2006年12月31日

2006年10大ニュース

 2006年も色々とお付き合いありがとうございました。年末ですので、恒例の10大ニュースを述べさせていただきます。何とも言えない残念なワールドカップでした。でも、これが日本サッカー界にとっての経験なのでしょう。



1.川淵会長嘘の上塗り...ミ!ジ!メ!



 日本サッカーの長い歴史の中で、ワールドカップの1次リーグ敗退そのものは必ずしも大事件ではないし、代表監督の選考を過つのもそれほどの問題ではない。ジーコ氏の選考そのものは間違いだったが、だからと言ってあの感動的なアジアカップの再三の逆転劇や、コンフェデでブラジルに対し攻撃的サッカーで対抗し後一歩まで追い詰めた実績もあったのだ。ところが、ジーコ氏のワールドカップでの失態を見て慌てたのかもしれないが、ジーコ氏選考の過ちを覆い隠すための論理破綻の発言を繰り返す川淵会長。会長の論理破綻は当然ながら、田島氏以下の日本協会の小人物達に伝播している。

 さらに悪い事に、川淵会長は、そうやって嘘を塗り固めているうちに、外部から何を批判されているのか、顧客であるJリーグのサポータ達が自らのどのような言動に苛立っているのか、すら理解できなくなってしまっている。

 川淵会長の居座り以降僅か数ヶ月が経過しただけだが、アントラーズ内田のアジアユース出場問題や、反町氏の五輪代表監督進退問題など、状況によっては協会会長の判断が必要になるような事態が出来した。しかし、どこの誰が、このような見苦しい居座りをした男の判断を信用するだろうか。

 事態は極めて深刻なのだ。



2.自らが不適任者であった事を示すジーコ発言



 上記したが、ワールドカップに敗れた事そのものは仕方がない事だ。しかし、公式戦を戦うまで、豪州の選手に比べて自分が選んだ選手の肉体能力が劣る事に気がつかないのでは、代表監督としての能力がなかったとしか言いようがないではないか。

 以前も述べたけど、「ここまで無能だったとは」と言う言葉につきるのだろうか。

 もちろん、代表監督としてのジーコが日本に何も残さなかった訳ではない。上記したアジアカップやコンフェデ。マスカットオマーン戦やマナマバーレーン戦で、技術的に圧倒的優位にある日本が守備的に戦う事で、勝利の確率を極端に高めるやり方も、日本にとっては目新しかった。

 決して、何もできない男ではなかったのだ。ああ、でもしかし。

 やはり、アントラーズの実質監督時代と異なり、やる気がなかったのだろう。



3.次々に登場する若年層のファンタジスタ



 一昨日にも述べたのだが、本田、水野、梅崎、柏木、柿谷次々と現れる技巧派の若手が次々と登場。確かに、世界に近づけば近づくほど、アルゼンチンやブラジルとの差を痛感するよ、でも協会会長がどんなにバカでも、これだけのタレントが次々に登場するのだから、我々の若年層育成システムは素晴らしいのだ。

 それなのに、福島に学校を作ってしまう事はさておき。



4.牛木氏の連載が終わる



 サッカーマガジン(もう愛読書ではないけれど)が、ビジネスの都合で牛木氏の連載をお止めになるのは仕方がない事だと思う。彼らは彼らで商売があるのだから。

 しかし、今回のサッカーマガジン編集部の判断により、我々は数十年間享受できていた日本サッカー界に対する定期的な定点観測のコラムを失った。日本サッカー界は、迷った時に戻る場所を失ったのだ。

 



5.オシム氏代表監督就任



 ジーコ氏の失敗と川淵会長の失態に関連すると言えば関連するが、やはりこの東欧の巨人が我が代表の指揮を執る事を素直に喜びたい。就任僅かに4ヶ月の札幌サウジ戦で、早くもその手腕の片鱗を味わう事ができたのだし。



6.祖母井秀隆氏、欧州への挑戦



 しかし、オシム氏の代表監督選考プロセスは論外だった。「川淵さんとは仕事をしたくない」との名セリフを残し、祖母外氏は日本協会への協力を拒絶。さらに10年もの契約(これはこれで信じ難い長期契約だったのだが)を完了し、ジェフを去る事になった。

 ナビスコの2連覇は、十分な実績と言っても構わないだろう。

 これだけの実績を残した男である。当然ながら、国内の金満クラブへ移るのかと思ったが、驚いた事に欧州はグルノーブルへの移籍。もちろん、日系のスポンサ絡みである事は間違いないが、考えてみれば「日本人の選手以外のタレント」の欧州進出は、初めてではないのか。

 



7.破綻する日程、放置する日本協会



 ここ数年続くアジアチャンピオンズリーグでの早期敗退。オシム氏就任以降の日本代表の日程は最早「消化する事」のみが目的かのようだった。遠藤が病魔に襲われたのも異様な日程故のものとしか言い様がない。

 最早、日本のトップリーグの日程は破綻しているのだ。その破綻を放置し続けている日本協会の罪は重い。今こそ、勇気を持った英断「J1を16チームにする事」を行うべきだと思う。



8.ヴァンフォーレの1部残留



 予算が十分で無いクラブがJ1に昇格するのは難しい。しかし、J1を維持するのはもっと難しい。



9.横浜FCの1部昇格



 とは言え、予算が十分で無いクラブがJ1に昇格するのはやはり難しい。



10.ワールドカップだけダメだった中村俊輔



 あのコンフェデ以降の1年半、中村が調子を崩したのはあの1ヶ月だけだったのだな。はー。それ以外の素晴らしさへの喜びを味わえば味わうほど、あのドイツでもがいていた中村を思い出す。はー。



 レッズのリーグ優勝さらなるビッグクラブへの成長への期待については、もう1年待ってからの方がよいかなと思い敢えて外した。拡大トヨタカップでのバルセロナの芸術と苦杯の堪能。中田の離脱。平山騒動。五輪代表監督反町氏の迷走、など語りたい事は多いが選外とさせていただいた。

 この十数年、常に右肩上がりで来た日本サッカー界。たまには停滞する事があるのも仕方がないのだろう。でも、本質的には強力そのものの若手選手が登場しているのだから、問題は少ない。来年のアジアカップ、中村と松井と憲剛と本田と水野を自在に使い切り、カップを照れながら抱えるオシム爺さんが堪能できるはず。
posted by 武藤文雄 at 23:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 歴史

2006年12月30日

2006年ベストイレブン

 2006年のベストイレブンを編もうとすると、どうしてもあの消化不良のワールドカップへの複雑な想いに捉われてしまう。実に献身的にワールドカップを闘いながらサッカー界を去ってしまった中田。この1シーズン半あのワールドカップの期間中のみ調子を崩していた中村。過去3回のワールドカップで最も印象の薄いプレイしか残さなかった小野。PKストップを含め獅子奮迅の活躍をしながら肝心の場面でロングスローを取り損ねた川口。1人1人の選手のもがくような戦いは感動的ではあったが、チームとしてはおよそ感動的な戦いを見せてくれなかった。

 ベストイレブンを組もうとすると、あの大会でのジーコ、そして大会後の川淵両氏への怒りが沸いてくるのを押さえる事ができないのだ。



菅野孝憲

 横浜FCのJ1昇格の立役者。1対1への対応、ロングシュートへの対処、ロングボールへの的確な判断、主審の気持ちを読み切った時間稼ぎ、GKの技術面で文句の付けようのない選手となった。末長く、西川とA代表の守護神を争うのではなかろうか。もちろん、まずは川口を抜く事であるが。



阿部勇樹

 ジーコ時代の代表戦で、後半半ばに阿部が起用され長いボールで組み立て始めると、日本の攻撃が落ち着く事が再三あった。当然のようにオシム氏が代表監督に就任した以降は完全に代表のレギュラとなっている。闘莉王がアレな以上、今後日本代表の名実ともに中核的存在になるのは、やはり阿部なのかなと言う気がする。あの札幌サウジ戦の2点目の加地に通したサイドチェンジ(その後、加地と今野のダブルオーバラップ、今野のクロスから我那覇が決めたヤツ)にはシビれたね。来期の所属問題が喧しいが、個人的にはジェフに残って欲しいと思っているのだが、そのあたりは別途。



闘莉王

 何のかの言ってレッズリーグ制覇の立役者。特に最終ラインであれだけ強さと読みのよさ(強さだけでは、ああも敵の攻撃をはね返す事はできない)を見せてくれたのだから、昨シーズンの中澤の域に近づいている事は確か。あれだけ読めるのだから、もう少し守備の組織化を意識して欲しいところだ。さらに得意の攻撃参加だが、「突然、敵陣に登場する」方が効果的なのだから、もう少し静かに前進したらいかがだろうか。無理か。



中田浩二

 スイスのトップクラブで守備ラインの中核として活躍している。03、04年は代表に起用される度に見事なプレイを見せながら、ジーコの序列が全く上がらなかった。ワールドカップでも、中田浩二をもう少し巧く使っていればと思うのは私だけか。ジーコが無意味に代表試合の度に日本に呼ばなくなった以降、順調に活躍している選手の代表として選考しておきたい。



本田圭佑

 最近の本田圭佑はやはり凄い。唯一の問題は、どのポジションでプレイしていくかだ。



鈴木啓太

 オシム氏が最初に選考したメンバには入っていなかったが、今野の負傷と言うチャンスを見事に活かし、代表の定位置を確保した。レッズのリーグ制覇への貢献は言うまでもない。もっとも、今後水本あたりが代表に定着すると、今野が最終ラインから中盤に移って来るだろう。そうなった時の啓太と今野のポジション争いが愉しみなのだが。



中村憲剛

 憲剛を初めて認識したのは、04年シーズンのJ2だった。ベガルタ戦で鮮やかな個人技から得点を決めた後、ご丁寧にベガルタサポータに向けてガッツポーズを見せてくれたのが忘れ難い。あの頃から随分と出世したものだ。アジアカップ3連覇のカギを握る選手と見る。中村俊輔や松井が代表に戻った場合、本田や水野が代表に加わった場合、様々な状況で色々な仕事ができる能力はあるはず。



水野晃樹

 ナビスコカップ決勝戦に。



野沢拓也

 小笠原去りしアントラーズを見事に支えた。この選手に魅力を感じるのは、ミドルシュートの精度と巧さ。ワールドカップの列強と比較して、どうしても日本のシュートレンジは狭い。それを打ち破れる期待を持たせてくれるタレントだ。



前田遼一

 この男はFWでプレイすべき。これほど大柄で敵のプレッシャに持ちこたえながら、優雅な技巧でボールをさばけるFWは珍しい。ジュビロの前監督が、五輪代表時代に前田を執拗に中盤で(時にはあろう事かボランチで)起用して、良さをつぶそうとしていたが、よくもまあ耐え切ったものだ。この技巧を持ちながら、巻クラスの献身ができるようになれば。



播戸竜二

 やはり今年に関して言えば寿人ではなく播戸かなと。そして、現在の代表選手で腕章が一番似合いそうな雰囲気を持つ。
posted by 武藤文雄 at 23:59| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ

2006年12月29日

重厚な天皇杯決勝

 少々興奮している。

 戦力が充実し、Jリーグでも優勝を争ったチーム同士の重厚な決勝戦になったからだ。これほどの組み合わせになるのは、91−92年、92−93年シーズン2年連続で優勝を争った読売−日産(ヴェルディ−マリノス)以来ではなかろうか(この2つの決勝戦はいずれとも日本サッカー史に残る名勝負となった)。



 元々、天皇杯の決勝戦と言うのは、JSL時代も含め、必ずしも時のトップクラブ同士の決勝になる例は少なかった。これは一発勝負のトーナメント戦ゆえに強いクラブが必ずしも決勝に残るとは限らない事による。

 さらにJリーグ開幕以降、契約失効タイミングの関係で、多くのクラブは天皇杯開催中にも関わらず外国人選手が帰国するなど、ベストとは言えないメンバでの戦いを余儀なくされていた。そのため、一層番狂わせが発生する可能性が増えたのみならず、何かしら天皇杯決勝戦の格付けが落ちてしまった印象すらあった。

 結局、天皇杯の権威や盛り上がりをどうするかと言う問題は、天皇杯のみならず日本サッカー界全体の日程問題であり、これについて書き始めるとキリがないので別な機会に。ただ私の意見は、決勝の元日開催にこだわるのは、もうやめるべきだと言う事だ。日本の天候事情を考慮するとサッカーシーズンは春−秋(冬)制を採るげきだが、その場合元日の決勝は年間日程を非常に窮屈にしてしまうのが1つ目の理由。元日と言う日は多くの日本人が故郷で過ごす日でありタイトルマッチの決勝を行うには不適切な日である事が2つ目の理由。さらには当日のTV番組は正月特番であり、翌日は新聞休刊日である事から天皇杯優勝報道のマスコミ露出が非常に少なくなる事が3番目の理由だ。伝統やノスタルジーと言う観点から、元日の決勝開催を推す意見もあるようだが、非常に根拠の薄い考え方だと思う。



 さて、準決勝。

 レッズ−アントラーズ。煮詰まったタイトルマッチらしく、両軍守備を固めての攻防。それぞれ敵陣をこじ開けたのは、小野、ポンテ、野沢と言った卓越した個人技の持ち主だったのが、いかにもタフなタイトルマッチらしかった。ワシントン、闘莉王、アレックスと3枚も大駒を欠きながらも、小野とポンテと言う大駒で勝ち抜くのだから恐れ入る。小野については、ボールの触る頻度にはまだまだ不満が残るが、相当体調は戻ってきたようだ。あの先制点を見せられては注文の付けようがないではないか。この天皇杯が「小野が復活した大会」と呼ばれるかどうか、決勝を待ちたい。

 アントラーズは野沢の成長が大きい。同点弾のFKを含め、本人も攻撃のリーダとして相当自信をつけており、小笠原不在を感じさせなかった。本山も元気だし、岩政、内田、深井、田代、新井場、増田(この日増田を使っていれば、もう少し野沢が前を向いて楽にプレイできていたように思うのだが)など日本人選手の質は、相変わらずリーグのトップレベルだろう。けれども、このクラブの最近のブラジル人がほとんど今一歩なのだ。ジーコ招聘以来、ブラジルとのコネクションは強いと思うのだが。そういう意味ではアレックス・ミネイロは久々のヒットだったのだけれども。



 ガンバ−コンサドーレ。試合運びの巧拙で勝負がついてしまった。

 ガンバの先制弾は、自陣前でコンサドーレに好位置での直接FKを与えてしまった直後の事。砂川のFKを壁で跳ね返した直後の速攻。マグノ・アウベスと前田の前進の速さ、さらに後方から長躯する加地。まさに攻守の切替の早さの差が出た場面だった。また2点目はどう考えてもオフサイドだろうけれど、あそこは笛が鳴っていないのだから冷静にプレイを続けた宮本を褒めるべきだろう。いずれの場面も、セットプレイ直後のほんのちょっとした隙に対する対応が1部と2部の差と言う事か(同じような差を、拡大トヨタカップのインテルナショナルとアル・アハリにも感じたのだが)。



 ガンバはシジクレイが控えに下がっているが(体調不良だろうか)、実質的には決勝にはベストメンバで臨める。一方のレッズはワシントン、闘莉王、アレックス不在にも関わらず、決勝では長谷部が復活する事で中盤の選手選考に嬉しい悩みを抱える程の選手層を誇る。宮本とブッフバルド氏それぞれの最後の試合となると言う両軍の思い入れを含め、舞台は整った。

 ガンバはレッズからある程度得点は期待できると思う。遠藤、二川が好調で、播戸、マグノ・アウベスの得点力は相当だからだ。勝負は、宮本、明神が網を張る守備網と、ポンテ、小野の技巧と発想による攻撃と、いずれが上回るかで決まるのではなかろうか。

 歴史的な名勝負を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:25| Comment(6) | TrackBack(0) | Jリーグ

2006年12月28日

ファンタジスタを生み出す国

 ダラダラとサボっているうちに、すっかり年の瀬になってしまった。色々あった1年だったが、全体を振り返るのは毎年のように30日、31日に行いたいと思う。

 今日講釈を垂れたいのは、今年日本サッカー界に若きファンタジスタ(いや呼び方はエキストラキッカでも何でもよいです、要は技巧的で創造的な攻撃の名手の事)が次々に登場した(しつつある)と言う事。



 散々反町氏に毒を吐いたアジア大会。反町監督の手腕に多々疑問は残ったが、本田圭佑が凄かった事だけは間違いない。パキスタン戦のいきなりの先制FKで度肝を抜き、シリア戦では平山に完璧なクロスを合わせ、北朝鮮戦は先制された直後に増田に完璧なスルーパスを通し一柳へのアシストを演出。北朝鮮戦はその後も、苦しい状況で幾度と無く好機を演出した。

 一方、日本協会の不可思議な選考基準からアジア大会のメンバ外になった水野晃樹。水野不在でアジア大会に臨む事そのものがスキャンダルと言ってもよい程シーズン終盤は充実していた。あのナビスコの「水野晃樹の決勝戦」、そしてあの国立の韓国戦、幾度と無く右サイドをえぐり続けた水野。

 決勝がちょっと悔しかったアジアユース。大会前からJで猛威を振るっていた梅崎には相当な期待がかかっていた。技巧で屈強な守備者を抜き去るタイミングを完全にものしたこのこの若者は、そのドリブルへの自信(と言うか確信と言うか)から、次々に変化ある攻撃をJで見せてくれていたからだ。そして迎えたアジアユース、梅崎の出来はそう悪くは無かったのが、やや印象が薄くなってしまった。

 それは、この大会ではあまりに柏木が充実していたからだ。独特のテンポのドリブルから落ち着いたパス、正確なヒールキックで見事にゲームを作った。あげく、決勝では強引なドリブルから強烈な得点も決めた。この2人が来年のワールドユースで世界相手に、どのような技巧と発想を見せてくれるか。

 そして、柿谷。あのアジアジュニアユース決勝戦でのプレイ。何かこう、論評すら無意味な印象を持たせてくれたプレイの数々。組織がどうだ、駆け引きがどうだ、と言う事以前に圧倒的な個人能力で北朝鮮を叩きのめしてくれた。この若者も来年は世界が待っている。



 よく、小野たちの世代は「黄金世代」と呼ばれていた。この「黄金世代」と言う表現にはには2つの意味があったように思う。1つはワールドユースで準優勝した世代の事を示す意味。つまり、この年代の選手達には、小野を筆頭に高原、稲本らワールドユース直後に一気にA代表まで昇格した選手が多く、他の世代よりも質量とも優れた選手が多いと言う見方だ。

 もう1つは、少し世代の幅を広げていわゆるシドニー五輪世代には、中田、中村、小野、小笠原と言った所謂ファンタジスタ系の選手が多かったと言う見方もあったように思う。以降の世代に決定的なその手の選手がなかなか出てこなかった事もあり(唯一の例外は松井だろうか)、結果的に現在20代後半の世代が、日本サッカー界の1つのピークと言う雰囲気があった。そしてその貴重な世代のワールドカップを川淵とジーコによって台無しにされた悔しさが、今年の日本サッカー界には漂っていた。



 しかし、日本のサッカーは短期的に代表監督の選考を誤ったり、協会会長が訳の分からない理屈をこね回して居座っても、ビクともしない堅牢な若手育成システムが確立しているようだ。本田、水野、梅崎、柏木、柿谷と言った前途有為なタレントが次々に登場するのだから。彼らがこれから順調に成長できるかどうかはわからない。また、オシム氏が常日頃語るように、彼らだけでは強いチームは作れず、彼らに献身する優秀な人材の育成も不可欠だ。さらには彼らが作った好機を敵陣に叩き込むストライカの育成(いやストライカと言うポジションは、他のポジション以上に育成するものではなく登場するものかもしれないが)も必須だろう。

 とは言え、これだけの逸材が次々に登場した2006年は、それはそれで悪くなかった年だったと振り返ってもバチは当たるまい。
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(11) | TrackBack(0) | 若年層

2006年12月27日

拡大トヨタカップ

 すっかり更新をサボってしまい申し訳ありません。色々ありまして。とりあえず復帰いたします。すっかりタイミングを逃した感がありますが、まずは拡大トヨタカップ総評から。



 すばらしい大会だった。唯一悔いが残るのはいくつかの事情で3位決定戦を見られずアル・アハリを見損ねた事。大会前から都合でインテルナショナルの準決勝観戦はあきらめていたのだが、チケットを持ちながらの3決回避は今でも悔しい。

 しかし、そのような無念さを完全に吹き飛ばすような、実に見事な決勝戦だった。さらに、その決勝戦は試合そのものもトヨタカップの中でも高いレベルにあったのみならず、準決勝でのバルセロナの大爆発と言う伏線を見る事ができたので、一層色鮮やかなものになった。



 決勝のインテルナショナル。3FWのバルセロナに対して、4番のエレールを余らせて4DFでマンマーク。さらに所謂ブラジル風のドイスボランチの4MFが、左右にスライドしながらバルセロナMFにまとわり付く。ロナウジーニョについていた2番のセアラが攻め上がると、必ず8番のエジーニョが守備ラインに引き自陣の数的優位を崩さない。さらにザンブロッタが上がってくると、ジュリについていた15番(左バック)のカルドーソが巧みに3番のインディオにジュリを任せ自分がザンブロッタを押さえに行く(同時に中央と右サイドのDFが全体にずれてマークは崩れない)。この時カルドーソが、受け渡し直前にインディオに対し片手を上げてタイミングを取る仕草が何とも美しい。

 しかもインテルナショナルは、ただ守りを固めている訳ではない。ボールをよい位置で奪うや、2トップにもう1人が必ず絡み鋭いカウンタを狙う。常にカウンタを狙う事で、バルセロナが2CBとボランチのモッタが前進しづらくする事に成功した。ただし、インテルナショナルの逆襲で面白いのは後方に必ず人数を最低6人は残す事、結果的に間延びしたラインになり、悪い位置でボールを奪われると逆にバルセロナの速攻に脅かされる事になった。しかし、どうやらそのリスクは覚悟の上だったようだ。それでも最終ラインに人数を残し、自陣前で跳ね返す事に専念する守備を選択すると決めていたのだろう。実際、ギリギリのところで守備は崩れなかった。

 この鮮やかな守備と、執拗なカウンタを継続する試合を観て、つくづく「ブラジルは凄い」と改めて思った。ブラジルのトッププレイヤの多くは海外でプレイしている。ロナウジーニョやロナウドのような超トップクラスはもちろん、Jリーグで戦っているブラジル人選手のレベルも相当なものだ。けれども、あれだけの人材を輸出しながらも、国内のクラブにはこれだけ質の高いサッカーができる選手が十分いるのだ。それでも、去年のサンパウロは、まだシシーニョとかジュニオールとかアモローゾとか、私でも知っている人材がいたのだが、今大会のインテルナショナルで知っている選手はほとんどいない。試合後、イアルレイを思い出したくらいだ。



 一方のバルセロナ。

 準決勝は凄かった。幸運にも、後半大差がついてロナウジーニョとデコを中心に、バルセロナが奔放な攻撃を見せた側のゴール裏で観戦していた。もうバルセロナの3点目(ジュリが完全にフリーから打ったのをGKがこぼしたのを例のロナウジーニョのアレ)、4点目(抜き損ねたロナウジーニョが方針を変更して後ろを向いてデコに渡し、同時にシュートコースを空けて決めさせたヤツ)、以降ロナウジーニョがトップに残り、デコと共に、仲間を使いながら次々に見せてくれた芸術。「駆け引きがどうだ」とか「勝負のアヤがどうだ」と、普段講釈を垂れている事のむなしさを感じさせてくれる美しさ。サッカーの必勝法は巧いヤツを集める事がまず第一歩と言う当たり前の事を認識させてくれた。

 毎週、バルセロナの攻撃はTV映像で愉しむ事ができる。しかし、ゴール裏であの猛攻を生観戦すると改めて発見できる事が多数ある。中でも感心したのはロナウジーニョのDFの足先ギリギリを通すパスの巧さ。巧みなドリブルでDFの動かして、狙っている足に体重ががかかった瞬間にその横を通すのだろうが、ここまで理屈どおりに巧くやれるのだから恐れいる。

 ロナウジーニョとデコと言う大駒2人の周りを、技巧的で勤勉な選手が動き回っての美しいサッカーを堪能できた(もっとも、あれにメッシとエトーが加わるのが本来の姿なのだな)。試合後、一緒に観戦した少年チームのコーチ仲間の友人と「いや、よいものを見せてもらった。子ども達も連れてきたかったな」と試合を振り返るのがまた愉しい試合だった。



 そして決勝のバルセロナ。

 インテルナショナルの分厚い守りに悩まされながらも、幾度か好機を掴むが崩しきれずに前半を終える。ライカールト氏としては、どこかで無理をして攻めかけたいところだったのだろう。そして、そのタイミングが後半開始早々が一番よいように思っていた。ところが、何とした事か、ザンブロッタが負傷すると言う不運、ハーフタイムに守備ラインで交代を1枚使う事になってしまった。これにより、後半開始早々も落ち着いた入りをせざるを得なくなった。

 後半も押し気味に進めるバルセロナだが、インテルナショナルの守備は相当厚く、どうしても崩しきれない。後半半ばにシャビをを起用するも、結果的にはイニエスタが中盤の最後尾に下がってしまい、飛び出す手数が減ってしまった感もあった。さらに結果的にデコも前掛りになってしまい、よい体勢で前向きにボールを受ける場面が少なくなったように思えた。加えて、やや焦れてきたか、ロナウジーニョが引き気味の位置取りになってしまい、攻めあぐねが継続する。

 そして、そうこうしているうちに、鮮やかな逆襲速攻からやられてしまった。しかし、あの場面のプジョルはないだろう。2対2、さらに敵が1枚後方からフォローしてきている状態で、守備者が先に仕掛けてしまっては話にならない。イアルレイもアドリアーノ3号も素晴らしかったが、やはりあれはプジョルの自滅と記憶すべきゴールと言うべきではないか。非常に乱暴な感想だが、あのプジョルのプレイを見て、スペインがどうしてもワールドカップで上位に進めない要因を見たか感すらある。

 非常に苦しくなったバルセロナだが、まだ時間は10分あった。延長を考えて残しておいた「最後の交代カード」を切り、捨て身の猛攻に出るべきなのだが、何か落ち着かない。エスケーロが投入されのは、失点後6分も経ってからだったし、選手達も焦りから上滑りのプレイが続いた。インテルナショナルがいやらしくタッチ沿いでキープしているプレイに、あれだけ苛立ってつまらないファウルをする事などは、「もはや、あきらめてしまったのか」と思わせる程、トッププロとは信じ難い場面だった。

 ベンチのライカールト氏もニースケンス氏も、なすすべなし。ここでピッチ上に必要だったのは、現役時代の2人のように、冷静にあきらめず卓越したフィジカルで身を粉にしてクライフやファン・バステンに尽くすために戦い続けるプレイだったはずなのだ。しかし、この日2人が選択したプレイヤのいずれも、そのような発想でロナウジーニョに尽くすプレイはしてくれなかった。ここでもザンブロッタの負傷退場が痛かったと言う事か。



 まあ、そうは言っても、称えるべきはインテルナショナルの90分間継続した完璧な守備である事は言うまでもない。試合後、一緒に観戦した少年チームのコーチ仲間の友人と「いや、よいものを見せてもらった。子ども達には全く理解できないだろうけれど」と試合を振り返るのがまた愉しい試合だった。



 拡大トヨタカップに関して、私は完全な野次馬である。野次馬である以上は、サッカーがサッカーとして愉しめればそれでよい。たとえTV中継の演出が酷かろうが、バカな実況にフィルタリングをする事くらいは朝飯前だし、よい映像が流れてくればそれで十分だ(いつか、ベガルタが登場し、野次馬で無くなる日を心底愉しみにしているが)。

 よい大会だった。巷にこの拡大トヨタカップの改善案を検討する動きがあるようだ。私はそうは思わない。もう、これ以上の大会形式は考えられないように思う。欧州を含め、世界中試合の日程はもうこれ以上試合数が増やせない程になっている。その状況で、この大会の出場チーム数を8に増やすなど愚の骨頂だ。またオセアニアのレベルがいかに低かろうが、世界中のクラブがこの大会につながらなければ意味がない。予備予選にしたって、もし日本のトップクラブがそれに対応しようとした瞬間の日程破綻を考えればあり得ない選択だろう。地元枠が論外なのは言うまでもない。とすれば、現状の開催方法は現時点では最適と言えるだろう。唯一の問題は、チケットの異様な高値だけである。

 トヨタと言う世界的企業のおかげで我々は過去30年近く、クラブの世界一決定戦を生で堪能し続けてきた。そして、美しいバルセロナと、完全にインテルナショナルにしてやられるバルセロナの両方を堪能してしまった以上、トヨタカップの拡大は大成功だったと言わざるを得ない。いくらブラッターと川淵が嫌いでも、この2試合を堪能できて文句を言う筋合いは一切ない。昨年より拡大したこの大会が、未来も生で堪能できればこれほど嬉しい事はない。しかし、この大会が他国に行ってしまったら、それはそれで仕方が無い事だ。新たな開催国の、私のようなサッカー狂が堪能するだけの事だろう。
posted by 武藤文雄 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外

2006年12月20日

原博実

 エルゴラッソ12月20日号発売号に掲載いただいた、原博実に関する文章です。

 この文章にも書きましたが、80年代敵地に観戦に行って、幾度ストライカ原に歓喜を提供してもらった事でしょうか。ストライカとしての結果のみならず、その努力の過程が忘れ難い選手です。


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posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 旧作

2006年12月12日

存在そのものが難しい大会だが

 試合は期待通り面白かった。

 いかにもメキシコの選手らしいバネの利いたパスワーク。アメリカの3トップは、左からクラウディオ・ロペス、カバニャス、ブランコと名の知れた各国の代表選手が並び、3人のスタイルがそれぞれ異なるから面白い。左のC・ロペスが常に張り出し、カバニャスとブランコの2人が左右の関係を維持しながら上下の位置を切替えてスペースを作りながら好機を演出する。そうこうして右サイドからブランコが狙い済ましたカーブのクロスを入れて、C・ロペスがフリーで抜け出しながらヒール気味のシュートを浮かせてしまった場面。MFのファビアーノ・ペレイラのヒールキックから右バックのカストロがオーバラップ、カストロがカバジャスとのワンツーを狙ったところで、カバジャスがさらに大外に上がってきた(この攻撃の起点だった)F・ペレイラを使い全くのフリーにした場面(F・ペレイラのシュートはニアの枠外へ)。いずれも見事な攻撃。

 対して韓国は崔眞xを軸に中央の4人が、いかにも韓国らしく粘り強くよく守る。C・ロペスはお年のせいか、やや切れがなくなったようにも見えたが、ギリギリで身体を寄せてくる全北守備陣が最後で自由にさせなかったとも見えた。ちなみに守備的MFの金鉉洙は、この試合のCBを務めていた金鉉洙と同一人物なのだろうか。詳しい人いたら教えてください。そして全北の攻撃は、大柄で突破力のあるゼ・カルロスをトップにおき、空中戦の強い王淨鉉(しかし前半で交代してしまった)、その代わりに出てきたちょっとしたタメの巧いボティ、セットプレイでカーブのかかった強いボールを蹴る事ができる金炯犯などが、よいプレイを見せる。アメリカに比べると不正確だが長いボールを使い、受け手が強引に前に持ち出して攻め込むあたりも韓国らしい。

 かくして、ややアメリカが優勢だが、両軍ともシュートがほとんど枠に行かず、後半も半ばを過ぎ延長の風情も高まってきた。「寒いけれど面白い試合だから延長も悪くないか」と、坊主と話していたら、とうとうアメリカが先制した。セットプレイ崩れからアメリカが攻め直す、中盤から深いクロスが右に開いていたカバジャスに出る間、攻撃に参加しそのまま残っていたCBロハスは全北のDFと凄まじい位置取りの争いをしていた。カバジャスが持ち出したところで、この位置取りに勝ちかけたロハス、しかしDF(右バックの田廣煥だったと思うが確認し損ねた)もよく身体を寄せていた。ここで、カバジャスは意表をついて低く強いセンタリング、そのため意表をつかれたDFは完全にバランスを崩し身体を離してしまう。ロハスはそのため、完全に一歩前に出る事ができ、足が絡まりながらもボールになだれ込んで押し込むのに成功した。終盤の好機に勇気を持って敵陣に居座り続け得点を狙ったロハスの執念と、カバジャスの見事なアイデアが結実した得点だった。

 ガンバが全北に負けた試合は映像でも見ていないが、この日の試合を見た限りでは全北の代わりにJ1の強豪クラブが出ていても、十分にやれたと思う。これはこれで、このような悔しさは持ち続けるべきなのだろう。



 と言う事で中々愉しめた試合。

 先日述べたように、坊主と私は「今後の活動に向けた研修の場」と言う事で無料の観戦(研修観戦は本人の他に同伴者1名も無料観戦が可能)。周囲にも「いかにもサッカーのコーチをしています」と言う雰囲気の中年のオッサンと、グラウンドコートを着ている少年の組み合わせが多数いた。私同様毎週末サッカーと子ども達に遊んでもらっている父親が、研修観戦を堪能したと言う事か。ありがたい事だ。

 けれども、やはり本当にこれでよいのかとなると疑問。今日、青山門で研修観戦案内ハガキを提示してもらったチケットは何とカテゴリー2。バックスタンド、ゴールラインやや後ろの5000円の席だ。当然、2000円のゴール裏だと思っていたのに。まあ、TV映りを考えて、バックスタンドの空いているあたりの席を、招待席にしたのだろう。

 いや、悪くない席で親子で無料でタフな国際試合を堪能させていただいた訳です。文句を言ったらバチがあたるのは、よくわかっています。

 けれども、このような不自然な方策は長く続かないように思える。この試合の前売券を事前に購入していた方がどのようなお考えだったのかは全く想像できないが、やはり商売としては拙いのではないか。

 結局チケットの売れ行きと言う問題に帰着し、この大会の存在意義にまで話は遡るのだろう。元々、不定期開催を余儀なくされていたワールドクラブカップが、トヨタがスポンサになった事で日本での一発勝負となり、世界に定着した経緯を思い出してみよう。今ほど世界のサッカーが過密日程で悩んでいなかった70年代ですら、既に南米チャンピオンと欧州チャンピオンはH&Aで戦う日程を確保するのが難しかったのだ(ご承知のように不定期開催だったのは、日程調整問題以外にも多数の問題があったのだが、それはまた別途)。

 まして、今日これ以上大会期間を長くする事(あるいは欧州チャンピオンを長く拘束する事)が現実的とは思えない。その中で、ベガルタ仙台に「いつか世界一を目指す」と言う目的意識を持たせてくれるこの貴重な大会をいかに育てていくか。中々妙案が出ないものだ。

 とりあえずは、坊主と2人で無料観戦させていただいた事が、結果論としてプラスにはたらく事を望むものである。
posted by 武藤文雄 at 23:10| Comment(5) | TrackBack(0) | 海外

2006年12月09日

06年入替戦に感動して

 凄い試合だった。



 後半60分の先制点。三浦アツのクロスが3本続いた。(ヴィッセルから見た)右サイドのFK。その直後の左サイドからのCK。そして、そのCK直後のクロス。ゴール前には北本と近藤の2人だけ。アビスパのDFは4人。北本はよいジャンプをしたが、3人のDFが北本にまとわりつき、一歩前に出てクリア。ところが、そのクリアが近藤のところに飛んでしまった。3回続いたクロスボール、DFの数は揃っていたのだが、ヴィッセルの連続攻撃への対応のため、バランスが崩れてしまった。それにしても、クリアがちょうど近藤のところに飛んでしまったのは、序盤から戦いまくった近藤へのプレゼントだったのだろうか。



 その後のアビスパの連続攻撃。古賀と田中の福岡出身の両翼が左右をぐる猛攻。人数をかけた分厚い攻め。さらにこぼれたボールをキッチリと拾うホベルトの知性。完全にラインを押し下げられてしまい、アビスパの猛攻にさらされながらも、忠実なポジショニングで跳ね返すヴィッセルの守備。もうこうなって来ると、「何がよい、何が悪い」の世界ではない。「誰が勝つ、誰が負ける」と言うか、いや「何が起こるか、起こらないか」と言う域であろうか。

 あの終盤のアビスパの猛攻が、ゴールに入るか入らないかについて、どうこう論評しても意味がないだろう。結果として入らなかったのだ。



 両軍の死力振り絞った死闘、主審の西村雄一氏もよく試合をまとめたと思う。

 ただ、疑問が残ったのは唯一、後半81分の朴康造時の見苦しい交代劇。見事としか言い様のない180分間で、あの場面だけは残念だった。朴は時間稼ぎするならば、もっと巧くやらなければ。交代が指名された後に、フィールド内で靴紐を結び直し、その後全く走らないで退場する見苦しさ。あそこまで演劇性のない振る舞いには、ガッカリさせられた。あまりにレベルの低い時間稼ぎは、この心打たれる180分間の最大の汚点となった。あのような質の低い時間稼ぎに対しては、西村氏は朴を退場させるべきだった。靴紐の結び直しを始めた時にまず警告。その後の明らかな遅延行為にもう1つ警告。



 このような試合を体験した両クラブの関係者に感謝、そして羨望。



 ともあれ、ヴィッセルは全てを掴み、アビスパは全てを失った。この不公平さがたまらない。
posted by 武藤文雄 at 23:51| Comment(5) | TrackBack(0) | Jリーグ

2006年12月07日

研修観戦招待受領の件

 一昨日帰宅すると、日本協会からハガキが来ていた。もちろん、協会会長に対する名誉毀損に関する内容証明付き郵便ではなかった。来週行われる拡大トヨタカップの1回戦の全北現代対アメリカ戦及び、5,6位決定戦への招待状。曰く
世界最高峰の本大会において、今後の活動に向けた研修の場として、開催地の近隣県の登録審判員や指導者の皆様に、無料でご観戦頂く機会を提供させて頂くことと致しました(一部意訳)。
との事だ。

 まあ、この大会のチケットの売れ行きについて云々言うのは野暮と言うものだろう。実際、決勝戦にしても、ロナウジーニョ出場が確定している準決勝にしても(怪我さえなければだが)、現時点でまだチケットが余っていると言うが、あの価格設定では仕方がないだろう。ただ、この件について日本協会を揶揄する気は無い。どうやら価格設定は胴元のFIFAの判断らしいからだ。そして、毎年日本開催を継続したい日本協会としては、タダ券を配ってもスタンドを埋めて、「大会成功」をアピールしたいのだろう。日本協会もつらい。ここは私も協力したい、と言う事で月曜定時退社を目指すのだが。

 もっとも、決勝チケットが売り切れになるのかどうかは興味深い。広告代理店は叡智を振り絞ってこれからの完売を目指すのだろうが、もし決勝スタンドがガラガラになったらどうなるか。来年の拡大トヨタカップは敢え無く他国に取られてしまうのか、それとも来年のチケット代が適正に下がるのか。後者だったら嬉しい事この上ないが、前者はとても残念。

 考えてみれば面白い、4年前のワールドカップでは全試合チケット売り切れになったのだが、同じ日本で行われるクラブの世界大会ではチケットは余るんだな。これが正しいか、おかしいかについては、何とも言えないが。もっとも4年前のワールドカップでチケットが余っていた国もあったけれど。

 とは言え、冷静に考えてみれば、「全北対アメリカが『タダ』で見られる」って言うのは凄い贅沢な娯楽だ。韓国とメキシコのトップクラブが本気で戦う試合って、相当面白いと思うのだが。拡大トヨタカップの1回戦は、アジア、アフリカ、北アメリカ、オセアニアの4クラブの戦いとなる。オセアニアのクラブの力が格段に落ちるのは明らか(昨シーズンのカズとヨークの奮戦は面白かったが、チームとしての戦闘能力には、明らかに限界があった)。とすれば、オセアニアが絡まない1回戦が注目の的になる。ところが、たまたま去年はアラブ同士のアル・アハリとアル・イテハドと言うやや似たタイプのチームとなってしまったので、興味としては今一歩だった(もちろん、このアラブの2強国のサッカースタイルの相違は、それはそれで愉しめたのだが)。全北対アメリカは、サッカースタイルが全く異なる国同士の対戦。正に国際試合と言う面白さが堪能できそうではないか。しかも「ああ、どうして日本のクラブがここにいないのだ」と言う悔しさをチクチクと感じながら。

 98年フランス、あのトゥルーズのアルゼンチン戦を前日に控えた異様高揚感を味わいながら、リヨンで見た韓国−メキシコを思い出したりして。河錫舟の直接FKと直後の退場、後半1人少ないのに無理して勝ちに行った車範恨氏の自滅。



 と、ここまで書いてきてふと思った。

 いっそ、この試合は全北のホームタウンでやったらどうだろう(そうなるとこの試合が観られなくて困るけれど)。不利になるアメリカ側は怒るだろうけれど、それはまあ入場料収入増大の分を回せば落としどころは見つかるだろうし。前もってこの試合のチケットを買っていた人が何人いるかは知らないが(チケット発売は全北の出場が決まるよりもずっと前だった)、払い戻しさえすればさほど問題にならないのでないか。

 でもなあ、Kリーグの観客動員を考ると、まだ国立でやった方が客が入るのかもしれないな。鄭夢周氏もそのあたりわかっていて、こっちに押し付けているのかもしれないな。

 まあいいや、指導者、審判の皆様、月曜日の国立で会いましょう。
posted by 武藤文雄 at 22:10| Comment(5) | TrackBack(1) | 海外

残念だが反町氏は辞任すべき

 確かに北朝鮮はよいチームだった。得意の速い攻めで日本DFの裏をあきらめずに狙い、日本ボールになってからも執拗に身体を寄せてきた。日本の攻撃を跳ね返した直後も集中を切らさずにセカンドボールをよく拾った。日本より年齢が高いのみならず、オーバエージも使っていた。

 この北朝鮮に負けた事そのものは、悔しいし残念だが、仕方が無い事とも言える。いや、むしろ北朝鮮が国際試合を意味不明に辞退する悪癖がなくなり、東アジアで日韓に続くと言うよりも並びかける存在になりつつあるとも解釈できる。

 日本の敗因も若さを露呈したものだった。あれだけ頻繁に、ペナルティエリア近傍で見え見えのファウルで止めてしまう粘りのなさ(あるいは、自陣近くにも関わらず、敵に先手を取られてしまう準備の悪さ)。完全に揺さぶっていながら、北朝鮮の苦し紛れのクリアを拾えない、先読みの悪さ。肝心な場面で見せるオフサイド、ファウルスローなどのつまらない反則。試合終盤、チーム全体としてどう攻めるかと言う色が見えなかったのも、若さゆえだろう。



 けれども、この事態を招いたのは間違いなく反町氏だ。

 大会前、中国、韓国とH&Aの格好の準備試合があった。そのうち、最も貴重な経験になるはずの敵地韓国戦は「二軍対応」。そして、それ以外の3試合は、青山敏、増田、梶山の中央3人のみ固定し、後の選手は入れ替わり立ち替わり。Jで実績を上げている谷口、枝村、家長、そして水野までも二軍扱い。さらに「『ベスト』で臨む」と言いながら、国立韓国戦は敵地で凡庸なプレイをみせた千葉を引っ張る。ユースで実績を挙げている福元、梅崎、柏木よりも、高校生の乾を優先させた選考。試合ごとにクルクル変わるキャプテン。さらには、アジア大会は「1クラブ1名」と言う縛りをかける自主規制。

 この日の采配も意図不明が多過ぎる。水本の交代は、おそらく負傷によるものだろうが、せっかく本田圭と家長の両翼が利いていたのに、わざわざ家長を後方に下げたため、せっかく前半の半ばから完全に押し込んでいたのに、逆に攻め込まれる時間帯を増やしてしまった。しかも、この交代で谷口が完全に前に上がってしまったのも攻撃を単調にした要因(谷口の良さは後方から長躯前線に進出して点を取る事にある、最初から前にいたら魅力半減)。2−1に突き放された後も交代が遅い。さらに前田俊介の起用意図が不明。カレンの交代は遅過ぎる。そして、試合が煮詰まった試合終盤、誰に何を期待して攻撃に行くのかも、はっきりと指示しているようには見えなかった。



 これらは、野次馬から見れば「どうかと思う」采配だ。けれども、「どうかと思う」采配でも、最後に帳尻を合わせれば、それはそれでよい。また結果がでなくとも「整然とした意思」が感じられる采配ならば、最後に帳尻が合わなくとも、(悔しい事は悔しいかもしれないが)理解はできる。

 大変残念ながら、今回の日本の敗退には、いずれもが感じられなかった。



 反町氏は、手にした豊富な玩具のどれをどう使ってよいか把握しきれず、面白がっているうちに負けてしまったのだ。



 我々にとって反町氏は正に「大事な男」だ。アルビレックスをここまで育ててきたチームマネージメントを含めた卓越した能力は、近い将来も遠い将来も日本サッカー界にとっては極めて重要な存在だ。だからこそ、ここは潔い決断を求めたい。

 そして、必ずや捲土重来を。



(追記、06年12月7日)

 私が言いたい事は、反町氏が自ら「辞任」すべきだと言う事だけで、日本協会が「解任」すべきと言う事ではありません。日本協会サイドから見た場合、五輪や2010年へのつなぎと言う意味で「反町氏継続が妥当」と言う考えは、明らかに正論でしょう。いや、私も「解任」すべきではないと思います。北朝鮮は強かったし、アジア大会は最終目的ではないのですから。

 また、反町氏が「辞任」を表明したときに、日本協会は「慰留」すべきかどうか。これは、代表監督としてのオシム氏の意向も含め検討すべき事で、「慰留」は十分ありでしょう。私が協会首脳だとしても(笑)「慰留」したいくらいです。



 このようなケースこそ、協会会長の最終判断は重要です。その協会会長が自らの人事問題で醜い言動を繰り返したために、最終判断を誰も信頼できないのですから、現在の状況は極めて深刻なものがあります。
posted by 武藤文雄 at 03:00| Comment(23) | TrackBack(5) | 五輪