2021年09月12日

ベガルタ残留プラン

 ベガルタ8月の再開後2分4敗と思うように勝ち点を積み上げられず、現状残り11試合、勝ち点19、得失点差マイナス25の18位。17位までが降格の厳しいレギュレーションで、15、16位クラブの勝ち点は26、13、14位の勝ち点は30。J1残留には相当厳しい状況となっている(これらの数字は前節完了時点)。残留ラインをどう予測するかだが、40と見ると5勝6分0敗の勝ち点21、35と見ても4勝4分3敗ペースの勝ち点16の獲得が必要。不可能な数字ではないが、これまでベガルタは3勝しかしていないのだし、簡単に実現できると言ったら嘘になる。

 上記再開後の試合を振り返ってみると、何かしら運もない。大差をつけられ完敗したのはマリノス戦のみ。このマリノス戦は後半立ち上がりまで粘り強く守っていたが、水沼とレオ・セアラの妙技に2点目を許し、前に出たところで大量失点を食らったもの。
 それ以外の負け試合はなんとも言えない微妙な負け方ばかり。8月再開初戦のガンバ戦とこの代表ウィーク中断直前のサガン戦は、セットプレイによる失点をどうしても返せず0-1の敗戦。FC東京戦はアディショナルタイム、敵の明らかなダイビングをPKとされると言う主審の個性的な判定での敗戦(そうは言っても試合は審判に任せなければ成立しないからしかたない)。引き分けたセレッソ戦と横浜FC戦は、相応に好機をつかんだがポストに嫌われた。まあ、長いシーズンだ。ツキがない時とはそう言うもの。ここは割り切って粘り強く戦うしかない。
 幸い上記した通り、守備網はかなりのレベルで整備されている。そして後述するが、手倉森氏が守備の再構築を主眼にチームを整備している構想は正しいと思っている。

 けれども、どうにも点が入らないのは頭が痛い。何せ上記8月以降の6試合、奪えた得点は僅かに1点なのだから。
 多産系の点取屋がいないから得点力不足に苦しんでいるわけで、まずは月並みだが好機を増やすべく努力するしかない(「いや攻撃力が貧困だから大量に点を稼ぐストライカがいない」との禅問答の講釈を垂れるのもおもしろいが、今は置いておく)。
 そのためには、勝負どころで人数をかけた攻撃を行うことに尽きる。
 どうしても守備的に戦うやり方をしている以上、攻撃の頻度は少ない。しかし、よい形でボールを奪った時に人数をかけて攻められるかどうか、これは選手個々の守備から攻撃への切替の判断(チームとしての意思統一)にかかっている。逆説めくが、有効な多人数速攻がしかけられない状況ならば、無理に前に行かずボールを保持した遅攻に切り替える判断も重要だ。相手が守備ブロックを固めても、松下佳貴や上原力也ならばそのブロックを崩すパスを出すことができるから、人数をかけた攻め直しもしかけられる。この意思統一が8月シーズンはまだまだ成熟していなかった。この代表ウィークでどこまで改善できたか期待したい。
 人数をかけた攻撃をしかける以上、ボールを奪われた後の敵の速攻にどう備えるかも重要だ。幸い、ベガルタの組織守備は整備されており、8月シーズンを見てもそのリスクはかなり小さかった、このあたりの整備は手倉森氏はさすがと言えるだろう。点がとれないからこそ守備を強化した手倉森氏のやり方は正しかったのだ。地味ながら夏のオフの補強の大ヒットと言える福森直也と周囲の連係も次第に成熟していくだろうから、逆襲の備えはますます充実するだろう。
 もちろん、失敗はあった。マリノス戦は敵の強力なプレスに耐えているうちに2点差とされてしまった。FC東京戦は、永井謙祐と高萩洋次郎の老獪な2トップの受けと位置取り、試合終盤にMFに起用された森重真人の格段の守備力で、速攻後の連続攻撃を許しピンチの連続だった。とは言え、マリノスのような強力な前線守備や、FC東京のような高度な判断力を備えたベテランを並べられるようなチームは、そう多くはない。また上記した守備組織の一層の成熟があれば、速攻をしのいだ後のつなぎで敵プレスをもっと上手に外せるようになるはず。だから、大胆に人数をかけた攻撃を整備するのは十二分に可能なはずだ。

 もう一つ改善を期待したいのは、もっと個々の選手の特長を活かすことだ。
 例えばフェリペ・カルドーゾ。後方からの高いボールについては収めることはもちろん、ヘディングの競り合いに勝つことも滅多にない。したがって、後方からのロビングを前線にいれてもほとんど意味はない。しかし、足元に入ったボールターンは格段にうまい。五輪オフの直前の札幌戦、押し込まれた前半たった1回よいグラウンダのパスを受け見事なターンから、真瀬の得点につなげた場面は忘れ難い。押し込まれる時間帯にDFがロングボールで逃げる局面はさておき、ボールを回して敵プレスをかいくぐった時に縦パスを入れる後方の選手達には工夫が欲しい。
 例えば氣田亮真。前を向いた状態でボールを受ければ、鋭いドリブル突破を見せてくれる。しかし、敵の組織守備下で後ろを向いた状態でボールを受けてもほとんど機能しない。そのため消えてしまうことが多い。氣田自身の位置取りの向上も必要だが(もうシーズンも2/3過ぎたのだから、そろそろ自ら解決して欲しいのだが)、手倉森氏ももう少し采配に工夫できないか。例えば左右対称ではないフォーメーションをとり、大胆に氣田のベースポジションを大外にして、福森や蜂須賀にサイドチェンジを狙わせるとか。
 余談ながら、サイドMFには(もう若手とは言えなくなってしまったのが寂しいが)ユース育ちの佐々木匠、今シーズンの補強の切り札と期待された秋山陽介らがいるのだが、ベンチ入りの機会もほとんどない。手倉森氏の彼らへの評価が、現状の氣田未満なのは残念なことだ。
 このあたりはネガティブに考えるとキリがない。一方で百点満点ではないかもしれないが、個別に武器を持ったタレントは揃っているのだ。色々文句を言ったが、F・カルドーゾのターン、自分の間合いでの氣田の突破、佐々木の中盤からの抜け出すドリブル、秋山の左クロスなどレベルの高い攻撃兵器は揃っている。後は手倉森氏が、それらの特長をいかに組み合わせるかなのだ。
 
 約10年前にACLに出場した時の手倉森サッカーの魅力は、後方から一気に(一揆に?)多くの選手が攻撃にからむ速攻、湧き出る速攻だったのだ。各選手の意思統一、特長が異なる選手の組み合わせの妙。
 2021年の手倉森氏の課題は、いかにそれを再現するかにある。基盤は完成しているのだ、絶対にやれるはずだ。

 確かに状況は苦しい。
 正にサポータ冥利に尽きるシーズンではないか。積み上がらない勝ち点、しかも参戦しても声を出すことができない疫病禍。(自粛とは言え)移動にも制限がかかり、思うように競技場にも行かれない。
 切歯扼腕が継続し稀に歓喜雀躍が訪れるのが、サッカーの最大の魔力。半世紀近くサッカーに浸り切ってきたが、ここまでその魔力そのものを体験できるシーズンも珍しい。最終節終了時には(遠隔なのか、アクリル板ごしなのか、ワクチン完了してのオープン居酒屋方式なのかはさておき)「いんや苦しいシーズンだったっちゃね」と、サポータ仲間と共に祝杯を上げられることを確信している。
posted by 武藤文雄 at 10:33| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月10日

快勝だったが学ばない森保氏、やはり更迭が妥当

 森保氏は早々に更迭すべきと確信を持った中国戦の快勝劇だった。

 理由は明白、短期決戦の試合を勝ち抜くための采配が稚拙のみならず、直前の失敗の反省を織り込むことができないからだ。今のまま森保氏に代表を託したとしても、ワールドカップ出場権を獲得する可能性はそれなりに高いと思う。しかし、本大会で1次ラウンドを突破し1/16ファイナルを勝ちベスト8に進むことは、森保氏では極めて難しい。
 アジアカップの決勝進出、五輪のベスト4、森保氏の戦績は決して悪くない。内容面でも、五輪で見せてくれた守備網の堅牢さは中々のものだった。また能力の高い若い選手、Jリーグで台頭してきた選手を丹念に試し、おそらく史上最高レベルの選手層の厚いチームを作ったのも森保氏の功績だ。
 けれども、選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。要は1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。
 さらに悪いことに、失敗したことの反省が反映されていない。五輪での敗因は、選手選考段階のミスを含め、中心選手の消耗を放置したことにあった。オマーン戦は、選手の合流不可や負傷があったにもかかわらず試合前に対応せず、さらに雨中の試合で消耗した選手を交代させず終了間際の失態を招いた。中国戦は、敵の作戦ミスもあり前半先制に成功、後半攻めに切り替えてきた相手を冷静にいなしての完勝。けれども、交代策があまりに拙かった。危ない場面がなかったのは単に相手が弱かったからだ。
 五輪の失敗の反省が、最終予選の2試合で何も活かされなかったのだ。

 これまでも森保氏の采配に疑問は多かった。けれども、長期的に「何か」を考えているがための不可解さだと思っていた。たとえば、アジア選手権で韓国になすすべなく敗れたり、アジアU23選手権で無策のまま完敗を繰返したときは、腹がかなり立ったけれども、その「何か」を見極めたいと思っていた。
 しかし、五輪からこの最終予選の2連戦、長期的見解がどうあろうが、本腰を入れて勝負する試合でも、采配の稚拙さ、反省のなさが明らかになった。「何か」は幻だった。「何か」はないのだ。采配が稚拙で反省がないだけのことだったのだ。ワールドカップ本大会の采配を森保氏に託すのは、あり得ないことだ。

 中国戦については、詳細を論じる必要もない試合だった。単に中国が弱かったのだ。
 前半は、明らかな先方の自滅。5-4-1で守備を固める事自体は否定しないが、前線でのプレスもなく、両サイドの守備もいい加減。後方に引いて一切プレスをかけない1970年代風のサッカー。解説の岡田氏が外に開いた室屋や長友に対し、中盤の選手が当たりに行かずサイドバックが対応しているのを見て、激怒していたのには笑った。中国協会は今からでもよいので、岡田氏を監督にしたらよいのではないかw。
 それでも、日本はオマーン戦の衝撃が抜け切っていないのか、中々ギアが入らなかったが、あそこまで非組織的守備網ならばいつか崩れる。大迫がまったくのフリーでポストに当てた時はイヤな予感がしたが、伊東が持ち味の縦突破を見せ大迫が難しいシュートをキッチリ決めてくれた。
 これで本来のプレイを取り戻した日本。後半から帰化選手を大量に投入し前に出てきたところで、一切好機を作らせなかった落ち着いた試合運びは見事だった。

 ただし、追加点をとれなかったのは残念だった。
 要因の1つには、76分に起用された鎌田の調子が極端に悪かったことが挙げられる。落ち着いて中国をいなして好機すら許していない終盤、焦る相手を引き出して速攻をしかけてトドメを刺したい時間帯だったのだが。鎌田は、引き出しの動きが少ないのみならず、中途半端なドリブルで再三ボールを奪われてしまった。オマーン戦も残念なプレイ振りだったが、まだシーズン開幕直後で疲労がたまる時期でもないが、どうしたのだろうか。こののオフの移籍問題が尾を引いてでもいるのだろうか。もちろん、それを見極められず起用した森保氏の責任なのだが。
 さらにそのほかの交代策がひどかった。後半序盤に古橋が負傷し、交代の1枠を使っていたから後半の交代機会は残り2回。常識的には鎌田投入と同時に、もう1人(2人でも3人でもよいが)フレッシュな選手を入れるべきだろう。大迫に代えてオナイウ、久保に代えて堂安、柴崎に代えて守田などいくつも選択肢があったのだが。そして終盤長友の負傷時に佐々木を入れる時にも他の選手を代えることができたはずだ。
 現実的に後半の展開を見る限り、失点のリスクは非常に小さいものだった。しかし、その小さいリスクを几帳面に消すことが短期決戦での勝利の要諦なのだ。そして、森保氏は五輪と言う勝負どころで失敗した。さらに、その直後のワールドカップ最終予選の最初の2試合でその失敗の反省を活かせなかった。
 更迭が適切と言うものだろう。

 もちろん森保氏への不満はこれだけではない。
 特に攻撃面において、選手の特長を組み合わせた連係を作ろうとしないこと。森保氏のチームを見ていると、南野や久保のシュート能力を活かす、伊東の縦突破を活かす、古橋の裏抜けを活かす、オナイウのゴールエリアでの強さを活かす、このような各選手の特長を組み合わせる連係は、ほとんど見られない。両サイドにしても、サイドバックとサイドMFを有機的に組み合わせたインナーラップやダブルオーバラップなどの細工は見られない。ただ、4-2-3-1に選手をはめこんでいるだけだ。
 4-2-3-1と言う選手配置にこだわり、そこに選手を当てはめることしかしないのも不満だ。Jで猛威をふるっている三笘や前田大然を、五輪では4-2-3-1に無理矢理押し込みほとんど機能させられなかったことは記憶に新しい。
 けれども、こう言った不満は、ある意味で監督のスタイルと言えるかもしれないし、ワールドカップ本大会の重要な試合までカードを隠している可能性がある。もしかしたら、森保氏は本大会の1/16ファイナルや準々決勝で、南野と久保と堂安と鎌田を田中碧が鮮やかに操る、今まで見たことがない鮮やかな連係を見せてくれるのかもしれない。あるいは、突然に選手配置を4-3-3に切り替え三笘と伊東の両翼が強豪国の守備網を切り裂くのかもしれない。だから、文句は言い続けるだろうが、このような不満は勝負どころまで結論は断定できない。
 これらについては、まだわからない。

 けれども。
 1試合、1試合を勝ち切るために、丹念に几帳面に工夫することができないのは論外だ。
 序盤に述べたことを繰り返す。選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。そして、五輪での最大の失敗である選手の消耗対応を反省していないこと。要は森保氏は、1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。これは将来の改善は期待できない。
 これだけの選手を準備できたのだ。
 来年のカタールワールドカップ、私は森保氏に采配を委ねるべきではないと思う。ベスト8以上の成果を挙げる確率を少しでも上げるために。
 森保氏の更迭を望むものである。
posted by 武藤文雄 at 23:57| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月02日

森保さんさようなら

 昨晩、最終予選前夜だし、作文しようかなと思い立った。それで、あれこれ調べたらビックリ。昨日も散々愚痴を述べたが、守田と冨安が不在、板倉が負傷離脱とのこと。元々守備的MFを多数呼んでいなかったのだし、さっさと新しい選手を召集すればよいのに事態悪化を放置。昨日になって、ルヴァンカップにフル出場していた昌子を急遽招集。結果的に、後方中央は麻也、植田、航、柴崎の4人しかおらず、控えが実質不在。危機的状況である。
 しかし、今日の昼休みにもっとビックリした。昼食をとりながら、スマフォをいじったのだが、これだけの緊急事態なのに、それを騒いでいるマスコミやサッカーライターが見受けられないのだ。
 様々な媒体で、日本代表人気の落ち込みが報道されている。しかし、この緊急事態についての報道がほとんど見つからないのは、量の問題ではないだろう。単純に質の問題に尽きる。試合前に何が起こっているのか、練習を見たり、選手や監督を取材せずともわかるこの状況が報道されていない。しかも、森保監督は直前の五輪で中盤後方の選手の消耗を放置したことで敗退しているのだ。五輪での反省欠如どころか、不測の事態の放置。いかにも森保氏らしいと、おもしろがるか悲観するかはさておき、この試合の最大の注目点をほとんどのマスコミが気にしていない。Jリーグが開幕して約30年、7ワールドカップの年月が経った。多様なサッカー記事を楽しむことができている。しかし、今回は衝撃だった。当たり前のことを、当たり前に書く書き手が日本にほとんどいないことに。
 ピッチ上には無数に優秀な選手がいて、多くの個性的な指導者がいて、毎週楽しいトップリーグを楽しむことができる。我々のサッカー界は世界的にもトップに近い環境を獲得できたと思っていたのだが。もちろん、優秀なライターがJリーグの定期取材に回ってしまい、代表取材に回っていないなどの付帯状況には注意が必要だとは思うけれども。

 そして、この後方選手の層の薄さが直接的敗因となった。

 0-1で負けたことはしかたがない。しかし、あまりに負け方が不甲斐なかった。

 オマーンは1ヶ月合宿で調整していたと言うが各選手の体調はかなりよさそうだった。かつてイランを指導していたイヴァンコビッチ氏は、よく組織的なサッカーを叩き込んでおり、単純に選手の個人能力では突破できそうもなかった。また雨でかなり重馬場になったため、速いパスを回して敵を振り回して疲労を誘うのも簡単ではなかった。その結果、遠藤航も柴崎も後方に位置取り、まず守備の安定を図らざるを得なくなった。
 さらに悪いことに、つまらないミスが多い。オマーンは稠密な守備網を敷いている。そのため、軽いパスでは引っかけられてしまう、しかもオマーン各選手の意思統一は中々で、ボールを奪われた直後の動きが素早く、速攻に結びつけられるケースが多い。だから、各選手ともゆっくりでよいから丁寧にプレイをして、いつも慌てた速攻を狙うべきではなかった。むしろ、このようなチームはしっかりとキープすれば、食いついてくるので裏をねらえる機会も増えてくる。
 しかし、何か各選手にフワフワ感があり、ミスパスも減らず、決定機を演出する頻度もほとんどなく時計は進む。考えてみれば当たり前だ、次々と離脱する選手が出ているのに、監督は選手を補充しようとしない。監督のいい加減な試合に臨む姿勢が選手に伝播したのだ。

 そうこうして苦戦しているうちに、柴崎、酒井、長友の消耗が明らかになってきた。両サイドバックは大ベテランだし、柴崎は守備に相当振り回されていた。しかも上述のように柴崎の交代要員は不在。しかし、酒井と長友には山根、室屋、中山ら強力な交代選手がいたのだが、森保氏は動かない。
 前線の交代選手も機能しない。スコットランドで猛威をふるう古橋は前線でなく左サイドで孤立、堂安と久保は運動量が少なく、オマーンの集中守備を破れない。そして、彼らに有効なパスを出せる選手は、皆消耗している。
 失点時の左サイドの守備も残念だったが、クロスが上げられた瞬間に植田が出し抜かれてしまった。植田を攻めるのは酷と言うものだろう。元々空中戦の強さから、終盤の守備固めや、ここぞと言う時のセットプレイの強さを期待して選抜されている選手。離脱者が相次ぎ急遽先発起用されて、疲労した終盤のできごとだった。

 森保氏のこれまでの貢献に感謝したい。
 用兵面では多々不満の残る監督だったが、粘り強く選手を試し、史上最強感が漂う選手層のチームを作ってくれたのだから。
 けれども、選手が思うように集められないのに、何も手を打たなかったのはあり得ない。今日の重要な試合への真剣さが欠けていたのだ。結果として、そのいい加減な態度は、選手達にも伝播してしまった。

 とりあえず、ドーハでの中国戦は、反町技術委員長が務めればよいだろう。選手の能力は疑いないのだから、立て直しは容易だ。
 疫病禍のためとは言え、森保一氏最後の代表監督試合を生観戦できなかったことを、悔いるものである。
posted by 武藤文雄 at 23:51| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ワールドカップ予選ホームオマーン戦前夜2021

 いよいよワールドカップ3次予選(事実上の最終予選)が始まる。五輪代表の苦闘、再開後のJリーグ、さらにはブラインドサッカーの惜敗など、ただでさえお腹いっぱい状態のところ。そこに長期戦のホーム&アウェイの予選が絡んでくるのだから、贅沢なものだ。
 明日のオマーン戦はパナソニックスタジアム吹田、疫病禍下の折、さすがに参戦は断念した。このような折々に、世の中の正常化を願わずにはいられない。

 最終予選初戦と言うのは、色々思い出深いものがある。あのフランス予選、ウズベキスタン戦のカズの大爆発(今思えばこの稀代のストライカが日の丸をつけて光り輝くのは、この試合が最後となるのだが…もっともあれから24年経ってまだ現役って何なのだろうか)、ドイツ予選は北朝鮮相手に小笠原の先制と大黒のアディショナルタイム(終盤の中村俊輔を軸にした猛攻はいかにもジーコ氏のチームらしかった)、南アフリカ予選は敵地でバーレーンに3-2の勝利(3-0から闘莉王のミスなどで1点差にされたのはご愛嬌だった)、ブラジル予選は(明日と同じ)オマーンに3-0で快勝(この勝ちっぷりは日本サッカー史に残る完勝、前田遼一の完成がすばらしかった)、そして前回のUAE戦は酒井宏樹と長谷部のミスから1-2の逆転負け(ハリルホジッチ氏の岡崎→浅野、清武→宇佐美、大島→原口の交代はそれぞれ合理的だったが、ことごとく裏目に出たのが味わい深かった)。
 さて明日はどのような試合を見ることができるだろうか。

 過去色々森保氏には文句を言ってきた。しかし、何のかの言っても、今我々が所有しているチームは、各ポジション穴がほとんどなく、史上最強感も漂っている。ややゴールキーパと左バックの層が薄い感もあったが、先日の五輪での谷晃生と中山雄太の活躍で埋まりつつある。
 などと思っていたら、相変わらずおもしろい人選を行うのが森保氏だ。まず両サイドバックを酒井宏樹、山根視来、室屋成、長友佑都、佐々木翔、中山雄太とそれぞれ3人選抜。3DFを試したいのではないかとの報道もあったが、その場合原口元気と伊東純也もサイドMF候補となるから、サイドプレイヤは余剰気味。 
 一方で中盤後方のタレントは遠藤航、守田英正、柴崎岳の3人だけ。森保氏はこのポジションの人数が足りなかったことによる失敗を、つい最近の五輪で犯しているのだが。例えばここには川辺駿、橋本拳人、稲垣洋などを最近選考しているし、谷口彰悟をこのポジションで試している。そして何より田中碧もいる。消耗の激しいポジションなのだから、厚めに選んでおいて損はないと思うのだが。まあ、森保氏としては、五輪同様板倉滉を中盤要員と考えているのかもしれないが。
 などとと思っていたら、冨安健洋と守田が来日できず、板倉が負傷離脱とのこと。守備的MFどころかCBまで足りなくなってしまった。3DFのトライどころではなく、CBは吉田麻也と植田直通、守備的MFは遠藤航と柴崎のみ、控えすらいない。急遽昌子源を呼び戻したとのことだが、昌子は今日のルヴァンカップをフル出場している。何とまあ段取りの悪いことだ。せめて1日前に決断していれば状況はましだったのだろうが。少なくともこのオマーン戦については、比較的近隣で今日ルヴァンがなかった神戸から、ベテランの山口蛍や売り出し中の菊池流帆を呼ぶような方策もあったのではないか。
 それにしても、森保氏は、よほど現役時代の自分と同じポジションの遠藤航を消耗させるのが、お好きなようだ。 

 勝ち点勘定からすれば、開幕のホーム戦だからキッチリと勝ち点3を確保したいところ。いや次節の中立地中国戦と合わせて勝ち点6をとっておきたい(3節は灼熱のサウジでのアウェイゲーム、4節は地元とは言え難敵豪州だから)。
 そこに対する最大の不安は、上記散々嫌味を言ったように、CBと守備的MFに控えすらいない惨状が挙げられる。麻也、植田、遠藤航、柴崎の誰かが負傷したり消耗した場合、中山や佐々木が使われる可能性が高いが(今日試合をしている昌子よりは体調がよいだろうから)、ぶっつけ感が満載だなこれは。
 また、豊富な攻撃ラインのタレントを、森保氏が使いこなせるのかも不安。五輪でも特定の選手に拘泥して選手の消耗を招いたことは記憶に新しい。しかも得点について、最も期待できる南野拓実が本調子でないと言う情報もある。
 立ち上がりにうまくチームがはまり、早々に点がとれれば、オマーンを前に引き出すことができるだろう。そうなれば、鎌田大地と大迫勇也を軸にした速攻から好機を大量に作れる流れを作ることもできそうだ。しかし、常識的にはオマーンは後方を固めてくるだろうから、前半は相手を疲れさせるべくボールを回し、後半勝負となる可能性もある。その際に、先日の五輪ニュージーランド戦のように、森保氏が采配機能不全を起こさないでくれればよいのだが。

 などと不安を語るのも、代表戦の楽しみだ。選手の個人能力では圧倒しているのだし、前線の選手の知性や技巧でオマーン守備網を再三切り裂くのを楽しみにキックオフを待つのが、正しい楽しみ方と言うものか。
posted by 武藤文雄 at 01:29| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月20日

ありがとう島尾摩天

 ベガルタの島尾摩天(シマオ・マテ)の退団が発表された。2019年シーズンに加入したモザンビーク代表の屈強のセンタバック。主将も務めるなどリーダシップやサポータへの発信力も格段だった。まずはエウゼビオを産んだ国から来てくれたこのすばらしい守備者に大いなる感謝の言葉を捧げたい。ありがとうございました。
 ただ、今シーズンは、体調が上がらず出場機会を失っており、復調が待たれるところでの退団発表。帰国の検討、他のJクラブへの移籍希望など報報が錯綜しているが、定位置を失った現状を鑑み、新たな道を求めたと言うことだろう。
 もちろん、私たちベガルタサポータにとって格段の思い出を残してくれた選手だった。特に絶頂だった19年シーズンは、他クラブのサポータにも相当な印象を残したのではないか。そのくらい格段の守備能力を見せてくれたから。

 そう絶頂時の島尾は最高の守備者だった。
 敵フォワードに対し、自分の間合いに入るや否や、体重が乗った激しいスタンディングタックルでボールを奪う(もちろん、ボールにのみ当たるフェアなタックル)。あるいは、フォワードとボールの間に強引に身体を入れボールキープしてしまう。
 鍛え抜かれたフィジカルが島尾の武器だったのは、皆さんご存知の通り。しかし、肉体的に強いセンタバックの多くとは一線を画した強みを誇っていた。普通の強靭なセンタバックは前線に差し込まれたボールのはね返しや敵フォワードを振り向かさないプレイを得意とする。絶頂時の島尾は、もちろんはね返し力も、振り向かさない守備も見事だった。しかし、島尾の武器は、そこにとどまるものではなく、自ゴールに向かってくるフォワードからのボール奪取が格段にうまかった。足がそれほど速いとは言えないだけに、その奪取力の鮮やかさは光った。そして、島尾のその長所は「よし取れる、よしマイボールにできる」との判断、選択、決心の適切さにあった。決断力に富む守備能力とでも言おうか。言い換えると、速くはないが早い守備者だったとでも言おうか。

 日本サッカー界にとっても、島尾のプレイは示唆に富むものだった。島尾のようなボールを奪取し自分のものにする能力に特化したセンタバックは、最近中々出てこないように思うのは私だけか。Jリーグ黎明期には薩川了洋、大森征之のように敵FWを止めるのが滅法うまいセンタバックが結構いたのだが。ただでさえ、最近のサッカー界はセンタバックに期待される能力は複雑化、多岐化しているので、対人守備能力に特化した選手は出てきづらいのかもしれない。
 いずれにせよ、島尾は古典的な対人守備能力に特化したセンタバックだった。もっとも、ベガルタ加入直後は少々怪しかったラインコントロールも最終ラインからのつなぎも、着実に上達してくれたけど。

 今シーズン、島尾の体調は中々上がらなかった。そうなると、格段の決断力も裏目となり、簡単に逆をとられたり、ファウルから決定的な失点にからむことも増えてくる。
 その典型が4月のヴィッセル神戸戦だった。ベガルタが中盤でボールを失うや否や、守備ラインの裏に飛び出す古橋亨梧。島尾は気鋭のこのストライカへ後手を踏み。敢えなく裏をとられ開始早々に失点してしまう。さらにコーナキックから売り出し中の神戸センタバック菊池流帆に完全に振り切られ追加点を許した。島尾本人にとっても屈辱的な失点だったと思う。このあたりから、島尾はスタメン落ち、ベンチに入ることも少なくなっていた。冒頭に述べたように、島尾本人が異なる道を考えることにしたのだろう。

 改めて、ベガルタへの貢献に感謝。ありがとうございました。カニマンボ。
 次の活躍の場所と機会が早々に見つかることを期待したい。そして、あの鮮やかなボール奪取を、私は絶対に忘れない。
posted by 武藤文雄 at 00:35| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月18日

爆撃機は永遠に ーゲルト・ミュラー逝去ー

 西ドイツの名ストライカ、ゲルト・ミュラーが亡くなったとのこと。享年75歳だったとのこと。ご冥福をお祈りします。

 私がサッカーを楽しみ始めたのは1970年代初頭、映像すら満足に入手できない当時、中学生のバカガキにとって、ミュラーは正にあこがれの存在だった。70年ワールドカップメキシコ大会で得点王となり、74年地元大会で決勝戦の決勝点を含め、とにかく点をとる選手。ペレやクライフやベッケンバウアは、何があっても目指すことができない。でも、ゲルト・ミュラーとベルディ・フォクツは目指せるような気がした。そんな錯覚を抱かせてくれたスーパースターだったのだ。
 あれから半世紀が経った。ミュラーよりサッカーがうまい選手、攻撃を創造するのが巧みな選手はいくらでも見てきた。しかし、ミュラーより得点を決めるのが上手な選手は見たことがない。
 もちろん、センタフォワードと言う特殊なポジションには幾多の名手がいた。釜本邦茂、ルーケ、ロッシ、原博実、ファン・バステン、ロマーリオ、バティステュータ、マルコス、ロナウド、久保竜彦、フォルラン、佐藤寿人、レバンドフスキ、幾多のストライカを楽しんできたが、やはり一番好きなセンタフォワードはミュラーだ。

 ミュラーの点の取り方は、とてもわかりやすい。サイドからのクロスをペナルティエリア内で頭でも足でも最適の方法で合わせる。後方から足元に入るパスをターンして突っつきネットを揺らす、ゴール前にこぼれたボールを身体のどこかに当ててゴールラインを越させる。自らドリブルで持ち込むとか、ロングシュートをねらうとか、スルーパスから抜け出すとか、そのような得点はほとんどない。 
 中でも究極は1974年大会の決勝、オランダ戦の決勝点だろう。右ウィングのグラボウスキーが中盤に下がり、右オープンにスペースを作る。そこに中盤後方からボンホフが入り込み、グラボウスキーからのパスを受け右サイドをえぐる。ミュラーをマークしていたオランダのCBレイスベルゲンがカバーに入るが、サイドバックのクロルがしっかりミュラーをマークしている。ボンホフはミュラーをねらったプルバック。ただし、クロルのマークは厳しい。
 そこでミュラーは自分の後方に向けてトラップ。1mほど後方に流れたボールに対し、ミュラーは一歩下がりながら、信じられない反転力でインステップでミート。クロルはまったくのノーチャンスだった。コロコロとボールはサイドネットに向かうが、オランダGKヨングブルッドはタイミングを外されまったくセービングに入れず、呆然とネットを揺らすボールを見送るばかりだった。
 どんなレベルでも、得点を決めるコツは、シュートの打ち手がボールを強く蹴ることできるポイントに正確にボールを置き、狙い澄ましたシュートを打つこと。自分が一番蹴りやすいポイントにボールを置けるかどうか、マークするDFとの駆け引きを含め、勝負の妙味である。
 しかし、ミュラーの得点は異なる。ボールを正確にサイドネットに向かわせることは強く意識しているが、強く蹴る意識はない。ただただ、ゴールキーパに自分が蹴るタイミングを読ませないことを意識している。
 繰り返そう。ゴールキーパのタイミングを外し、正確にボールを突っつくこと。ミュラーはそれだけを考え、ベッケンバウアーの、オヴェラートの、ネッツアの、ボンホフの、ウリ・へーネスの、グラボウスキーの、ヘルツェンバインの、パスを待っていたのだ。

 久保建英に格好の教材を提供したい。強引に行くばかりではなく、どうやったら点が取れるかが、ここにある。
 正に爆撃機、幾多のコロコロシュートを思い起こしながら、ご冥福をお祈りします。
 そして、サッカーと言う汲めども尽きぬ麻薬に私をいざなってくれてありがとうございました。あなたの幾多の得点、忘れません。
posted by 武藤文雄 at 00:58| Comment(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月17日

東京五輪メダル獲得失敗

 準決勝敗戦。この試合後の喪失感は、中々経験したことのないものだった。115分アセンシオに決められ、その後の攻撃をスペインにいなされ敗退が決まった瞬間。「また勝てなかったか、今回こそはと思ったのに」と言う強烈な悔しさ。加えて、吉田麻也と仲間たちには「本当によく戦ってくれた」との感謝の念も大きかった。
 ただし、その悔しさは、2010年南アフリカでのパラグアイ戦、2018年ロシアでのベルギー戦直後と比較すると、何か決定的に違った。この2つのワールドカップでは、その時の日本の戦闘能力手一杯まで戦い、刀折れ矢尽きた感があった。しかし、今回は采配を工夫すれば、もっとよい試合ができたのではないか、よい結果が望めたのではないかと思えたのだ。
 強いて言えば、一番近い感覚は93年ドーハかもしれない。もちろんあの時失ったあの時失ったものをもっと大きかったけれども。一方であれからたった28年でここまで来られたってのは大したことのようにも思えてくる。
 そう言ったことが頭の中をグルグル回り、何とも言えない失望、落胆を抱えながら2日を過ごし、メキシコとの3位決定戦。結果も内容も寂しい試合だったが、改めて選手達の凄まじいほどの疲労蓄積を実感し、感謝の思いを強くした。
 今回のチームが上々の成績を収めることができた要因、一方でメダルをとれなかった要因それぞれは、以下のようにかなり単純に整理することができると思う。本稿では、それらを整理しながら、東京五輪を振り返ることとする。
1. うまくいったこと
(1) オーバエージの選手選考が適切だった。
(2) U24によい選手がたくさんいた(1年の延期が日本に幸いした)。
(3) フィジカルで負けることがほとんどなかった。
2. うまくいかなかったこと
(1) スペインと比較して選手の個人能力差があった。
(2) 中盤後方の遠藤航と田中碧の控えを選んでいなかった。
(3) 攻撃が堂安と久保の個人技頼りであまりに強引だった。


1. うまくいったこと
(1) オーバエージ選考が適切だった
 オーバエージ選考の成功は、今さら言うまでもないだろう。吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航、3人の経験豊富な選手達のリーダシップと経験は見事なものだった。まず、この適切な選考については、森保氏を高く評価するものである。またこの3人を軸に堅牢な粘り強い守備網を築いたことも、森保氏の成果なのは言うまでもない。
 今回は地元開催と言うことで、厳選されたA代表の中核で経験豊富な3人を選考した。今後もこの考え方を継続すべきではないか。アジアのサッカー界は、アジアカップがワールドカップ直後に行われると言う不可解なレギュレーションが続いている。これが是正されない限り、ワールドカップの隔年に行われる五輪は、ワールドカップの準備と言う意味で日本にとって貴重なタイトルマッチだ。特殊な若年層大会であるがため、若手が経験を積むと言う意味でも。
 ただ、頭が痛いのは、そのようなA代表の中心選手は欧州でプレイしているから、シーズンオフの休養時間を奪ってしまうこと。今回の3人にしても、今後日本でプレイする酒井宏樹はさておき、吉田麻也と遠藤航が年間を通して適切な休養をとることができるだろうか。そして事態は楽観できない。欧州のシーズンは始まろうとしているし、9月上旬からはワールドカップ予選が始まり、2人は欧州とアジアを往復する過酷なシーズンを迎えようとしている。
 今回の成功を再現できるかどうか、日本協会強化部門の手腕が問われるところだが。
 
(2) U24によい選手がたくさんいた(1年の延期が日本に幸いした)
 冨安や堂安を筆頭に、今回のU24に人材が揃っていたのは間違いない。ただし、COVID-19による1年の延期が、日本にとって不幸中の幸いとなったのは、大会前に講釈を垂れた通り。この1年で、五輪世代の多くの選手がJでも欧州でも活躍した。フロンターレの田中碧、三笘薫、旗手怜央の3人は、高い技巧で自クラブのJ制覇に貢献、また上田綺世、瀬古歩夢、林大地、前田大然、橋岡大輝らの成長も耳目を集めた。同様に欧州でも板倉滉、中山雄太が活躍し経験を積んでいる。
 ちなみに「1年の延期は他国にとっても同じ条件ではないか」と考える向きもあるかもしれない。しかし、私が見るところ日本のサッカー界は10代半ばから20歳前後の選手の成長に、構造的な課題がある。ユースレベルのチーム(Jユースでも強豪高校でも)、J1のトップレベルと実力差が相当ある。そのため、ユース代表クラスのタレントが、J1のトップクラブに加入しても、思うような試合経験を積むことができず、すぐに大人の選手として伸びてこないケースが多いのだ。
 これは、Jユースの他に本格強化を行っている高校が多く選手が分散すること、ユースレベルチーム間での移籍が難しいことがなど錯綜する要因がある。せめて、優秀な素材はユース段階(高校時代)から、J2なりJ3で経験を積むことができれば事態は改善すると思うのだが、ユース世代の移籍、プロ契約、高校通学、栄養確保した生活など、多くの微妙な問題があり、実現は非常に厄介なのだ。
 また、三笘、旗手、上田は大学経由。大学がユース段階で伸び切れなかった選手や晩熟系の素材の多くを成長させているのは間違いない。しかし、大学サッカーの致命的欠点は高校を卒業してない選手を受け入れてくれないことだw。Jユースでも静岡学園でも青森山田でも中心選手をまだ高校生のうちに大学サッカー部が受け入れてくれれば、事態は随分改善するのだが。
 日本協会が、今回の1年延期による各選手の成長を振り返り、10代半ばから20歳前後の選手の契約制度、強化体制の改善検討を継続することを期待したい。

(3) フィジカルで負けることがほとんどなかった
 過去世界大会に置いて過去日本代表はどうしても、体格と言うかフィジカル面で劣勢になるケースが多かった。そのため、身体の当て合いを避けて素早いボール回しを狙うことも多かった。ところが、今大会はそのようなリスクはまったく感じられなかった。強さを具備していることから選考されたオーバエージの3人、元々強さも期待されて選考された板倉、冨安、中山らが、フィジカル面でなんら遜色ないどころか局面によってスペインやメキシコのタレント達を圧倒した。加えて、技巧を武器とする田中碧、比較的小柄な堂安、久保、相馬にせよ、攻守に渡り身体の当て合いでは負けていなかった。
 国際試合でフィジカルやデュエルが弱点となる時代は終わりつつあるのかもしれない。これは一重に、ユースのトップレベルの指導者たちが、科学的トレーニングを導入し教え子たちを適切に指導してくれている賜物に違いない。

 ちなみに、日本のトップレベル選手の個々のフィジカルと言うと、ハリルホジッチ氏が「デュエル、デュエル」と念仏のように唱えていたのが懐かしい。以前講釈を垂れたように、デュエルとは必ずしもフィジカルだけの話ではない。「相手に負けない」と言う執着心を含めた1対1における創意工夫、とでも言い換えればよいか。もちろん、精神力やフィジカルにとどまらず、判断力と技巧も必須となるのだが。
 なお、過去のワールドカップを振り返る限り、日本がいわゆるフィジカルの弱さでやられた場面が案外少なかったことも強調しておきたい。2006年の豪州戦や2014年のコートジボワール戦、ギリシャ戦のように明らかにコンディショニングに失敗した時は別として。2002年にしても2010年にしても、強さにやられた場面はほとんどなく、勝てなかった要因は、先方の組織的守備を当方の選手が判断力や技術で上回れず、点をとれなかったことにある。
 そんな中で、2018年のロシア大会は過去のワールドカップと比べると異色の大会となった。いわゆるフィジカル差による失点が目立ったのだ。特にセネガル戦の2失点目は、柴崎と乾が軽量を突かれ敵にデュエル負けをしたことによる。またベルギー戦では単純なロビング攻撃をはね返し切れなかった。ただし、柴崎の精度とタイミングが完璧な射程の長いロングパスや、切れ味鋭い乾のドリブルとシュートは格段で、敵ゴールネットを再三揺らしてくれた。大会直前に急遽起用された西野氏は、時間がまったくない中で、少々守備は怪しいがベルギーからも複数得点奪える攻撃的なチームを披露してくれたわけだ。
 そう考えると、あれからたったの3年で、フィジカルも遜色なく攻撃力も相応のチームを作れるようになったのだから大変嬉しいことだ(もちろん特殊な若年層大会だったことは割り引かなければならないだろうが)。だからこそ、メダル取得にすら至らなかったことが悔しくてしかたがないのですけれども。
 余談ながら、フットボールの兄弟分と言ってもよいラグビーは、2015年、2019年と少数の代表選手のフィジカルを集中強化で鍛え抜くやり方で好成績を収めている。集中強化が難しい我々とは状況が異なるが、フットボールは肉体接触が必須なのだから、フィジカルも重要なことは間違いない(もちろん、それ以上に判断力や技巧でいかに他国を上回るかが重要なのは言うまでもないが)。
 いずれにしても、今大会は我々にとってよい意味での分岐点になると期待したい。日本代表の監督が金輪際「フィジカルで負けました」的な情けない言い訳をしなくなる分岐点として。

2. うまくいかなかったこと
(1) スペインと比較して選手の個人能力差があった
 スペイン戦、ここまで均衡した試合を経験すれば、その差は過去になく具体化できる。2010年にオランダのスナイデルに、2018年にベルギーのデ・ブライネにやられた時は、あのようなスーパースターをいかに準備するかで悩むことになった。しかし、今大会は違う。先方の名手が格段だったことは確かだが、当方も少なくとも比較するタレントは確保していた。そして、悔しいかな先方の個人能力が当方のそれを上回っていたのだが。

 パウ・トーレスと冨安。冨安が、トーレスのように常にボールを持つや前線への高速高精度の展開をもっとねらってくれれば随分異なる展開になったはず。ニュージーランド戦の終盤も同様。冨安がそのような意識でプレイしてくれれば、もっと堂安や久保は効果的に働けたのではないか。また、ニュージーランド戦の軽率な反則でスペイン戦を出場停止になったのは論外。「自分がこの国で一番優秀な選手で、攻守ともに勝利への要となるのだ」と言う意識をもっと持ってもらえないものか。この大会で、最も残念だったのは冨安健洋だったことは強調しておきたい。

 ペドリと田中碧。もっとペドリのように中盤から前線に鋭いパスを繰り出せなかったものか。この2人では市場価格が違い過ぎるかもしれないがw、私はとても気になった、
 今回の五輪代表は、守備をかなり重視したやり方だったことで田中碧は相当後方からの挙動開始を余儀なくされた。それでも、田中碧は相手のプレスを回避できれば、クサビや敵のプレスを飛ばすパスを繰り出し攻撃の起点となった。さらには、堂安と久保に田中碧がもっとからみ、ゆっくりとした攻撃ができれば、好機はずっと増えたはずだ。
 準備試合の段階で、田中碧は己が全軍指揮官を務めなければならないことは自覚していはず。たとえ、森保氏の指示が守備重視でも、オーバエージの選手達が精神的にチームをリードしてくれたとしても、堂安や久保がイケイケ過ぎたとしても、もうひと踏ん張りしてほしかったのだが。

 そしてアセンシオと久保。これは言うまでもないだろう。あの思い出すも忌々しい115分、オヤルサバルの好パスを受けたアセンシオは落ち着いてターン、板倉と遠藤航のアプローチにも慌てず、インフロントキックで丁寧なシュートを打ち込んできた。今さら書くのも陳腐だが、ゴールは強引さからだけでは生まれない。
 もっとも、これは大会前からわかっていたこと。スペインリーグでも、五輪代表の準備試合でも、久保はボールをもらうや強引なドリブル突破から自ら得点することばかり狙っている。自分が詰まると、格段の個人技を活かし味方へパスするが、追い込まれた後なので精度やタイミングを欠く。セットプレイでは高精度のキックができるのだから、もう少しゆっくりプレイすれば事態は随分改善するはずだが。
 バルセロナの若年層チーム出身と言う経歴、技術の冴えから来る飛び級選抜、冷静な周囲観察から来る堂々とした発言。得点への意欲とよい意味での自己顕示欲。マスコミ的には格好の存在なのだろう。しかし、久保はまだ若い、このチームでも最年少だった。経験を積み適切な判断力が具備された時、我々は天下無敵のストライカを入手することになるのだろう。アセンシオをはるかに超えたストライカを。

(2) 中盤後方の遠藤航と田中碧の控えを選んでいなかった
 これまた、大会前に講釈を垂れた通り、中盤後方の控えの選手層の薄さが、遠藤航と田中碧の酷使につながり致命傷となってしまった。

 3位決定戦の遠藤航のパフォーマンスは忘れ難い。立ち上がりに与えたPK、FKからの2失点目、後半のCKからの3失点目、いずれも遠藤が出足で負けてしまったことによるもの。これをはっきり指摘しないのは、プロフェッショナルに対し失礼と言うものだろう。
 しかし、それでもこの試合、攻撃面では遠藤は利いていた。開始早々のミドルシュート、前半林のヒールキックを受けて抜け出しフリーになりかけた逸機。後半序盤にはこぼれ球を拾って左足でまったくフリーの堂安にピタリと合わせるクロスを上げた。
 失点場面を考えると、相手の動きへの対応にことごとく後手を踏んでいるわけで肉体的に疲労困憊だったことがわかる。一方で自分のペースで能動的に動ける時は、高い質のプレイを見せている。つまり、肉体的には相当厳しい状況にあったが、知性と技術は冴えており、そこでは見事なプレイを見せてくれたわけだ。それを支えた精神力には感服するしかない。けれども、そこまで中心選手を疲弊させてしまったことは、森保氏の責任が問われるべきだろう。

 一方で田中碧。ニュージーランド戦の後半消耗は明らかで、延長戦に入るところで板倉と交代しベンチに下がった。その後、日本は攻めあぐんでしまった。三笘と三好が両翼に開き待機するが、そこに精度あるパスが入らない。
 森保氏も反省したのだろう、スペイン戦は延長まで田中碧を引っ張った。さすがにスペインの中盤プレスの厳しさもなくなり、ようやく田中碧が前進しトップ下の三好にクサビを入れるなどパスを繰り出せる状況になり、日本が猛攻をしかける時間帯もあった。しかし、遠藤が疲れ切っており、碧のサポートをするまでエネルギーが残っていなかった。田中碧も疲労は顕著で、特に守備に回った際の対応は後手を踏んでいた。あの痛恨の失点時、オヤルサバルへの対応が僅かに遅れ、アセンシオにラストパスを通されてしまった。
 このチームの編成では、クサビや敵のプレスを飛ばすパスなど、決定機を作る一つ前の仕事の多くは田中碧の担当。したがって、田中碧の消耗をいかに防ぎ、ギリギリまで活躍してもらうのが重要だと誰もが考えていたと思う。森保氏を除いて。

 改めて今大会の22人のメンバ選考をおさらいしておく。比較的消耗の少ないセンタバックは2人の定位置枠に対し麻也、冨安、町田、瀬古の4人(加えて板倉)。対して運動量を要求され消耗の激しい守備的MFが2人枠に対し遠藤碧に加え板倉の僅か3人。状況によっては中山と旗手は中盤後方でも使えるが、この2人で左サイドバック要員。以上考えると、守備的MFの選手層が極端に薄く不安材料なのは上記講釈で文句を言った通りだ。
 そもそも6月の強化試合で最終選考メンバに残っていた中盤後方の選手は皆最終メンバ入りしている。つまり、このポジションの他の選手はこの時点で、森保氏の選考外になっていたことになる。言い換えると、(最終メンバ18人と言う前提では)森保氏は、6月の時点で中盤後方は今回の選手達で回すと既に決断していたのだ。
 18人決定と同時に発表されたバックアップの後方のフィールドプレイヤはCBの瀬古と町田、ポジションが重なる2人だった。大会直前にレギュレーションが変更となり、選手数が18人から22人に増えたところで、森保氏はバックアップのCB2人をそのままメンバ入りさせた。しかし、この時点でメンバ編成を再考し、中盤後方を厚くする手段はとれたはず。例えば、3月のアルゼンチン戦には、渡辺皓太と田中駿汰が選ばれていた。上記レギュレーション変更時に、町田か瀬古のいずれかの代わりに、渡辺か田中を選んでいれば、随分やりくりは楽になっていたと思う。
 邪推にすぎないが、冨安に契約上の何か縛りがあるなりして、出場試合数が限定されていたのかもしれない。あるいは冨安の負傷がそれなりに重かったとか(6月の準備試合でも欠場が目立っていた)。それらを含め、森保氏はCBを厚めに選考した可能性はある。
 さらに状況を難しくしたのは、冨安不在時のCBとして板倉を起用したこと。板倉はCBとして、すばらしいプレイを見せてくれたが、いよいよ結果的に中盤後方のバックアップが手薄となり、遠藤航と田中碧はフル稼働を余儀なくされた。22人へのレギュレーション変更時に、既に森保氏が、CBとして板倉の能力が瀬古と町田のそれを凌駕すると判断していたのだとしたら、なおさら代わりの中盤後方のタレントを選考しておくべきだったろう。加えて、スペイン戦では中山も旗手もスタメン。森保氏は、中盤後方の交代要員ゼロで最大の難敵と戦うイバラの道を自ら選択したのだ。
 また既に講釈を垂れたが、1次ラウンドのリードした南アフリカ戦やメキシコ戦での、森保氏のクローズのまずさも忘れ難い。結果的にほとんどの選手が休めず90分フル稼働を強いられた。またメキシコ戦の稚拙な失点によりフランス戦ターンオーバを行えなかったのも痛かった(しかし、序盤で2-0でリードした時点で、遠藤航や田中碧を休ませる選択肢はあったと思うのだが)。

 もっとも、今大会で我々は板倉という強力なCBを入手した。カタールに向けて、それで十分なのかもしれない。東京五輪の金メダルより、カタールのベスト8以上の方がずっとずっと嬉しいのだし。
 もう1つ、森保氏が町田、瀬古の2人の将来性に多大な期待を寄せており、どうしてもこの麻也たちとの冒険に同行させたかった可能性もある。森保氏にとってその方が金メダルより重要だったのかもしれない。

(3) 攻撃が堂安と久保の個人技頼りであまりに強引だった
 ニュージーランド戦やスペイン戦、私は妙な感動を覚えていた。堂安と久保の単身突破に興奮していたのだ。「日本人選手が個人能力で30m近く単身で前進しシュートまで持ち込んでいる」と。
 過去、国際試合でこのようなドリブル突破からシュートまで持ち込める日本人選手がいただろうか。強いて言えば、若い頃の釜本邦茂と福田正博くらいだろうか。後はおよそ長駆はしなかったが、シュートレンジが人間離れしていた全盛期の久保竜彦くらいか。そう言えば、ブラジルワールドカップで、本田圭佑がそうやって強引な突破をねらっては幾度も相手にボールを渡していたことを思い出したりもした。ただ、堂安と久保建英の突破は、これら日本人としては格段にフィジカル的素質に恵まれていた諸先輩とは、本質的に異なる。2人とも肉体は鍛えぬいているが、技巧とタイミングの冴えで相手DFを置き去りにした上でスクリーンしてトップスピードで前進していくのだ。足の速さではなく技巧を前面に出した前進。
 しかしね。上記したようにあまりに強引過ぎた。たまに強引な突破はいいですよ。例えば、スペイン戦の後半アディショナルタイム、堂安が強引なドリブルで突破直後な突破直後、久保がそのボールを拾いさらに抜け出しかけた瞬間、主審がファウルをとってしまい延長突入した場面。時間もなかったし、あの強引な突破の選択はありだったと思う。しかし、毎回毎回強引な突破をねらったのはいかがだったか。どうして、1次ラウンドの時のように、田中碧のクサビや飛ばすパス、あるいは遠藤航や酒井の押し上げを受けて、最後の20mのところで最大のエネルギーを発揮することを考えなかったのだろうか。
 いつもいつも前に行くよりは、落ち着いてボールキープすることで全軍が休むこともできたはずだ。またちょっと溜めることで、ずっと変化を生むこともできたはずだ。
 まあ、上記したように久保はしかたがないと思う。しかし、どうして堂安まで久保と一緒になって、強引に「前へ、前へ」と行ってしまったのだろうか。堂安はもう23歳、20歳になったばかりの久保より3歳年上、多くの経験も積んでいる。大会前の親善試合では、ずっと落ち着いたプレイを見せてくれていたのに。

 気になるのは、これらの堂安と久保の「前へ前へ」を、森保氏が放置したことだ。サポータの私は確かに興奮したけど、監督はそれを喜んでいてはいけないでしょう。しかし、森保氏がこの2人の個人技による攻撃以上のものをねらっていたようには見えなかったのだ。
 バックアップメンバから抜擢され、最前線で動き回った林。あの前線でのがんばりは岡崎慎司を思い出した。そして、技術的には岡崎より上かもしれない、もっとも岡崎ほど点が取れるようになるかはこれから、実際シュートをねらう際に肩に力が入り過ぎ、どうしても枠に飛ばなかった。長駆した後、さらに加速することができる相馬は、幾度も左サイドをえぐり好機を演出した。1次ラウンドメキシコ戦でのPK奪取は見事だった。この2人は現時点での個人能力を存分に発揮した感がある。この2人の使い方には、森保氏の意図は感じた。
 しかし、他の前線のタレントたちはいかがだったか。三好も前田も上田も三笘も、ほとんど有効に機能しなかった。前田は2列目のバックアップに使われ、あの傍若無人なスプリントを活かす場面はほとんどなかった。ニュージーランド戦延長後半、三笘と三好が両翼に立ったが2人が機能する有効なパスはほとんど来なかった。2次ラウンドに入り、上田はほとんどの時間前線で孤立していた。上田が幾度か機能しかけたのが3位決定戦、ようやく自分の間合いでボールを持つことができた三笘が機能した時間帯、しかしその連係が生まれた時既にスコアは0対3となっていた。Jであれだけ猛威を奮っている三笘も上田も、森保氏は機能させることができなかった。
 いや前線のタレントの活用だけではない。両翼でボールを受けた後、複数の選手の連係での崩しもあまり見受けられなかった。酒井と相馬の縦、堂安と久保の横、いずれも個人能力頼りの突破ねらい。組織的なオーバラップもインナーラップも見受けられなかった。 
 森保氏は攻撃については、堂安と久保の格段の個人技で何とかすると言うところまでしか、やろうとしなかった。「やれなかった」ならばしかたがないが、そうではない。「やろうとしなかった」のだ。

3. まとめに代えて
 楽しかった東京五輪が終わり、Jが再開した(もっとも、ACL出場チームの試合は五輪中にも行われていたが)。欧州でも新しいシーズンが始まろうとしてる。さらには来月からワールドカップ最終予選も始まる。

 本稿では、散々森保氏への嫌味を述べてきた。
 ただ、最終予選を前に、改めて今のA代表を見直してみると、陳腐な言い方になるが、最終予選前のチームは史上最強感が濃厚に漂っている。南アフリカ大会のチームは前線のタレントが薄かった。ブラジル大会のチームは後方の人材が不足していた。そしてロシア大会のチームは若返りが遅れていた。今回のチームは、ややGKと左DFに手薄感があるものの、いずれのポジションにも人材が揃っている。欧州で実績を上げている選手が過去になく多いのは言うまでもない。
 そして、このA代表の充実振りに、東京五輪代表が大きく寄与したのは言うまでもない。そう、そうやって整理すると、森保氏の成果を認めないわけにもいかないのだ。
 と言うことで、予選展望と森保氏への評価、意見は別に述べる。

 落ち着いて振り返ってみると、この世代の2巨頭の堂安と冨安が能力通りに機能してくれなかった大会とも言えるのかもしれない。ただ、しつこいが繰り返したい。采配を工夫すれば、もっとよい試合ができたのではないか。何とも悔しいのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:26| Comment(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月31日

いかに2次ラウンド3連勝を目指すか

 戦闘能力を順調に発揮し、3連勝で1次ラウンドを終えた日本。準々決勝はニュージーランドと戦う事になった。ベスト8はアジアから2か国(日本、韓国)、オセアニア1か国(ニュージーランド)、欧州1か国(スペイン)、アフリカ2か国(エジプト、コートジボワール)、北中米1か国(メキシコ)、南米1か国(ブラジル)と、全大陸の国が残ることとなった。
 各大陸の強国がまんべんなく残ったのは、五輪が若年層大会であること、欧州南米の2強が地域選手権の直後でそちらが本命だったこと、東アジア独特の高温多湿の気候に一部強国がやられたことなど、様々な要因があろうが、グローバルなタイトルマッチ感たっぷり。何とも楽しいではないか。
 そして、ここまでアフリカ(南ア)、北中米(メキシコ)、欧州(フランス)はやっつけた。あとはニュージーランド(オセアニア)とブラジル(南米)をやっつけて全地域を制するのみ。

 ニュージーランドは開幕戦となる韓国戦に1-0で勝利(番狂わせ的な印象が強い勝利だった)。その後ホンジュラスには2-3で競り負けたが、最終戦のルーマニアには0-0で引き分け、しぶとく2次ラウンド進出を決めてきた。
 もちろん、油断は禁物だ。ニュージーランドと言えば、2010年南アフリカワールドカップが記憶に新しい。プレイオフでバーレーン(ミラン・マチャラ氏が率いており日本も結構苦戦した)に競り勝ち本大会へ。そしてスロバキア、パラグアイ、イタリアと3引き分けで1次ラウンド敗退するも、唯一の無敗国と話題になった(パラグアイはその後1/16ファイナルで我々の前に立ち塞がった。)
 常識的には戦闘能力的には当方が格段に上だろう。とは言え、初戦の韓国戦で守備を固めてワンチャンスをものにして韓国を破ったと言う。フランスのように中途半端に前に出てきてくれれば、田中碧の展開で崩せるだろうが、南アフリカのように引かれると厄介な展開になる。ただ日本は、上田の調子が上がってきており、久保は相変わらずよく点をとる。南ア戦のように敵速攻をケアした戦いをすれば、どこかで仕留めることはできるだろう。油断することなく、しっかりと勝ってほしい。

  ではニュージーランド戦、そしてそれ以降、日本はどのようなメンバで戦うのだろうか。 
 ニュージーランド戦では、酒井が出場停止。ただ、ここに入る橋岡は運動能力が高く、上下動を苦にしないタレント。酒井と比較されると、自陣での粘り強い守備や攻撃参加時の変化では劣るかもしれないが、この比較は相手が悪いと言うこと。この世代ではトップレベルの能力を誇り、レッズ時代もチーム状態が悪い時でも安定したプレイを見せていた。ほとんど心配はないだろうし、酒井を休ませられると前向きに考えるべきだろう。
 冨安が復帰し、麻也との2CBはさらに安定した。ニュージーランドのトップは、プレミアで活躍するクリス・ウッドだが、この2人ならば心配ないだろう。また冨安離脱中に、2試合起用された板倉がCBとして安定したプレイを見せてくれたのは、カタールワールドカップに向けて嬉しいことだ。
 最終ラインで一番不安だった左DFだが、中山がメキシコ戦で落ち着いたプレイで敵エースのライネスを止め、評価を上げた。このポジションは、A代表でも長友のバックアップがはっきりしていない。守備力が計算できる180cmある選手の確立は、カタールに向けて非常に重要。攻撃参加時も、左利きのメリットを活かし中盤のパス回しの逃げ所としてよく機能している。自クラブでも常時左DFで使われ、クロスの精度など経験を積んでくれるとよいのだが。
 ゴールキーパの谷はメキシコ戦で残念なミスがあったが、それ以外は安定している。特にクロスへの対応がよい。この手の大会、最後はキーパの超ファインプレイが勝負を左右する。伸び盛りの谷に期待しよう。
 中盤後方の遠藤航と田中碧は大会前の期待通り圧巻の存在感。ただ、問題が2つある。1つ目は、2人とも1枚警告を食らっていること。航の南ア戦の警告は主審のミスだった。そもそもあの場面は相手の競りかけの体制が悪く、航のファウルでもないように見えた。しかし能力が低い主審と当たるのは若年層世界大会では仕方がないこと。通り魔に会ったようなものだ。碧のメキシコ戦の警告は、いわゆるデュエルの結果で仕方がないか。準決勝をこの2人不在で戦う事はあまり想像したくないのだが、それを確実に避けるためにはニュージーランド戦を休ませるしかない。さらに厄介なことは2人とも警告をもらっているから、両方とも休ませる選択が難しい。油断をすると言う意味ではなく、戦闘能力で当方が優位と思われるニュージーランド戦、スタメンを航ではなく板倉で行く選択肢はあると思うが、それはやり過ぎだろうか。
 2つ目の問題は、田中碧不在時(出場停止と言う望ましくないケースと、休ませると言う積極的なケースがある)のバックアップの目鼻が立っていないこと。遠藤航不在時は、板倉を同じポジションに起用すれば、中盤で激しいボール奪取としっかりした持ち上がりを見せてくれるだろう(もちろん遠藤航ほど効果的でないかもしれないが)。いや、麻也、冨安、酒井、堂安、久保と言ったタレントにも、交代する選手は揃っている。こう言った中心選手が不在となれば戦闘能力が落ちる(先ほど遠藤航と板倉を比較したように)が、やり方は変える必要がない。しかし、碧がいなくなれば前線の堂安や久保に精度の高いボールを通す選手はいないから、異なるやり方を考えなければならない。常識的には、碧の代わりに板倉を入れて堂安や旗手の位置を少し後方に下げるなどが考えられる。その場合、上田と林の2トップにしたり、久保と三笘を両翼にする3トップなども考えられるかもしれない。ただ、問題はそのような試行を準備試合ではほとんど行っていないことだ。スペイン戦で、碧を外し板倉と航を並べたが、強豪相手の最終テスト的な試合となり、やり方のトライアルとはとても言えなかった。6月の強化試合を選手選考に使ってしまい、やり方を増やすことを怠ったツケが出なければよいが。
 興味深いのは攻撃ラインをどう編成するのか。日本の攻撃陣は皆好調。攻撃的MF陣は堂安、久保は言うまでもないが、相馬は縦抜けを再三見せてPKを奪うし、三好も知性と技巧を感じさせる得点を決めた。そして旗手は独特のキープから攻撃のアクセントとして面目躍如。FW陣も、林の岡崎風がんばり、前田は俊足を活かしとうとう点をとり、上田は枠に2発飛ばした。そして、Jリーグを席巻しているドリブラの三笘はまだ本調子ではないが、何かこう秘密兵器感が漂うよね。オプションはたっぷりある。日本のこの手の代表チームで、ここまで誰を出してよいかわからない的な、潤沢なタレントを豊富に持てた時があっただろうか。
 しかしここは議席は4つ。もちろん、フランス戦のように勝っていれば、久保や堂安を休ませる選択肢は取りやすい。しかし、もしどうしても点をとりたいときに、森保氏は久保や堂安を外して、他のバラエティあふれるタレントを使う決断ができるだろうか。

 誠にめでたいことに、森保氏への嫌味も迫力が減ってきたようだ。よいサッカーを見せ、堂々の3連勝を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 17:01| Comment(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月30日

高倉カテナチオからの切り替え

 今回の女子代表のチーム作りは、カテナチオねらいということになるのだろうか。
 敵にボールを奪われると(最近の流行りことばでいえば「ネガティブトランジション」)、各選手はボールの再奪取をねらわず、後方に引いて4DF-4MFのライン形成を心掛ける。再奪取をねらわないので、敵は攻撃起点を作りやすくすぐに攻め込まれることが多いが、第一波をしのげば人数が揃っているので、それなりに守れる。特に熊谷と南の2CBは位置取りもよく、強さも高さもある。
 例えば英国戦の後半、日本は中盤から抜け出せず、終始攻め込まれる展開となった。それでも熊谷を軸とする守備ラインは、勇猛果敢にクロスや裏抜けに対応。決定的なシュートはほとんど許さなかった。唯一の失点は、英国の大エースのホワイトの絶妙としか言いようなバックヘッドによるものだった。ただ、このホワイトの妙技もGK山下が中途半端な飛び出しをしてしまったから入ったもの。さらにこの場面のブロンズのクロスにしても狙いすましたものではなく偶然的なもの。日本にとってはかなり不運な失点だった。
 カナダ戦の失点にしても、前半開始早々に押し込まれた時間帯でよい縦パスが入り、えぐられたところで、カナダのレジェンドのシンクレアの絶妙な位置取りから決められたもの。試合後、熊谷が「あのようなクロスへの対応は相当練習していたのに」と悔しがっていた。ただ、カナダ戦に関しては、その後の時間帯であの場面ほどの縦パスは出てこなかった。おそらく、あの縦パスはかなり偶然のものだったのだろう。
 チリ戦でも後半バーに当たったヘディングシュートがゴールラインを割っておらず救われたが、あの場面はGKとDFの信じられないパスミスが連続して起こったための決定機だった。
 そうこう考えると、今回の女子代表の守備は相応に強いことが、改めてわかる。

 しかし、この守備が本当の強豪国に通用するかどうか。
 上記したように、ボールを奪われた直後に再奪取にいかない以上、そこからの攻め込み第一波で崩されてしまうリスクはある。これまではその第一波を熊谷と南で防ぐことができていた。これは、カナダにせよ英国にせよ、攻撃の精度、スピード、変化、アイデアが、格段のものではなかったからとも言える。問題は、開幕で合衆国を3-0で破ったスウェーデンの攻撃力次第となる。
 さらに別な問題がある。英国戦の後半、日本は中盤をほとんど抜け出せなかった。これは英国の選手との体格差によるものではなく、位置取りや連係の差に思えた。上記したように、日本の守備網は4DFと4MFが素早く後方に引くことが基盤になっている。そのためか、一度ボールを奪ってからの押し上げが悪い(ポジティブトランジション)。一方英国は日本にボールを奪われるや、すぐに近くの選手が再奪取にかかる。そして周辺の選手はそのポイントを中心にサポートに入る。瞬間的な技巧は日本の選手の方が優れているから、最初のアプローチを外すことができる。しかし、数的優位を作るスピード、つまりサポートに入る早さに格段の差があり、すぐにボールを奪われてしまった。あれだけ中盤を制圧されてしまっては、いくら守備が固くてもいつかは崩されてしまう。
 一方カナダ戦は、英国ほどサポートの早さがなく、日本はそこそこ攻め返すことができた。しかし、サポートが遅いから、前線で多くの選手が孤立。有効な攻撃回数は限られたものになった。同点弾が、後方に引いた長谷川の正確なフィードを、岩渕が巧みな個人技で決めたわけだが、サポートに課題を抱えるチームらしい得点だったとも言えよう。

 このサポートの遅さが、今回のチームの最大の課題なのだ。
 チリ戦にしても、押し込んでいるが何かイライラ感がつのったのは、ボールを持った選手に対して、周囲の呼応が遅いから。せっかく敵陣で敵ゴールを向いてボールを受けられても、結果的に各選手が一拍置き、単身突破を狙う事になる。そうなると緩急の変換などあったものではないから、単調な攻めかけになり、人数をかけたチリ守備網にひっかかることとなった。
 岩渕と長谷川を筆頭に、日本選手の攻撃技術は鋭いものがある。杉田、塩越、遠藤、木下、椛木、みな自分の間合いでボールを持てば、それなりの突破が期待できる。しかし、周囲のサポートが遅いから、自分の間合いでボールを持てないのだ。

 強敵スウェーデン戦。何とも陳腐な結論となるが、ボール保持時のサポートをいかに早くするかが勝敗の鍵を握る。どうして日本代表にこんな講釈を垂れなければならないかはさておき。
 マイボールになったら、周囲の選手はすぐにキープする選手をサポートする。そこで拠点を作り、田中美南なり岩渕なり長谷川に当てる。彼女たちがキープしたらすぐにサポート。そうしてこの3人で敵陣に新たな拠点を作る。そうすれば、清水や林が追い越せる時間が作れる。そこにまたサポート…

 スウェーデンの選手が、高倉氏が構築したカテナチオを破れるか。日本の選手が、高倉氏の指示したカテナチオから素早く切り替えて攻撃に参加できるか。
 ワールドカップでも、1次ラウンドは重苦しかったが、2次ラウンドのオランダ戦の攻撃は鋭さを増すことができていた(不運な失点から敗れることになったが、それはそれ)。地元大会でのプレッシャはあっただろうが、2次ランド進出で最低のノルマは達成した。
 今こそ、各選手には思い切りのよさを発揮して、持ち前の技術を活かすべくサポートの早さを徹底してほしい。そうすれば活路は開けるのではないか。
posted by 武藤文雄 at 01:09| Comment(0) | 女子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年07月28日

東京五輪2連勝の愚痴

 日本は1次ラウンドで2連勝。戦闘能力を相応に発揮し、上々のスタートを切ることができた。しかし、2試合とも試合のクローズが稚拙そのもの。特にメキシコ戦は、10人の相手に2-0から2-1に追いつかれると言う失態。これがなければ、3試合目のフランスに2点差で負けても、2次ラウンド進出が可能だったわけで、せっかくの2連勝を素直に喜ぶことができないことになった。
 本稿は、五輪開幕2連勝を当然と捉え、それでも細かな点で監督批判をネチネチ言える時代が到来したことを喜ぶ、老サッカー狂の屈折した感情発露である。

 初戦の南アフリカ。一部の選手がCOVID-19陽性判定となり、試合そのものの成立すら心配された。それもあったのだろう、5-4-1とガッチリ守備を固めてきた。日本はまずい奪われた方をして失点しないよう慎重に試合を進める。準備試合のスペイン戦で、再三強引な持ち出しに失敗して、敵の速攻を許した久保も無理をしない。それでも、田中碧が僅かな隙間を見つけて縦に通すパスと、堂安と酒井宏樹の連係で右に拠点を作って、左に展開する攻撃は効果的。幾度も三好が左でフリーになる。しかし崩し切れずに0-0で前半終了。
 後半に入り、日本はさらに圧力を高めるが、GKウィリアムズが大当たりでどうしてもゴールネットを破れない。それでも55分を過ぎたあたりから、日本の左右の揺さぶりに、南ア守備陣がついていけなくなってくる。そして、72分ついに日本は先制に成功。左サイドから田中碧が正確なサイドチェンジ、右サイドでフリーの久保が、見事なトラップから鋭く中に切り込み、左足でファーサイドに強烈に決めた。再三の攻撃で、敵DFを中央に寄せておいて、パス能力に優れた碧、技巧と強引な得点意欲の久保、2人の個人能力で崩すことができた。
 ここまでは完璧だったが、終盤南アの無理攻めに冷や汗をかくことになる。久保が先制する直前、日本は攻撃強化のために、林→上田、中山→旗手の交替を準備していた。ところが、待機中に先制に成功。当然作戦変更すべきだが、森保氏はそのまま交替を実施。そして、南アが無理攻めに来ているにもかかわらず、旗手と上田は漫然ともう1点をとりに行く。ここは、落ち着いてボールを回し敵を焦らすなり、敵を引き出して裏をとるなりしたいところだったのだが。事態改善のためか、森保氏は、堂安に代えて町田を左DFに起用、旗手を中盤に上げる。しかし、相変わらず上田も旗手も、さらにその前に交代起用されていた相馬も前に行きたがり、日本は前と後ろが分断された形になり、終了間際には危ないシュートを打たれる局面もあった。一体、森保氏は交代選手にどのような指示をしていたのだろうか。

 続くメキシコ戦。日本は最高の前半。立ち上がりに酒井→堂安→久保と個人能力の高い選手の技巧がつながり先制。世界中のどんな守備陣でも崩せそうな攻撃ではないか。動揺したメキシコ守備陣に対し、林の巧みなポストプレイから、相馬が独特の長駆後の加速で切り裂きPK、堂安が冷静に中央に決めて突き放す。そして、前半半ばから落ち着いて引いて守り、危ない場面を作らせず、時に速攻を繰り出す。
 そして後半、中山と酒井に完全に止められていたライネスとベガの両ウィングをメキシコが諦めた直後、日本の速攻が炸裂、フリーで抜け出しかけた堂安を倒され、バスケスは退場となる。この時点で事実上勝負は決したのだが、森保氏が稚拙な采配で事態を悪化させた。
 局面を打開したいメキシコFWは日本に時間稼ぎをさせぬためにフォアチェックを継続、当然ながら人数の少ないメキシコの中盤には隙ができるから、航と碧は余裕をもってボールをつなげる。ところが、79分に投入された上田と三笘は何を考えているのか、そこから強引に攻めかける。この2人は2-0のまま試合を終わらせることではなく、明らかに自分で得点を奪う事しか考えていなかった。その後は、前線が急いではボールを奪われ、メキシコにファウルをとられ、セットプレイで危ない場面を作られる、と言う残念な展開の連続。さらに疲労が目立つ久保を交代させないのも不思議だった(旗手や橋岡に代えれば守備強化になったはずだ、それとも森保氏はどうしても3点差にしたかったとでもいうのか)。FKから失点し1点差とされたのは結果論。過程が悲しかった。そもそも、この試合のフィールドプレイヤの控えは、橋岡、旗手、三好、三笘、上田、前田。守備要員は橋岡だけと言う体制。そもそも、スコアが劣勢でどうしても点をとりたいときに、堂安や久保は代えづらい事を考えると、これだけ攻撃ラインの控え選手を並べたのはどう言うことなのか。
 短い期間で6試合を戦い抜かなければならない大会。少しでも消耗を避けながら、試合をクローズすべきなのに、2試合続けて交替選手が点をとりに行ったのには呆れてしまう。準備試合ならば、選手のアピールも理解できなくはない。また、褒められたことではないが、開幕戦は選手も少し舞い上がったこともあったかもしれない。しかし、前の試合の反省がまったくなく、2試合続けて終盤バタバタしたのは何なのか。森保氏は何を考えているのか。

 2連勝はやれやれだが、金メダルを目指すためには芳しい状態ではない。2次ラウンド進出はかなり優位だが、フランスはに2点差で負ける訳にはいかず、ターンオーバは取りづらい。(これまでのフランスの戦い振りを見る限り、戦闘能力で日本が上なのは明らかだが)。航、碧、酒井、堂安、中山と5人も警告を食らっている。さらに冨安負傷のために、板倉をCBに起用していることもあり、チームの強さの源泉とも言える航と碧の控えは全く不明瞭。消耗が多いこのポジションの2人を一切休ませず金メダルまでたどりつくつもりなのだろうか。
 まあ、五輪の1次ラウンドで2連勝しながら、監督の采配詳細に文句を言えるのだから、幸せな時代になったものだ。そして、そのような詳細手違いがあっても、麻也とその仲間たちは粛々と勝ち進み、最高の色のメダルを獲得してくれるに違いない。
 一方で、このような七転八倒を皆で経験していく事が、将来のW杯制覇につながるのは間違いない。ただし、その道のりは決して直線にはならない。紆余曲折を繰り返しながら、少しずつ前進するしかないのだ。フランスはワールドカップ創設を主導したジュールリメ氏の下、第1回大会から出場したが世界制覇に68年かかった。スペインは第2回が初出場なので76年かかっている。我々は初出場から、まだ23年、悠々と悩み続ければよいと思う。齢60歳の私は究極の果実を食べられないだろうが、それもよし。
posted by 武藤文雄 at 00:09| Comment(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする