まず2部リーグと3部リーグの違いと言う切り口。
ロッソの選手は、皆プロ選手との事だし、Jの経験も豊富な選手が多かった。そうなると、総論として2部の選手の総合力は高いだろうが、必ずしもそれほどの能力差がある訳でもない。典型例として、ロッソには昨シーズンまでベガルタでレギュラを張っていた森川がいた。ベガルタは昨期終了後、森川との契約を延長しなかったのだが、これはチーム全体の年齢層のバランスや、総人件費を考慮しての判断だったと推定される。言い換えれば、森川個人の能力が、ベガルタの選手より低い訳ではない。リーグのレベルの相違とはその程度のものなのだ。 しかし、レベル差が小さいと言っても、11対11となると総合的に戦闘能力差となってくる。さらに、上位のクラブは決定的な仕事のできるタレントを持ちやすいので、その差が顕著になる。ベガルタの場合、やはりボルジェスとロペスの個人能力は、ロッソとの大きな差だった
もっとも、「試合に向けた意欲」となると、下位クラブの方が強くなる可能性が高い。特に、ロッソのようにJリーグ入りを目指しているクラブは、天皇杯で上位進出する事は「宣伝効果」上も非常に大きい。JFLは残り9節あり、ロッソの本命は当然そちらなのだが、天皇杯で上位クラブに一泡吹かそうと言うのは、下位クラブとしては当然のモチベーションとなる。
と、グジャグジャ考えてみたのだが、試合は内容も結果も、まさにそのグジャグジャが具現化したものとなった。立ち上がりからロッソが意欲的にプレスをかけ、ベガルタがしのぐ展開。ベガルタにとって大きかったのは丸山の復帰。木谷と丸山のCBコンビは、安定と言う意味では非常に安心して見ていられる。こぼれ球を拾って、余裕があれば前線につなぎ、ないと見ると安全に試合を切る。このあたりの判断がよく、かつつまらないファウルをしないのもまたよい。そして、そうこうしているうちにサイド攻撃で揺さぶり、梁のシュートを詰めた磯崎が倒されてPK。ボルジェスが決めて先制した。
後半に入り序盤は、ベガルタの守備が修正され、両サイドで数的不利を作られないようにして、落ち着いて守っていた。この後半の早めの時間帯で、突き放す事ができれば上々なのだが、そうはいかないのが今期のベガルタ(いや、今期に限らないような気もしますが)。70分を過ぎたあたりから、逆にベガルタのチェックが甘くない、前半同様にロッソが再度攻勢をとってきた。ベガルタは木谷、丸山、千葉を軸に、ロッソの猛攻をいなして、何とか逃げ切った。
しかし、ベガルタの試合内容の悪さは一体何なのだ。第1、2クールの好調時には、ロペス、ボルジェスへの展開のほかに、菅井や梁や熊林の前進があり、非常にダイナミックな攻撃を見せくれていた。しかし、この試合では、後方の選手はロペスにボールを預ける事しか考えていないのではないかと言う、単調な攻撃ばかりだった。夏場の体力の苦しい時期に、楽なサッカーを指向してしまい、それでもロペスとボルジェスの個人能力で下位のチームには、それなりに勝ててきた事が、このシーズンも煮詰まった終盤戦で、利いてきているのかもしれない。残り試合は後僅か、厳しい勝ち点勘定、単調で安易な攻撃。確かに苦しい。でも、私はあきらめない。選手達が1つ考え方を変えれば、また質の高いサッカーができるはず。特に熊林と磯崎に期待したい。
そして、観客動員のひどさ。わずか6000人の観衆だったのかよ。いくら、天皇杯とは言え日本協会は、切符を売る算段をもっと、真剣に考えてやらなければ。大量のチケット販売は、各クラブのノウハウに任せるのが妥当なのに、ユアテックでのベガルタの試合も、自前で売ろうとするからあんな小観衆になってしまうのだ。自力で売れないならば、クラブに委託すればよいと思うのだが。また、この試合を熊本でロッソ主管で行うことができれば、また愉しかったと思うのだが。様々な改革が必要ではないかと言われる天皇杯だが、観客動員あるいは下位クラブのホームでの試合推進など、幾多の課題があるのだけはよくわかった。
まあ、色々文句を語ったが、仙台と熊本のプロクラブが戦う事そのものが、ほんの十数年前を思い起こすと凄い事だと思う。この「凄い事」が日本中に展開される事を望む。








