さて、アジアカップに向かう23人が発表された。30人の予備登録メンバから外れたのは、直前に負傷した闘莉王と水本、GKの西部の他、伊野波、本田圭祐、家長の五輪組、そして前田遼一だった。こう並べてみると、いささか意外な落選は前田遼一くらいか。一方で、前田のチームメートの太田が選考された。この対比を考えてみた。
前田と言う選手は、技巧的なFWながら、トリッキーなプレイは好まず、むしろしっかりと最前線でボールを収める事ができるのが最大の長所。大柄でしかも80kgの体重で、あれだけしなやかで技巧的なプレイをできるのだから、敵DFの厳しいタックルにも耐えられようと言うもの。しかも、鼻が利くと言うのだろうか、敵陣前で独特の臭覚からしっかりと好機を掴み、正確なシュート力から点を取ってしまうのも魅力的な選手だ。
前節のフロンターレ−ジュビロを生観戦したのだが、前田は2得点を決めているが、いずれの得点も、前田が凄いプレイをしたと言うよりは、流れの中で「絶好機が前田にたまたま訪れた」と言う印象のものだった。もちろん、「たまたま」の場所に顔を出せるのは、その選手の判断力と献身性の賜物である。そして、その好機を着実に得点に結びつけるのは、その選手の技巧が優れているからだ。
さて、このアジアカップの日本代表において、前田の特長とバッティングする選手は誰かと考えてみる。それはエースの高原なのではないか。結果的に前田のライバルとなった巻、矢野、播戸、寿人の4人は少なくとも、高原とは全く異なる個性を持っている。しかし、現時点での前田の特長は、高原でカバーされると爺さんは考えたのではないだろうか。無論、前田の負傷からの回復がもう少し早く、高原を含めた他の選手との連携を磨く時間がもう少し長ければ、連携による新たな前田の特長発揮と言う選択肢もあったのだろうが。
そう考えてくると、前田の不運は、自クラブの先輩でもある高原の絶好調さにあったと考えた次第。
一方の太田。上記した前節のフロンターレ戦。太田が攻撃開始時点で右サイドに張り付き、ジュビロが攻めに出た瞬間に左斜め前方に移動、後方から犬塚が右サイドを埋める。このジュビロの策に、フロンターレの左MF村上が完全に幻惑されてしまった。そしてボールを持つや、得意の高速前進でフロンターレ守備時を悩ませた。
昨シーズン、前に出るタイミングの感覚を掴んだかに見えるこのウィンガーには、当時から代表入りを期待する声が多かった。ただし、今年に入ってから代表候補入りしていたものの、A代表試合(あるいは有料試合)への出場はまだなかった。そう考えると、ここ最近のJでの活躍が評価されたと考えるのが妥当だろう。「秘密兵器」としての抜擢とも考えられるが、他国にとってJリーグの映像入手は非常に容易なので、それは考え過ぎだと思う。
結果的に、サイドプレイヤは右サイドのタレントが多く選考された。加地と駒野は僅かな隙があれば好クロスを上げられるし、太田と水野は豪州だろうが韓国だろうが、「止められるものなら止めてみろよ」と言うタイプのタレントだ。逆に左サイドのサイドプレイヤは山岸くらい。おそらく左サイドは、山岸の他には駒野、阿部、今野らが務めるのだろう。これは今大会に関しては、左サイドは戦術的能力の高い選手を起用し、右からえぐろうと言う爺さんの狙いを示しているのだと思う。
確かに、他国と比較して準備期間が極端に短い事は悩ましい。しかし、人材の充実と監督のブレの無さを考えると、ついつい3連覇を期待したくなるのだが。





