2009年07月02日

なおACLを愉しむ

 少々遅くなったが、ACLでアントラーズがFCソウルに苦杯を喫した件について。

 1次リーグの最中、アントラーズの試合で解説をしていた名波浩氏が
「出場32クラブの中で、最もこのタイトルを欲しがっているのは、アントラーズではないか」
と語っていた。かつて死闘を演じたライバルに対し、尊敬(と「俺はジュビロでアジアチャンピオン取ったものね」と言う微妙な優越感と)を込めた的確なコメント。実際、昨期の苦杯もあり、今期アントラーズはACLを「本気で」狙っていたと思う。
 そして今期、今のところアントラーズの強さはJでも際立っている。元々小差の試合を勝ち切る巧さがあるクラブだが、速攻の切れ味、最終ラインの粘り、勝負どころの見極めと駆け引きなど見事な試合の連続。ところが、「本気で」狙っていたACLは今年もダメだった訳だ。
 「なぜ、かくも国内では強いアントラーズは、アジアでは勝ち切れないのか。」
が、各方面で話題になるのもむべなるかなである。

 その問いに対する私なりの答えは、身も蓋もないが「運がない」事に尽きるような気がする。

 先日ガンバの敗退に関して、3点ガンバに舞い降りた不運を語らせていただいた。具体的には
(1)1/16ファイナルがH&Aではなく一発勝負だった事
(2)いきなりフロンターレのような強豪と戦う組み合わせの不運
(3)大黒柱の遠藤の代表疲れ
そして、アントラーズも類似した不運に襲われていた。
 まず(1)は言うまでもないだろう。結果的にホームで2−2の引き分けからのPK負けだったが、これが2試合あれば、アントラーズはもっとじっくりと戦えたはずだ
 (2)についても、相手のFCソウルは相当が強いチームだった。ソウルが相当強い事は1次リーグでガンバが苦労した時点でわかっていた事。金致佑は負傷で不在だったが、若手のエース格の寄誠庸、李昇烈など優秀な選手も多い。若手が軸だけに不安定さもあり、1次リーグでは山東魯能に苦戦をしたようだが(まあ、あのラフファイトには世界中のいずれのチームでも苦労するだろうが)、ソウルが東アジアでは日本勢を除くと最も厄介な難敵の1つだった事は間違いない。もっとも、ソウルが1位抜けならば、ここにはガンバが来る組み合わせだった訳で、アントラーズは最初から組み分けが悪かった事になる。ガンバが、フロンターレが1次リーグで自滅したためにいきなり手合わせする事になった不運とは種類の異なる不運と言えるだろうか。
 (3)についても、代表から戻った内田の疲労は明らかだった。ただし、これは不運ではなく、オリヴェイラ氏の数少ない自責と言うべき。アントラーズは内田のポジションには新井場を起用するオプションを持つ。それでも、オリヴェイラ氏は、このソウル戦直前のJのジュビロ戦、内田にこだわった起用を継続したのだから。。まあ、好意的に解釈すれば「オリヴェイラ氏は内田を世界レベルのサイドバックに育成しようと試練を与えている」となるのかもしれないが(1次リーグ時も、疲労困憊の内田起用を継続したな)。
 そうこう考えると、内田の件でガンバよりは不運度は低いのは確かだが、やはり「運がない」のが最大要因に思える。

 そして、大陸チャンピオンと言うのはそう簡単に獲得できるものではない。ましてリーグ戦ではないのだから、常に運不運がつきまとう。
 たとえばUEFAチャンピオンズリーグ。前身のチャンピオンズカップを含め、54回行われているが、チェルシー、アーセナル、レンジャーズ、スポルティングなどと言った強豪は1度も優勝していない。歴史的に多くの名選手を輩出し、常時欧州を代表するクラブだったユベントスでさえ30回目でようやく初優勝できた。同様にバルセロナに至っては37回目での初めての欧州制覇。 
 たとえば、リベルタドーレス杯。こちらは49回行われているが、コリンチャンズ、フルミネンセ、アトレチコ・ミネイロ、ロサリオ・セントラルなどは優勝していない。ボカは6回も優勝しているが、初制覇は17回目の事。サンパウロはトヨタカップを3回制覇しているが、リベルタドーレス杯は33回目が初栄冠。
 やはり、過去27回しか行われていないACL(前身のACC時代を含めて)で、アントラーズが1度も優勝できていないのも運不運の範疇の中に思えてくるではないか。以前も書いた事があるが、日本勢が5回も優勝している(古河(現ジェフ)、読売(現ヴェルディ)、ジュビロ、レッズ、ガンバ)のは、それはそれで大したものだとも思う。

 ちなみにこちらが指摘した審判との相性問題は、確かに検討には値する問題だと思う(これはこれで別に検討し講釈を垂れてみたいとは思う)。ただし、小笠原がACLの審判の判定に苦しむのは今に始まったことではない。また、このソウル戦のファウルについては、2発とも警告を食らっても仕方がない判定だった。したがって小笠原の退場自体は「アントラーズの問題」ではなく「小笠原の問題」と理解するのが妥当と思う。
 いずれにしても、審判問題はアントラーズがアジアで勝てない1つの要因だとは思うが、決定的要因とは思えない。上記した通り、日本の単独チームは(時に審判に苦しむ事はあるが)再三ACL(ACC)を制覇しているし、アントラーズの選手を含む日本代表もアジアでのタイトル獲得を幾度となく獲得しているからだ。
 やはり主要因は「運がない」事ではなかろうか。

 現実的にアントラーズが今期のJ1でベスト3に入る確率はかなり高いだろう。まずは、来期のオリヴェイラ氏と小笠原の仲間達の復讐戦に期待すると言う事だ。
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2009年06月29日

シャムスカ氏更迭?!

 トリニータが苦しいシーズンを送っている。J1再開後も、いきなり2連敗。とうとう12連敗で、15試合で勝ち点は僅かに4。17位のレイソルとの勝ち点差は8、J1残留ラインの15位のモンテディオとの差は12、残り試合は19試合なので、まだ絶望する状況ではないが、相当苦しくなってきているのも確かだ(たとえば11勝8敗で乗り切れれば勝ち点37で昨年の残留争いラインに到達できるのをどう捉えるかだが)。
 今節のアントラーズ戦。若い清武の得点で先制するも、アントラーズが圧力を高めてきたところで、しのぎ切れずに連続失点。1点目は興梠の巧みなボールキープに3人の守備者が集まってしまった事、2点目はCKで前を気にし過ぎてファーサイドの青木を全くのフリーにしてしまった事、いずれも守備陣が視野を確保し切れなかった故の失点。そう言えば、前節のフロンターレ戦でもファーサイドのレナチーニョを捕まえ損ねた失点があった。おそらく、「勝ちたい、しっかり守りたい」と言う意識が強過ぎて、後方の選手達が視野が狭くなっているのだろう。これを負けグセと言うのだろうか。
 しかし、若い森重が唯一広い視野で読みの良い守備を見せ、エジミウソンら負傷者も続々と復帰。1−2でリードされた終盤、最後の勝負どころで負傷上がりの高松と金崎を起用し、森重の展開や家長のミドルシュートなどで、あと一歩までアントラーズを追い詰めた。それなりに、チームとして復調の雰囲気もでてきている。

 ところが、一部のスポーツ新聞などで、監督交代の可能性を示唆する記事が出始めているようだ。一部のサポータにもそれを望む意見もあるようだ。たしかに、成績が悪い時に「監督を更迭する」と言う策は、古今東西あちらこちらで行われている。しかし、トリニータはシャムスカ氏を更迭すべきなのだろうか。私には決してそうは思えない。

 一般的に、チームが不振の時に監督を交代する意義は大きく分けて2つある。
 1つ目。現状の監督よりも、試合での采配、日ごろ選手の強化などを大幅に改善する事ができる能力がある新監督を採用する事で事態の打開を図る考え方。ただし、今のトリニータには、あまり時間もないし、必要な勝ち点も大きい。よほど多くのチームで実績を挙げた、相当な采配上手の妖術師のような監督が必要だ。たとえば、フース・ヒディンク氏ならば、あるいはシャムスカ氏以上の手腕が期待できるかもしれない。
 2つ目に人心一新という意味もある。新しい刺激によりチームの意識を高めると言う考え方だ。その場合は、新監督自身が抜群のカリスマ性を持ち、選手からの尊敬を集める神格化された存在が望ましい。たとえば、イビチャ・オシム氏ならば、あるいはシャムスカ氏以上のカリスマ性を持ち、尊敬を集める事も可能かもしれない。
 シャムスカ氏を超える確率で、現状のトリニータのJ1残留を図れる監督など、世界にはそうたくさんはいないのだ。

 しかもシャムスカ氏を更迭する事で、J1残留のライバルクラブがシャムスカ氏を採用するリスクも出てくる。現在J1下位に苦しむクラブは、シャムスカ氏ならば、実績、カリスマ性、現行のJへの造詣、日本人の特質などを把握しているので、喜んで採用するだろう。今シャムスカ氏を解任すると言う事は、掌中の珠をむざむざとライバルに手渡す事になる怖れがあるのだ。
 さらに当然ながら、シャムスカ氏を更迭する以上は、氏に残り契約期間の給料(違約金)を支払った上で、他の新たな監督を雇うカネが必要になる。そんなにカネがあるならば、まずは選手補強に使うべきだろう。まだ未使用の「アジア枠」を使い、皇甫官氏あたりの人脈で、優秀な選手の模索を検討するのは有効な手段ではないか(一部で報道された、著名だがピークを過ぎた選手ではなく、現役バリバリのKりーガを「強奪」するのは、最もコストパフォーマンスがよく、外れも少ない補強策だ)。また、ACLに敗退し、選手が余っているガンバ、アントラーズあたりから、優秀なタレントを借り受ける手段も考えられる。森重と共に戦えるファウルが少なく視野が広いCB、上下動をいとわないサイドプレイヤ、ホベルトの回復に時間がかかるならば中盤でよく動けるMF。こう言った補強に成功すれば、今のトリニータには非常に有効だろう。

 だいたい、J2に落ちる事はそんな恐ろしい事ではない。もちろん、溝畑社長の必死の営業活動によってあちらこちらから集めた貴重なスポンサの中には、J2陥落により手を引くところもあるかもしれない。けれども、サンフレッチェが2度も証明したように、しっかりした基盤を持つクラブは、1度J2に落ちても、すぐにJ1に復帰できるものなのだ(と、J2に陥落してから6期目を迎えるクラブのサポータが講釈を垂れる事に説得力を感じていただけるかどうかはさておき)。結果的にJ2に落ちたとしても、あれだけ優秀な若手選手達(西川、梅崎、福元、清武)をユースから育成し、あれだけ優秀な若手選手達(金崎、森重)の獲得に成功し、それぞれを成長させるのに成功しているこのクラブならば、すぐにJ1復帰は可能だろう。そして、その確率はベンチにシャムスカ氏が座っていた方が、格段に高いはずだ。
 もちろん、今期末よりも移籍規定が変わる事で、上記した優秀な若手タレント達が移籍金を残す事なく流出するリスクもある。けれども、そのリスクはJ1残留に成功しようがしまいが、決定的には変わらない。優秀な選手が、よりカネが稼げるところに移っていくのは、物の道理なのだから。

 と、色々書いてきたけれど、一連のスポーツ新聞の報道は、トリニータフロントの作為のような気もする。具体的な監督候補名を見せれば、どんな狂信的なサポータでも「現状維持の方がよい」と冷静さを取り戻すだろうから。
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2009年06月28日

さあ、石川直宏を見に行こう

 国立で行われたFC東京−エスパルスを観に行った。
 隔週くらいの割合だろうか、朝の通勤時に地下鉄の出口で「サッカーのFC東京です」といいながら、おじさんが近々の試合の情宣ビラを配っている。先週半ばにそれを受け取り、何気なく読んでいたら、むしょうにこの試合を観たくなったのだ。カラー見開き4ページのビラなのだが、第1面に絶好調が伝えられる石川直宏のインタビューが掲載されていた。中でも引き付けられたのが、石川の以下のコメント。
どのゴールも狙い通りです。シュートの前に必ずコースが見えて、そこに蹴り込んでいるという感覚。(中略)そういう研ぎ澄ましたような感覚は、シーズンの中でも1回あれば良いというぐらいだったのですが...今年はどのゴールにも共通していて頻度が高まってきた。それは大きな収穫です。
このような感覚をモノにした選手が、どのような猛威を振るうのか。何かもう見たくて見たくてしようがなくなったのだ。ビラを作り、配った方々、ありがとう。
 考えてみると、その石川にとって、充実を伝えられる青山直晃、岩下敬輔の若きCBコンビに老獪そのものの伊東テルがディフェンススクリーンをこなすエスパルスは難しい障害になるだろう。加えて、前節ようやく強烈な得点を決めてくれた平山相太、代表でもエスパルスでも絶好調の岡崎慎司、など、見どころの多い両チームだし。

 このような野次馬感覚で見る試合だからこそ、中立的感覚で見てはおもしろくない。岡崎を称え、石川の恐怖を味わうがために、エスパルスサポータの友人にお願いして、ゴール裏の一角に座らせていただいた。Gさん、Zさん、どうもありがとうございました。「エスパルスサポータ席で観戦します」と伝えたら、FC東京サポータの友人のMさん、Yさん夫妻には怒られたけれど。

 で、試合。

 スタメン発表で岩下不在を聞く。腰痛らしい、残念。ただし、岩下がいないからこそ、全軍守備の指揮まで執る必要となった青山直の奮闘が見られたから満足。青山は平山への対応を含め、ほとんどの空中戦を制圧し、さらにはカバーリングまで担当する。不満は2点、前線へのフィードに工夫がない事、味方CKなどで攻め上がった時に妙にヨンセンに遠慮する事。「南アフリカで中澤さんと組むのは俺だ」くらいの意識を持って精進して欲しいタレントなのだが。岡崎の活躍が羨ましくはないのかい、もっともっと自覚を。
 伊東テルはこの日でJリーグ450試合出場。この素晴らしい記録が達成された試合を観る事ができたと言う意味でも観に行ってよかった。それにしてもすごい記録だ。JSL時代に落合弘や釜本邦茂や永井良和が250試合に出場した事に興奮したのを思い出し、是非伊東テルにはまずは「500」を目指して欲しいと。実際この日のプレイ振りを見る限り、十分その可能性はありそうに思った(今なお伊東テルに中盤を任せなければならない長谷川健太氏の悩みと共に)。
 そして岡崎の充実。後半右外に走りながら、流れたボールを捉えて強烈なグラウンダで枠を捉えた場面には感動した(GK権田の正面に)。ブルーノと今野にはさまれながら、ペナルティエリア内で足元にしっかり収める。チーム事情が色々あるのだろうが、長谷川氏は岡崎を中盤ではなくトップに置くべきだと思う。

 平山。まだまだ不満だ。しかし、よくもまあ後方からのボールをしっかりと収め、配球するものだ。青山と児玉にあれだけ厳しく対応されても、とにかく収まるのだから。でも、この状態を評価しては絶対にいけない。この日も軽妙なボール回しの中で、シュートを狙えるにもかかわらず、ボールを回す場面が幾度もあった。いいから、得点を狙ってくれ、シュートを打ってくれ。
 嬉しかったのは米本を初めて生観戦できた事。視野が広く、守備もしつこい。30mを越えると、少々精度が怪しくなってくるが、あれだけ周りが見えていれば何も問題がない。失敗したら反省すれば、絶対に精度は上がっていく。敵のドリブルやフェイントに対しても、我慢を重ねてタックルする姿勢もすばらしい。腕章を巻いた兵働が、米本のしつこさに辟易したのがその典型。己のライバルは、自チームの今野と、ドイツにいる長谷部と、大阪で君臨する明神だと言う自覚を持てるかどうか。

 しかし、石川直宏。
 前半、左サイドに開いて、左足でダイレクトでファーサイドの平山の頭にピタリと合わせた瞬間、もうこの試合を観に来てよかったと思った。完全に周りが見えていて、自分の間合いを確保している。羽生の運動量と平山のキープとターンを配下に置き、自在に左右に動く。伊東テルが、前半半ばから石川を無理に追うのを諦めたのがおもしろかった。
 他人事だからどうでもいいし、エスパルスサポータと一緒に観ていたから、文句を言う筋合いではないが、FC東京はもっと石川にボールを集めればいいのに。そうすれば、前半で勝負は決まったようにも思うが。
 同点に追いつかれると、いよいよ石川が躍動を始める。強烈なミドルシュートを山本海人(西部洋平からレギュラを奪っている事はもっと評価されてよいタレント、大体この男のおかげで我々は北京に行かれた事は忘れてはいけないな)に防がれた数分後。平山、梶山とつないで、こぼれたボールに石川が接近。その時点で「これは入る」」と言う予感があった。自信満々のボールへの接近、確信に満ち溢れた右アウトフロントキック。ゴール裏で見ていた私は、その弾道が悪魔のような変化で、ネットに突き刺さるのを堪能する事ができた。直前の好セーブを含め、ここまですばらしい守備を見せていた山本だが、この場面は「石川を輝かせるためにのみ」プレイしているように見えた。
 冒頭に私は書いた。「絶好調が伝えられる石川直宏」、これは間違い。石川は絶好調なのではない。石川は完全に化けて、国内屈指の攻撃創造主になったのだ。

 どうして石川を豪州に連れて行かなかったのか(連れて行けばそれなりに大問題になった事は容易に推測できるけれどね)。いや、もうそう言う事は言うまい。とにかく、長谷部、遠藤−中村俊輔、中村憲剛、石川−岡崎、こう並べた試合をとにかく観たい。相手がオランダでもガーナでも香港でもどこでもいい。この6人の攻撃ラインが、とにかく観たい。
 ともあれ、私は幸せだ。観ようと思えば、外国に行かずとも、遠藤も憲剛も、そして石川も毎週観る事ができるのだから。
posted by 武藤文雄 at 22:50| Comment(7) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月27日

ベガルタに関する心配事

 ベガルタはコンサドーレと宮城スタジアムで引き分け。ホームゲームで勝ち点1しか取れなかった事は確かに痛いが、非常に苦しい日程下で、不運に先制されて追いついたのだから、まあよしとすべきか。ただ、引き分けに終わった事以上に気になる問題を感じた試合だった。

 両チームとも中2日での3連戦。まだベガルタは「利府−宇都宮−利府」と比較的楽な移動だったが、コンサドーレは「平塚−札幌−利府」と言う飛行機移動2発を含む日程。せめて水曜日に試合が入るときは、「土曜−水曜−日曜」として中3日を確保するなり、ナイトゲームにするなりと言う配慮をすべきだろう。しかも、この日の利府は摂氏32℃と言う厳しい暑さだったのだそうだ。
 そして、残念ながら両軍とも疲労がありありと見える非常に難しい試合となった。
 コンサドーレは敵地と言う事もあり、後方に引いての逆襲狙い。ただし、ベガルタのFWとMFの上下動に付いて行くのはかなりつらそうで、開始早々に平瀬、前半30分過ぎには梁が敵陣前でフリーとなる決定機を掴んだ(いずれも、ダイレクトシュートが枠を捉えられず逸機)。
 一方ベガルタもミスが多く、コンサドーレの逆襲速攻に苦しむ。ミスパスが多いのも問題だが、MFの帰陣が遅いので、連続攻撃を許し、再三危ない場面を作られる。特にクライトンの身体の入れ方の巧いキープには苦しめられた。救いは4DFと林が集中を切らさず敵トップのキリノをよく止めた事、関口が驚異的な運動量で守備にも貢献した事か。40分過ぎには梁(だと思った)のミスパスからの速攻で完全に崩され、岡本?に打たれるが、広大が身体を張って防いだ。難しい試合だったが、ベガルタの守備陣の集中はすばらしかった。

 後半に入り、開始早々微妙な接触プレイで平瀬と広大が相次いで動けなくなり、コンサドーレに11対9でボールを回されて崩された決定機を林が見事な反応で防ぐ(この場面は、主審にとってはかなり悩ましい場面だった。流れの中での負傷で、主審自身が明確にいずれもファウルなしと判定し、コンサドーレが攻撃を継続。こうなると、主審としてはドロップボールで止めるのも難しい。止めなかった判断は正しかったとは思うが、もしコンサドーレが得点していたら、物議をかもした事だろう)。ただし、このような珍しい状況が起こると、何となく試合が落ち着かなくなる。そして、その落ち着かない状況下で、ベガルタは信じ難い失点。コンサドーレ左DFの上里のクロスがそのままベガルタゴールに飛び込んでしまったのだ。ミスキックだったとは思うが、林の位置取りはまずかった(ゴールラインからかなり前方に立っていた)のも確か。J2最高のGKと言われて久しい林だが、このような小さなミスの反省を積み重ね、よりレベルの高いGKになって欲しいところだ。
 ベガルタは死力を振り絞って反撃する。ペナルティエリア内左で関口が2人に囲まれながらのキープから、田村が受けて好クロス、平瀬がヘッドで合わせる。梁の直接FKがコンサドーレゴールを襲う。これらの猛攻をGK荒谷が奇跡的なセービングで止める。むしろリードしているコンサドーレに有効な攻撃が見られ、ベガルタに憂色の感が漂い始めた80分、左サイドから切り返し後の関口の右足でのクロスに合わせ、ニアに飛び込んだ中原が鮮やかなヘディングを決め、ようやく同点に追いついた。ヘディングの強さが抜群の中原がこのようなクロスの引き出しをしてくれると、今後ベガルタの得点力は格段に上がるはず。前節栃木戦での決勝点も梁のクロスを、中原が二アサイドで合わせたこぼれ球を中島が詰めたものだった。大いに期待したいところだ。
 ここでベガルタは体力的にもう一杯となった感があり、有効な攻撃はできない。コンサドーレも途中交代で入った砂川を軸に攻撃するが、ベガルタ守備陣はゆるがず。1−1のまま試合終了。

 確かに宮城スタジアムでの最後の試合、勝てなかったのは残念だった。しかし、あの苦しい展開ながら追いついた事は評価できるだろう。
 ただし、手倉森氏のチームマネージメントには納得し難いものがある。これだけ日程的に厳しく、しかも気温の高い試合で、ベテランの永井と平瀬をスタメンに起用。この2人はこの厳しい条件下で90分間もたないのは自明だけに、戦う前から采配の幅を減らしてしまっている。中島が復活しただけに、平瀬には無理をさせる必要はなかったはず。また中盤の控えとしてやはりベテランの千葉を入れていたが、中盤を活性化できるような若い選手がベンチにもいないのはセオリーからは外れている。なぜ富田が控えにも入らないのか。もし富田の調子が悪いと言うならば、苦しい夏場に入ろうとしている今の段階から別な若いMFを準備、確立していかなければならないはずだ。
 リーグ戦はまだまだ続く。今必要なのは、短期的な勝ち点勘定ではなく、1シーズン通して戦い抜ける戦闘能力確保のはずだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月26日

も1つACLを愉しむ

 ACL1/16ファイナルのガンバ−フロンターレ戦は、西野朗氏と関塚隆氏(2人とも南アフリカ後の日本代表監督の有力候補だ)が、お互いに「虚々実々の駆け引きを行い損ねた事」が、勝敗を決めた試合だった。
 西野氏は戦闘能力でフロンターレを押しつぶすと言う、確率的には最も妥当な策を採った。そして、ほとんど勝利をつかみながら、いくつかの不運で詰め損ねた。
 関塚氏は、戦闘能力でガンバと真っ向勝負を挑むと言う、アジアのほとんどのチームが「採るべきではない」策を採った。そして、ほとんど徳俵まで追い詰められたが、いくつかの幸運と、中村憲剛の能力で勝利した。

 フロンターレに同点に追いつかれるまで、ガンバは完璧に近かった。結果が出た今となっては、3点目を強引に取りに行くべきだったとか、前半の憲剛の得点はあそこに至る前に止めなければとか、色々な事が言える。けれども、戦闘能力を前面に押し出して押し切る策は、ほとんど成功しかけていたのだ。2−1とリードした後半は、前半ほど無理をせずに、しっかりとボールを保持、フロンターレは打つ手がないまま時計は進んでいた。
 一方のフロンターレは関塚氏の採る策は完全に裏目に出ていた。スタメンの3トップは、万博のガンバに対しての策としては無謀と言うもの。憲剛の個人能力によるあの同点弾がなければ、前半で勝負はついていた。さらに後半から鄭大世に代えて養父を起用し中盤を厚くした修正にしても、リードされる前ならいざ知らず、リード後のものだっただけに、通常ならば「遅過ぎる修正」としか言いようがないものだった。実際、ガンバが遠藤を軸にしっかりボールをキープするだけに、得意の速攻は仕掛けられず、むしろボールを持たされて奪われる最悪の展開となっていた。

 ところが「格段の個人能力」による同点弾が全てを変えてしまった。鄭とジュニーニョ抜きでも「格段の個人能力」が残っているところはフロンターレの最大の強みか。そして、逆転弾の憲剛のラストパスに至っては、采配や運不運をどうこう語っても仕方がないだろう。。
 この日、西野氏に唯一ミスがあったとすれば控え選手の選択。寺田も倉田もベンチに入れていなかったのには、ちょっと驚いた。この日のスタメンのMF4人は皆すばらしい選手で、すばらしいプレイを見せていた。しかし、それぞれ皆相応なお年だし、体調的にも十分ではないのは自明だった。リードしている後半半ば、あるいは同点とされた直後に、寺田か倉田のいずれか(もちろん両方でもよい)を投入すれば、ガンバの中盤は再度活性化され、そのまま押し切る確率は高まったのではないか。寺田も倉田もそんなに体調が悪かったのだろうか?
 一方の関塚氏。氏はどんな劣勢でもあきらめず「鄭とジュニーニョを外す」勇気があった。そう言う事である。

 いま思えば、西野氏と山口の仲間達には3つの不運が襲いかかっていたのだ。
 ACLは非常に珍しいレギュレーションを採用している。1/16ファイナルが一発勝負な事だ。これは、セントラル方式でない国際試合では非常に珍しいやり方だ。1次リーグの興味をつなぎ(従来は1位のみがトーナメントに進出できた)、日程問題も解決する(1/16ファイナルと決勝を一発勝負にしたから、昨年までと1チームの総試合数は変わらない)一挙両得の方策だった。そして、この珍しいレギュレーションは、「番狂わせ」を生みやすくした。ガンバにとっては、これが1つ目の不運だった。もしこれがH&Aだったならば、西野氏としても前半からあそこまで飛ばさずに、丁寧に戦う選択肢もあっただろう。ところが、この試合はACL独特のレギュレーション「一発勝負」。無理をせずに90分間で確実に1、2点を取って勝つ事を狙う策が、圧倒的に攻勢を取り殲滅戦を狙う策より、果たして有効だっただろうか。私は西野氏の策は正しかったと思う。
 こう書くと、フロンターレ関係者の方は、「ガンバにフロンターレが(敵地とは言え)勝つ事は番狂わせではない」とおっしゃるだろう。そうだ、ガンバにとっては、いきなり1/16ファイナルでフロンターレで戦う事自体が、2番目の不運だったのだ。思い起こせば、1次リーグの第4節まで、この2クラブは圧倒的な強さでグループの首位を走っていた。ガンバはそのまましっかりと首位を確保したが、フロンターレは最後の詰めを誤った。例の天津とのラフファイト。その天津戦の影響もあり浦項戦には注文相撲負け(森勇介の出場停止は痛かった)。この2連敗によって、フロンターレは2位となり、この対戦がこの早期に実現してしまったのだから、ガンバも「天を恨む」しかあるまい。
 さらに3つ目の不運は、代表チームでの遠藤と憲剛。遠藤は負傷したため早々に離脱、憲剛はそのため(遠藤不在)もあって、疲労困憊でフロンターレに復帰した。前節のJは2人とも休養。これで疲労が抜けた憲剛はフル回転、一方の遠藤はやや試合勘に欠けた感があった。試合前は、むしろ憲剛の疲労が心配されていたのだが。

 昨期のアジアチャンピオンガンバは、このオフに大幅な補強を敢行し、シーズンのここまでも連覇を最優先した戦い方をしてきた。そして、上記した通り、多くの不運とほんの僅かなミスから敗退した。これも歴史なのだろう。
 関塚氏と中村憲剛の仲間達は、アジア制覇に向けて、とてつもなく大きな壁を破る事に成功した。しかし、彼らはまだ一昨年涙を飲んだ地点まで到達したに過ぎない。アジアチャンピオンへの道は、まだまだ遠い。
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2009年06月25日

ベガルタ、大きな大きな勝利

 ACLも愉しいのだけれど、個人的にはベガルタのJ2の重要性がより高いのは言うまでもない。で、昨日(24日)はまた友人に誘われ、先月と同じ店で焼肉ビール付きベガルタ応援宴会を愉しんだ。ただし前回は、敵地で愛媛FCに無様な逆転負けを喫した。ゲンが悪い企画なのだ。私が悪いのか、友人が悪いのか、イヤな予感を感じつつ、友人と罵り合いながらビールを味わう観戦となった。

 試合は序盤からベガルタが攻勢を取るが、崩しきれない展開が続く。栃木SCの組織守備が非常によく、速攻がかけられず、最終ラインに敵の人数が揃ってしまった状態に攻め込む形になってしまった。また、梁にいつもの切れが感じられず、もう1つ崩しに変化がなかったのも痛かった。逆に栃木は逆襲速攻も洗練されており、ヒヤリとさせられる場面も。
 前半終盤もよく仕掛けるが、攻め切れず。友人と「ここで点が入ると、愛媛戦同様の必敗パタン」と自虐的なギャグを飛ばし合う。どちらかと言うと、栃木の守備のペースに巻き込まれた感の前半だった。

 後半も同様な展開が継続。「前半終盤の得点は是か」とか「栃木のスタミナ切れ」などとノンビリした事を語っていたバチが当たったのか、60分過ぎあえなくCK崩れから先制を許す。大きなクリアで切ればよかったのだが、ミスを拾われ、4DFとMFのちょうど間隙に落ちたボールを振り向き様のボレーで決められてしまった。
 暑い中の連戦、敵地で先制を許すと言う極めて難しい状況に追い込まれたベガルタだが、この日は精神的に充実していた。苦しい状況で再びラインを上げ攻勢を取る。先制を許した時間が比較的早かったので、攻め返す時間があったのも幸いした。そして、左オープンに流れるボールを中島が長駆の走り込みで敵DFを振り切りセンタリング、逆サイドに流れかけたボールに関口がよく追いつき敵DFにブロックされながらも押し込み同点とする。
 以降も栃木の逆襲に苦しみながらも、攻勢を取る。中2日と苦しい日程だが、よく走るものだ。そして、終盤左に流れた梁が、最後の力を振り絞るような技巧を発揮し、中央中原に高精度なクロス、中原もよく合わせるが敵DFもすばらしい対応を見せ、ボールは逆サイドに流れる。そこに、またも中島がすごい距離を走りこんできて、ギリギリで合わせゴールにねじ込んだ。

 閑話休題。
 栃木FCに、よくボールを引き出しまじめにチェイシングするFWがいるなと思っていたのだが、アップになって誰だかすぐわかった。えなり河原(アルビレックスにいたワールドユースカナダ大会代表)ではないか。プレイ振りで選手名を思い出す事は多いが、顔で思い出せるのだから、この選手はスター性がある。
 もう1人、再三アップになる童顔のCBが秀逸。読みもよいし、当たりも強い。あげくセットプレイから先制点を奪われた。「誰だこれは」と思ったら、かつてサンフレッチェやサンガにいた大久保裕樹、おお渡辺広大の先輩ではないか。若い頃から期待されながらも、中々リーグで活躍できなかった選手が、大黒柱として中核を担うのを見るのはやはり嬉しい。できればベガルタ戦以外で機能して欲しいところだったが。
 栃木SCは、松田浩氏のような実績ある監督(前任の柱谷幸一氏も)を雇っている事からわかるように、先をよく見ているクラブだ。大久保のように有効な中堅選手や、ベテラン栗原圭介などの補強も妥当。松田氏が率いるチームらしく、前線からの組織的な守備、ボールを奪っての守から攻への切り替えの早さなど、よく鍛えられている。ただこのサッカーは、攻勢に出てきたベガルタにははまったが、攻勢をとって来ないチーム相手だと攻め手が見つけづらいように思えた。もっとも、この問題は短期的な事のようにも思える。チームとしての連携が進めば、引いたチーム相手にも結構崩せるようになるかもしれない。松田氏は「陥落がない」と言うメリットを考え、このようなチーム作りをしているのかもしれない。
 専用競技場のグリーンスタジアムは中々よさそうな雰囲気だったし(この日が初めてのナイトゲームだったとの事)、また厄介なクラブが登場したのものだ。それにしても、黄−青−青のユニフォームは、時々どちらがどちらかわからなくなるな。

 ベガルタにとってこの勝利は大きい。
 敵地アビスパ戦、宮スタヴェルディ戦、必ずしも悪いサッカーではなかったが、2試合で勝ち点1しか取れていなかった。それを受けての試合、敵地ながら攻勢を取ったにもかかわらずセットプレイから失点。この苦しい状況で、負傷から復活したエースの中島が、「長距離疾駆」と言う持ち味を出して1得点1アシストで逆転勝利。勝ち点勘定的にも、この3試合(ホーム×1、アウェイ×2)で勝ち点4だから、合格点はやれないが「帳尻を合わせる」事には成功した。長いシーズンには必ず節目となる試合があるものだ。そして、この試合はその1つになのではないか。
 次節はまたも中2日で宮城スタジアムにコンサドーレを迎える。幸いベガルタは、栃木と言う近隣クラブとの対戦だったので、試合当日に仙台に戻り、各選手は自宅で休養できた。丸2日を使い調整ができる。一方のコンサドーレは、明けた25日の飛行機移動。苦しい連戦だが、体力的には明らかに当方が有利だ。
 そして、このコンサドーレ戦が、最後の宮城スタジアム戦。ここをしのげば、ようやくホームスタジアムが帰ってくる。我々はここまで1試合もホームで戦えずに、これだけの成績を挙げる事に成功しているのだ。

 と言う事で冒頭の愛媛戦敗戦だが、前回参加して今回参加できなかった別な友人の責任である事が証明された。これで安心して、ビールと焼肉を堪能できる。
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2009年06月23日

Jの延長線上に南アフリカがある

 来年のワールドカップに向けた強化について、皆が色々な事を言っている。
 選手が海外のチームに所属して経験を積むのも大事だし、積極的に強豪国と(できれば敵地で)試合をするのも大事だろう。ただ、これらで得られる効果には限界がある。やはり本質的には、日々のJリーグで候補選手達が切磋琢磨して、個々の能力を向上させていくのが、基本と言うものだろう。
 ところが、その基本とも言うべきJリーグと代表チームの日程調整は、相当厳しい状況にあるのは、皆様ご存知の通り。あの悔しい豪州戦から、中2日で1部リーグは再開、さらに中3日でACLの1/16ファイナルが待ち構えているのだから、選手達は大変だ。こういう日程を見ると、豪州戦で控えにゴールキーパが2人入るようなメンバ構成も仕方がないのかなとも思えてくる。
 まあ、それはさておき、再開したJリーグを見ていると、日本代表的には「なかなかよいではないか」と思える場面に多数遭遇した。とにかく「点を取って欲しい人たち」があちらこちらで、よく活躍したからだ。

 岡崎。すっかりと代表でもおなじみになったが、モンテディオ戦でもドタバタ走りながら、後方からのロングボールを蹴られる場所にしっかり止めて、そのまま決めてくれた。とにかくこの「ドタバタ→ピタリ→ズドン」の型を完全に身につけて欲しい。
 興梠。この予選シリーズでもう少し長い時間起用して欲しかった選手だが、ジュビロ戦得点時の「消え方」は実に見事だった。岡崎のような「止め方」には至っていないが、「その場所」への登場の仕方が格段に上達している。
 矢野。ガチャガチャよく動き、引き出す能力をこの予選シリーズではよく発揮していた。ガンバ戦の得点は味方の大きな揺さぶりからフリーになり、丁寧に地面を叩いたボレー。「豪州戦の好機で(類似のボレーを)決めてくれれば」とも思うが、あの場面のミスを反省したが故の得点と前向きにとらえたい。
 大久保。まあPKだろうが何だろうが、初戦から得点者リストに名を連ねた事をまず喜ぼう。

 渡辺千真、坂田と山瀬の1トップ、2シャドー。闘莉王と坪井に厳しくマークされながらもよくつぶれ、2シャドーが飛び出すスペースを確保すると共に、坂田が作ったフリーの決定機を確実に決めた渡辺、かなりボールの受け方がうまくなってきた。山田、細貝と言う厄介なサイドバックを巧みに切り崩した坂田と山瀬(少々レッズの中盤守備が緩慢だったけれど)。長い疾走後に大仕事ができるこの2人も、今なお十分な代表候補だろう。
 反対側のゴールで孤軍奮闘していた高原。ようやく、丸2年近いブランクを経て、調子を戻して来たか。この日の運動量と身体の切れと正確なボールさばき(CKを蹴っていたのは面白かった)があれば、「あるいは」を感じさせてはくれる。

 いよいよ絶好調の石川直宏。サイドの突破にこだわらなくなった事、力みが取れて正確なボール扱いがシュート時にも活かされるようになってきた事、完全に一皮むけた感がある。この人を一番豪州に連れて行きたかったな。

 そして、野次馬の私が最も歓喜したのが、あの平山の一撃だったのは言うまでもない。吹っ飛ばされたのが、(私の大好きな)あのしつこく知的な小林祐三だったから、なお素晴らしい。

 繰り返すが、我々にとってのワールドカップは、Jリーグでの積み上げの延長線上にある。そして、再開したJリーグで、よい兆しを多数見られた事を、まずは素直に喜びたい。
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2009年06月21日

J2勝ち点勘定近視眼

 ベガルタはホームながら引き分けたとの事。映像未見なので、試合内容については何とも言えないが、ホームでの引き分け、しかも前節のアビスパへの苦杯と合わせ、2節で勝ち点1は確かに痛い。もっとも、後半に入ってから先手先手を取られながら追いついたのだから、引き分けは「悪くない結果」と捉えるのが吉なのかもしれない。実際、ヴェルディは大黒を軸に相当な戦闘能力を持つのだから。

 気になるライバルクラブの動向。
 トップのベルマーレは終盤、コンサドーレを逆転し上位陣で唯一の勝利、ここのところの勝負強さはすごい。ベテラン阿部、ユース出身で下位リーグで実績を積み戻ってきた猪狩と、2人の控え選手の連続得点による逆転らしい。こう言った戦力な厚みもまた脅威だ。そして、さすがにこうなって来ると、「反町氏の手腕恐るべし」と言う事になってくる(いったいあの五輪代表監督時代は何だったのだろうか?)。これについては、今期のJ1昇格争いを戦いながら考えて行く事にしたい。一方、潜在的な戦闘能力が非常に高いコンサドーレにとっては、ここでの逆転負け、停滞は相当痛いのではないか。
 セレッソはサガンに苦杯。サガンの得点者が山瀬弟とハーフナー息子との事だが、サガンの戦闘能力が充実してきたと言う事の証左だろう。一方のセレッソは、やはりメンバ的にはJ2最強。ため息が出るようなメンバ構成だが、その厚みにこそ、付け入る隙があるようにも思えてくる。
 ヴァンフォーレは、カターレに終盤までリードを許すもロスタイムに追いついた。ヴァンフォーレは、先日岐阜の片桐を獲得したと言うが、佐久間GMが実にしっかりとしたチーム作りをしている。J1時代の観客増を継続し、獲得したスポンサの多くを維持しているとの事で、やはり相当協力な戦闘能力を持っている。
 さらに5位に付けているヴォルティスだが、セレッソから柿谷をレンタルで獲得、さっそく柿谷が得点を決めて横浜FCに勝利。このクラブは、三木、倉貫、徳重など相当な経験を積んだ優秀なベテラン選手を多数抱えている。そこに柿谷が加わったとなると、相当手強い戦闘能力だ。何とも気になる存在である。

 結果的にややベルマーレが抜け出した勝ち点勘定となった。しかし、勝ち点差への一喜一憂は時期尚早、リーグ戦は長丁場、まだ何もわからないのだ。
 ベガルタにとって、ベルマーレが勝ち点を獲得した痛手は結果的に問題にならず、コンサドーレが勝ち点を失った事が結果的に嬉しい結果なのかもしれない。あるいは、セレッソが勝ち点を失った事は結果的に喜びにつながらず、サガンが勝ち点3を積み上げた事が脅威になるのかしれない。セレッソからヴォルティスに柿谷が移った事が、結果的に歓喜につながるのかもしれないし、痛恨を誘引するのもしれない。
 
 繰り返すが、現時点では、己の勝ち点積み上げ以外は、何がプラスで何がマイナスなのかはさっぱりわからないのだ。
 そう考えながら、再びヴェルディ戦を捉える。ホームでの引き分けは不満な結果だ。しかし、この引き分けにより、まだJ1昇格を諦めた訳がないヴェルディがベガルタを含む上位との勝ち点差を詰める事に失敗したとも捉えられる。そして、この段階では、結果についてはこのように前向きに捉えるべきだろう。
 しかし、内容については常に後ろ向きに捉えるべきである。何より重要なのは、これからの夏場の超日程に向けて、戦闘能力を整備する事だ。先日も同じ講釈を垂れたが、ここからいかに選手層を厚くして我慢できるかが勝負を分ける。1つ1つの試合の結果に一喜一憂せずに、内容の課題改善に努める事を継続するのが肝要なはず。
 今はライバルの勝ち点積み上げに一喜一憂する段階ではない。ひたすら、自らの戦闘能力を追求し、丹念に勝ち点を積み上げる段階だ。

 と、そう言っている割には、俺もライバルクラブの動向を執拗に追いかけてるな。
posted by 武藤文雄 at 21:50| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月20日

欧州に行けばうまくなれるのか

 先日発売のNUMBER6月18日号(6月上旬、つまりキリンカップ直後、ウズベク戦前に発売)に掲載されたフィリップ・トルシェ氏(文章化はおなじみ田村修一氏)の日本代表論(題目は「岡田監督よ、解任報道には耳を貸すな」)が、中々おもしろかった。
 氏はそこで、「予選突破は問題ないだろう、しかし多くの選手は国際経験が不足しており、岡田氏の手腕は悪くはないが、このままでは本大会での好成績は難しいのではないか」と言う論を展開している(もちろん、この要約は武藤の読解です)。中でも、いかにもフィリップらしい、欧州至上主義の主張がおもしろい。以下抜粋する(あくまでも、そう言った部分を恣意的に武藤が抜粋しているだけで、氏の全論を抜いているのではない点は注意ください)。
 近年の日本は、アジアにしか目を向けておらず、世界に向かって眼を見開いているとは言い難い。世界に伍していこうとする意志も感じられなければ、具体的な政策もない。選手たちも国内に留まり、海外移籍もあまり進んでいない。国際化の意志がなく、その方法論も持たなければ進歩は難しい。

 また来シーズンの開幕とともに、十数人の日本人選手がヨーロッパのクラブに移籍すれば、それだけでかなり効果的な補強になる。日本の現状を考慮すれば、難しいかもしれないが...

 今の日本代表は、世界レベルでいえばごく平凡なチームである、ということだ。ヨーロッパでプレーする選手も少なければ、ヨーロッパのチームとの対戦もほとんどない。国際経験の乏しい凡庸なチームにすぎないことを、メディアもサポーターも認めるべきだ。
 外交官といえる選手は今や中村だけで、その彼も来季は日本に戻ると言われている。日本はこの10年間、新しい選手を生み出さなかったし進歩もしなかった。それが世界から見た今日の現実だ。
 この論の成否はさておき、いかにもフィリップらしいではないか。

 閑話休題。
 ヴォルフスブルグで中々試合に出られずにいた大久保嘉人が、僅か半年でヴィッセルに復活すると言う。一方で、稲本潤一が、フランスリーグのレンヌへの移籍が決まったとの事だ。この2人の移籍報道を読み、冒頭のフィリップの意見を思い出した。
 この2人の欧州経歴は対照的だ。2度の挑戦帰国を繰り返した大久保と、8シーズンに渡り粘り強く欧州でのプレイを継続する稲本と。しかし、この2人の欧州挑戦には共通点もある。少々失礼ではあるが「欧州に行く事が成功だったのだろうか」と感想を述べたくなるようなところだ。

 大久保は小柄ながら体幹と心臓が強く、海外でも十分に通用するのではないかと期待された。日本人選手が海外に出た時に最大の問題となる言葉の問題にしても影響ないと思われた。なぜなら、「日本国内でプレイする時だって『言葉でのコミュニケーション』は関係ないだろう」と言うプレイ振りだから。
 しかし、2度目の欧州挑戦からは早々の退散と相成った。ヴォルフスブルグの2トップが充実し過ぎていたのは不運だったが、2人とも移籍する来期は欧州チャンピオンズリーグを含め出場機会も増えそうだったのだが。まあ、ワールドカップに向けて「継続的試合出場」を重視する気持ちもわからなくもない。要は結果である。今期の残り試合でヴィッセルでボカスカ点を取り、来年南アフリカで大活躍すれば、現状を揶揄する評価など、皆忘れてしまう。めでたしめでたしとなるよう、大いに期待したい。
 実際、欧州で思うように出場機会を得られずに帰国し、しかし欧州での経験を活かして一層プレイの幅を広げて成長した選手は多いのだ。名波浩しかり、小笠原満男しかり。もっとも、複数回の短期出戻りと言う事例は、あまりないのだけれどもね。いや、1人もんのすごく偉大な選手の実例があるか。う〜ん。まあ、大久保もがんばれ。

 稲本の旅もとても興味深い。イングランド、トルコ、ドイツと、欧州のトップレベルのリーグ戦で戦い続けた男が、欧州滞在9年目でフランスリーグへの挑戦。この選手が、常に欧州各クラブからのオファーを獲得できるのは、それなりに各クラブで活躍してきたからだ。技巧に加え、日本人としては格段の強さを持つ事が大きいのだろう。
 ただ、どうしても私からすると、「あの2002年のベルギー戦のような『個の冴え、具体的には強烈な前進』を頻繁に見せるもっとすごい選手になってくれたなかったのか」との思いがある。この選手は、この10年間をリセットし経歴を積み直して欲しいと思う典型なのだ(期待のし過ぎだったのだろうか)。昨年の埼玉ウズベク戦では、終盤「1点を取りたい」大事な所で起用されたが、中盤の底でバランスを取る事に終始し有効な攻撃に寄与せずに失望させられたのも(かつての「強烈な前進」が印象的だっただけに)記憶に新しい。
 こう書くと「WBAやガラタサライでのプレイは見事だったではないか」と反論される方も多いかもしれない。繰り返すが、それに対しては「いや、もっともっとすごい選手になって欲しかったのだ」としか言いようがない。欧州に行った以降、あのベルギー戦を除きガンバ時代の輝きを稲本は見せてくれただろうか?
 いずれにしても、レンヌの監督はかつてガンバを率いたアントネッティ氏との事。監督が望んでの移籍ならば、従来以上に活躍が期待できるかもしれない。随分と失礼な事を語ったが、8年に渡る欧州での生活が無駄だった訳はないだろう。若かりし頃の稲本を評価した監督の下、欧州9度目のシーズンで完全な中心選手としての活躍を期待したい。考えてみれば、06年ドイツでのクロアチア戦の後半、組織崩壊気味の日本の中盤を1人で支えたプレイは見事だった。若い頃期待した「強烈な前進」を望むから、ついつい厳しい言い方になってしまうが、中盤で攻守両面に強さを発揮し、的確な展開ができる稲本が、フランスリーグでフル出場できれば、代表にとっても大きな戦力となるはずだ。

 冒頭に戻る。
 中村俊輔(この人の去就も注目される)を筆頭に、欧州移籍をする事で大きく成長した選手は枚挙に暇ない。最近でも、長谷部誠の成長はドイツ行きを抜きにしては語れないだろう。
 一方で、大久保や稲本のように(長い眼で見ないと、成功、失敗とは断定できないが)ここまでの経歴を見ると残念な事に、欧州行きが成長にプラスになったとは言い難い選手もいる。そして、中澤佑二や遠藤保仁のように、国内でプレイを継続し「世界に通用する」に至った選手もいる。
 「欧州に行けばうまくなれるのか」と言う命題は、単純に真とも偽とも言い難い。ただ「いつかワールドカップで優勝する」ためには、常に考え続けなければならない命題の1つである事は間違いない。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(8) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月19日

J2、2/5を終了

 ベガルタは前節アビスパに苦杯。映像をみた限りでは敵地ながら、終始落ち着いたサッカーを展開し、一瞬の隙で失点し、複数回の決定機を活かせずに負けた、
 アビスパはJ2のトップレベルの人材を抱えているものの下位で苦闘しているクラブ。しかしこの試合では実に粘り強く守っていた。ロスタイム、ベガルタが獲得したアビスパ陣近くサイドからのFK。梁が蹴ると同時に、アビスパ守備陣は全員が見事な意思統一でオフサイドトラップを決めた。意思統一もすばらしかったが、意表を突くアイデア、あの時間帯なのに決然とした勇気、完全にやられた。この場面を典型に、個人能力に優れたアビスパにあそこまで引き絞まった試合をされては、少々運がなければこのような結果になるのも、いたしかたなし。
 悔しい試合だった。もちろん失点場面にも課題があったし(エリゼウの戻りとか、安全第一とか)、あれだけ崩しながらも決め切れなかったのも問題だった(特に関口と中原の使い方はもっと工夫のしようがあると思うのだが)。しかし、長いリーグ戦、不運な試合と言うものはあるものだし、少なくともこの試合に関しては、戦い方は悪くなかった。上記したように相手がよかった事もある。
 そして、過去最強と思える戦闘能力は健在であり、大事にリーグ戦を戦い続ければ、間違いなくよい結果が期待できるだろう。

 ともあれ、今期のJ2は例年とは異なる様相を呈している。
 それは上位4クラブ(ベルマーレ、セレッソ、ベガルタ、ヴァンフォーレ)が、勝ち点的に完全に「抜けた」感を呈している事だ。1位のベルマーレ(勝ち点47)と4位のヴァンフォーレ(勝ち点44)は勝ち点差は3、対してヴァンフォーレと5位徳島(勝ち点32)との勝ち点差は12。第21節での勝ち点44と言う事は1勝1分けペースを上回るかなりのハイペースだ。昨期、J2を完全独走で優勝したサンフレッチェでさえ、21試合終了時点での勝ち点は48だった。あの圧倒的なペースで走っていたサンフレッチェに順ずる成績で4チームが走っているのだ。
 4クラブ独走ではなくて、3クラブ独走ならば(もちろん、ベガルタがその3クラブに含まれるのが大前提だが)結構な事かもしれない。そのまま仲良く独走体制を継続し、リーグ終盤を迎えるのも(つまらなそうだが)悪くない。けれども、残っているのは3でなくて4。いよいよ終盤まで気が抜けないリーグ戦になりそうではないか。この4クラブはしばらくの間、たごまりながら、陰々滅々に勝ち点積み上げ競争を続ける事になるだろう。ハイレベルな陰々滅々である。
 ついでに、現状の5位と4位の差勝ち点12の大きさを考えてみる。勝ち点12差を埋めると言う事は、下位クラブが全ての試合を1勝1分けペースで戦い、上位クラブが1勝1分け1敗ペースに落ち込んだとする。最小公倍数的に整理すると、下位が3勝3分け、上位が2勝2分け2敗)。そのペースで下位クラブが猛追したとしても、追いつくためには18試合が必要なのだ。やはり、かなり大きな差と言える。
 もっとも、残り試合はまだ30試合ある(まったく、このような非現実的な日程が現実に行われているのだから、すごいと言えばすごい)。上記の勝ち点差に関する議論は、言い換えるとベガルタ(いや、ベガルタに限らず他の3クラブも)のペースが落ちれば、リーグ終盤には5位以下に落ちる可能性が十分あると言う事だ。5位以下のクラブは、虎視眈々とそれを狙っているに決まっている。現在上位の4クラブから昇格が出るとは断定するにはまだ早いのは言うまでもない。

 ともあれ、まだ2/5しか終わっていない長丁場だが、ベガルタの現状位置は悪くない。勝負は終盤に訪れるのは、過去何シーズンも経験した事。しかも過去にない試合数のリーグ戦は、これから苦しい夏場に入る。ここからが選手層(選手の質、量はもちろんだが、チームとしての意思統一を含め)が左右する戦いとなる。
 苦しくなった時こそ、昨年のヤマハスタジアムを思い起こし戦い続ける事だ。

 全くの余談。「グーグルにJリーグチーム名を入力すると、試合日程がトップに表示されるようになった」との噂を聞きつけ、早速やってみた。「ベガルタ仙台」。な〜んだ表示されないではないか。しばらくしてから、思い直して再トライした。「モンテディオ山形」...
 絶対にJ1に上がるのだ!
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする