防げない。サッカーは頑張るだけでは勝てない。頭を丁寧にはたらかせて、相互が適正な連係をとらなければ。2点差、3点差にされても、落ち着いて頭をはたらかせて欲しかったのだけれども。もちろん、全選手が冷静な判断を失っていたわけではない、特に関は、あれだけ失点を重ねがらも、90分間を通し冷静な位置取りで的確なプレイを継続してくれた。
 まあしかし。レッズ相手に組織崩壊し、どんどんと点差を開かれても、いずれの選手も戦う気持ちは萎えてなかったのだから、それでよいのだろう。いや、今後のことを考えると、この展開では知性よりも精神力を見せてくれた方がよかったのかもしれない。

 元々この日は契約条項で石原が使えない。平山と西村は負傷離脱中、クリスランもフルタイムの出場は難しい。そのような状況で、渡邉監督は、奥埜と梁を2トップにした5-3-2を選択、まずは守備的に戦うことを選択したのだろう(野沢を前線に起用するやり方があったように思うが、体調がよくないのだろうか)。これはこれで、合理的な策ではあった。
 しかし、両翼の永戸が若さを露呈し絞り過ぎ、蜂須賀が駆け引きで興梠に完敗し、早々に失点。2点目は、中盤選手が引き過ぎて(この欠点は、ヴィッセル戦でも見られたことだ)、いわゆるバイタルを空けてしまい、そこから永戸が関根に出し抜かれた。
 特に永戸は同年代のトッププレイヤである関根に完敗したことそのものが、とてもよい経験になったはずだ。永戸は終盤茂木と交替させられた訳だが、経験と言うことを考えれば、最後までプレイさせたかった。交替に関しては、この展開だったのだから、菅井ではなく2年目の佐々木匠を使ってもよかったとも思う。これだけ状況が悪くなったのだから、若い永戸、茂木、匠らに託すのも一手段ではないか。
 まあ、渡邉監督はそう言う男なのだ。どのような状況になっても、若手だから優先するのではなく、いずれの選手にも公平に対応する。その生真面目さを、私はとても信頼している。

 冒頭にも述べたが、埼玉でのナイトゲームだけに、参戦する計画を立てていたのだが、本業都合でどうしてもかなわなかった。そんなことをやっているから、これだけ貴重な機会を逸してしまうのだ。考えてみれば、今シーズンはこのレッズ戦のほかにも、レイソル戦やルパンのFC東京戦など居住近隣地での観戦機会を逸しっぱなしだ。これではいけない。しっかりと、他のことを片付け、現場に通えるようにしなければと大いに反省した次第。
 幸い来週は所要があり帰仙するので、ユアテックアントラーズ戦には参戦できる。心を入れ替えて、ちゃんと応援しよう。
posted by 武藤文雄 at 14:39| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月28日

埼玉タイ戦前夜2017

早いもので、あの腹が立った埼玉UAE戦から半年以上が経過した訳だ。そして、迎えた敵地UAE戦、さすがにハリルホジッチ氏は、慎重で几帳面な策を選手達に指示、各選手がそれを冷静に遂行し、見事な2-0の勝利と相成った。細かい部分で、手放しで喜んでよいのか、と言う試合ではあったが、本大会出場にグッと近づいたのは間違いない。まずはめでたいことだ。

まずは、UAE戦を振り返ろう。
この日何より見事だったのは、吉田麻也の充実だった。前半から、的確な位置取りと丁寧なカバーリングを見せていた麻也の真骨頂は、後半2-0となったところで発揮された。技巧にすぐれた選手を多く抱えるUAEの逆襲を、丹念につぶし続けたのだ。
半年前埼玉でUAEに苦杯した試合では、逆襲対応に慌てる悪癖が出 てしまい、同点となるFKを提供するなどミスが目立った。けれども、豪州戦あたりから、非常に落ち着いたプレイを見せてくれるようになり、サウジ戦、そしてこの敵地UAE戦では、ほとんど完璧だった。
腕章も中々よく似合い、チームリーダとして風格も漂っていた。サザンプトンでも完全に定位置を確保したことを含め、完全に一段ランクを上げた感がある。この ベテランCBの向上は、ロシアでベスト8以上を目指そうと言う我々にとって、とてもとても嬉しいことだ。
余談ながら、後半幾度か日本が逆襲を許し、吉田が活躍する展開になったのは、皮肉な流れからだった。後半立ち上がり、日本は、ちょっとフワッとした感じで後半入ってしまい、UAEに2度ほど決定機を許した。その直後に、今野が突き放す2点目を決めたわけだが、タイミングも得点経過も絶妙だった。
麻也の正確なフィードを、大迫が完璧なヘディングで敵CBに競り勝って、フリーの久保にボールを落とず。久保は敵DFが寄せる前に、切り返して逆サイドへの正確なクロス。大迫が競り勝った際は、その後方でフォローしていた今野が、その間にファーサイドに進出、敵DFの裏から、久保のクロス を受けて落ち着いて決めてくれた。
同点機を複数回逸した直後に、2点差とされただけに、UAEには相当ショック だったはずだ。しかも、得点に至る流れが、個々の個人能力の差を活かしたものだっただけに、各選手が相当落ち込んだのがよくわかった。
その結果、日本が前半以上にパスを回せるようになったのだが、逆にチーム全体として分厚く守る方針が曖昧になり、前線で不用意なドリブルからボールを奪われて、時折逆襲を許す状況となった。
試合前の計画としては、2点差となれば、ホームのUAEが必死に前線に出てくるとので、後方を厚めにしっかり守って速攻をねらうやり方を考えていたのではないか。ところが、あまりに日本にとっては都合よく(UAEとしてはショッキングに)2点差となってしまったので、日本にとって制御が難しい流れとなってし まった。難しいものだ。

もちろん、この日の勝利を支えたのが、川島永嗣と今野泰幸の両ベテランだったことは言うまでもない。
正直言って、川島のスタメン起用には相当驚いた。ここ最近重要な試合では西川周作が起用され続けていたし、川島自身がFCメスでもほとんど出場機会が得られていなかったからだ。
前半半ばの好プロックにせよ、UAEのクロスをしっかり完封したことにせよ、川島はすばらしかった。プレイする機会が限られているにもかかわらず、よいトレーニングを積んでいるのだろう。ただ、ハリルホジッチ氏が、なぜ川島を起用したのかは、よくわからない。川島が公式戦でよいプレイを見せたならば理解できなくもないのだが、今回はそれにはあたらない。記者会見で、川島の経験やメンタルについて言及した模様だが、氏の真意はどこにあったのだろうか。
ポジティブに考えれば、試合出場機会に恵まれていないものの川島が相変わらず充実している、と言うことになる。ネガティブに考えれば、ハリルホジッチ氏は、西川ら他のGKのパフォーマンスに満足していないことになる。もちろん、Jの序盤戦で水際立ったプレイを見せていた東口の負傷も、氏の判断を左右したのかもしれないけれどね。
一方で今野のスタメン起用は驚きではなかった。今までハリルホジッチ氏が選考してきた中盤後方のタレントのうち、長谷部と井手口が負傷、永木はアントラーズ定位置を確保し切れていない、遠藤航はレッズで中盤では使われていない、と言う状況で、今野は呼び戻された。つまり、今野の招集は緊急事態に備えたものだっただけに、スタメン起用もある程度予想されたものだった。そして、今野はこの起用を存分に愉しみ、ついには得点まで決めてくれた。
ただし、今野をいわゆるボランチではなく、インサイドハーフに起用したハリルホジッチ氏の策は中々だった。アンカーに山口をおき、両サイドバックを自重させ、後方に人を残す。そうしておいて、今野を中盤の前方に配し、いわゆる刈り取りと攻撃支援を担当させたが、これが見事にはまった。原口と久保の2人はいわゆる相当後方まで引いて守る時間帯もあるので、今野のような守備力の高いタレントをここに起用するのは有効だった。このポジションに、今野の若いチームメートの井手口を使うとおもしろいのではないかと思ったりした。
今後今野が代表に再定着できるかどうかは、何ともいえない。代表チームが負傷者などが続き、メンバ構成が苦しくなった際に、30代半ばの経験豊富なベテランを呼び戻すのは有効な手段だ。ただし、そのような大ベテランを継続して招集するかどうかは、ワールドカップ本大会への準備を考えると、微妙なところだろう。特に83年1月生まれの今野にとって、ほぼ同世代の84年1月生まれの長谷部の存在が、代表再定着の大きな壁になる。
など考えていたら、今野が負傷で離脱したと言う。残念だ。同郷人が代表にいるのは、大きな喜びなのだよ。早期の回復と、上記した厳しいバトルへの復帰を祈るものである。
ともあれ、川島にせよ、今野にせよ、元気で充実したベテランの存在は頼もしいことこの上ない。そして、これらの貴重なベテラン達が、日本代表を一層分厚いものにしてくれているのだから、喜ばしいことだ。

日本のよさが目立った試合だったが、UAEのオマルを軸にした中盤の展開力には改めて感心させられた。上記した川島がファインプレイで防いだ前半の崩し、後半立ち上がりの素早くボールを左右に動かして許した決定機。日本の中盤守備がよかったにもかかわらず、隙を見て幾度か崩されてしまった。正直言って、豪州やサウジよりも、「戦いづらい」相手と言う印象がある。今回のUAE代表チームは若年層時代からの育成が奏功した世代と聞くが、このような強化が継続されれば、アジアサッカー界でのプレゼンスは高まっていくことだろう。これは日本にとっては歓迎するべき事態、知性と技巧を活かしたチームをアジア各国が作れば、アジアのレベルは格段に上がり、アジア域内の国際試合 で的確な強化を積むことができる。

さて、タイ戦。
勝ち点3の獲得が重要なのは言うまでもないが、贅沢を言うと得失点差を稼ぎたいところ。
大迫の離脱は痛いが、ここには岡崎がいるので問題はない。むしろ、ポイントは原口、久保の強力な両翼に、サイドバックをどのように絡ませるか。UAE戦は、長友と酒井宏樹に前進を自重させ、その役割を今野に託した。タイはUAEほど中盤でのキープ力はないだろうから、この個人能力の高い両翼に、サイドバックを含めた攻撃を交通整理して欲しい。このような交通整理が、攻撃力の強化に重要なはずだ。
ワールドカップまで、あと1年ちょっととなった。1つ1つ、丁寧に丁寧に積み上げ、ベスト8以上を目指すのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月05日

ベガルタ開幕2連勝

 ベガルタは、敵地でジュビロを下し開幕2連勝。2試合続けて、粘り強く戦い、終盤に1点を奪い、丁寧に守り切る、いわゆるウノゼロ、理想的なスタートダッシュと呼んでよいだろう。両試合とも、今シーズンから導入した3ー4ー2ー1が奏功、新加入の石原と永戸が組織的に機能するのみならず、中心選手として活躍したのだから、笑いが止まらない。

 ともあれ、ジュビロ戦。
 前半はあまりよくなかった。川又(必ずしもポストプレイがうまいとは言えない選手なのだが)に再三クサビを収められ、中村俊輔に自由を許す。結果、両翼の太田とアダイウトンが再三前を向いて前進、危ない場面を多数作られた。さらに押し込まれていると、川辺とムサエフの両ボランチに拾われる悪循環が続いた。
 もう1つ状況を悪くしたのは、個々の選手の軽率なミス。押し込まれているのだから、さっさとクリアして切ればよいのに、無理につなごうとして状況を悪化させてしまった。中でも、菅井は凝り過ぎたプレイで、再三危ない場面を作ってしまった(まあ、菅井らしいと、ポジティブに捉えればよいのかもしれないけれどもね)。
 それでも、前半をゼロで終えることができたのは、GK関がほぼ完璧なポジション取りで、敵クロスやDFラインの裏へのボールに対応したこと。3DFがあわてず粘り強い対応で、敵速攻の第一波を止めたこと。そして、最前線の石原を含め全選手の帰陣が早かったこと。このあたりは、流れが悪いなりに的確に対応できたと評価すべきなのかもしれない。

 後半、状況は改善された。
 まず、ボールを奪われた直後の切替と敵選手への対応が格段に改善された。中でも、川又への厳しいチェックは見事だった。結果的に、川又が焦りからか独善的なプレイが増え、俊輔が機能しなくなった。さらに、永戸と菅井の両翼への早めの展開が増え、後方から石川と大岩が押し上げることで、攻め込みの時間が増える。特に、左サイドの永戸が左利きを活かしたサイドチェンジをねらい、菅井がそれを受けることで、効果的な場面を再三作った。見事な修正だった。
 そして迎えた74分。右サイドからのFKを平岡が折り返し、混戦になったところで石原が見事な身のこなしから、後方で待機する奥埜に落とす。奥埜は、インフロントキックで狙い済ましたシュート、その軌道は完璧で、GKカミンスキーはブラインドで動けず、ゴールカバーのDFの頭上を越え、ポストの内側を叩いてネットを揺らした。好機を高頻度でつかんでいた時間帯に、しっかりと決め切ることができた。
 その後、攻撃の切り札として投入された高速ドリブラ松本への対応に、対面する菅井が苦労する局面はあったものの、丁寧な組織守備と、前掛かりのジュビロの裏を突く速攻の継続で、しっかりと逃げ切り、めでたく開幕2連勝とあいなった。

 後半の内容はとてもよく、三田、永戸のロングフィードでの大きな展開、石原(まちがいなくこの日のMVP)の再三の妙技による前線の溜めに奥埜と梁がからむ攻撃も整備されてきた。昨シーズンからの大きな課題だった速攻への対応も改善されてきた。各選手の体調が上がるのはこれからだろうから、一層の改善が期待できるだろう。
 もちろん、課題はまだまだ多い。上記した通り、前半再三速攻を許したのは大きな課題。また、終盤松本への対応に後手を踏んだのも感心しなかった。またセンタバックの層の薄さも気になる。この日の終盤に平岡が足がつるハプニングがあり、増島が投入されたが、いまベンチ外のCBは、2年目の常田しかいない。まあ、悪いことを考えてもしかたがないので、楽観的に考えることにしよう。
 さて、最大の難敵のDAZNくん。先週はライブ中継は楽しめず、番組冒頭からの映像を時間遅れで見ることになっていた。今週は一応ライブで見られたのだから、大きな改善だった。もっとも、前半画面が真っ暗になる事態が2回、特に前半終了間際は真っ黒になったまま、何も返ってこなくなり前半が終わってしまった。まあ、少しずつ改善しているようだから、気長に付き合っていこう。
posted by 武藤文雄 at 22:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする