2007年09月06日

五輪代表予選サウジ戦逆説的展望

 この週末は、A代表の欧州遠征もあるが、やはり最も興味を引かれる、と言うか最も恐怖感を覚えるのは五輪代表のサウジ戦であろう。
 我々日本サイドは、反町ジャパンの迷走振りを目の当たりにしているから、「サウジにチンチンにやられるのではないか、五輪に出られるだろうか」と不安ばかりなのは確か。
 もしも、もしもですよ、五輪出場権を逸したときのショックはちょっと大きいよね。来夏マスコミが大騒ぎする異様な雰囲気の中、我々だけが蚊帳の外になる(もっとも70年代、80年代はそれが当然だったのだが、アトランタ以降は完全にサッカーが五輪のメインコンテンツの1つになっているのだし)。あの感動の96年のシャーラム以降、我々は「世界大会に出ない状態」を忘れてしまっているのだ(おっと、磯崎や澤は既に出場権を確保しているな)。
 以前から何度も語っているが、この五輪代表チームの完成度は低い。反町氏はこれまで、組み合わせに疑問が残る(もっとも「疑問」と言うのは単に私の主観に過ぎないけれど)メンバの半固定と、総取替えを併用。結果的に、選手の個人能力は非常に高いにも関わらず、連動性が不十分なチームしか準備できていない。ワールドユースメンバの組み入れも、時機を失した感がある。柏木なり内田なりJで圧倒的実績を残している選手を少しでも試しておけばよかったのだが。
 またこのチームは、同格以上の対戦経験が非常に少ない。昨年のアジア大会はその格好な機会だったが、意図不明の自主規制チーム(サンフレッチェ以外のチームからは1人ずつしか選考しなかった)で臨み、トーナメント進出前に北朝鮮に苦杯し「本当に強い敵」とは戦い損ねた。その他にも、同格以上の相手と戦った試合はいくつかあったのだが、昨年の敵地韓国戦は「2軍」対応、国立韓国戦には「明らかに質の低い選手に拘泥」、今年2月に組まれた合衆国戦は「機能しない事は自明な3トップ」、とことごとく貴重な機会を無駄にしてしまった。このサウジ戦は、その合衆国戦以来久々に、同格の相手と戦う試合なのだ。

 しかし、冷静に敵の立場で考えてみるといかがか。
 サウジ側から見れば、状況はより深刻であろう。敵地とは言え、カタールに初戦苦杯。完全にもう後がない。もし、このホームゲームで日本に敗れれば早くも剣が峰に追い込まれる。引き分けでも相当苦しくなる。このような時に「窮鼠猫を噛む」的な心配もあるが、サウジと日本は「鼠」と「猫」ほど実力差はない。ことサウジ戦に関して言えば、日本は厚く守備を固め、サウジが無理に出てくるのを待っていればよい。大体日本は引き分けで十分なのだから。
 さらにサウジサイドから見れば、日本の試合をスカウティングすればするほど、水野や本田圭祐や家長をどう止めたらよいのか、青山直と水本をどう破ったらよいのか、相当深刻に悩んでいるはずだ。「連携に課題はあるが、個人能力が高いチーム」相手の場合、守りを固める策は立てやすい。しかし、サウジは勝たなければならないのだ。サウジは90分間、サイドプレイヤは水野と本田圭を押し込むためにプレスをかけ続け、FWは水本と青山を崩すために横への動きを継続し、DFは梶山や本田圭から精度の高いボールが平山に入るのを注意し続け、ボランチは家長や柏木が前を向くのをケアし続けなければならないのだ(足元にボールを置いてから突破を図れる家長と、長い距離を走ってボールを受けられる柏木と2枚いるのは、変化と言う意味で非常に大きい)。90分間でった1度でも、そのようなチームディフェンスをさぼった瞬間、サウジは日本のカウンタアタックの危機に迫られる。既に1敗しているサウジの選手達は、監督からこれらの指示を聞くだけで、一層日本を怖れるはずだ。そしてこの国は伝統的に、単純に強さではね返す守備は得意だが、継続的でしつこい守備は不得手なのだ。
 また、先日の国立ベトナム戦では、本田圭の機能不全が顕著だった。ベトナムがワントップで来たために、左サイドバックに下がった事、応対するウィングが完全に引いているにも関わらず最終ラインを維持し続けた事、が問題だった。これは、反町氏の指示によるものだろう。しかし、本来完全に中心選手として機能しなければならない本田圭なのだから、過剰な守備重視の指示は無視して攻撃に加担して欲しかったのだが。一方で、この反町氏の腰が引けた采配は、サウジに対しては非常に有効だろう。何のかの言ってこのチームは結成以来有料試合で、12勝4分け2敗と圧倒的な勝率を確保しているのも、氏の「超安全第一」采配の賜物とも言えるのだし。

 事がここまで煮詰まってきている現時点で、反町氏のチーム作りを批判するのは、ほとんど意味がない事だろう。もうサウジ戦まであと僅かなのだし、今更修正もへったくれもないからだ。今はもう、「反町さん、ごめんなさい」と発言する事を待ち望むだけ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(1) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする