2007年10月30日

若年層国際大会とJリーグ

 昇格争いをしているJ2サポータにとっては、胃の痛みを愉しむ日々が続いている。
 とは言え、昇格争いは概ね以下に絞られてきた。コンサドーレがやや抜け出しつつある。ヴェルディ、ベガルタ、サンガのが、2,3位を争う。そして、(全く望んではいないが)ベガルタが今後こけて、(こちらは多いに期待しているが)サンガが新監督の下でガタガタになれば、セレッソの再浮上も可能。ただし、そのためにはセレッソは残り試合を全勝近くで乗り切らなければならない。
 ところが、セレッソは、残り6試合全てをベストメンバで戦うのが難しそうなのだ。これは、はっきり言って信じ難い。
 私はこの「優先順位問題」を杓子定規に、「Jリーグ>若年層代表チーム」と言う不等式で論じようとは思わない。たとえば、ちょうど1年前に行なわれたナビスコ決勝内田強奪事件の際も論じたが、このような問題はケースバイケースで議論するのが適切と考えている。したがって、今回のケースでもユース代表の監督と、各クラブで打合せを行なった上で、最適な結論を模索するしかないと考えている。
 そして今回に関しては、必ずしも難敵とは思えない1次予選の戦い、そして単独クラブにとって感情的にも経営的にも大きな上位デビジョンへの昇格争い、と言う比較になる。したがって、常識的な結論としては、「香川と柿谷のユース代表への召集はなし」と言う事ではないかと思うのだが(無論、クルピ氏が「香川、柿谷不在でも全勝できる」と判断しているならば、状況は異なるが)。
 もうイヤミを言うのも疲れたが、過日私は日本協会及びJリーグ首脳の「ベストメンバ」、「試合の優先順位」についての、常軌を失した(としか、私には思えない)発言散々からかった。
 これらの発言をしたトップ達が今回のユース代表選考を批判する発言をしたと言う情報は、現時点では耳にしていない。改めて思う。彼らは何もわかっていないのだ。

 そして、この考え方は11月中旬に戦う五輪代表でも適用されるべきである。J1残留争いをしているクラブ所属の西川、青山敏、J1昇格争いをしているクラブ所属の若森島、さらにはACL出場権を争うクラブ所属の家長、安田、内田、増田、青山直、岡崎、枝村、と言った選手の選考の可否は、慎重に考慮されるべきであろう。青山直抜きでベトナムとサウジに2連勝するのは、相当厳しい事態かもしれない。そして、五輪出場権を逸する事はとても悲しい事だ。しかし、だからと言って「無条件に誰でも五輪代表に選考できる」と言う発想は非常に危険だと思う。

 そして、このような事態を招いているのは、過密日程である事は間違いない。日本協会は、来年以降に向けて、早急に日程問題について検討すべきであろう。
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2007年10月29日

10月29日に横浜FCのJ2陥落を考えた

 横浜FCのJ1の冒険は早々に終わってしまった。
 そもそも、数奇な歴史を持ち、決して予算的にも恵まれていないこのクラブが、J1に昇格に成功した事が大変な成果だった。
 とは言え、同時に昇格したレイソルとヴィッセルと比較しても、その予算規模や選手層からJ1での戦いが厳しい事は、開幕前から予想されていた。それでも、久保の獲得に成功、もし久保がそれなりに働く事ができれば、J2でも他チームを悩ませた堅固な守備と、久保の一撃で面白い存在になる事も期待された。
 けれども、現実は違った。J2陥落そのものは仕方がない事かもしれないが、シーズンを通して印象的な試合も少なく、存在感を見せる事なくここまで来てしまった感もある。
 無論、いくつか印象的な試合もあった。開幕のレッズ戦。久保は講釈しようのない一撃を決めた。これは凄かった。その後、横浜FCが発売した手ぬぐいもよかったけれど。しかし、この試合ではJ2で通用していた組織守備がレッズの猛攻に、終盤まで持ちこたえられなかった。そして、この開幕戦の守備崩壊は今シーズンの横浜FCを暗示していたかのようだった。
 リーグ序盤に三ツ沢で行なわれた横浜ダービーでマリノスに守り勝ったのも評価されよう。しかし、後期のダービーで、あろう事かマリノスに8点を奪われる惨敗。結果的に前期の鮮やかな勝利の記憶を消し去ってしまった。
 その後、ガンバに1−1で引き分けた(今考えると、ガンバにとってこの引き分けは非常に痛かったわけだが)時は、新規に補強したマルコス・パウロと呉範錫を軸に、それなりの反攻も期待された。しかし、直後にフロントはJ1昇格の功労者である高木監督を更迭。せっかくの上向きの雰囲気は、消えてしまった。確かにあの時点では、よほど奇跡的な手腕を持つ監督でなければ、状況の改善は難しい状況だった。J1昇格を決めた高木氏の手腕は驚異的だったが、フロントは奇跡的な監督を求めたのだろう。結局ジュリオ・レアル新監督就任後も連敗を重ね、J2降格が早々に決定した。

 久保がほとんど使えなかった事、チームの要として期待された生え抜きの内田が負傷がちだった事、序盤戦で外国人選手がほとんど機能しなかったなど、誤算が多かったのは確かだ。ただでさえ、戦闘能力的に苦しいチームだっただけに、これらの誤算は大きかっただろう。
 しかし、そのような事はいずれのチームにもある事である。やはりフロントの施策に問題があったと思う。最大の問題はカズ、山口、小村と言った大ベテランを中軸に考えた構想そのものだろう。この3人の実績はもちろん、節制もすばらしく、今なお見事なプレイを見せてくれている。しかし、彼らは既に盛りを過ぎた選手なのだ。彼らをズラリと並べてJ1を戦おうと言う発想に無理があったとしか言いようがない。常識的な年齢の選手の中で、彼らがベテランとして1枚機能するならば、状況は違ったかもしれないが。

 とは言え、フリューゲルス消滅から僅か9年で、横浜FCと言うクラブがJ1を戦ったことの意義は大きいと思う。この2つのクラブの関係を、以前に語った事に加えて、今さらどうこう語ろうとは思わない。ただ、たった8シーズンと言う短い期間で、必ずしも経済的に恵まれているとは言えない新しく作られたクラブが、1部リーグにまで駆け上がった事は、評価に値するだろうと言う事だ。
 そして、横浜FCと言うクラブの歴史は、過去よりは将来の方が長いのだ。このつらく厳しかったシーズンは、このクラブにとって貴重な財産になる事だろう。
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2007年10月28日

萬代宏樹の勝利

 よせばいいのに、年甲斐もなく、ユアテックスタジアムの「最も激しい界隈」で応援を愉しんだ。声だけ出していればよいのに、周囲から煽られるものだから、跳んだり跳ねたり、手を振り回したり。しかも、周囲には明らかに私より年輩の方も頑張っておられるから、これは負けられない。さらに隣には友人のご子息(中学2年)がいたのだが、これが指笛は鳴らすわ跳躍力はあるわの大活躍、まさか坊主と同年輩の若者に応援で負ける訳にもいかないのでついつい無理をする。加えて、応援だけしていればよいのに、「よっしゃ萬代」「(空中戦を戦う度に)勝て萬代」「振り向け萬代」「審判、今のはレッドカードだろう」「倒れるな萬代」「休むな萬代」「持ちこたえろ萬代」など、ついつい勝手な野次も飛ばさなければならないから、忙しい事この上ない。
 かくして、試合終了時は、半ば酸欠状態でフラフラになってしまった。足もつりそうだ。足をつらせた萬代の事を攻められないな。

 とは言え、今日は萬代宏樹の日であった。
 センタフォワードが点を取れるかどうかは、サッカーの勝敗を決定的に左右する。中島からのパスでフリーで抜け出した梁のシュートがポストを叩く前から、間違いなく萬代はその可能性を意識して素早い動き出しをしていた。この萬代の得点は偶然の産物ではなかった。
 センタフォワードが後方からのボールを収める事ができるかどうかは、それなりにサッカーの勝敗を左右する。そして、萬代はこの日多くのボールをしっかりと収め、時に丹念に味方につなぎ、時に強引に自力で突破を狙った。あるいは後方からのロングボール、萬代は多くの場面で競り勝ち、ベガルタのボール所有率を確保した。
 ロペス不在のこの試合、フィニッシュの精度と前線でいかにキープする時間を増やせるかの2点がポイントと思われた。萬代はこの2つの問題を解決してくれたのだ。
 私が萬代の映像を最初に見たのは、彼が高校2年生の時だった。飽く事なき得点の意欲、大柄で軟らかな体躯、正確な技術。その若者が私のベガルタに加入する事を知った時の喜びは大きかった。あれから5年、前途有為な若者は、ようやく、ようやくの事、本当のストライカに化けてくれようとしている。
 もちろん、課題はまだ山積している。この日、萬代は多くの場面で、時に後方からのボールをしっかりと収め、時に強引にふり向き敵陣を狙った。けれども100%それに成功した訳ではない。例えばロナウドが、例えばワシントンが、例えばアリ・ダエイが、例えば高原が、いかにチームのために戦い抜く事ができるかどうか。この苦しい試合でもう1点取ってくれていれば、
 萬代にとって、ベガルタの残り4試合、そしてそれに向けたトレーニングは、今後のサッカー人生を左右するものになるはずだ。アビスパ戦、萬代が1度さばいたボールが後方に展開され、萬代が前を向いてボールを要求する。しかし、チームメートは常に萬代の要求を選択はせず、他への展開も散見された。萬代の残る課題はここなのだ。自分が「ここによこせ、俺が点を取る」と言う意思をチームメートに理解させ、同時に結果を残す事なのだ。ストライカとして、残り4試合に向けて自立できるか。

 南アフリカで、快勝の後の宴で、友人たちに「俺の萬代が」と自慢できるイメージが少しずつ...

 もちろん今日は萬代宏樹だけの日だった訳ではない。
 林の好守、菅井の上下動、木谷のカバーリング、岡山の高さ、磯崎の執拗な守備(アビスパの早々の田中の交代は磯崎の見事なマーキングの賜物だろう)、永井の知性、千葉の密着、梁の(ロペス不在を支えるが故の)展開、関口の技巧(それを助けるチームメートの献身と)、中島の前進。かくも厳しいJ2の43試合を経て、丹念に望月達也氏が作り上げたこのチーム。ロペスとファビーニョが復帰してくれれば嬉しいよ。でも、それはそれ。

 我々には萬代宏樹がいるのだ。

 試合開始直前。
 マルコスが仙台スタジアムに再臨した。背番号7番のユニフォームを着ていた理由は謎だが、多分数少なくなった旧友の千葉に、とりあえず借りたと言う理由だろう。
 一気に巻き起こる懐かしいマルコスコール。懐かしくも嬉しい回顧だな。
 とコールしつつ、「マルコスがいればなあ」と言う思いはしないで欲しい試合になって欲しいと思っていた。大丈夫だった。

 我々には萬代宏樹がいたのだ。
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2007年10月26日

ソウルにてレッズの強さを堪能して

 水曜日から本業都合でソウル近郊に滞在。レッズの究極の勝利を、ハングルのアナウンスを通してすっかり愉しませていただいた。
 イタマルのミドルシュートを都築が止めきれず金東Rが詰めた瞬間の歓喜、ポンテが大外の阿部に合わせ長谷部が冷静に詰めた瞬間の悔しさ(それにしても、このFK時の城南の交代策は疑問)。崔相国を都築が止めた際の嘆息。平川の怪しげなPKが決まった時の絶望。
 正に「ざまあ見ろ」感覚を堪能できた。

 試合そのものは、城南が山田と平川の前進を徹底して押さえに来た事(逆に言えば、中央突破されて失点するのは「仕方がない」と開き直ったのだろう)、(敵地で2点を取った引き分けをした事で?)レッズが両翼まで下げて5DFで引きこもった事、このあたりが勝負のアヤとはなった。オーソドックスに両翼から攻め込もうとしたレッズは、城南の両翼への厳しいチェックハーフウェイラインあたりでボールを奪われ、守備ラインが引き過ぎの状態だったため、無用なピンチを招いてしまった。
 1点目のワシントンには、釜本を思い出した。
 同点にされた時の坪井はいくらなんでも拙いだろう、あのような対応への強さで評価されている選手なのだから。逆転された直前、達也が敵陣でズルッとすべったのは悪い予感がしたな。
 終盤の阿部は凄かった。改めてこの男の潜在能力の高さを認識できた。ただの日本代表の中心選手で終わって欲しくないのだけれども。
 後半終了間際と延長で、決定機を外した啓太。これはこれで、いかにもこの男らしいから、いいんだよな。最近、きっちりトップに正確なボールを収めるようになってきて、相当立派なボランチになってきたんだけど、これであそこで決勝点を決めちゃったら、ドゥンガじゃないか。いや、もしかしたら。
 堀之内は(内舘もそうだけど)、あの能力を持っていながら、よくこの立場で我慢できるよな。

 と、つまらない講釈を語るのは、野暮なんだよな。このような試合では。
 アジアチャンピオンズリーグは、本当に素晴らしいタイトルマッチだ。谷口と崔相国の涙の重さ。

 で、ようやく帰国できた。

 作文しながら、気がついた。今日は10月26日ではないか。あれから22年が経ったのか。これはちょっと怖ろしいことだ。私は今47歳。あと3年経てば、あれは人生の半分での経験になってしまう。歳をとったものだ。

 えい、そんな事はどうでもいいや。明日は帰仙する。友よ共に戦おう。
 そして、いつかは。
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2007年10月21日

J2終盤戦を愉しむ

 ベガルタはホームにセレッソを迎え、2−1で振り切り非常に大きな勝利を得た。映像は全く見る事ができていないので内容云々をどうこうは言えない。香川の出場停止と言う大きな幸運があり、ロペスのPK失敗、さらには終盤のレッドカードなど様々な出来事のある試合だったようだ。事態がここまで煮詰まっている状況においては、全てに対し結果が優先する。素直に喜びたい。

 さて順位表を眺めると、いよいよ煮詰まって来たJ2を一層感じる事ができる。
 これでセレッソに対し、消化試合が1試合多いものの、勝ち点差は7。残り試合数を考慮すると、相当優位な位置に立つ事ができた。さらに言えば、6位のベルマーレとは(やはり消化試合が1つ多く)勝ち点11差。ベガルタが2勝1分け2敗、ベルマーレが全勝でようやく同勝ち点になる事を考えると、ベルマーレは相当厳しくなった。夕刻、少年団の指導者仲間(ベルマーレサポータ)が「とにかく来シーズン、武藤さんが『じゃあ、埼玉スタジアムに応援行くから』と言うのが不愉快だから、もうサンガの応援に切り替える」と言っていた。もっとも、ベルマーレの全勝はそう容易ではないかもしれないが、ベガルタの上記星勘定は(望みはしないが)結構ありそうだからつらいところなのだが。

 すっかり落ち込んでいたコンサドーレは、ここに来て2連勝と立ち直ってきた印象。「どうせ終盤まで粘れないだろう」と楽観視してきたヴェルディが相変わらず好調。さらに謎の監督交代劇で、このまま後退する事が期待されたサンガも今節はしっかりと勝ち点3を積み上げる。ベガルタは3位と言っても、4位のサンガが1試合消化が少ないので、ベガルタは実質4位のような物。何も楽観的な事は語れないんだよな。
 もっとも次節は水曜開催だが、ベガルタはお休み。各クラブが辛い連戦になるのに対し、じっくりと中1週間で調整できる。ライバル各クラブの勝ち点喪失を期待したい。

 と、かくも前途を懸念する事が愉しいシーズン終盤。

maninPJT.jpg
に協力し、来週土曜のアビスパ戦はユアテックに参戦する事にした。もっとも、私が生観戦するとロクな事がないのだが、この際そのような事は気にすまい。 

 と、作文しているうちに段々と興奮してきて、「よし今年はいける!」と盛り上がっていたら、妻に「毎年今頃はそう言っている」と鋭く指摘された。うるさい!
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2007年10月20日

で、エジプト戦なのですが

 あまりに数時間後の五輪代表のドヒャーが強過ぎたので、大久保の復権についての講釈が遅れてしまった。

 思えば早いものでら、4年の月日が経った。
 以降大久保は、五輪予選での苦境を救い、本大会でも噛み合わないチームで奮闘し、欧州に渡る(その前にはセレッソの大エースとして、森島以上の活躍をした)も思うような結果は出ずに帰国した。実に多彩な経験をしてきた訳だ。
 大久保が代表で点を取っていないのは、しばしば我々の酒の肴になっていたが、20試合無得点と言うのは改めて驚いた。どんなレベルのサッカーでも、20試合もFWをやっていれば、普通何点かは取るものだ(と言うか、「入るものだ」と言う日本語が正しいか)。それが20試合無得点と言うのだから、これはこれで1つの記録だな。

 記念すべき大久保の1点目。遠藤の粘りから(敵陣に対して)左斜め後方に向いてボールを左足で止めた大久保(このファーストタッチがよかった、レベルは大違いだが毎週子ども達に「浮いたボールと、自分の体勢をよく考えて、最初に触る時に次のプレイがしやすいように止めよう」と伝えている身としては、トッププレイヤの見事なトラップは最高の教材なのだ)、右、左と交互にボールタッチをしながら(上から見て)時計回りに回転、左足のインフロントで強いボールを蹴る事ができる体勢に持ち込んだ。このちょっとスローテンポなターンは、いかにも「得点の予感」を感じさせてくれるものだった。いいシュートだった。
 この得点に至る組立がまたよかった。憲剛がキュッと持ち出して、駒野−前田とつながり、前田が彼独特の正確で速いリターンを遠藤に落とす。これで遠藤は余裕綽々駒野に正確で強いグラウンダのパス。駒野は完全なフリー。このようなパス交換でサイドでフリーの選手を作る組立は、見ていて本当に嬉しくなる。フリーの駒野が強くカーブのかかったクロスを蹴るも、敵DFに当たりルーズボールに。そのルーズボールに素早く寄せた遠藤が、巧みに大久保にボールを落とした。

 大久保の2点目。右サイド遠藤のCKのこぼれ球を拾った憲剛が一瞬左サイドを向いて敵DFを中央に固めてから、右に残っていた遠藤に。全くフリーの遠藤が狙い済ましてクロスを蹴るのがよくわかった。この時ニアにスッと入り込む動きをしたのが前田。さらに外側に阿部(観戦時は中澤だと勘違いしていたのだが阿部だった)がいた。「どちらを狙ったのだろう」と思っていたら、ボールはその中央に送り込まれ、「誰か」が凄いスピードで走りこんできた。小柄ながら抜群のジャンプ力、「誰か」は大久保だとすぐにわかった。遠藤は大久保の特長を理解して前田と阿部の中間点にボールを落とし、大久保は遠藤のクロスの精度を信じて走り込んだのだろう。素晴らしい得点だった。

 前田遼一は前半3度の決定機を外していた。
 1つ目は先制直後、左サイドから右サイドペナルティエリア内まで長躯30m以上走り込んだ山岸が、遠藤の高精度のロブから受けてヘッドで前田に落とした場面。前田は蹴り損ねでシュートは枠に飛ばず。
 2つ目は逆襲速攻から敵DFを連れてハーフウェイラインまで戻りターンをした瞬間に、遠藤か憲剛(だと思うが確認できなかった)が完璧なスルーパス。全くフリーでGKと1対1になりながら、GKに防がれた場面(股間を狙ったをGKに読まれた)。
 3つ目は遠藤、憲剛とつないだボールを受けた加地のスルーパスでまたもGKと1対1になり、今度はGKをかわすも角度が無くなってしまった場面。
 この日の前田は最前線によく残っての正確な技術のポストプレイが素晴らしかった。上記大久保の1点目の起点となる遠藤へのリターンなど、強さといい方向といい最高のプレイ。しかし、FWである以上は、「点を取ってナンボ」と言う世界であり、上記の3回の逸機は非常に印象を悪くするものだった。
 で、前田の3点目。憲剛の強いクサビを受けたボールをさばいて前進しようとした前田が珍しく処理を失敗し敵DFにカットされる。が、そのボールが偶然に山岸のところに転がり、山岸は落ち着いて走り出していた前田に通す。怪我の功名で抜け出した前田。今度はGKの股間を抜くのに成功した。この日ポストプレイでほとんどミスがなかった前田が、珍しくミスをした場面から決定機を掴んだ事が、サッカーの面白さ。そして、やや偶然に生まれたこの好機に、前半失敗したプレイと似たプレイで意地を通して代表初得点を決めた前田の精神的強さを称えたい。

 4点目も実にきれいな得点。
 左サイドに流れた大久保と山岸のパス交換から遠藤がまたも前向きにフリーになり、上記の2人の動きにより作られた内側のスペースに進出した駒野に好パス。左サイドで駒野が完全に抜け出し、よくルックアップして逆サイドの加地にセンタリングを上げた。加地が鋭い切り返しで敵DFを外し、冷静に左足でサイドネットを揺らした。
 4DFでサイドバックのセンタリングを逆サイドのサイドバックがゴール前で受ける攻撃は、よほど相互の信頼関係がないとかなり難しいものなのだが。

 と言う事で、非常に景気のよい4得点を満喫。その他の不満や感想は別な機会に。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表

2007年10月18日

さすがにこの結末は予想していなかったが

(苦杯後、少し時間が経ち、冷静さを取り戻したので、追記をしました、別エントリにするより、この方がおもしろいかなと思ったもので 10月19日)

 高温多湿のアウェイゲームだけに、最終ラインで刈り取る戦術そのものは仕方が無かったと思う。ただ、審判のクセを考えず、無用なファウルを取られる事が気になってはいた(たとえば2失点直前の柏木と森島のファウルは微妙なものではあったが、今日の主審はこれらのプレイに対していつも笛を吹いていた)。また後半半ば以降明らかにカタールの疲労が顕著になったのだが、それでも最終ラインで敵を待ち構えるのは交通事故の危険があるのはいやだなと思っていた(たとえば、家長なり本田圭が敵陣でいったん突破ではなくキープをすれば、ラインが上げられたのだが)。
 また攻撃についても、後方に選手を残し、少ない人数でのカウンタ主体になるのはやむを得なかっただろう。ただ、中盤で崩してラストパスが出せる場面になっても、相変わらず出し手と受け手の呼吸が合わないのは気に入らなかった(このチームが結成されて1年になるが、センタリングに飛び込むとか、スルーパスに抜け出すとかの、高精度な連携が未だほとんど見られないのは何故なのだろうか)。さらに、本田圭や柏木が(角度が浅かったのは確かだが)GKと1対1になりながら、シュートを狙わず、パスを選択するのには不安も感じていた。アジアカップでA代表がサウジや韓国相手にシュートが少なかったのは不満だったが、あれは敵DFが固まっていたためであり(だからこそ、ミドルシュートを狙って敵DFを引き出して欲しかったのだが)、この日を含めた現五輪代表の多くのプレイで見受けられるシュートへの消極性とは異なる(さらに言えば、本田圭も柏木も自分のチームでは、もっと独善的にプレイしていると思うのだが)。
 また、疲労困憊になっても、カタール選手が少ない可能性に賭けて前進する事、いずれの選手もあきらめず中盤でファイトしていた事も確かで、大したものだと感心していた。

 しかし、そのような理屈を考えても、中盤で敵をフリーにさせずまともなラストパスを許さず、最終ラインでは強さも速さも勝っていたのだから、さすがにこのような結末を迎えるとは思いもしなかった。最後のPKにしても、いわゆる微妙な判定。この主審はカタールのラフプレイにカードを出すのが消極的だった事を除けば、それほどホーム寄りの判定ではなかっただけに、笛を吹いてPKスポットを指差した時はビックリした。サッカーの難しさと言うものだろうか。

 幸い、カタールは敵地のサウジ戦を残している。日本は楽ではないが後2連勝すれば、相当高い確率で五輪出場権を獲得できる事だろう。これまでの4試合で、選手の個人能力にしても、層の厚さにしても、圧倒的に日本が優位なのは判明している。
 上を向いて戦い続ける事だ。

(以下が10月19日に書いた追記になります)続きを読む
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2007年10月16日

フィールドプレイヤがゴールマウスに立つ

 10月13日は痛恨の日だった。その週半ばに突然に「歯に激痛」が走り、急遽歯医者に行かなければならないなど、様々な予定をずらさなければならなくなり、結果的にナビスコの準決勝の生観戦を断念せざるを得なくなったのだ。
 伊藤の信じ難いミドルシュートも、ようやく本調子に戻ってきた憲剛の鋭いパスも、マリノスの迫力満点のパワープレイも、もちろん見たかった。しかし、何より悔しいのは、松田直樹のゴールキーパ振りを見ることができなかった事だ。

 交代枠を使い切った後にゴールキーパが退場になったり負傷して、フィールドプレイヤがGKを勤める光景は、ごくたまに見る事ができる。Jリーグでも、ワシントンや岩本テルなどが勤めた映像をみた記憶がある。確か、ワシントンはGKが退場となる反則で提供したPKを止めたはずだ(正確には敵の小笠原が勝手に外しただけなのだが)。
 JSLでは、67年に釜本が敵GKを本職、フィールドプレイヤと2枚破壊した伝説がある。さらに釜本は80年には、自らGKを勤める経験もしている。自らのアシストで2−0でリードしていた三菱戦の終盤に、代表GK坪井が負傷し、ゴールマウスを釜本が守った試合だ。賀川浩氏がこの時の釜本のゴールキックの精度(味方に向けて正確に落ちていく縦のコースのよさ)を絶賛した文章を読んだ記憶があるのだが、今回WEB上では発見できなかったのがちょっと残念。
 またワールドカップ予選では、確か90年大会の予選で、パラグアイの大エースのフリオ・セザル・ロメオ(79年日本で開催されたワールドユースで活躍した事で日本でも有名)が急遽GKを勤めた映像を見た記憶がある。
 私がトップレベルの試合で、唯一このような場面を見たのは、90年前後に横浜で行なわれた国際親善試合、日産が北朝鮮のクラブとの試合だった。平壌トラックと言うチーム名だった記憶があるのだが、残念ながら資料が見つけられず。終盤、日産の永山がGKを勤めたくれた。

 それにしても松田である。
 オシム爺さんが松田のキーパ振りを評して「未来のGK云々」とコメントしたと言うが、氏のコメントのどこからどこまでを本気に取るべきかと言う永遠の課題はさておき、非常にユニークなGK振りだったと言う。確かにニュース映像を見る限りでは、思い切り前に位置取りして、フィールドプレイヤ的なプレイしていたようだ。う〜ん、見たかった。悔しい。とにかくフルタイムの試合映像だけは何とか入手したいのだが...
 この松田の判断は、決勝進出までには「さらに2点が必要」と言う切羽詰った事情も背景にあったと思われる。この時間帯、マリノスはマイク・ハーフナーを投入し、パワープレイで局面を打開しようとしていたと言う。そして、フロンターレ守備陣の高さにも定評のあるところ。10分足らずの時間で、2点を取るためには、最後尾のGKがラインを前に出し、とにかくフロンターレ陣に近いところにボールを運び込む頻度を増やすのは極めて重要だ。おそらく、松田はそのような判断から、「未来のGKスタイル」を選択したのだろう。
 松田と言うフットボーラの「戦術的判断能力」の高さを示すエピソードだと思う。ああ、この男が少しでよいから「戦略的判断能力」も具備していたら...

 と、悔しがりながら、この試合の事を考えていたら、突然全く異なる興奮材料を思いついた。
水沼宏太が右サイドから突破を狙うと、何とも言えないノスタルジを感じて興奮するではないか。とすれば、マイク・ハーフナーが自陣のゴールマウスに立ったとすれば...
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2007年10月15日

五輪代表敵地カタール戦を前に

 敵地カタール戦が近づいてきた。ここまでガタガタ不平不満を羅列してきた反町氏のチーム作りだが、ここまで2勝1分け、確かに結果をしっかりと出している。そして、次の敵地カタール戦で勝てれば五輪出場は、ほぼ決定だろう。反町氏のチーム作りが正しいのか、単に選手の能力が高いが故なのか、相変わらず愉しい酒の肴ではある。

 次の試合はここまでほぼ固定して使われてきた(そして私が固定起用を疑問視してきた)本田拓也(退場による出場停止)、梶山(国立カタール戦で不運な負傷)のMF後方のコンビが不在なため、代わりに誰が選考されるかが注目を集めている。そして、反町氏は補充要員として枝村を選択した。今シーズンこそ、充実したエスパルスの中盤構成ゆえ控えに甘んずる事が多いが、後方から攻め上がっての得点力、正確な個人技によるアイデアのある組立で、Jでの実績は上記固定コンビを上回ると言っても過言ではないタレントだ(もっとも本田拓也は実績を比較しようのない立場だが...本田拓也はエスパルス入りするとの噂を聞いた事があるが、もしそうだとしたらこの2人の競争は今後も興味深い事になるな)。
 常識的に今度の試合は、しっかりと守備を固め0−0の引き分けで十分と言う試合なのだが、守備を期待できるタレントである谷口や小椋は選考外となった。
 そう考えると、中盤の構成、特に後方の2人に誰が起用されるかは非常に興味深いものがある。青山敏が中心となる事が予想されるが(練習試合で負傷したとの情報が気がかりだが)、枝村なり上田と組み合わせるのか、もう1つ前でプレイしている柏木なり本田圭が起用されるのか、逆に後方でプレイする事が多い伊野波なり細貝が使われるのか。優秀な選手が多数いるのだが、不可解なメンバ固定により、適切な組み合わせが見出されていない状況は困ったものだが、逆に言えば誰が起用されても個人能力の高さで何とかしてしまうような気もしてくる。これまでの試合でも、そうやって勝ってきたのだし。
 またやや人材不足気味だった攻撃ラインにしても、若森島、平山、李忠成、岡崎いずれも、しっかりとJで実績を残し始めている(岡崎が離脱したとの情報があり気がかりだが)。
 今回は西川が復活し、元々このチームの最大の持ち味と呼んでも過言ではない水本と青山直による中央の守りはさらに強化された(もっとも、あの国立カタール戦で、決定機を防いだ山本のプレイこそ、後から思えば「北京行きを決めたプレイ」と賞賛される事になるのかもしれないが)。水野、家長、本田圭、柏木と並ぶ攻撃的MF群は梅崎が割り込む隙が見当たらないほど豪華なものだ。

 と、こう考えてくると、チームとしての意思統一や連動には課題山積ながら、結局個人能力差でしっかりと引き分けるなり、小差で勝なりしてくるように思えてくる。特に内田の起用で4DFになった以降は、従来のチームで唯一の課題とも言えた水野や本田圭の押し込みと言う課題も解決された。そりゃサッカーだから、何が起こるかはわからない。しかし、敵から見ると個人能力に優れた選手の集団が、「型になっていない」サッカーをやってくるのだから、やりにくい事この上ないだろう。
 非公開の練習試合で韓国に3−0で快勝したと言うが、昨秋ホーム&アウェイで韓国と親善試合を行なった時の当方の2軍対応や、明らかに個人能力の低い選手への拘泥を思い起こせば、今回はベストに近いメンバを並べているのだから、これも当然のように思えてくる。

 そう考えると、ついつい楽観的に思う自分がいるのだ。エジプト戦に次ぐ深夜の歓喜を期待しよう。
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2007年10月14日

難しいA代表メンバ選考

 水曜日にエジプト戦を控える日本代表。メンバ発表前にオシム爺さんが「ACLで奮闘を続けるレッズ選手の疲労を考慮する云々」と言うコメントがあり、メンバが注目された。結果的には、レッズ勢からは、闘莉王、達也はメンバから外れたが、坪井、阿部、啓太の3人が選考された。
 元々、最前線に近いメンバで「確定」した感のある選手は、中村、高原、遠藤(遠藤は代表では攻撃的MFで起用される事が多いが、本来のポジションは中盤の後方なのだが)くらい。経験豊富でオシム爺さんの指導歴の長い巻にしても、今後厳しいポジション争いを勝ち抜く必要がある事は自明。
 一方、後方のタレントは、アジアカップのメンバ+闘莉王+欧州クラブ所属の中田、稲本と言ったあたりで、ほぼ埋まりつつある感がある。それに続くのは、水本、青山直の五輪勢となる(と限定しても定位置争いは激しいが)。ところが、今回のエジプト戦では、欧州勢はもちろん呼びづらいタイミング(これは欧州クラブ選手の体調維持を意識した従来からの施策)。そして、五輪代表は敵地カタールでの大一番を控える。そう考えると、レッズの選手に休息を与えたいのは山々だが、選考せざるを得ないと言うのが、爺さんのホンネだったのかもしれない。また、レッズがナビスコで敗退していたために、短期的な疲労感と言う意味ではナビスコベスト4のクラブの方が高いのも、状況をややこしくしたように思える。
 
 しかし、やはり今回は24日に大一番を控えているレッズ勢の召集を見送るのは1つの方法だったように思う(上記したように、短期的にはガンバやマリノスやフロンターレの選手の方が厳しい日程ではあるが)。例えば、今回のメンバでレッズ選手抜きでも、後方に加地−中澤−今野−駒野、橋本−憲剛と6枚を並べる事ができる。十分強力な陣容ではないか。もちろん、遠藤をMF後方で使ってもよい。控えの選手も必要だとか、今野のCBはいかがかと言うならば(あまり問題はないように思うが)、インタナショナルマッチデイを利用して、中田をスイスから呼ぶのも一手段だった(稲本のCBテストと言う荒業もあるか)。松田、山口、古賀、岩政、中後、小宮山そして森勇介!などのJリーガを呼ぶ手段もあったはず(松田はゴールキーパとしての招集が噂されているが)。谷口を選考するのはイヤミになるから拙いか。もちろん中盤後方には明神もいるし(しつこいか)。
 それでもレッズ勢がいないとメンバ構成が厳しいと言うのならば、「せめて啓太だけは休ませましょうや」と思う。坪井はアジア大会メンバではあったが、試合出場の機会はなかった。阿部は先日の欧州遠征を負傷のため辞退している。しかし、啓太は代表でもレッズでもほとんど全ての試合にほぼフル出場しているのだ。かえって休む方が調子を崩すのではないかと言うタイプの選手である事は認めるが、このエジプト戦に無理をさせる必要はないではないか(もちろん、合宿には呼んで試合には使わないと言う選択肢もあろうが、大阪に呼ぶ事だけで啓太の疲労は倍加する)。
 そもそも爺さんは就任以来啓太を固定して起用している。たまにはここに別の選手を試すのは、強化の面でも意味がある事だ。考えてみれば、就任の最初の試合で、爺さんは得意の分離発表を行なったのだが、啓太はメンバ入りしていなかった。ところが、最初に選考された今野が負傷離脱した事で、啓太が選考され、その後啓太はオシムジャパンの完全な中心選手になった。このあたりの啓太と今野の関係を考えるのは、アテネ五輪の思い出を含めて非常に面白い。

 諸悪の根源が日程問題(と言うよりもその放置)にあるのは言うまでもないのだが。

 ともあれ、前向きな期待を述べよう。やはり、一番愉しみなのは播戸と大久保だろうか。2人にとっては地元とも言える関西での国際試合(もっとも森島スタジアムは、今の播戸にとっては「敵地」なのかもしれないし、今の大久保にとっては「過去の聖地」なのかもしれないが)、それぞれに得点を期待してもバチはあたるまい。
 一方のエジプト。アル・アリの選手が来日しないと言う情報もあるようだが、どのようなメンバ構成か。自国のリーグが充実しているためか、海外流出選手が少ないと言うアフリカには珍しい強豪は、厄介な難敵だろう。
 よい試合を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表