2007年06月30日

前田遼一OUT、太田吉彰IN

 書きたい事は無数にあるのだが、文章をまとめる時間がないまま1週間が経過してしまった。気がつけばJ1は中断し、ワールドユースとアジアカップが始ろうとしている。

 さて、アジアカップに向かう23人が発表された。30人の予備登録メンバから外れたのは、直前に負傷した闘莉王と水本、GKの西部の他、伊野波、本田圭祐、家長の五輪組、そして前田遼一だった。こう並べてみると、いささか意外な落選は前田遼一くらいか。一方で、前田のチームメートの太田が選考された。この対比を考えてみた。

 前田と言う選手は、技巧的なFWながら、トリッキーなプレイは好まず、むしろしっかりと最前線でボールを収める事ができるのが最大の長所。大柄でしかも80kgの体重で、あれだけしなやかで技巧的なプレイをできるのだから、敵DFの厳しいタックルにも耐えられようと言うもの。しかも、鼻が利くと言うのだろうか、敵陣前で独特の臭覚からしっかりと好機を掴み、正確なシュート力から点を取ってしまうのも魅力的な選手だ。
 前節のフロンターレ−ジュビロを生観戦したのだが、前田は2得点を決めているが、いずれの得点も、前田が凄いプレイをしたと言うよりは、流れの中で「絶好機が前田にたまたま訪れた」と言う印象のものだった。もちろん、「たまたま」の場所に顔を出せるのは、その選手の判断力と献身性の賜物である。そして、その好機を着実に得点に結びつけるのは、その選手の技巧が優れているからだ。
 さて、このアジアカップの日本代表において、前田の特長とバッティングする選手は誰かと考えてみる。それはエースの高原なのではないか。結果的に前田のライバルとなった巻、矢野、播戸、寿人の4人は少なくとも、高原とは全く異なる個性を持っている。しかし、現時点での前田の特長は、高原でカバーされると爺さんは考えたのではないだろうか。無論、前田の負傷からの回復がもう少し早く、高原を含めた他の選手との連携を磨く時間がもう少し長ければ、連携による新たな前田の特長発揮と言う選択肢もあったのだろうが。
 そう考えてくると、前田の不運は、自クラブの先輩でもある高原の絶好調さにあったと考えた次第。

 一方の太田。上記した前節のフロンターレ戦。太田が攻撃開始時点で右サイドに張り付き、ジュビロが攻めに出た瞬間に左斜め前方に移動、後方から犬塚が右サイドを埋める。このジュビロの策に、フロンターレの左MF村上が完全に幻惑されてしまった。そしてボールを持つや、得意の高速前進でフロンターレ守備時を悩ませた。
 昨シーズン、前に出るタイミングの感覚を掴んだかに見えるこのウィンガーには、当時から代表入りを期待する声が多かった。ただし、今年に入ってから代表候補入りしていたものの、A代表試合(あるいは有料試合)への出場はまだなかった。そう考えると、ここ最近のJでの活躍が評価されたと考えるのが妥当だろう。「秘密兵器」としての抜擢とも考えられるが、他国にとってJリーグの映像入手は非常に容易なので、それは考え過ぎだと思う。
 結果的に、サイドプレイヤは右サイドのタレントが多く選考された。加地と駒野は僅かな隙があれば好クロスを上げられるし、太田と水野は豪州だろうが韓国だろうが、「止められるものなら止めてみろよ」と言うタイプのタレントだ。逆に左サイドのサイドプレイヤは山岸くらい。おそらく左サイドは、山岸の他には駒野、阿部、今野らが務めるのだろう。これは今大会に関しては、左サイドは戦術的能力の高い選手を起用し、右からえぐろうと言う爺さんの狙いを示しているのだと思う。

 確かに、他国と比較して準備期間が極端に短い事は悩ましい。しかし、人材の充実と監督のブレの無さを考えると、ついつい3連覇を期待したくなるのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(6) | TrackBack(1) | 日本代表

2007年06月22日

破綻する日程

 8月22日は大変豪華な日程になってしまった。五輪代表の最終予選と、A代表の有料親善試合が同じ日に行われると言う。
 五輪予選は原則AFCのトップダウンで日程が決まっているから、こちらは元々動かしようがなかったようだ。一方、A代表戦はJリーグの兼ね合い、スポンサとの契約(A代表国内試合数のノルマ)、敵国カメルーンのベスト(に近いメンバ)での来日などが錯綜し、前後の日に移しようがなかったと言う事らしい。大分九州石油ドームで行なわれるA代表カメルーン戦は18時40分にキックオフ。そして国立で行なわれる五輪代表ベトナム戦は20時30分にキックオフ。一応、TV桟敷にいる人は、この2試合を連続して堪能できる時間割となった。これにより、TV局(及びそこにつながるスポンサ)への最低限の配慮を行なったと言う事だろうか。

 しかし、実際に競技場に向かおうとする人間には、配慮は一切ない。
 学校の夏休みシーズンとは言え、平日の18時40分にキックオフに間に合うように大分市郊外の九石ドームに人々は向かわなければならない。通常平日の試合のキックオフは19時、あるいはそれ以降が常識だが、この20分の差は非常に大きいものになる。キックオフに間に合うためには結構な苦労が必要になるだろう。
 一方の東京のど真ん中とは言え、22時30分近くになってからの帰宅は多くの人に相当な負担をかけるだろう。帰宅が午前様になる事を憂慮して、普通の職業人や親子連れ(こちらはせっかくの夏休みながらと言う事になるな)も、観戦を諦める事になるかもしれない。重要な五輪最終予選の初戦であり、できるだけの大観衆で若者達をサポートしたい所ではあるのだが。
 さらに両方ともリアルタイムで観戦したいと考える向きは、観戦そのものを諦め、自宅やサッカーバーでの観戦を選択する可能性もある。それとも、国立の観衆は試合前にオーロラビジョンでカメルーン戦を観戦できるのだろうか。まさかそんな訳にはいくまい。伊野波たちがウォーミングアップをしようとする時に、映像でA代表の試合を流す事は事実上不可能だ。逆に九石の試合後に五輪予選の映像を流しても、皆帰宅時間が気になってしまうだろう。

 結局、今の日本のトップレベルのサッカー界の日程計画は破綻しているのだ。
 7月にはアジアカップがある。オシム氏が直前まで続くJ1に嘆息している事は、各種報道で知られた事。そして、日本が3連覇を遂げようが失敗しようが、選手たちはもう代表に関しては、それでお腹一杯のはず。8月のJリーグの合間に代表戦をするモチベーションがはたらくだろうか。3年前にアジアを制した直後に、アルゼンチン戦がセットされ、およそ選手たちのモチベーションが上がらなかったのを思い出す。まして、五輪代表戦とバッティングしているのだから、若手の抜擢と言う手段も取りづらい。いや、見る方だって(ちょうど五輪本大会も同時進行だった事もあるが)気分は乗らなかった。その反省はどこに行ったのだろうか。現実的には、国内代表試合のスポンサと年間試合数の契約があるために、どうしてもこのタイミングでもA代表の国際試合を行なわなければならず、かつオシム氏が敵にベストに近いメンバでの来日を望む事から、このような試合設定になったのだろう。
 ただし、誤解しないで欲しいが、私はこれらの国際試合の開催頻度を必ずしも全否定はしない。現実的にオシム氏はここまで、アジアカップのグループリーグに加え、トリニダードトバコ、ガーナ、ペルー、モンテネグロ、コロンビアと戦った国内での強化試合を実に巧く使い(かつ観客にもアピールしながら)チームを強化してきている。また、これらの試合を我々サポータも愉しんで観戦させてもらった。8月の国際試合開催の是非はさておき、常時国際試合を組むのは、強化のためにもファンサービスのためにも重要だとは思う。

 とすれば、いつも言っている事だが、J1のチーム数を減らす事、天皇杯の日程を根本から見直す事の2点を真剣に考えなければならないと思う。
 「J1のチーム数を減らすべし」と主張すると「それは安易ではないか」とコメントを下さる方も多い。しかし、クラブがJ2に落ちたところで「この世の終わり」でない事は、数年前に浦和レッズが証明している。また日本中にJを目指すクラブが多数登場している以上、そろそろJ3を含めた下位リーグの制度設計を考えなければならない。とすれば、現実的に日程が破綻しているのだから、J1のチーム数を減らす事は有力な選択肢のはずだ(逆にリーグ戦を優先させ代表の強化日数を減らすべしと言う意見もあるだろう。これは議論に値しよう。私は上記したように代表の強化期間は今程度は必要ではないかと思っているが)。
 またリーグ戦終了後、天皇杯が1ヶ月継続し貴重なシーズンオフ期間が曖昧になっているのも、日程を苦しくしている主要因である。現実的にアジアのタイトルマッチが3月上旬から行なわれる以上は、12月上旬でリーグ終了と共にオフにすべきだろう。入替戦及び拡大トヨタカップ(日本で開催される、あるいは他国開催でも日本のクラブが出場する)がシーズン終了を飾るのは、座りは決して悪くない(ここでも、欧州に合わせ秋−春のシーズンにすると言う意見もあるだろう、しかし北海道、東北、北陸の冬季の気候を考慮すれば、これは現実的でない方策だと思う)。
 それとも日本協会は、1年が13ヶ月に増えるのを待っているとでも言うのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(19) | TrackBack(1) | 日本代表

2007年06月20日

冴え渡る明神、復活した松田直樹

 朝の出勤電車でエルゴラッソを読んでいたら、「マリノス−ガンバ戦に松田が出場濃厚」との記事を発見。「これは見なければならない」と思い立ち、定時退社して三ツ沢に向かった。最寄のバス停についたのがキックオフ5分前、急ぎ足で入場する。三ツ沢のメインスタンドは、一箇所の入り口からスタンド下の廊下?を通ってスタンドへに上がれる階段に進む構造になっている。その廊下中央部の売店はビールを買う客で混雑しており、気ばかり焦る。その混雑をようやく突破すると、もうキックオフまで時間がない。ダッシュだ。すると、反対方向に進む集団の先頭の人とぶつかりそうになり、慌ててブレーキ。先頭の人と私は向かい合う形で静止した。
 かくして、190cmを越える長身のボスニア・ヘルツェゴビナ人と、160cmの中年太りの日本人が、僅か50cmの距離で、お互いにらみ合いながら道を譲り合うと言う奇妙な状況が生まれた。一瞬、握手をしようかとも思ったが、中年男と握手しても、先方は何もうれしくないだろうから、丁重な会釈の後に右手をやや上げて道を譲った。先方は僅かに左手を上げて前進。後はもうお互い、試合を観たい思いでひたすら前進とあいなった。
 と言う事で、キックオフには僅かに間に合わなかった。もちろん後悔はない。

 前半はガンバが圧倒する展開となった。
 マリノスは坂田を中心とした前線でのチェイシングを守備の基盤としているようだ。このチェイシングはガンバが最終ラインでボールを回す時は非常に有効。しかし、明神と橋本は中盤でボールを絡め取るや否や素早く展開、加地と安田の両サイドバックは動き出しが早い攻撃参加で、サイドで素早く2対1を作り、次々と好機を演出。さらに最前線では、播戸がバレーをおとりに使いながら再三変化のある動きで裏に抜け出す動きを見せ、マリノス守備網を悩ませる。言い換えれば、マリノスのチェイシングは、明神、橋本の展開には効力を発揮しない。何か別の手を考えなければ。
 結果的に押し込まれたマリノスは、前線に正確なボールを出せずに明神に刈り取られる悪循環が継続。ガンバの猛攻を許した。中澤とこの日当たっていたGK榎本を軸に、マリノスはかろうじて0−0で前半を終了した。前半を見る限りでは、このまま後半に突入すれば、ガンバが何点取るかわからないと言う雰囲気すら感じられた。
 一方のマリノスの攻撃だが、明神、橋本のところで攻めの速さが1度落ちてしまうので、隼磨なり小宮山なりが押し上げても数的優位が作れず、苦しい体勢からのクロスを上げるのを余儀なくされ、中々有効な攻撃にならなかった。
 ちなみに安田の着実な成長は嬉しい。攻撃に関しては評価が定まった感がある若者だが、この日気に入ったのは守備。逆説的だが、隼磨へのタックルで警告を食らった場面に感心した。押されっぱなしのマリノスが前半で唯一ペースを掴んでいた時間帯、よい体勢でこぼれ球を拾った隼磨が突破を深いタックルで止めようとした。僅かに対応が送れファウルとなったが、寄せからタックルに行くまでの動きの素早さと思い切りがよかった。明らかに正当なタックルを狙いながらもファウルになってしまったもの。確かに激しいタックルだったが、ファウルは当然としてあれでイエローはなかろうと思うのだが。

 後半アタマから両軍が動いた。ガンバは安田、播戸に代えてマグノ・アウベスと家長を投入。あれだけ攻勢をとりながら点を取りきれなかったので、西野氏にしては珍しく早めに動いたのだろう。さらに、ローテーション的な起用を行なう事で、連戦の疲労を回避する狙いがあったのかもしれない。押し気味の試合に、強力なドリブルを武器にする2人を投入し、一挙にマリノスを殲滅する狙いは納得できるものだった。一方、マリノスは山瀬弟に代えてマイク・ハーフナー。トップの吉田孝行が2列目に下がった。これは後方からのフィードの目標を入れたと言う事だろうが、「このままではやられるからとにかく何か手を打った」と言う印象もあった。
 ところが、これらの選手交代が全てマリノスに有利にはたらくのだから面白い。まずマリノスの選手はマイクが入った事で、やや不正確ながら長いボールを入れて、押し上げようとする。不正確でも明神のラインを超えてボールが入れば、とりあえず押し込む形にはなり、そこを坂田のチェイシングが襲う。そのため遠藤が下がる事になり、二川との距離が開く。結果的にガンバの攻撃頻度は下がり、その分マリノスの時間帯が増える。さらに明神のところで止まらないと、必ずしもガンバのセンタバック、シジクレイと山口は磐石ではない。後半開始早々、センタバック2人が同サイドに寄ったところで、吉田とマイクがそれぞれフリーでペナルティエリアに進出しシュートする好機を掴んだ。さらにガンバのミスパスを拾った河合?からのパスを受けた吉田が鮮やかな巧技から、シジクレイと山口が抜いた場面は惜しかった。
 これだけマリノスが前掛りになる以上は、ガンバの逆襲にさらされるのは当然の事。ある意味では、その逆襲を効果的にするために、西野氏の交代劇があったのかも。ところが、このガンバの逆襲速攻が予想外の展開にはまり込む。まず家長が全くの不調。ドリブルの名手が、思うように足にボールが付いていなかった。試合前に私とにらみ合ったお方の心証は相当悪くなったのではないか。さらに西野氏の誤算は、前半播戸に散々悩まされていた松田が後半から突然に冴え渡った事だろう。
 前半の松田は褒められた出来ではなかった。播戸の短い距離をスピードの変化をつけてボールを受けるランニングに再三逆を取られ苦闘していた。ところが、後半開始早々強引に縦を突破しようとしたマグノ・アウベスを止めた以降は、完全に乗ってきた。と言うか、あの一発で持ち味の思い切りを取り戻したというべきなのかもしれない。
 ガンバは再三逆襲から3対3、いや4対3の場面を作るが、それらを松田と中澤がことごとくはね返した。

 試合終盤、上野と山瀬がすっかり疲労してしまい、マリノスはガンバの猛攻を許す。それらをまた中澤と松田が全て止めてしまう。野次馬の私が見ていても興奮する攻防だったのだから、両軍のサポータ達はさぞ面白かった事だろう。
 かくして試合は0−0の引き分け。実に面白い試合だった。

 この日自由席は売り切れ。仕方がなく大枚4000円を投資した訳だが、存分に元を取る事ができた試合だった。相変わらず冴え渡る明神智和と、復活した松田直樹を堪能できたのだから。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(7) | TrackBack(0) | Jリーグ

2007年06月18日

アジアカップ代表予備登録メンバ決定

 アジアカップの予備登録メンバ30人が発表された。てっきり最終メンバの23人が選考されるものだと思っていたのだが、発表されたのは「予備登録」の30人。豪州や韓国が23人の最終メンバを発表したとの報道を読んでいたが、日本は23人に絞らないメンバ発表となった。リーグ戦が継続している現状では、最終メンバ23人の発表を遅らせる方がありがたいのは間違いないので、文句を言う筋合いはないのだが、何か不思議な感じがする。

 さて、30人のメンバについて。
 まず稲本と中田が選考されなかった。中田は色々な使い方ができるし貴重な左利きなので、メンバには入ると思っていたので少々意外。オシム爺さんによると、来シーズンのクラブが未決定な事に配慮があったらしいが、大会前にチューリッヒに残留が決まれば、アジアカップ出場への問題はないようにも思えるので、30人に入れるのは問題ないと思うのだが。
 稲本についても、フランクフルトへの移籍直後ゆえの見送りらしい。ただし、稲本の場合「後方から持ち上がる」と言う最大の特長が、オシム爺さんの構想に当てはまるのかと言う疑問がつきまとう。啓太と憲剛のボランチコンビに、稲本が割って入るイメージが見えてこないのだ。このあたりの稲本の詳細については別な機会に論じたいとは思っている。
 その他に外れた選手は藤本と青山。藤本は今年に入ってから短い時間だが3試合とも起用されていたので、オシム氏の期待は相当大きいのかと予想していたので少々意外。藤本にとっては、本田、家長、水野と言ったあたりがライバルとなる。藤本は素質豊かな選手だが、この3人に比べると攻撃的MFとしてバランスが取れている分だけ「突出した能力」に欠けるあたりがネックになったのか。あるいは、この3人を五輪予選へ向けて経験を積ませる方針が優先されたのか。
 また、青山が外れて伊野波が選考されたのは、今回の選考で最大の驚きか。伊野波に対する期待は、オシム氏も反町氏も絶大なものがあると言う事だろうか。あるいは消耗が予想される東南アジアの大会ゆえ、スタミナがあり最終ラインなら様々な汎用性がある事を期待されての選考か。
 やや意外な選考となったのは、太田と前田のジュビロコンビ。太田は昨シーズンからJ屈指のサイドアタッカとして活躍していたから選考そのものは不思議ではない。むしろ、太田に関してはこれまで1度も有料準備試合でテストされていない事が意外に思えたりして。加地なり駒野を右サイドバックに配し、その前に太田か水野を置く2枚ウィングを見てみたい気もするし。
 また、前田は負傷欠場は長かったものの、復帰後Jで順調に活躍しており、昨シーズンの実績も十分、さらには他の選手にはない特長などからすれば、選考は妥当に思える。あれだけ最前線でボールが収まるのは技術はもちろんだが、引き出しの動きの質と量が抜群だから。使い方によっては、非常に面白い存在になるだろう。ところで、高原と前田ってジュビロで共にプレイした事ってあるんだろうか。詳しい人がいたら教えて下さい。

 さらに興味深いのはスタメンの構成。おそらく、中澤、阿部、駒野、啓太、憲剛、中村、高原の7人はスタメン決定と見る。高原の横にもう1枚FW(あるいは羽生)が起用されるのは間違いないだろうが、誰がオシム氏の信頼を勝ち取るのか。守備ラインにしても、加地を右に起用して駒野を左に回すのか。今野を左に起用するのか。それとも、最終ラインに闘莉王を起用し阿部を左に回すのか。中盤も、遠藤を起用し「エクストラキッカー」を3枚並べるのか。ある程度チームを固めつつも、選択肢が豊富にあるのだから愉しい。

 直前までJがあり、強化が思うに任せぬ現状は確かだ。コンディショニングの面で相当厳しい戦いを余儀なくされる事だろう。しかし、これだけのメンバとオシム爺さんが作りこんできた豊富な選択肢を考慮すると、戦闘能力的にアジアで負けるイメージが中々見えてこない。
 豪州が力攻めをしてきても、イランが技巧に富む攻撃を仕掛けてきても、韓国が精力的に押し込んできても、中澤、闘莉王、阿部、啓太、今野と揃っていれば、そうはやられないように思う。サウジやUAEやカタールが7,8人で守備ブロックを形成してきても、憲剛と中村と遠藤が組み立てて、駒野と加地が両翼をえぐり、高原なり播戸なり寿人が飛び込めば、確実に90分内で点は取れるだろう。川口、中澤、中村は既に2回アジアチャンピオンを獲得しているが、これだけの経験を他国が持っていないのは言うまでもない。
 などと考えると、ついつい楽観的になる自分に気がつくのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(15) | TrackBack(0) | 日本代表

2007年06月14日

アジアチャンピオンズリーグ2次トーナメント組み合わせに関して

 五輪最終予選と前後して、アジアチャンピオンズリーグの2次トーナメントの組み合わせも決まった。
 レッズは全北現代と戦い、勝てば城南一和とシリアのアルカラマの勝者と準決勝。一方のフロンターレはイランのセパハンと戦い、勝てばUAEのアルワハダ とサウジのアルヒラルの勝者と準決勝。
 レッズの方がよい抽選だったと言う報道が多いようだ。と言うのは、決勝進出まで韓国の2クラブと戦う可能性があり、そうなると移動距離が小さいためだかららしい。一方のフロンターレは、決勝まで2度も中東旅行をしなければならない。確かにJの厳しい日程を考慮すると、そのような考えは正しいのかもしれない。

 しかし、物事は表裏両面。当方が移動距離が短いと言う事は、先方も移動距離が短いと言う事だ。とすらば全北現代はベストコンディションで埼玉スタジアムに乗り込んでくる事になる。準決勝に城南一和が進出したしても同じ事だ。まして、どのようなレベルだろうが、国際試合で韓国のチームから勝ち点を奪うのは決して容易ではない事は言うまでもない。(準決勝に城南一和が出てくると決まっている訳ではないけれど)レッズが韓国のクラブを連続して破り決勝進出したとすれば、これは素晴らしい事だ。何にせよ、レッズはレッズで、厳しい戦いを余儀なくされるのだ。

 一方のフロンターレ。確かに決勝進出までの移動距離は相当なものになりそうだ。Jの日程がどうしようもない状況ゆえ、相当体力的には厳しい戦いを余儀なくされるだろう。しかもセパハンのホームタウンのエスファハンは標高1500mを越える高地だと言う。
 最近拙BLOGにしばしば登場するフロンターレサポータの友人も、「いやあ韓国ならば近いし、僅かな休みで行かれると思っていたのだけれど、イランじゃ遠過ぎて」とこぼしていた。確かに、選手たちの消耗は激しいだろうし、サポータたちも相当な年休消化を余儀なくされる。けれども、(あくまでも野次馬からの戯言ですが)フロンターレサポータ達にとって、この組み合わせは本当に悪いものだろうか。エスファハンと言う都市は、、世界遺産にもなっている美しいモスクが立ち並ぶ世界屈指の観光都市だと言う。さらにそのスタジアムが、地元サポータそれも野太い大声援を送る男達だけの凄まじい雰囲気になる事は容易に予想できる。フロンターレサポータの精鋭たちにとって、かほど魅力的な敵地はないのではないか。
 対してレッズが戦う全北現代のホームゲーム、昨今のKリーグの客の入りから想像して、スタジアムは日本から向かうレッズサポータ達で席巻されるのだろう。それはそれで愉しいかもしれないけれど。
 かつてサファヴィー朝時代には「エスファハンは世界の半分」とまで形容されたと言う。かくも美しい古都で、四面楚歌の状態で憲剛とその仲間達が過酷な戦いに挑むのだ。これは魅力的な試合になるだろう。

 と、ヒトゴトについて、漠然と考えていたら友人から連絡が来た。9月7日(金)は、オーストリーで日本代表が親善試合を戦う予定。そして、翌8日(土)はサウジアラビアで五輪代表が五輪予選を戦う。これって、旅行技術を駆使すれば両方見る事ができるのではないかと。俄かに頭の中で、ヒトゴトが戯言に切り替わってきたのである。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 海外

2007年06月13日

五輪代表最終予選組み合わせ決定

 サウジ、カタール、ベトナム。

 正直言ってあまりよい組み合わせではなかった。いくら過去の相性がよいと言っても、サウジと同じグループは避けたいところだったからだ。どう考えても、サウジよりはバーレーンやレバノンの方がやりやすいだろう。もっとも、サウジと豪州と同じグループになった方が、緊張感と言う意味では格段のものがあった事も確かだが。とは言え、アトランタ予選では前園や中田や伊東や田中誠や服部や川口がサウジを打ち破って本大会出場を決めているのだから、水野や本田や家長や青山や水本や西川が同様の成果を残す事は当然の責務ではある。
 リアリズムの観点からすると、サウジとの直接対決以上に、カタールとベトナムへの認識が重要になると思う。ベトナムには大変失礼な言い方になるが、現実的にベトナムの本大会出場は難しかろう。すると、カタールが日本やサウジからもそれなりに勝ち点を奪取し3チームの争いになるのか、日本とサウジの一騎打ちになるのか、が非常に重要になってくるのではないか。逆に日本からすると、ベトナムに2連勝し、カタールに最悪1勝1分けの成績を収められるかどうかがカギになるように思う。
 日程を俯瞰すると最大のポイントは、9月8日の敵地サウジ戦と、12日のホームカタール戦の連戦だろう。ここを1勝1分け以上で乗り切れるかどうか。初戦のホームベトナム戦と合わせて、ここまで勝ち点7以上を取っておきたいところだ。

 以前より述べているが、反町氏のここまでの準備には相当な疑問がある。特に不安なのは守備ライン。西川、青山、水本と卓越した能力のある3人がいるせいか、およそ組織的とは言えない守備網で、ここまでの予選を戦ってきた(守れてきた)。中盤の選手選考も、守備よりは攻撃を重視した編成が目に付き、チーム全体の守備のバランスが取れていない。一方で、後方の選手として、増嶋、河本、細川、上田、小椋と言った優秀な選手が次々とJで活躍し、大人の選手として一本立ちしつつある。ここに、ユース代表の内田、安田が加わる(伸び悩んでいる福元にも絡んできて欲しいところなのだが)。常識的に選手を並べ、常識的な組織作りを行なえば、安定した守備ラインが作れるはずだ。

 攻撃ラインの方は、最前線の平山が論外の状態にあるが(私は平山には本当に期待しているのだが、FC東京でベンチにも入れない惨状を見るにつけ、予選は平山抜きで戦うべきではないかと考えつつある)、カレンと李忠成を軸にすれば、攻撃的MFに水野、本田、家長がいるので、点を取ることにそう大きな悩みはないはず。ここにユースの柏木が加わるのは言うまでもない。

 これだけの人材がいる事を考えれば、反町氏が妙な采配さえ振るわなければ、よい組み合わせではなかったものの、普通に戦えば4勝2分け以上の成績で、問題なく五輪出場を決められると思うのだが。
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2007年06月12日

サッカー批評「川淵三郎インタビュー」を読んで

(ややわかりづらい文末部を書き換えました。2008年4月27日)

 先般発売されたサッカー批評35号の冒頭に、宇都宮徹壱氏による「川淵三郎インタビュー」が掲載されている。昨年のワールドカップ後に、ジーコの監督是非問題や、川淵会長自身の失言問題などが相次ぎ、川淵解任デモが行なわれるなどの大騒動があった(私もデモには参加させていただいた)のは記憶に新しいが、早くも1年近い時が経った訳だ。当時、週刊文春や日本経済新聞に、川淵会長のインタビューが掲載されたが、サッカーの専門誌あるいは商業誌に、これだけまとまったインタビューが載るは、(私が知る限りでは)これが初めてだろうか。
 冒頭に正直に述べておくが、私は宇都宮氏とは面識があり、この川淵会長インタビューが行なわれる前に氏とメールベースで議論する機会があった。そのような意味では、私は客観的に宇都宮氏のインタビューを公正に評価できる立場かどうかは、やや微妙ではある。
 また、上記したように、私は川淵会長解任デモに参加したように、ワールドカップ以降の川淵会長の振る舞いを、全く評価していない。したがい、現状の私は典型的「川淵否定論者」である。そのような人間から見た本インタビュー評である事もおことわりしておきたい。

 しかし、そのような立場を踏まえてもなお、このインタビューは日本サッカー界にとって、非常に重要なものだと、高く評価したい。

 まず第1に、このインタビューにより、川淵会長が完全に日本協会内で「裸の王様」状態になっている事がよく理解できる。このインタビューを読んで最初に類似性を感じたのは、新興宗教のパンフレット。教祖様が立派な事を述べ、信者たちがありがたく拝読する、アレだ。具体的には、「後継者に求められる素質は」と言う問いに対し、「志が高いと言う事だね」、「代表経験もあり、経営能力もあり、公私混同のない、世のため人のため...」、「そうそう、無私。それが一番。」と言った一連の回答。川淵会長ご自身が、自分はそのような人間だと、自画自賛している訳だ。正に新興宗教のパンフレットそのものではないか。
 インタビュー終盤の
僕があと2年間、頑張ろうと思ったのは、協会の幹部から『辞めないでください。川淵さんがいなくなったら、日本のサッカー界はおかしくなります』って言われたから。そういう部長クラスが、実は一番、僕に厳しくやられていてね。本当は、僕が辞めたら喜ぶ連中なんだよ(笑)。それが『辞めないでくれ』って言ってくれたことが、最も僕を突き動かしたね
は、笑いを通り越して脱力ものだ。こんな低レベルのお世辞で上司が喜んでくれたら、我々サラリーマンも楽なのだけれどもね(笑)。
 新興宗教のパンフレットの読者は皆信者だから、そのような自画自賛をありがたく拝読する。しかし、サッカー批評の読者は、別に川淵会長の信者ではないから、川淵会長が相当アレな事をよく理解できる。
 のみならず、このような教祖的な表現が、事前に日本協会の検閲を通ってしまう事も興味深い。協会の広報部門が投げやりになっているのか、広報部門に広告代理店が優秀な人材を出向させてくれなくなっているのか、理由はいずれかだろうが。

 第2に昨年の代表監督就任騒動の顛末も、よくヒアリングされている。
 川淵会長が「オシム氏が急速な若返りを行なう事が必要なほど、ジーコがアテネ世代に着目しなかった事を問題視している事」を引き出しながら、一方で川淵会長が「中国アジアカップで苦戦しながらも感動的に優勝したジーコ」の事に言及しないのが面白い。川淵会長は「ジーコの問題点」はよく覚えているが、「ジーコの実績」はすぐに思い出せない状態なのではないか。ジーコが監督していた時代、最後のワールドカップは残念だったし、就任期間中に酷い試合も多かったし、不調の選手に拘泥し優秀な若手選手の起用が遅れたのは確かだ。しかし、「アジアカップの奇跡的優勝」を筆頭に、「ワールドカップ予選の慎重かつ確実な勝ち抜け」、「コンフェデブラジル戦の大健闘」など、見事な実績もあったのだ。ところが、あのドイツでの屈辱的な敗戦から1年も経った今でも、川淵会長はその「ジーコのよかった面」を思い出せずにいるようだ。よほど、ワールドカップの失敗がショックで、「ジーコ選考は失敗だった」と考えているから、と考えるのが妥当だろう。

 第3にオシム失言問題。当時、本件は「わざとか、本当に失言だったのか」と言う議論に、問題が矮小化されてしまった。本件について、宇都宮氏は強烈に突っ込む事で、
人間の過ちを絶対に認めないと言うのであれば別だけど...でも、取り返しのつかないことだとも思わないな
と、ホンネを見事に引き出している。さらにジェフのサポータに対しては
サボータに対しては、こちらから説明するんじゃなくて、ジェフ側が説明する話だよ、それに『Jリーグ軽視』とかね、僕のやっていることを理解したら、そんなことを言われる筋合いは毛頭ないね
だそうです。
 毎週末、自クラブを応援する事をタノシミにしているサポータへの冒涜の意識がないところが、また味わい深いではないか。

 そして第4番目。インタビューの最後に「チェアマン時代、協会会長時代を含め、やり直せることがあるとすれば、それは何か?」と言う質問。それに対する川淵会長の回答がいささかショッキング。
それはないね、不思議と。もちろん、常に正しかったとは思ってないよ。でも、フリューゲルスとマリノスの合併問題にしたって『じゃあ、合併しなかったらどうなっていたか分かっていますか?』という背景があって、あのような決断をしたんだからね。(以下略)
 突然にフリューゲルス消滅問題が登場した。
 本件については、当時述べたが、あれは完全にサッカー側が勝てる交渉事だったと今でも思う。そして、あの悲劇はどう考えても、日本サッカー史上に残る人災である。その人災の責任者が川淵会長だった訳だ。宇都宮氏が聞いてもいない問題を自ら持ち出すあたり、よほど本人も気にしているのだろう。
 改めて、この悲劇の責任が川淵会長にある事を再確認できた。氏が何を取り繕おうが、氏自身がそれを認めているのだから。

 さらに全く異なる視点から、もう1つ。
 このインタビュー冒頭に宇都宮氏自身が「尊敬して止まない同業者・木村元彦氏も、再三にわたりインタビュー取材を申し込んできたものの、いまだ実現していない。「自分でいいのだろうか」というのが、率直な気持ちであった。」と述べている。ところが、当の木村氏が同誌上の「『日本サッカー協会のコンプライアンスへの取り組み』を読んで」と言うタイトルで、木村氏自身が川淵氏へのインタビュー申請を行い却下された顛末を述べている。日本協会広報部門が、相当な問題を抱えている事がよくわかる文章になっている。

 このまま行くと、川淵会長は日本サッカー史において「東京五輪アルゼンチン戦で同点弾を決めたFWだったのが」と言う表現でしか記録されない人になってしまうのではないか。


サッカー批評 issue35―季刊 (35) (双葉社スーパームック)
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posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(25) | TrackBack(5) | マスコミ

2007年06月11日

エスクデロ帰化

 レッズのセルヒオ・エスクデロの日本帰化が認められたと言う。
 A3で復活の狼煙を上げている田中達也に加え、帰化したエスクデロの出場機会も増やせるのだから、レッズにとっては、ACLでもJでも貴重な戦力アップと言えるだろう。

 ところで、88年生まれのエスクデロはこれでワールドユースへの出場も可能になるはず。今回のユース代表は、オシム氏も目をかけていると言うGK林、センタバックも中々層が厚く、福元、槇野に加えて、グランパスの吉田が割り込みそう、内田、安田のJでも評価の高い両サイドバック、柏木、梅崎の巧緻に長けたMFと、後方の人材には事欠かなかった。しかし、最前線には若森島、青木、河原、マイクなど好素材は多いが、決定的タレントに欠けるきらいがあった。ここにエスクデロが乱入すると、非常に興味深いポジション争いが起こりそうな気がする。各選手が、エスクデロの参入によい意味での刺激を受けてくれればよいのだが。

 しかし、「エスクデロ」と「ワールドユース」と言う単語からは、私は全く別な記憶を呼び起こされるのだ。そう、今を去る事28年前、日本で行なわれたワールドユース大会を。
 前年に、ひたむきな攻撃サッカーでワールドカップを制覇したアルゼンチン代表を率いたセサル・メノッティ氏。82年の連覇を目指し、79年のワールドユースチームを直接率いて来日した。チームのキャプテンはディエゴ・マラドーナ。センタフォワードはラモン・ディアス。この稀代の英雄2人は、82年ワールドカップ以降、仲たがいをして共にピッチに立つ事がなかった。しかし、この2人は共存できたし共存すべき2人だったのだ。このワールドユースは、この2人が鮮やかに共存した貴重な大会となる。その他にもファン・シモンやファン・バルバスなど、後にアルゼンチン代表の中核になる選手がいた。
 そして、そのチームの中で一際異彩を放っていたのが、オスバルド・エスクデロだった。7番を付けた右ウィング、身長は160cmそこそこ。ディエゴと並んでも明らかに小さかったから、160cmなかったのかもしれない。しかし、このクラスに登場する小柄な選手の常かもしれないが、実に巧い選手だった。準決勝のウルグアイ戦。中盤でボールをかっさらったエスクデロは、切れ味鋭いドリブルで敵を抜き去った後にディアスにボールを流し先制点をアシストした。美しい得点だった。メノッティ氏が当時強調していた「インテリジェンス」を、体現する選手だった。

 そのオスバルド・エスクデロが、三菱に加入したのが91年。あれから12年経ったていたものの、オスバルドの知性と技巧は何ら衰えていなかった。オスバルドと福田の全く種類の異なる高速ドリブルの競演は、中々の見ものだった。結果的にレッズは、J開幕時には別な外国人選手を招聘するのだが、あのままオスバルドを保持していれば、J初年度の成績はあそこまで酷いものにならなかったような気がするのだが。
 オスバルドの弟のセルヒオ(今回帰化したセルヒオ・エスクデロの父親)については、ほとんど記憶がない。公式戦の出場回数は少なかったように思えるし。

 近い将来、何がしかの代表チームで、水沼宏太とマイク・ハーフナーとセルヒオ・エスクデロが、攻撃ラインを編成したら、さすがに興奮するだろうな。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(5) | TrackBack(0) | Jリーグ

2007年06月07日

アリ・ダエイの引退

 いささか旧聞になるが、イランのアリ・ダエイが引退したと言う。
 存在そのものが脅威となるストライカ。忌々しく幾度と決められたゴール。忘れ難い難敵であった。

 97年11月16日、ジョホールバル。延長戦、猛攻を継続する日本に対し、イラン守備陣の必死の守備。どうしても崩せない焦りの中、突然右サイドのマハダビキアのドリブル、きれいなセンタリング。ここまで眠っていたかのように、全く、そう全く試合に参加していなかったアリ・ダエイが実に巧い動きで秋田の外側に走り抜ける。アリ・ダエイがボールを捉える。「うわわわわああああ〜〜〜〜〜。再来週はオーストラリアかよ。」と思ったら、僅かにシュートは枠を外れた。横にいた友人が後から笑っていたが、私はその瞬間本当に腰を抜かしていたのだそうだ。
 もうあれから9年近い時が経った訳だ。それにしても思う。あのダエイの「うわわわわああああ〜〜〜〜〜。」があったからこそ、あの岡野の腰の引けたインサイドキックの感動は、一層高まったのではないかと。

 92年のアジアカップ、イランのストライカのファルシャド・ピュスには驚かされた。1次リーグ初戦の北朝鮮戦、欧州の一流ストライカを思わせる知的な得点。そして1次リーグ最終戦の日本−イラン、終了間際にカズの得点でリードされ無理攻めに出たイランの裏を突いた日本の逆襲速攻、裏に抜け出た中山をイランの名DFモハメド・ハニが倒し一発退場。アル・シャリフ主審を囲むイラン選手たち。その混乱の中、ピュスまで退場になった。後日、ピュスら複数の選手が1年間出場停止になったと報道された。
 何と、翌93年のワールドカップ予選にピュスが出場できなくなったのだ。何となく、あくまでも何となくであったが、あのドーハ最終予選を前に「ピュスのような中心選手を欠いたイランには確実に勝てるのではないか」と言う楽観論があったのも確かだった。だって、アリ・ダエイなんてストライカがいるなんて知らなかったのだもの。
 あのドーハの第2戦。三浦ヤスが前に出てくる裏を狙う右サイドバックのザリンチェ。そこに井原を引き出しておいて、大きなクロスで柱谷と堀池の中間に飛び出してくるアリ・ダエイ。何と言う忌々しい攻撃だったのだ。そして終了間際、逆襲から抜け出したアリ・ダエイの落ち着き払った2点目のふてぶてしい落ち着き振り!

 05年のテヘラン。テヘランでのイラン戦を観戦するのは長年の夢だった。今なおレギュラとして健在のアリ・ダエイは35歳になっていた。中澤とアリ・ダエイの対決が最大の焦点となると思われた試合だったが、前半早々にアリ・ダエイは負傷退場。1−2で敗れた翌日、現地の英語ができる複数のイラン人と会話したところによると、「アリ・ダエイの負傷により、逆に本来のベスト布陣が組めた」と言う発言が多かったのには少々驚いた。確かによい年齢になったストライカの首に鈴をつけるのは難しいのか。
 イランも日本も本大会出場権を獲得し消化試合となった横浜国際でのイラン戦。2−0と日本がリードした終盤、アリ・ダエイは実に見事な入れ代わりから中澤を出し抜きPKを奪取した。衰えたと言えどもアリ・ダエイ。他の選手がやられたのならば、相当悔しかったかもしれないが、よりによって充実しまくっている中澤がやられたのだから、別種の満足感もあった。「やはりアリ・ダエイは凄いのだ」と。

 正直言って、昨年のワールドカップ、アリ・ダエイが主将としてスタメン出場した事が、イラン代表にとって本当によかったのかどうかは、微妙なものがあったと思う。

 でも、それはそれ。
 全盛期の井原が率いた守備ラインも、中澤が君臨した守備ラインも、それぞれアリ・ダエイにやられた。本当に凄いストライカだったのだなと。幾多も見せてくれた忌々しいプレイに乾杯。
posted by 武藤文雄 at 23:45| Comment(3) | TrackBack(0) | 海外

2007年06月06日

五輪予選国立マレーシア戦

 以前も述べたが、新しいメンバだけを並べた編成で試合を行なっても、あまり有効とは思えない。最終予選進出を事実上決めた以降の、今日を含めた予選3試合をうまく使って、中心選手と新しい選手の組み合わせを試すべきだったのだ。
 もっとも、何とも不経済な強化が継続しているのを認識しつつも、人材の豊富さを考えると問題なく本大会には出場できるだろうなと思うのもまた確かなのだが。

 ともあれ、何人かの選手について。

 まずやはり小椋だろう。立ち上がりバタバタしていた日本だが、小椋が頻繁にボールを触るようになってから、すっかり落ち着いた。運動量も豊富で、DFがボールを持つとすぐに顔を出す。ボールを持った選手への指示もよく出していた。A代表における鈴木啓太を思い出させてくれるプレイ振りだった。小椋交代以降、日本の攻撃が機能しなくなってしまったが、なぜ反町氏は小椋を交代させてしまったのか。五輪代表のこのポジションは、青山敏と本田拓が争う形になっているが、小椋が割って入る可能性は十分あると見た。小椋のプレイそのものが、この日の最大の成果だろう。もっともホーリーホックでのプレイ振りを考えれば、この程度はできて当然か。2次予選に向けて、どのような強化体制が組まれるか不明だが、本田圭、家長、水野らと一緒にプレイする機会を与えてやりたい。小椋の挙動開始点はより後方ではあるものの、豊富な運動量と丁寧なボールタッチによるゲームメークに、かつての前田秀樹を思い出したりして。

 長友の闘志あふれる前進も収穫だろう。先制点も見事だったが、突破の1対1も強く、守備の激しさも中々。ただ、このポジションは3DFで戦う以上は事実上水野で決定だし、4DFでサイドに2枚選手を並べるとしても、水野の後方に配する選手の候補としては、内田と(負傷離脱中だが)北斗がいる。大学でプレイしていると言うのも、実績を積むと言う意味では不利になる。そのハンディをどう乗り越えるか。

 腕章を巻いた細貝も上々の出来だった。この選手の一番のよさはプレイ選択の的確性にある。ボールを奪ってから前に上がれると判断するや、一気に押し上げる動きなど大したものだ。元々は中盤の選手でセンタバックもサイドバックもこなせると言うが、非常に多様性のある選手だと思う。実際、レッズでも五輪代表でも起用された試合ではいずれも上々のプレイを見せていた。ただ、この選手は所属チームのレベルが高過ぎて、試合出場の機会が少ないのが悩み。闘莉王と坪井はさておき、ネネ、堀之内、内舘より序列を上げるのは相当厳しいか。レッズはこの逸材育成のために、レンタルを考えるのも一案だと思うのだが。

 上田の左サイド起用も、このチームにとっては重要。これによって本田圭をもう1列上げる事が可能になる。この日は長友の意欲のせいか、攻撃が全体に右寄り偏重になってしまった傾向があったものの、局面ではよいプレイ振りだった。この選手は地味だが、Jでの実績、左足の精度、粘り強い守備など、もっと注目されてよい存在だと思うのだが。

 そして萬代。
 一言で語れば、ベガルタでできない事は、五輪代表でもできないと言う事だ。前半2回ドリブルでフリーで抜け出した場面は、いずれも抜け出す最初のボールタッチがやや外側に行ってしまった。そのために、シュートの角度がなくなってしまった。もちろんシュートそのものもGKとの駆け引きに課題があるのだけれども。後半、枝村のスルーパスで抜け出した時のトラップミスは論外。そして、残念ながらそのような僅かなミスは、今期(プレイのレベルが一段上がったのは確かだが)まだ見受けられるもの。残念だが、まだまだと言う事だろう。
 確かに、プレイ振りそのものは、そう悪いものではなかった。よく動いてボールを引き出していたし、高さも速さも技術もそれなりのものがある事はアピールできたと思う。
 しかし、それだけではダメなのだ。今日のプレイではカレンや李忠成や菅沼と比較して上位に立てるかと言うと難しいだろう。平山に対しても優位を示したとは言えないのではないか。だから、点を取らなければならないのだ。PKを蹴らせてもらったのはそれだけ反町氏が期待している事だと前向きに捉え、今日の失敗を反省し、愚直に反復練習を繰り返して欲しい。
posted by 武藤文雄 at 23:44| Comment(5) | TrackBack(4) | 五輪