2007年07月31日

南アフリカワールドカップ予選方式決定

 南アフリカワールドカップアジア予選の概要が発表された。

 日本は3次予選からの出場で、4チームのリーグ戦で上位2国に入れれば最終予選出場権を獲得。最終予選は5チームのリーグ戦で上位2位に入れば本大会出場との事だ。3位に転がり落ちると、別グループの3位及びオセアニア代表と派を競うと言う非常に愉しいプレイオフが待っている。

 日本にとって、悪くない予選方式だとは思う。
 重要な点は3次予選、最終予選とも、リーグ戦で2位に入ればよい事。小チーム数でのリーグ戦で1位抜けだと、いわゆる「番狂わせ」負けのリスクが高まるからだ。3次予選も最終予選も、丁寧に戦う事で2位以上を目指せばよい訳だ。一方で問題点は、試合数が多い事。特に2009年の最終予選は予選を8試合も堪能できる事になった(いや、プレイオフに転がり落ちると12試合だが、これはこれで味わってみたい気もするが)。サポータの我々には堪えられない娯楽が増えた訳だが、日程作成担当者には悪夢だろう。そして、選手の疲弊も非常に心配になる。
 ちなみに2008年はワールドカップ予選6試合に五輪の日程を組み合わせる事になり、これまた大変な作業になるのだろう(「もし五輪代表が予選で勝てなければ」と言う愉しい恐怖感は別にして)。

 日程で興味深いのは、ドイツ大会予選や今回のアジアカップ予選と同様に、AFCが各国のシーズン都合や気候を一切考えない完全固定日程とするのかどうか。1次予選の埼玉オマーン戦、2次予選の埼玉北朝鮮戦、いずれもシーズン早々に日程がセットされ調整に難儀したのは記憶に新しい(もっともこの2試合の準備について、ジーコの「学習効果」は見事なものがあったのも懐かしい思い出だ)。テヘランイラン戦は、イランの正月休暇中に行なわれたが、あれはイランサイドは相当困ったはずだ(もっとも、正月に行なわれても超満員の大観衆だったし、市内の店の多くが閉まっていた事で困ったのは訪問した我々だけだったのかもしれないが)。ワールドカップの準備のための日程延期のためだったのだが、真夏のジェッダでのサウジ戦も経験と言う意味では興味深いものだったかもしれないが、異様としか言いようのない日程だったのは間違いない。そして、そう言った杓子定規な完全固定日程方式は、またも継続されてしまうのだろうか。これについては、日本のみならず他国も困っているはず。日本協会は、このような事こそ、AFCに対して強く主張をすべきだと思うのだが。
 日程に関してもう1つ重要な事は予選の試合日程とFIFAの国際試合日程との絡み。08年にしても09年にしても、「誰が」と言う事はさておき、少なくとも中心選手の何人かは欧州でプレイしている事だろうから、これも厄介といえば厄介。もっとも欧州クラブ在籍選手呼べない試合での、オシム爺さんの試合前のコメントなどは愉しみな気もするが。

 昨年のドイツも、今回のハノイやパレンバンも結果は失望だった。しかし、失望を味わえるから、日本代表の応援はやめられないのだ。そして、「ワールドカップ予選における失望」は「ドイツやハノイやパレンバンでの失望」とは比較にならない絶望につながる。その絶望への恐怖を味わいながらも、歓喜を手にできるからワールドカップ予選は堪えられない。
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2007年07月30日

アジアカップはいつ開催すべきなのか

 各大陸選手権は、欧州クラブ在籍選手を参加させるためには、欧州のリーグ戦がオフになる夏場に開催される事が多い。欧州選手権は当然の事として、ゴールドカップも先月開催、コパアメリカは先日決勝戦が行なわれた。もっとも、アフリカネーションズカップは冬にやる事が多いようだが、これについては後述する。
 しかし、夏場と言う時期は、とにかく暑いからサッカーの大会にあまり向いているとはいえない。そして、今回は東南アジア、そりゃ暑いわ。
 もっとも、この時期はアジアってほとんどの場所で暑い。いや暑いだけなら欧州や北米も暑いが、アジア諸国は湿気が凄いのが問題になる。3年前の中国大会も重慶などでの高温高湿が話題になった。日本や韓国も5年前のワールドカップで、その湿気に欧州の列強が次々と崩れて行ったのも記憶に新しい。インドなどの南アジアや、アラビア半島の今頃の暑さなど、想像するだに怖ろしい。と言う事で、この季節にアジアのサッカーに向いていそうな気候の場所となると、イランの北あたりのカスピ海沿いとか、ウズベキスタンなど中央アジアのちょっと山寄りとか、ネパールあたりのヒマラヤ界隈とか、北朝鮮の白頭山あたりとか、中国のロシア国境近傍とか、今が観光真っ盛りの北海道の道東、道北とか、先日中田英寿と朝青龍が対決したモンゴル高原とか、結構限られた場所しかないように思える。
 実際過去を振り返っても、今回、前回は夏場に行なわれているが、その前のレバノン、UAE、日本、カタールなどの大会は、みな秋あるいは冬場近くに行なわれてきた。では、夏場の開催を避けるとなると、冒頭に語ったように、欧州クラブ在籍選手の出場が難しくなる。90年代までは欧州でプレイするアジアの選手は、奥寺や車範恨など本当のトッププレイヤくらいだったし、彼らが不在でも各国とも「ベスト」に近いメンバを組む事ができていた。けれども、現在は状況は異なる。欧州クラブから選手を招集できなければ日本、韓国、イランなどは相当痛手を受けるが、何より豪州に至ってはチーム編成すらままならなくなる。これは大会の権威そのものを揺るがす事になる。

 いったいアジアカップはいつ開催されるべきなのだろうか。

 次回大会はカタールでの開催が決定したようだ。ハマム会長は、1月開催を推奨し、欧州クラブ在籍選手の招集も可能だと述べたようだが、そう簡単に行くのだろうか(1月と言う事は2011年ではなくて12年だよね)。確かに欧州のリーグ戦は、冬季にいくばくか休みを取るケースはある。しかし、豪州を中心とした各国が「ベスト」メンバを集める事はできるようにはとても思えないのだが(もっとも、アフリカネーションズカップはしばしばこのタイミングで欧州クラブのスター選手を招集して行なわれているのも確か、これも気候要件から来ている可能性が高い)。
 もちろん14年前のドーハ、10月でもあんなに暑かったのだから、夏場のドーハでタイトルマッチをするのが不可能に近いのは上記した通り。しかし、2012年1月に、今大会のように各国が欧州クラブ在籍選手を含め、「ベスト」メンバを集める事ができるのだろうか。
 さらに言うと、もし1月開催になった場合、日本は2011年と12年に、どのようなシーズンにすべきなのだろうか。11年シーズンを12年の1月まで延長し、12年のJリーグの開幕を遅らせるくらいしか思いつかないが。

 サッカーの国際交流が進み、全く気象条件が異なる国同士が国際試合をコンスタントに戦う時代となり、いよいよシーズンをどう設定すべきなのか、難しい時代になってきたと言う事なのだろう。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(14) | TrackBack(1) | 日本代表

2007年07月29日

PK戦敗退直後雑感

 悔しくてならないけれど、ここは10人になり終盤は走れなくなるほど疲弊しながらも守り切った韓国を称えなければならないだろう。

 ともあれ、爺さん信奉主義者の私としても、いくつか不可解な事があった。

 まず何故ほとんどメンバを変えなかったのか。「今日も勝つ事」を狙うのは当然だろうが、そのためにサウジ戦までのメンバを引っ張る必要はあったのだろうか。加地に代えて今野を起用し駒野を右に回す手もある、負傷の阿部の代わりに坪井を使っても面白い。サウジ戦までで相当消耗していた遠藤や憲剛に代えて水野や太田をアタマに起用するのも一策。などと、スタメンを愉しみにしていたのだが、巻に代えて山岸を起用したのみ。
 山岸のように挙動開始点が比較的前方でパスを引き出せる選手が何とか1枚代表に欲しいと言うオシム爺さんの気持は痛いほど理解できる。昨年のイタリアの世界制覇に、確かにカモラネージは重要だったし。この日の山岸は悪くなかった。少なくとも山岸の出来は、カタール戦と比較して格段によかった。位置取りを幾度も左右に変え、危ない場面は精力的に上下動した。過去幾度も厳しく評価した消極性も見受けられなかった。山岸なりによいプレイを見せてくれたからこそ、今後代表定着は厳しいのではないかとの印象も感じたのだが、これは別な機会に。
 姜敏壽が退場になった以降の時間が長かったので、あたかも日本が押し込み攻め切れなかった試合と言う印象になった。けれども、韓国が10人になる前は、序盤を除いては韓国ペースの試合だった事を忘れてはいけない。前半の半ばから上記退場劇まで、日本は運動量の少なさから韓国に中盤で再三ボールを拾われ、中々攻め込めずにいた。やはり、これは選手達の疲労が影響していたと思う。やはり、もう少し新しいメンバを使ってもよいと思ったのだが。

 豪州戦も悩んだ交代の遅さ。今回も特に3枚目の交代カードは遅すぎたように思えた。確かに延長後半、矢野を投入した直後、中村の好クロスに矢野が2人のDFを引き連れて飛び込み、こぼれたボールを羽生が狙う決定機を掴んだ。しかし、あそこまで韓国が疲弊していた以上は、もっと早く動くべきだったのではないか。私は延長前半に、加地に代えて太田か水野の起用を期待したのだが。彼らならば、サイドをえぐるのみならず、敵陣前で複数回のファウルを取ってくれたのではないかとも思うから。
 確かに慎重に慎重にカードを切り、後から起用した羽生も寿人も矢野もそれなりに機能させて、交代選手が毛定機に絡むのだから、あまり爺さんに文句を言う筋合いはないのかもしれない。でも、今日の「3枚目の遅さ」は、私個人としては「豪州戦より悪かった」とは感じた。まずやはり「遅過ぎるのではないか」と思った。韓国の疲弊は豪州戦以上に顕著だったのだが。次に「矢野投入」の狙いが不明確だった事。豪州戦の「矢野投入」は憲剛との交代だったから選手達にパワープレイONとの意図が伝わったが、高原との交代では狙いが不明確だったように見えた。

 それにしても、頑固な人だ。

 その他の雑感。

 個人的に気にいった(と言うか、腹が立ったと言うか)韓国選手は左サイドバックの金致佑。前半の中村のクロスが山岸に通りかけた場面、後半終盤の駒野のクロスに寿人が合わせようとし場面、いずれも奇跡的としか言いようのない飛び込みで、日本の決定機を防いだ。PK戦がサドンデスに入り、金致佑が6人目に登場した時は「勝った」と思ったのだが。とかくこのようなPK戦では、試合中に抜群のはたらきをした選手が外すものなのだ。ところが、金致佑は堂々とPKを決めてしまった。何という奴だ。
 金満のJクラブはこの男に注目すべきではないか。

 その金致佑が決めた直後、羽生がペナルティマークに向かった時に悪い予感を感じた。羽生は交代で起用された直後から精力的に動き複数回の決定機を掴んだ。ただ、どうしてもシュートが入らなかった。「Not His Day」の選手の不運が出たミスだったのか。
 今大会、スーパーサブとして頻繁に起用され、幾度と無く好機を演出した羽生だが、どうにもシュートだけは入らなかった。敵陣前での得点機、軽量なだけにどうしても屈強なDFに寄せられるとシュート精度が落ちる傾向がある。既に27歳と決して若い訳ではないが、もう1つシュート前の技術を磨いて欲しいところだ。もっともプレイスタイルでは全く異なるが、12歳上の大学の先輩中山雅史もシュート前のボールコントロールが格段に向上したのは30歳になって以降。ここまで丹念にプレイスタイルを磨いてきた選手だけに、今回の「痛恨」を苦い薬として、奮起を期待したい。

 でも悔しいね。
posted by 武藤文雄 at 08:37| Comment(55) | TrackBack(3) | 日本代表

2007年07月28日

日韓戦を前に

 よりによって韓国と合間見えることになった3位決定戦。

 そもそも韓国とお互いにベストで戦う機会はほとんどない(アジアのタイトルは双方がシードされる事と東アジア選手権のようなローカル国際試合では両国とも欧州クラブ所属選手の招聘が難しい事による)。今回の大会の韓国は、朴智星不在など「ベスト」とは言い切れないメンバ構成と言う考えもあるかもしれない。しかし、これは負傷離脱であり、両国とも現時点で「ベスト」のメンバを招集した大会と言って構わないだろう。そのような意味では、この貴重な試合をじっくり愉しみたいと思う。

 ただし、通常日韓戦となると、「何があっても勝つのだ」と吠える単細胞の私だが、さすがに「今回だけは無理をせずとも」と言う思いがある。理由は簡単、ここまでの5連戦を戦い抜き、サウジに苦杯した各選手達は、もはや肉体的にも疲労困憊の各選手に、これ以上の要求をすべきとは思えないのだ。誰が何を言おうが、今回の大会の目標は3連覇だった。オシム爺さんは、準備期間がほとんどない状況で、南アフリカを見据えながら、3連覇の可能性が低くないチームを作ってくれた。しかし、準決勝で敗退。これはサッカーなのだから仕方がない事だ。そして、その目標が達せられなかった時点で、レギュラの幾人かは疲弊しているだろうから、フレッシュな選手で戦うべきだと思うのだ。どうやら、オシム爺さんも記者会見でそのような発言をしているらしいが、これは仕方がないだろう。

 ところで、AFCは大会途中に、3位になると次回決勝大会自動出場権提供と言い出した。そもそも、このような事は、大会開始前に発表されるべき事である。ピッチ上で各国の選手達が見せてくれた素晴らしいエンタティンメントと比較し、次の試合会場への移動に10時間の旅を強要したり、灼熱の地でまだ日が落ちる前にキックオフするなど、AFCの大会準備は非常に酷いものだった。今回の「突然の次回大会出場権提供」も、その1つと言えるではないか。せっかくの大会の権威を下げるこのような事は勘弁して欲しい。
 ともあれ、決定の過程は論外ではあるが、決定はなされた。「そのためにも絶対に勝たねばならない」との報道もあるが、それは違うだろう。もちろん、勝利して自動出場権を獲得できれば、それは名誉でもあるし、結構な事だ。しかし、実質的に考えれば、現状の日本の戦闘能力を考えれば、どのような予選形態があろうが、アジアのベスト16に入る事は何も難しい事ではない。自動出場権を得られらなくとも、2011年と言う意味でのリスクはほとんどないはずだ。
 唯一ネックになるのは「日程問題」だろう。確かに日本サッカー界に日程過密は破綻状態にある。昨年のアジアカップ予選敵地2連戦の狂的日程は記憶に新しい。しかし、だからと言って、その日程破綻のための努力を川口たちに押し付けるのか?それは違うだろう。それを解決するのは、日程決定部門のはずだ。
 さらに逆の見方だってある。もし、今大会前回優勝国として「自動出場権」を確保していたとする。とすれば、日本協会はオシム爺さんににいったいどれだけの準備試合を提供できただろうか。オシム爺さん就任以降、アジアカップ予選として日本は5試合戦った。それとキリンカップの5試合、合計10試合と数回の合宿のみで、オシム爺さんはここまで見事なチームを作り上げてくれた。2011年の王座奪回は我々にとってとても重要な目標の1つだ。その準備のためにも、「予選の存在」はメリットにもなり得るのだ。
 改善すべきは、日程の根本的見直しであり、代表チームの公式試合数削減ではないのだ。

 今日は「ああ今頃は成田にいるはずだったのに」「そろそろジャカルタに着いた頃だったはずなのに」と1日中愚痴を言い続け、妻に何回も笑われた。そして迎える日韓戦。屁理屈を色々述べたが、やっぱり勝ってね。
posted by 武藤文雄 at 20:30| Comment(4) | TrackBack(1) | 日本代表

2007年07月27日

花いちもんめ

 失点場面を反芻する。
 1点目、何故中澤が敵のマークにつかずそれも最終ラインより前に位置取りしたのだろうか。加地があのような場面で敵に身体を当てられずボールがこぼれたのは、テヘランイラン戦を思い出す、毎日のトレーニングで中村や遠藤が蹴るもっとシビアなボールへの対応を行なっている連中が何故、等々。
 2点目、キックオフ直後から押し込んでくるサウジ。CKをしのいで逆サイドでボールをもたれながらも数的優位。何故、あそこで遠藤はあそこまで棒立ちで易々と後方への進出を許したのか。立ち上がりをケアするの当然と言う事は、身体に染み付いているはずなのに。
 3点目。阿部のウェイティング。中澤のカバーが間に合う。「よかった1対2になった」と安心した瞬間の阿部の理解不能な位置取り。まるで阿部が中澤のアプローチをブロックしたかに見えた。その後のテーピング以降立ち直った阿部。「痛みを我慢するのは美徳ではないのだ」と言う教訓と取るべきなのか。
 もちろん、サウジのアルハウサウィとアルカハタニの俊敏さは素晴らしかった。けれども、忘れてはいけないのは、いずれの失点も彼らに俊敏さを発揮させる1つ前に日本が得意なはずのプレイを失敗している事だ。加地は上記のイラン戦の頃まではこのような競り合いを苦手としていたが、05年コンフェデあたりからは勝てずとも敵にしっかりと身体を寄せる駆け引きは抜群になっていたはずなのに。遠藤は後方から進出してくる選手の動きを洞察する能力は格段のはずなのに。阿部は知的な位置取りで数的優位を利用するのが得意なはずなのに。

 試合直後に愚痴を垂れた「シュート打たない問題」。例のモンテネグロ戦の爺さんの憲剛への叱責のため?、1次リーグでは丹念なつなぎが巧く行き過ぎたが故の過信?、暑さによる疲労が故の判断の衰え?、幼少時代から「失敗」を叱責する少年指導の問題?、「五反田西口」さんが必死に否定する「国民性」?
 自分なりの理解。つないで崩そうと言う現在のチームの狙いに皆縛られてしまったのだろう。相互の連携を高める事を目的にトレーニングが進み、チームが成熟すると共に、目的と手段が混乱してしまったのだろう。凄くキレイな言葉を使うとしたら「4年計画のチームの1年目だからな」と言う事になる(もっとも皆いい年齢なのだけれどもね)。汚い言葉を使えば、「憲剛と阿部は、何故あんなに中村や遠藤に遠慮するのだ、もっと独善的に仕切れ」と言う事になる。

 まあ、こう言う事を執拗に考えるから面白いのだよな。

 キャンセル手続を行なったジャカルタ旅行。一緒にジャカルタ行きを計画した大先輩から「残念ではありますが、いつもとは違ったスリルが味わえたのも事実で、これはこれで貴重な経験と言うべきでしょう。」との連絡をいただいた。キャンセル料は痛いが、納得の上でのジャカルタ行き狙い、悔しさの中にも誇らしい思いも。

 試合後のエントリのコメント欄が凄い伸びだ。皆が悔しがっている。自分もそうだけど、悔しい気持の時に「書く」のは悪くない。問題点を指摘するのもよいし、原因を探るのもよいし、愚痴を語るのもよい。管理もいい加減なBLOGで時に皆さんに不快感を与えるかもしれないけれど、コメント欄をそのように使っていただけるのはありがたい限り。

 結局サポータとは「いかに負けを受け入れるか」と言う存在なのだと。

 昨年のワールドカップ。豪州戦、監督の采配ミス、痛恨の同点、再び攻勢に立ち小野のパスからの福西の決定機、「とにかく豪州には勝とう」と皆が考え、引き分けで勝ち点を分ける発想がなくなってしまった中盤守備の混乱。これらが錯綜した上での惨敗だった。そしてブラジル戦、選手達はブラジルに3−0で勝つと言う「実行不可能な使命」を実現すべく戦った選手達。あの前半ロスタイム、中澤がロナウドにしてやられるまでは、そのミッションは完璧に遂行されていた。
 チームマネージメントがうまく機能せず、選手たちは「個人戦術レベル」で奮戦したにも関わらず、「チーム戦略レベル」では機能していなかった大会だった。でも、選手達はその状況下で全力を尽くし、難しい局面を打開しようとしていたのだ。あれはあれで誇らしい日本代表だった。
 物凄い悔しさを抱えての敗戦だったが、やはりあの悔しさを味わうために私はドイツに行ったのだ。苦しみ抜く選手達を必死に応援する喜びと絶望。だからサポータは辞められないのだ。

 そして今回。チームマネージメントは格段に強化され、新たな選手も加わり、1年前にドイツでもがいていた選手は格段の出来を見せ、圧倒的な勝利が期待された。でも負けちゃった。本当だったら、今頃明日のジャカルタ行きをタノシミに景気のよい作文を書いているはずだったのに。でも負けちゃった。
 そう考えると、胸がかきむしられるように悔しいのだが、結局この悔しさを味わえるからサポータは辞められないのだなと。
posted by 武藤文雄 at 23:41| Comment(15) | TrackBack(0) | 日本代表

2007年07月26日

とりあえず敗因

 序盤、日本が軽妙にボールを回し、ポゼッションが70%を越えると言う表示がでていた頃。「これは負けるのではないか」と悪い予感を感じた場面があった。それはCK崩れから、ペナルティエリア僅か外、中央よりやや右寄りで、阿部がこぼれ球を拾った場面だった。「当然シュートだろう」と私は思ったのだが、阿部は小さく外に持ち出してクロスを選択したのだ。繰り返すが、この瞬間、物凄く悪い予感がした。

 今日の敗因は単純だ。
 シュートを打たなかった事だ。

 サウジと日本の差はそれに尽きる。サウジの強引なシュートをブロックし、阿部も中澤も幾度と無く悶絶した場面があった。しかし、日本は強引にシュートを打ちに行かなかった。
 上記の場面の阿部を筆頭に(底辺に)、中村も遠藤も憲剛も駒野も、誰も自ら点を取ろうとしなかった事だ。

 もちろん、他にも敗因はあったよ。
 確かにグループリーグトップで、ハノイに移動なしで滞在できたのはよかった。しかし、4ヶ国の会場でハノイほど灼熱高湿の場所はなかったと言う。そこに長期滞在すれば、そりゃ疲労は溜まる。啓太の運動量が上がらなかったのを筆頭に、駒野も加地もキレがなかった。皆、疲れていたのだろう
 2−2に追いついた時に、阿部はオーバヘッドキックの着地に失敗し、手を負傷したようだった。TV映像でドクターにコールドスプレーをかけてもらう場面がでてきた。そして、決勝点。あの時の阿部の対応の拙さにはあきれた。ところが、その後負傷した手にテーピングをした以降は、何ら問題なくプレイしていた。今思えば、「阿部の治療のタイミング」は、非常に重要だったのだ。

 その他にも戦術的な問題はいくつも指摘できる。でも、最大の問題はシュートを打たなかった事、自ら点を取ろうとしなかった事に尽きるのだ。
 後半、羽生の思い切りのよいミドルシュートがバーを叩いた時に、改めて心底そう思った。打てば、敵もそれに対応するため崩れるのだ。
posted by 武藤文雄 at 02:54| Comment(71) | TrackBack(3) | 日本代表

2007年07月25日

アジアカップで勝てない韓国

 韓国はよい試合をしながら、イラクを攻めきれずPK戦のすえ敗れた。

 前半はお互い慎重に戦い互角の攻防が続いた。後半は韓国が鋭い出足でイラクのパスをつぶし幾度と無く攻め込む。何度もFKから好機を掴むのだが、もう1つ精度が足りない。韓国は後半も終盤に入り、(崔相国の負傷もあったが)李東国を投入し、゙宰湊との2トップで無理攻めを狙う。結果的にイラクも逆襲から好機をつかめるようになるが、両国とも決定機に至らず。 延長は、さすがに韓国に疲労が目立ち、イラクが攻勢に立ったが決定機を活かせずそのままPK戦となった。

 イラクはこの日は褒められた出来とは言えなかった。主将のストライカのマハメド、天才肌のボランチのアクラムが、韓国の執拗なプレスに沈黙してしまったからだ。それでも、最終ラインが我慢を重ね、韓国のプレスが緩くなった延長戦はペースを掴み、オープン攻撃から決定機を幾度か掴んだ。戦闘能力的には、日本、韓国、サウジ、イラン、豪州の5ヶ国に、イラクは完全に入ってきたと言ってよいだろう。イラクのようなスキルフルでビルドアップをしっかりしてくるチームが、完全にアジアの強豪に復活してきた事は日本にとって、短期的には(南アフリカ大会出場権獲得への障害と言う意味で)困った問題になるかもしれないが、長期的には(将来ワールドカップ優勝を目指すためにはアジアのレベルアップが必要だと言う意味において)非常によい事だと思う。ここにウズベク、オマーン、北朝鮮、ベトナムのような「サッカーに対して真摯な国」が加わってくれば面白いのだが(ベトナムはフィジカル的にきついかな)。根底から考え方を変えない限り、カタール、UAE、中国は、半永久的に上位には加わってこないだろうから、これらの2番手国に対する期待は大きい。

 試合間隔が短く、前の試合がPKまでもつれ込んだ韓国が、走力でイラクを圧倒したのはさすがとしか言いようがない。今大会は朴智星、薛g鉉、李榮杓、金南一、李乙容と言った中心選手が負傷で離脱していたのが痛かったと言う事だろう。Jリーグがらみの、金珍圭、金正友、゙宰湊の3人が、中核と言ってもよいガンバリを見せていた。彼らは皆とてもよい選手だが、さすがに韓国代表の屋台骨と言うには、まだまだ。彼らがそこまで中心にならなければいけない事そのものがメンバ編成の厳しさをうかがわせた。
 一方で、今大会の韓国はこのような「次世代」の選手が「中核」としての経験を積んだと言う意味では、非常に大きな大会となった。この大会を経験した金正友ど宰湊のJでのプレイは非常に愉しみだ。

 86年のメキシコワールドカップ。アジア枠は2国で東西に分けて代表権を争った。東の代表は言うまでもなく韓国(54年大会以来の久々にワールドカップ代表だった)。「木村和司のFK」「メキシコの青い空」などの伝説を生んだ通り、最終予選の相手は我々だった。西の代表はイラク。イラン−イラク戦争が真っ盛りの時期で、ホームゲームを全く戦う事ができない状態での代表権獲得は驚異だった。両国の死闘を堪能しながら、21年前を思い出したりもした。
 上記86年以降、ワールドカップも五輪も全て本大会連続出場と、アジアの予選であれだけ見事な強さを見せ続ける韓国。一方で韓国はこの準決勝敗退で、92年大会以降5大会連続で1度も決勝進出を果たせない事になった。 これはちょっと不思議な気がする。
posted by 武藤文雄 at 22:10| Comment(1) | TrackBack(1) | 海外

2007年07月24日

サウジ戦前夜

 日本代表はサウジには不思議と相性がよい事は、昨年アジアカップ予選、信じ難い狂的な日程下で臨んだ敵地でのサウジ戦前に講釈を垂れた。ところが、その試合日本は、厳しいコンディションながらも見事なサッカーを見せながらも、サウジの逆襲一発に失点し敗戦。対サウジの敗戦は、90年アジア大会以来17年振りと言う悔しいものだった。しかし、その後の札幌サウジ戦は完璧な復讐戦にする事に成功した。この日の日本は、終盤の燃料切れの失速があったり、啓太と今野の軽率なプレイからのPK提供があったものの、美しい攻撃は実に鮮やかなもの、オシム爺さんの狙う「日本化」の一端を垣間見た思いがした。
 余談以降、あの札幌サウジ戦以降に「オシムのサッカーはつまらない」と言う意見を言う方は、どのようなサッカーならば面白いのか具体的に述べて欲しいものだと思う。まあいいや。

 かくして迎えた準決勝の相手はそのサウジアラビアとなった。

 元々、日本がサウジに相性がよい理由として考えられるのは、日本の忠実で組織的な中盤の守備。アジアでサウジの鮮やかな速攻が冴えるのは、各国ともに速攻の出所を忠実に押え切れない事にある。逆にサウジはワールドカップ本大会では、ほとんど勝てないでいるが、これは本大会に登場するような列強は皆しっかりとした中盤守備を行なえるからだ。02年ドイツに0−8で敗れた試合はその典型例。唯一サウジが好成績を収めた94年合衆国ワールドカップ、あれはTV中継のための灼熱の天候下、3位でもベスト16に抜けられるレギュレーションで行なわれた大会だった。今大会の日本の稠密な中盤守備は中々のものがあり、サウジの攻撃の起点を巧く押えてくれるのではないかと期待は大きい。
 さらに、日本には好条件がいくつかある。昨年の直接対決での内容もよかった、敵はここまで滞在していたジャカルタから初移動、ウズベク戦についても攻撃は鋭かったが守備には甘さが目立つ、長年中心選手として活躍していた脂の乗り切っているはずのCBムンタシャリはメンバ外、等々。

 一方で最大の不安はハノイの灼熱多湿。ナイトゲームで気温が下がってくれればよいのだが、稠密な中盤守備を継続するためには、最低限の運動量維持が必要なはず。豪州戦こそ、「猛攻継続」のために120分間走り抜いた日本だが、1次リーグは省エネルギーモードだった。豪州戦の各選手の体調を見る限り、体調は大会後半に合わせていたのではないかとは思うが、サウジ相手に運動量が途切れるとしたら危険である。
 もう1点。上記した昨年のサウジ戦の失点。敵地では、遠藤のミスからボールを失い、啓太が対応を誤ったのが要因。札幌では、啓太のミスからボールを失い、今野が対応を誤ったもの。彼らはそれぞれの試合で、決して出来が悪かった訳ではないが、当該場面だけは痛恨のミスを犯してしまった。非常に月並みな不安点だが、この厄介な敵と戦う時は、ほんの小さなミスが命取りになり得る。各選手にはプロフェッショナルとして誇りに満ちたプレイを期待したい。

 かつて日本がサウジに難儀した試合と言えば、00年アジアカップ決勝(この試合は複数の要因が重なっての苦戦だった)、96年五輪予選(こちらは当時の西野監督が終盤凍ったのが苦戦の要因となった)。疲労からあのような展開になるのだけは避けたいところ。
 もっとも、これらの試合はいずれも、川口が全てを解決してくれた。再び川口劇場を堪能するも良し、札幌の再来で「美しさ」を堪能するも良し。どちらに転んでも、勝つのは我々なのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:56| Comment(6) | TrackBack(0) | 日本代表

2007年07月23日

「選手交代」をもう少し考えた

 昨日、オシム氏の選手交代の慎重さについて講釈を垂れた。その後、もう少し「選手交代」について考えてみた。

 考えてみると、オシム氏の前の2人の代表監督も「選手交代の遅さ」は共通しているところがあった。その過程に大きな違いはあるように思うが。
 トルシェ氏は、果断で鮮やかな交代をする事があったが、時々「どうして動かないのだ」と言う時があった。例えばワールドユースの1/16ファイナルのポルトガル戦やシドニー五輪の準々決勝合衆国戦など。私は、トルシェ氏は優秀な監督だとは思っているが、「日によって選手交代の調子がよい時、悪いときのムラが多かった」と、理解している。ただこの方の場合は、チームの流れが悪くなると「ベンチで凍った」かのように動けなくなってしまうようにも見えたのだが。
 ジーコ氏の選手交代振りはわかり易かった。「このまま事態が推移すべきと考えた時は動かず、このままでは拙いと考えた時は果敢に動く」と言う事だ。ただ、この方の場合は試合に入り過ぎて我を忘れている印象もあったのだが。
 さてオシム爺さん。この方は比較的万能型の選手交代を振るうはず。かの爺さんがPK戦時にロッカールームに引きこもる事を決心した、旧ユーゴスラビア−アルゼンチン戦。ディエゴのマークのサバノゾビッチが早々に退場になり、灼熱のフィレンツェ(もっとも日差しは強烈そのものだったが、湿度はハノイに比べれば...)で昼間の試合だったにも関わらず、交代はベテランのスシッチに代え、若きサビチェビッチを起用したのみ。我慢に我慢を重ねて、ディエゴを後一歩まで追い詰めた。一方ジェフ時代に獲得したナビスコカップの決勝では、延長の可能性が高かったにも関わらず、3人の交代カード全てを用いて勝負に出た事もある。また、ジェフでは不甲斐ないプレイをした選手を前半の時点で代える選手交代を見せたのも記憶に新しい。その爺さんが、あそこまで慎重に豪州戦を戦い抜いた真意はどこにあったのか。負けない事の最優先か、川口への絶大なる信頼か、寿人ならば15分あれば点を取るだろうと言う期待か。
 いや、何を言いたいかと言うと、「選手交代に対する邪推」は、愉しいと言う事なのですが。

 もう1つ。「選手交代の成功」とは何だろうか。
 例えば、昨年W杯の豪州戦。交代で出てきたケーヒルやアロイージオに点を取られたが、なるほどヒディング氏の選手交代は見事だっとしか言いようがない。ドイツワールドカップ予選の埼玉北朝鮮戦、終盤交代出場した大黒がロスタイムに決勝点、確かにジーコ采配大当たりと言うしかないかなとも思う。
 では、あのジョホールバル、岡野の投入は、どう考えたらよいでしょうか。確かにあの感動的なVゴールを決めたのは岡野だった。しかし、あの感動に至るまで岡野はいったい何回決定機を外しただろうか。一方で、岡野だからこそ、あの決定機を掴めたと言う反論もあるかもしれない。しかし、私はあの延長戦に入った時間帯の岡田氏の決断は、やはり間違っていたのではないかと思う(今さらしつこいか)。しかし、あの岡野の起用がなされた延長戦で、我々は未曾有の歓喜を獲得したのもまた事実なのだ。
 もちろん選手交代とは、得点を狙ってのものだけではない事は言うまでもない。しかし、交代の成功あるいは失敗を定義するのも、また難しいものだなと。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(8) | TrackBack(0) | 日本代表

2007年07月22日

もっと早く仕掛てはダメですか?

 マハダビキアと李天秀の死闘を眺めながらこの文章を書いている。トーナメント戦で何が愉しいかと言うと、当方は次ラウンドに出場を決めている状態で、ライバル同士が削り合っている試合を眺める事だ。

 とお気楽な気持ちで、昨日からは一転した冷静モードに切替えて豪州戦を振り返ってみたい。

 豪州は前半の半ばこそ、豊富な運動量で日本を押し込んだ。特にエマートンとカーニーの後方からゴリ押しで上がってくるドリブルへの対応に苦戦し、そこから押し込まれてしまった。しかし、あの暑さと日本の巧みな中盤のプレスにより、彼らの前線進出の頻度が少なくなって、再び日本ペースとなった。
 それ以外の時間帯はほぼ日本ペースで試合は推移。いずれの時間帯でも、日本はビドゥカ、アロイージへのクサビについては中澤、阿部の見事な位置取りと啓太、憲剛の忠実なサンドイッチで完封し、豪州に攻撃のきっかけさえ掴ませなかった
 攻撃については、遠藤が後方に引く事でできたスペースを憲剛が前進する事で使う策が有効。特に中村が巧みな仕掛けで憲剛を前向きに進出させる事で複数回の好機を掴んだ。丁寧にボールをつなぎながら両翼から崩しを狙う攻撃と、上記の憲剛の前進による中央突破、試合ごとにチームの仕掛けが高度化してくるのは、さすが爺さん。
 ただし、最終ラインの強さは、ここまでのチームの比ではなかった。タイ戦で露呈した素早い動きに対する弱さは、5人を守備ラインに並べ稠密にスペースを調整する事で対応。中盤に人手をかけるため、どうしてもゴール前の人数が足りない日本の攻撃をよく押えた。それでも、日本のボール回しに動かされるため、後半10分を過ぎたあたりから各選手に消耗の色が濃くなってきた。
 ここで豪州監督アーノルド氏はビドゥカを外し、キューエルを起用。「このままでは勝てない、流れを変えよう」と言う意図が痛いほどわかる大胆な采配(どうでもいいけど、さすがにアーノルド氏と駒野は面識はないのだろうな)。
 このあたりで私は寿人の投入を期待した。ビドゥカが外れた事でセットプレイでの不安はやや軽減した。巻の代わりに寿人を投入すれば、瞬間の速さは疲労した豪州の守備ラインを悩ませるだろう。これだけ攻勢を取れるのだから、一気に勝負をつけに行くべきではないかと思ったのだ。
 などと思っていたら、痛恨の失点。さすがに2試合続けてニアに蹴られたCKから失点するとなると、考え込んでしまう。ただ、昨日も書いた通り、失点直後の川口の絶叫を見て(う〜ん、絶叫って見るものだっけ)、負ける気はしなかったのだけど。
 高原の同点弾は見事だったが、失点−同点の間のブレシアーノからケーヒルへの交代は結構微妙だった。ケーヒルが準備しているのは失点前から、TVで報道されたいた。問題は豪州は先制したにも関わらず、この交代をすべきだったのか。ケーヒルの投入準備は、あくまでも劣勢の局面打開だったはず。せっかくリードを奪ったのだから、まずは落ち着いて守備を固めるべきだったのではないか。いや、別に不満はないですけれど。
 さらに試合をややこしくしたのは、同点劇直後のグレッラの退場。これも文句を言う筋合ではないけれど。ここでアーノルド氏は開き直った。アロイージオに代えて守備のできるカールを投入。残り約40分間を守り抜こうと決心したのだろう。こうなると、それをこじ開けるのは結構つらい。ある意味では、この退場が無い方が日本は攻めやすかったかもしれない、と終わってみれば余裕のコメント。

 ここからは日本が執拗に豪州守備ラインを崩そうとする努力の時間帯となった。
 「いよいよ寿人を入れましょうよ」と短腹の私は思うのだが、爺さんはじっと動かない。丁寧に丁寧に豪州を締め上げようとする魂胆か。それにしても、爺さんの采配は常に慎重極まりないものだった。まず負傷した加地に代えて今野を投入。さらに延長前半も押し詰まったところでようやく寿人の投入。疲労した豪州守備陣は寿人の短いが速い動き出しに相当苦労する。延長後半に掴む幾多の好機。でも崩し切れない。そして最後の最後に矢野を投入しパワープレイに。これはこれで効果的で、豪州は右往左往。終了直前の中村のシュートは決まったと思ったのだが。
 交代の早い遅いは多くの場合結果論であり、試合終了後も酒の肴となる典型的な話題である。上記したように、私は少なくとも寿人投入はもっと早く行なわれるべきだったと思う。(私から見れば)爺さんの交代は遅すぎたように思われるが、一方で爺さんの切ったカードは確実に有効に機能したのもまた事実。もっと早く切ればより長時間有効だったのか、待ったからこそ短い時間で利いたのか。

 ただ1つだけ間違いない事がある。寿人があのドリブルシュートを浮かさず決めていれば、PK戦前に勝ち切る事ができたのだ。寿人よ、もっと鍛錬を。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(23) | TrackBack(0) | Jリーグ