2008年05月13日

また中学生の成長を愉しむ

 さて、中学校は県大会が始まった。
 前日来の大雨でグラウンドコンディションが心配されたが、水はけのよいグラウンドを会場校が丹念に整備してくれたため、ほぼ問題なく試合ができた。ちなみに会場校は、先日地域大会の準決勝を争った地域きっての強豪校。彼らからすれば、自分たちが戦うつもりだった試合だったのだ。その彼らに整備してもらったグラウンドで戦える事を、我らが中学生はどのくらい理解してくれたか。
 
 劣勢を覚悟していたが、前半はほぼ互角の展開だった。初戦と言う事や、雨上がりの不安定さを気にし過ぎたのか、敵が単調に長いボールを使ってきたのだ。これならば、4DFは跳ね返しやすい。特にこの日は、フィジカルのCBが絶好調、読みも冴え渡る。さらに大黒柱は精力的に上下動を繰り返し、将軍は早めにパスをさばき、大エースをサポートする。皆調子がいい。と、言うよりこいつらは、一連の試合を重ねる事で成長したんだな。調子がいいのではなくて、巧くなったのだ。ただ、敵守備陣も大エースと2トップを執拗にマーク。こちらも崩しきれずに前半を終えた。
 後半は様相が一変した。敵の監督が修正を指示したのだろう。敵が落ち着いて中盤でボールを回し始めたのだ。こうなるとつらい。押し込まれて、思うように逆襲も適わない時間帯が継続した。さらに後半半ば、当方の将軍が敵ともつてバランスを崩した際に、当方の別な選手と交錯、負傷退場してしまった。当方は大エースを後方に下げ、さらに守備的に戦う。押し込まれて、ほとんど好機すらつかめないまでも0−0で試合は推移する。そして終了間際、久々にハーフウェイラインからやや敵陣に入ったところで、大エースが前を向いてボールを持てた。その瞬間、判断力の右サイドバックが果敢にオーバラップ(あれだけ攻め込まれていながら「ここぞ」と言う場面で長躯前進した判断、勇気、体力、いずれもすばらしい)、落ち着いてキープから好クロス、そこに突破力抜群が飛び込みシュートを放つが、ほんの数十cm枠を外してしまった。さらにストライカのポストプレイから大エースが打つもこれまた僅かに枠を外れ、ついに試合は延長戦に。
 延長(5分ハーフ)では、大黒柱は見るからに足がつりそうで厳しそう。彼が中盤で機能しなくなると相当苦しいと心配していたが、走り切ってくれた。そして、後方に引いた大エースとフィジカルを軸に全員で守りきり、またもPK戦に持ち込んだ。。
 PK戦、敵の2番手キッカの選択に驚いた。大変技術的にはレベルの高いFWで当方の脅威となっていた選手なのだが、傍で見ていてわかるほど気の弱いタレントなのだ。案の定、彼のキックはコースが甘く、絶好調の当方主将のセーブの餌食となってしまった。主将はさらにもう1本止め、またもPK戦を制し、歓喜の2回戦進出となった。
 何とまあ、粘り強い連中なのだ。

 しかし、残念な事も。実は先日は書かなかったのが、先日の地域大会の準決勝の延長戦、当方の俊足は店頭した際に手を骨折してしまった。さらにこの日の試合後、将軍も足を骨折していた事が判明。サッカーには負傷がつきものなのだが残念。
 残りの連中は、彼らの分も頑張るのだ。
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2008年05月12日

阿部勇樹が中村憲剛を止める

 エンゲルス氏就任以来負けなしのレッズ。ふと気がついてみたら、阿部と闘莉王を軸にした安定した守備でジワジワと独走体制を固めようかと言う勢いになってきた。一方のフロンターレもここの所好調、関塚氏の後任の高畠氏は難しい状況のチームを見事に建て直し順調に勝ち点を伸ばしてきた。
 エンゲルス氏は監督就任以来微調整を重ねたが、最終的には、阿部をセンタに堀之内と堤を配する3DF、闘莉王と細貝をその前に配する布陣を採っている(啓太の復調後はまた興味深いが)。闘莉王は時に攻撃的ポジションに使われるが、過去のアレもなくなり、細貝のサポートを受けて、いささか常識的だが丁寧で正確な展開で攻撃を組み立てる。そして阿部が最終ラインで抜群の読みと対応の巧さを見せる。
 一方の高畠氏。3DFの前に新人の守備的MFの菊地を固定し、谷口を2トップの後方に飛び込む仕事に専念させる仕掛け。ただし、この日は右サイドの切り札森を欠いたのが痛かった。
 最終的には、憲剛があれこれ創意工夫をするものの、阿部を破れなった試合となってしまった。阿部の読みは絶品で、前半(フロンターレから見て)右サイドから憲剛が仕掛けた場面を読み切った場面は圧巻だった。憲剛としては、さらにもう一工夫して阿部を外側に引きずり出す算段をしなければならなかったのだが失敗してしまった。
 唯一それに成功したのが、例の幻の得点場面。ジュニーニョと憲剛で右サイドに拠点を作り、大きく逆サイドに展開する事で、阿部の位置取りを崩した。山岸の折り返しも上々で、さらに飛び込んだのが後方から長躯っした菊地だから見事だった。ただ、最後に谷口が蹴りこんだ瞬間は、見ていた誰もが「オフサイドは大丈夫か、谷口は前に出過ぎていなかったか」と思ったはず。そして、それを判断できるのは、真横に位置取りしている副審しかいないのだから、副審がそう判断した以上は、谷口はオフサイドだったのだろうとしか言いようがない。私としては、斜めの位置から映しているVTR映像を見た限りでは、谷口よりも都築と山田?の方がゴールラインに近いところにいたように思えた(つまりオンサイドではないかと思えた)が、このようなケースでは副審の判断を尊重するしかあるまい。
 審判の判定と言えば、もう1つこの日の決勝点となった、高原のPK誘引となる。私は映像を見た最初は、井川の足がボールを捉えていたので、「PKはフロンターレには気の毒」と思った。しかし、スロー再生では井川はボールに触った後で(、結果的に抜け出そうとした高原の足を払ったように見えた。とすれば、これもPKを取られてもしかたがないところだ。ちなみに井川が最初にボールを触ったのはペナルティエリア外で、足を払ったのがペナルティエリア内だった。つまり、井川のタックルはPKのリスクを避ける非常に適切なタイミングで行われた事になる。これは井川は悔しいだろうな。
 こう振り返ってくると、フロンターレは不運だったと思う。ただしリーグ戦はまだまだ長いし、今期彼らはACLがない分、秋口はライバルと比較して、日程は楽になる。「このような試合もある」と割り切り、「後期はいかに阿部を破るか」と考えるのが健全だろう。

 ここに来ての阿部の復調を一番喜んでいるのは、岡田氏かもしれない。啓太が離脱している現状で、岡田氏は阿部(先日のバーレーン戦でのプレイは論外の酷ささったが)と闘莉王をどう使っていくか。召集が確実視される俊輔、松井と、遠藤、憲剛の組み合わせを含め非常に興味深いところだ。さらに、少々怪しいが個人的には物凄く嬉しい報道もあるのだが、それはそれとして。
 また、細貝と谷口の好調は、反町氏を喜ばせている事だろう。オーバエージがどうなるか、全く予想はつかないが、五輪ではこの2人で中盤を構成させるのも一手段だろう。それにしても、反町氏の、谷口への評価は理解できない。一昨シーズンJのベスト11にも選考される活躍をしている谷口を散発的に呼び、(谷口はよいプレイを見せたにもかかわらず)代表から外し、Jでの実績が谷口以下の選手を選択してきた。何がしかの理由で反町氏は谷口を気に入らなかったのだろう。選手選考の権利は監督に帰するから、それはそれで1つの考えだと思う。しかし、最近再び反町氏は谷口を選考し始めた。反町氏は谷口をいったいどう評価しているのだろう。
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2008年05月09日

ガンバ、1次ラウンド突破

 早いもので、あれから3年近い月日が経ったスパチャラサイスタジアム。ガンバが、ACL敵地でのチョンブリとの殴り合いを制し、堂々と準々決勝を決めた。両軍とも技巧的で攻撃的な実に見事な試合だった。今思えば初戦にこのチョンブリに命からがら引き分けたために、全南でもメルボルンでも「引き分けではなく勝つ」事を目指すことになり成功した。初戦に勝っていれば、それらの試合に無理に勝ちには行かず、準々決勝進出は最終節までもつれていたかもしれないな。
 引き分けでも準々決勝進出だが、チョンブリの強さは上記試合で痛い程に把握済み、さらにガンバは連休の連戦の疲労が蓄積、遠藤の欠場と悪い条件が付加。しかも、テレビ映像で見てもわかる芝の悪さは、ガンバ特有の低くて強いパスが回しづらいコンディションだった。

 チョンブリはよくガンバの事を研究していた。中盤からパスで抜け出そうとすると、明神のところで多くの攻撃は引っ掛かってしまう。そのため、通常短いパスで組み立ててくる事が多いタイのチームにも関わらず、長くて斜めのボールを使って最終ライン勝負に持ち込み、トップのネイ・ファビアーノの巧妙なプレイで好機を作り出す。それでも、中澤は急いで当たりに行かずここぞと言う時に相当きついタックルを狙いよく守った。松代の好捕と、山口、橋本の粘り強いプレイは言うまでもなく。ちなみに中澤は終盤には敵陣前でラストパスを受け、またぐフェイントから超決定機を掴んだが、あのフェイントなどを見ていると、この選手が「打点の高さ」を評価されセンタバックを目指したのが正しかったのかと言う思いに捉われる。
 結果的に攻め合いになったこの試合。前半から両軍が再三好機を掴むが決めきれない展開が続いた。そして勝負を決めたのが、安田、復調した加地の西野氏自慢の両サイドバックのクロスだった。安田は決して足は早くないが加速後のボール扱いが抜群で、フェイントで敵を揺さぶって縦に抜け出す。一方の加地は突然の加速力が格段で、マーカの一瞬の隙を突いて前に抜け出す。この日は、正に2人の特長がそのまま出た得点。ニアに飛び込んだ交代直後の山崎、大外から入り込んだルーカスも秀逸だった。
 感動させられたのは2−0になってからのチョンブリの飽くなき闘志。強豪をホームに迎え「勝たなければならない試合」で2点差になり状況が絶望的になったにも関わらず、最後まであきらめる事なく猛攻をしかけてきた。本当によいチームだった。さらに素晴らしかったのはチョンブリのサポータ。テレビ映像は特に熱狂的な人たちを映している可能性もあり、割り引いて考えなければいけないかもしれないが、終始熱狂的にホームチームを支えていた。しかも試合後、多くのサポータがチョンブリの健闘を称えていた。実際見事な試合内容だったのだし。

 遠藤不在と言う事で、中盤は明神を配下に置いて、二川が差配した。通常は最前線でかき回しフィニッシュに絡む役どころだが、あれだけの技術を持つ男、展開力も抜群。二川も20代後半となり、以前にも増して多彩な仕事が可能になってきている。野次馬としては、遠藤と二川が異なるチームの指揮官として対決する試合を観てみたい気もするな。
 さらに見事だったのはルーカス。あの難しいダイレクトシュートも大したものだったが、中盤での妙技に感心したのだ。元々1.5列目(1.3列目くらいと言うのがいいのかな)で、中盤で1度ボールを触ってから前に出て行くタイプのストライカ。ところが、この日は二川のサポートの仕事を巧みにこなした。前を向いて仕掛けようとする二川が詰まると、スッと(二川の)横に引いてくる動きの的確な事。二川の展開はどうしても遠藤ほどの「緩」がなく時に単調になる事もあった(もちろん「急」の速さと言うメリットもあるのだが)が、そこでルーカスが二川のサポートに入ることで一拍置くのが非常に効果的だった。何とまあ、頭のよい選手だ。ルーカスはルーカスで、一皮剥けたプレイヤになったと高く評価すべきだろう。

 結びに、播戸のコメントをそのまま転載させていただく。この日は不運もあり得点できなかったが(しかも交代した山崎がその直後に大仕事をしたのだが)、この男はやはり何かがある。
クラブでアジアの大会に出てこうやって勝ちあがれて行けることは格別の喜びがある。G大阪に関係する選手、スタッフ、サポーター全員の力で勝ったと思います。決勝トーナメントは中東やウズベキスタンなどのチームが楽しみです。(サポーターの声は力になったか?)向こうのサポーターもいい応援をしてたし、 G大阪のサポーターも凄く応援してもらって凄く聞こえてたし、すごく力になった。これからどこと対戦するかわからないけど、ウズベキスタンとかは、なかなか行けない国なので行ってみたい国ではあります
(余談)
 先日FC東京サポータの友人と一杯やった時に「かつて非常に厳しく糾弾したルーカスについて、今ではどう思っているのだ?」と、鋭い指摘を受けた。それにお答えします。
「今でも私はルーカスを許すことはできません。でも、今のルーカスは、見ていて本当に愉しい素晴らしい選手です。」
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2008年05月07日

43年目の危機

 ジェフがクゼ監督を解任した。ここまで11試合では2分9敗、内容も芳しくなかったが、何より全く結果が出なかった。通期の約1/3を終え、降格脱出権の15位のとは勝ち点10差。フロントとしても看過できないと判断したのだろう。

 以前も述べたがが、監督交代時に一番難しいのは、その後任の監督が前任者より優秀である必要がある事。そうでない場合(そしてそうでない事が世の中結構多い、世界にそうたくさんのシャムスカはいない)、そのチームはさらに階段を転げ落ちるように苦戦するケースもままあるのだ。そう考えると、クゼ氏の実績を考慮し、もう少し我慢をする選択肢もあったようには思う。
 特に現状のジェフの場合、昨シーズンの中軸が大量に抜けただけに、それなりの選手を集め直し、基盤からチーム作りをする必要があった。クゼ氏の招聘はその狙いがあったはず。事実、クゼ氏はクロアチアでの評価も悪くないし、ガンバでのそれなりの実績もあった監督だったのだ。そう考えると、クゼ氏の能力をもってしてもJ1で存分に戦えないほど基盤の選手の能力が足りなかったと考えるべきだろう。
 とすれば、今後のジェフは、基盤強化のための選手補強と、より能力の高い監督獲得と言う、2面から対応を考える必要がある。ある程度の基盤があったチームならば、やり方の異なる監督を就任させればよいだろうが、現状のジェフは全く違う。監督交代と言う大ナタのみで現状の問題を解決できるとは思えない。

 そうは言っても、クゼ氏最後の采配となったレッズ戦、失点場面の映像を見ただけだが、ジェフフロントが「何か手を打たなければ」と考えたのも無理ないようにも思えた。1点目は闘莉王の個人能力にやられた感があり、単に戦闘能力差と捉えればよい失点だった。しかし、2点目、3点目はDFが精神的に萎えてしまっていたのか(肉体的な疲労と言うよりは精神的に疲労して身体が動かないように見えたのだが)、揺さぶりについていけず、非常に無様な失点だった。クゼ氏の采配や選手選考がどうのと言うより、選手達が戦えなくなっている現状で、一種のショック療法として監督を交代する発想はあるのかもしれない。
 現状後任が発表されていないが、契約面を含めまだ目処が立っていないのだろうか。あと2試合リーグ戦をこなせば、リーグ戦が長期中断するので、それまでは暫定政権でつなぎ、本格政権として大物監督を招聘しようと言う狙いか。上記したように、選手達に精神的疲労感が目立つために、とにかく流れを変えようと言う事なのだろう。
 また補強面だが、報道によるとサンフレッチェの戸田、ガンバの寺田など、それなりの実績があるが出場機会の少ない選手を狙っている模様。狙いは悪くないと思うが、守備ラインには相当スーパーなタレントの獲得が必要ではないか。格段の実績を持ち、将来性もあり、シーズン序盤の不振で出場機会に恵まれていないCBがいるのだが、彼をレンタルで獲得すると言うウルトラCがあるように思うが、相互の感情面を考えると難しいのだろうな。そうすると、新しい外国人DFの模索となるのだろうか。

 以前から幾度となく述べてきたように、古河−ジェフは、JSL開幕以来43シーズンに渡り、1部リーグの座が確保し続けてきた唯一のクラブ。昨期も危なかったが、今期はいよいよ危ない。
 暫定政権を支えるのは、越後和男コーチ(ベガルタサポータとしても何とも思いで深い男だが)の模様。おお、古河がアジアチャンピオンを獲得した当時の若き指揮官ではないか。越後氏が、この名門の苦境をいかに支えるか、まずは注目したい。
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2008年05月06日

冷静に現状を喜ぼう

 ベガルタはロスタイムに決勝点を奪い、敵地でサンフレッチェに勝利との事。強敵ゆえ攻勢を取られ、敵シュートが2本ポストに当たったりした模様。一方、当方のシュートがかき出されたのが非常に微妙だったり、攻められっ放しでもなかったようだが。ここは素直に難敵に対する敵地での勝ち点3を喜ぼう。
 さらに嬉しいのは、得点を決めたのが中原で、アシストが由紀彦と、ある意味シーズン当初から最も「狙える」雰囲気の2人で奪った得点だと言う事。滞空時間の長さを誇るFWと、サイドからの高速クロスを得意とする選手がいるのだから、何とか巧く噛みあって欲しいと言う願いがようやく叶ったか。
 また、8期目でリーグ戦に初出場を果たした萩原がよいプレイを見せたのも、何とも嬉しい。それにしても、萩原が感じたプレッシャは相当なものがあったと思うが、大したものだ。そして、苦労した選手の成功は、そのままチームの厚みにつながる。

 とは言え、リーグ戦をおよそ1/4終えたところでの成績としては、可もなし不可もなしと言ったところだろう。贅沢を言えば、ホームのヴォルティス戦とホーリーホック戦は勝ち点3を取りたかったし、敵地のベルマーレ戦とセレッソ戦は引き分けに持ち込みたかった。しかし、この日のサンフレッチェ戦みたいに敵地で「巧く行った」と言う試合もあるのだし。現実的にサンフレッチェが大崩れするとは考えづらいので、1強の混戦リーグがしばらく続くのだろう。そう考えると、4節のセレッソ戦で2敗目を喫した後は、状態が悪くとも必ず引き分けには持ち込んでいるのは評価してよいと思う。FWの誰かが大化けしない限りは、そのように丹念に勝ち点を積み上げていく試合を続けるしかないだろうから。
 1つ気になる点は、後方中央が結局木谷、岡山、直樹、永井とベテランに頼る構造になっている事。ホーリーホック戦の前半、不出来だったために交代させられた広大は、ここ2試合ベンチから外されている。また、ようやくベンチ入りしている富田だが、直樹や永井に疲労が顕著になった終盤でも起用される事が少ない事から、まだ手倉森氏の信頼を存部に確保できていない模様だ。磯崎の復活も重要だが、後方の若手選手の奮起を待ちたい。同様に平瀬、由紀彦が結果を出している状況だが、西山、飛弾らにも、もっと割り込んで来て欲しいものなのだが。

 J2は当面混戦が続く。新加入の岐阜とロアッソを含め、ここ数年で予算が足りないなりにJ2で戦い抜くノーハウが全チームに普及しつつある。最終的には、戦闘能力の高い低いでジワジワと差が開いていくだろうが、いずれのクラブとの試合でも「確実な勝ち点確保」は難しいと思われる。
 そう考えると、ここ最近のベガルタのように、失点してもせいぜい1点、いずれの試合でも1点は取る、と言う試合を継続して、大事に戦い続ける事が夏場までは重要なはずだ。夏場に入れば、過密日程の中、選手層の差、負傷者を巧く回復させる対応、引き分けや小差の負けを割り切る姿勢、など別な駆け引きが出てくるだろう。しかし、今はまだそのような段階ではない。彼我の戦闘能力差を考慮しつつ、ホームでは勝ち点3、敵地では勝ち点1、それぞれを大事に獲得する事を目指す試合が継続する。
 できれば、サンフレッチェもその混戦から抜け出せないでくれれば、ありがたいのだが、そう贅沢は言ってられないだろう。
 毎年の事とは言え、このような陰々滅々としたリーグ戦に1年付き合えるのだから愉しい。もっとも、先日述べたように、近い将来この愉しいリーグ戦に「陥落」と言う、より愉しい変化が生まれるだろう。これは盛り上がるよ(その前にJ1に上がれれば嬉しいけれど、上がったら上がったで今シーズンのコンサドーレ的な苦闘を愉しむ事になるのだな)。
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2008年05月05日

(書評)戦後欧米見聞録(近衛文麿著、中公文庫版)

 文庫本で約150ページの小著、今回の連休でじっくりと再読し、昨今の世界情勢にも、日本サッカー界の今後にも、非常に参考になる本なので採り上げたもの。

 近衛文麿と言えば、1次内閣時には盧溝橋事件に始まる日中戦争の泥沼に日本を引き入れ、さらに2次内閣時には仏印進駐、日独伊三国軍事同盟、日ソ中立条約を締結などにより、日米関係を決定的に悪化させ太平洋戦争を導いた首相である。本書はその近衛が20代の折に、第一次大戦後のパリ講和会議に西園寺公望全権特使の秘書として帯同、その後ライン占領地域、英国、米国と外遊を重ねた際の記録である。
 後年の我々から見れば、近衛は首相として考え得る最悪手を次々に行った男である。私自身、本書を読む前は、軍部に引きずられた世界観のない貴族出身の政治家と思っていた。ところが本書において、当時20代半ばの近衛は、第一次大戦終結時の世界観、英仏米3大国の現状と今後、労働運動と社会主義の蔓延と資本家との関係などについて、実に怜悧で的確な分析を行っている。
 中でも、因習にとらわれず発展をしようとしている米国が今後世界最強国になろう事、さらに日米関係を阻害するものとして(当時日本にとって様々な面で対立的関係にあった)支那の的確なプロパガンダ工作(様々な手法による情報公開によるアピール)の指摘など、1920年以降の世界の展開予測を実に正確に行っている(中国の広報戦略に苦しむには、今日の日本も変わりないのだが)。
 そして、そのような的確な分析を若年時に行った政治家が、首相となってその分析と正反対の施策を次々に実施して、日本を破滅に導いていく(その責を1人に押し付ける気はないが、近衛に相当な責があった事を否定する人は少なかろう)。物事を適切に実行していくためには、的確な現状把握は必要条件だが、十分条件ではない事を、如実に示す実例となっている。

 北京五輪を前に、中国と他国の関係はどうしようもない状態に落ち込んでいる。一方でインタネットを軸に世界の平滑化は進み、日本にしても中国にしても、お互いに相手との連携なしでは国民の豊かな生活は望めない状況になっている。日本と中国は、いやいずれの国も、理想と現実の折り合いをつけながら、相互の関係を構築していかなければならない現状において、約90年前に正確に世界情勢を把握し、その後全く正反対の道を歩んでしまった政治家の記録を学ぶ事は多いに意味のある事ではなかろうか。

 サッカー界に限定しても、若き近衛が指摘したように、情報公開を進め、権謀術数に捉われるべきではない、と言う考えは非常に参考になると思う。審判が出来の悪かった時にはそう発表すればよいし、いずれかのクラブのサポータが不適切な行為を行った場合はオープンに処罰を検討すればよい。隣国が国際試合で反則や狼藉の限りを尽くしてきたら、その旨を英語のWEBサイトで公開し問題視するくらい行ったらよいのではないか。情報を公開し発言をオープンにする事こそ、メディアが発達した今日重要ではないかと思うのだが。

 アマゾンによると在庫はない模様だが、2006年に文庫本として再刊されたので入手性は悪くないと思うのだが。興味のある方は是非。

余談
 本書には解説が2本載っている。1つは近衛の秘書官を務めたこともある細川護貞氏(夫人は近衛の娘、2人の間の子が細川護熙元総理大臣)、もう1つは仏文学者の碩学鹿島茂氏。
 近衛が本書の末尾近くで強く主張した今後の日米関係構築への提言
要するに米国及び米国人に対する要訣は、包みかくさず何事もよく語るにあり。希望もこれを語り、不平もまたこれを語る。さすれば排日の妖雲も遂に一掃せらるるの時あるべきこと余の信じて疑はざるところなり
に関して、首相時代の近衛の活動に対する、この2人の評価が対照的なのが興味深い。細川氏が岳父の事を悪くは言いたくない気持ちはわからないでもないのだが。
 まず細川氏
彼が太平洋開戦前自ら米大統領と会見して実情を訴えんとした心境は、正にここに淵源がある。しかも、この事は尚今日的課題であるであろう。
 続いて鹿島氏
 近衛はまさに正論を述べている。
 だが、近衛内閣が、日中戦争の泥沼から抜け出るために実際にやったことは、ここに書かれているのとは正反対の権謀術数だった。すなわち、援蒋ルートの遮断という名目で仏印進駐を行ったが、それが日米関係を決定的に悪化させてしまったのである。
 たしかに、近衛は、開戦直前にルーズベルトとの直接会談を希望したが、「包みかくさず何事もよく語る」と言う態度は、やはり、仏印進駐の前に示すべきではなかったか。ハルノートが出されてしまってからでは遅かったのである。


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2008年05月04日

日本のクラシコ(下)

 西野氏の続きに行かなくてごめんなさい。ご要望にお答えして連勝したあたりで書きますね(それにしても、何と言う過酷な日程なのだろうか、そして来期の「改革ACL」ではさらに試合数が増えると言う情報も...)。

 読売対日産を「クラシコ」(繰り返すが「伝統の一戦」の方が適切に思うけれど)と呼ぶ事に否定はしないが、私のような年齢の人間には、いずれのクラブも70年代後半以降に強くなってきた新興チームと言う印象がどうしてもある。
 ちょうど私が熱心にサッカーを追いかけ始めた頃のJSLは、ヤンマー(現セレッソ)、三菱(現レッズ)、日立(現レイソル)の3強時代と言われていた。中でも、ヤンマー−三菱戦は、非常に注目を集めた対決だった。そう言う意味では、セレッソがJ1に復帰すれば、将来そのような販売促進に挑戦するのは、結構面白いのではないか。釜本のように華のあるオジサンもいるし(一方のレッズはそのような販促をする必要もないんだな)。
 などと年長の友人に話していたら、「ヤンマーだってしょせん60年代後半に釜本を獲得して強くなった新興チームではないか、やはり東洋工業(現サンフレッチェ)と八幡製鉄が...」と語りだした。八幡製鉄は後の新日鉄だが、残念ながら継続しているクラブはない。しかし、考えてみるとJFLにニューウェーブ北九州があるから、両クラブが同じリーグでプレイすれば、「超クラシコ」と強引に呼んでみるのも面白いかもしれない。と言う事で、サンフレッチェの皆さん、「無理に急いでJ1に戻らずとも...」と、6日の試合に思いをはせたりして。
 いや、さらに遡ると、田辺製薬だとか、結局早慶戦だとか、東京帝大(東大)と東京高等師範学校(筑波大)ではないとダメだとか、色々出てくるだろうが、キリがないですね。

 ここまで名前が挙がっていない伝統のチームと言うと、やはり古河(現ジェフ)と言う事になる。なにせ、このクラブは、昨シーズンも述べたように、1965年JSL結成以来過去ただの1度も2部に落ちた事がないのだ。昨シーズン「いよいよ危ない」と思われたが、終盤の盛り返しで無事残留。
 ところが、今シーズンも、ここまでの成績は芳しいものではない。あれだけ中心選手が抜ければ仕方がないとも言えるし(一方で、あれだけ中心選手が抜けたのだから、短期的に物凄い量の現金がはいったはずだから、相当な補強ができたはずだと思うのだが...)、シーズンはまだまだ長いから、妙に慌てるタイミングではないはず。今重要な事は、適切な補強構想、一層の組織化など、先を見た施策だろう。負傷がちの巻に今の時点で無理をさせるなどは、最大の愚策だと思うのだが。
 さて、ジェフは次節レッズと敵地で対戦する。不調のクラブには、あまりに厳しい難敵となる。で、ハッと大昔30年前を思い出したのだ。こちらの97ページをご覧いただきたい(会員登録が必要ですが無料なので是非)。古河が三菱を破った試合なのだが。
 この78年シーズン、ヤンマー、フジタ(現ベルマーレ、このクラブの伝統もすばらしいな)と優勝を争っていた三菱は、後期の連勝で一気に独走体制に入った。日本サッカー史に残る巨人落合弘(偶然ながら、先週発売のサッカーマガジンの54ページに取材記事が掲載されている)が守備を固め、現レッズ社長の藤口光紀が中盤を仕切るバランスの取れた好チームだった。
 一方の古河、前々シーズンにJSLを初制覇し、そのまま強豪としてJSLに君臨するのではないか、とも予想されたのだが、奥寺の欧州移籍などもあり、すっかり停滞。このシーズンはリーグ序盤から連敗を重ね、最下位独走状態だった。大永井、前田秀樹など、代表の完全なレギュラ選手を抱えていたにも関わらずにだ(ちなみにマリノス監督の桑原氏も当時の古河の中心選手)。
 そして、この78年10月6日の試合、苦闘していた古河が意地を見せて、優勝に向かう三菱を止めた。この試合はリーグ終盤であり、その後三菱は堂々の優勝。古河はそのまま最下位、入替戦で新進気鋭の本田に大苦戦しながら、前田秀樹の大活躍で乗り切りJSL残留をする事になるのだが。状況も環境も大きく異なるが、30年ぶりの因縁を愉しんでいただければ。

余談 
 引用したサッカーマガジンのバックナンバだが、冒頭のユース代表のメンバの方が、もっと受けるかもしれないな。4ページの集合写真など、お愉しみ下さい。ちなみに、同郷のスーパースターの鈴木淳はこの大会で、初めて日の丸をつけたのだが。
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2008年05月03日

日本のクラシコ(上)

 先日言及したが、ヴェルディが、マリノスとのホームゲームを「クラシコ」として販売促進を行った。日本テレビも珍しく地上波で生放送。夜のテレビニュースでも再三採り上げられたので、「クラシコ」との情宣は成功だったのだろうか。ただし、NHKのJリーグダイジェストで、木村和司氏が寂しいと語っていた21798人と言う観客数は今一歩だったが。もっとも和司の全盛期の日産対読売の観客数など、1万人行けば超大入りだった訳だけどね。
 個人的には、「クラシコ」のような外来語を使うとどうにも印象が軽くなるので、「伝統の一戦」の方が販促上はよいように思うのだが。「多摩川クラシコ」と言う「軽さ抜群のグッドアイデア」が既に先行して一定の成果を挙げているのだし。
 もう1つ、テレビのアナウンサが提供する情報が混乱していた。どうやら、クラシコの開幕をJ開幕戦(あの、ほんの僅かな期間でいなくなってしまったオランダ人のマイヤーの先制点の試合)に設定しているのだが、J開幕戦がスタートでは「クラシコ」もへったくれもない。あくまでも80年代、プロ化を指向して日本サッカー界をリードした時代があっての「クラシコ」だろう。せっかく、83年読売がJSL初制覇した以降、読売と日産が相当期間タイトルを独占した事は映像で紹介していたし、正確には聞き取れなかったが「最初の対戦は7○年」とアナウンサが語ったり、とJリーグより前の情報も提示していたのだから、もう少しやりようはあったのではないか。
 私の認識ではこの両クラブの初対決は77年8月28日、JSL2部、三ツ沢にて日産が1−0で勝った試合。この試合に坂木嘉和、清水秀彦、ジョージ与那城、小見幸隆、松木安太郎、鈴木武一らが出場していた。もちろん、日産の監督は加茂周氏。こう言った面々に取材をすれば、非常に分厚い放送となったと思うのだが。そうすれば、ラモスや木村和司氏のような「若手」に頼る必要もなかったのではないか(もっとも、ラモスは松木よりも数ヶ月年上か)。

 まあいいや、試合に行こう。
 ヴェルディが先制するまでは、完全にマリノスペース。ディエゴに対して厳しいチェックをかけ、フッキにまともなボールを入れさせない。一方で、この圧倒的なマリノスペースの時間帯を無失点でしのいたのが、勝敗を分ける事になった。ヴェルディの最終ラインは土屋、那須、服部、富澤(富澤はサイドバックの負傷で急遽本来とは異なるポジションでの起用となった模様だが)、さらに中盤も菅原、福西、大野と経験豊富で手練手管に長けた選手が多く、バランスがとれている。中でも、先日から中盤底に起用されるようになった菅原の知的な位置取りと服部の巧妙な上下動は非常に有効。我慢をしているうちに、ディエゴがよい体勢でボールを受けられるようになってくる。フッキが出場停止になっているうちに、菅原の起用を軸に守備組織を立て直しフッキの復活に備えた柱谷氏の成功とも言えよう。
 そして迎えた39分、ディエゴが左(以降も左右は全てヴェルディサイドから見て)に巧く進出、中澤を引き出して低いセンタリングをフッキに。ここで、フッキには田中裕がしっかりと付いており、さらに逆サイドには小宮山が戻ってカバーに入っていた。つまりマリノス守備ラインは全体が右にスライドして、組織的には崩れていなかった。ところが、あろう事か田中裕がセンタリングをインタセプトしようとして空振り、全くフリーでボールを受ける事に成功したフッキが冷静に決める。さすがの中澤も部下の不首尾がこのように出てはカバーのしようがない。80年代後半、強い時代の読売は、悪い時間帯は加藤久、トレド、松木、エジソンらで粘り強く守り、隙を突いてラモス、湯田、戸塚、上島、ガウショあたりで点を取るのがやたら巧かったな。
 後半開始早々、ロニーの外に向かうドリブルから強く踏み込みGKの二アサイドを抜くシュートで、マリノスが追いつく。木村和司、金田、マリーニョ、水沼、レナトなど、組織攻撃が巧く行かない時には「圧倒的な個」で得点を決めるのも、日産以来の伝統か。
 ところがヴェルディはディエゴ、フッキのコンビで突き放す。この場面の中澤の守備策は議論が分かれよう。ほぼゴール正面からディエゴがドリブルで前進、斜め前方左に開いたフッキに速いパス、ここで中澤はパスの方向(つまり自分から見て右側)にターンした。セオリーからすれば、ワンツーを警戒してパスの後走り込むディエゴの方向(自分から見て左側)にターンすべきなのだが、フッキの事だから強引にシュートに持ち込む(あるいは、1点目でフッキのマークをし損ねた田中裕のカバーを考えたのか)と読んだのだろうか。結果的にフッキは、ディエゴにリターン、抜け出したディエゴが冷静に決めた。中澤の読み違え負け。
 さらにヴェルディはGK榎本のミスから拾ったボールを丁寧に回し、最後は左サイドで服部が全くのフリーになって、狙い済ましたセンタリングを逆サイドの福西に正確に合わせ10年来のコンビネーションを見せてくれた。以前より不思議なのだが、マリノスはGKの補強を考えないのだろうか。榎本と言うGKは乗っている時の能力は素晴らしいが、大ポカが多過ぎると思うのだが。と、マリノスベンチのGKコーチを見て、そう言えばこの人の80年代の不安定さも酷かったと思い出したりして。

 マリノスは、上記したGKへの疑問、隼磨の調子がもう1つな事、ロペスの使い方(と言うか、いい選手だと思うし、大好きな選手なのだけれども、J1のトップを目指そうと言うチームの「将軍」ではないと思うのだが)など疑問が多いのだが、戦闘能力は抜群だし、桑原氏の手腕も疑いない。これらの問題が修正され、それなりの所まで行くだろう。山瀬が完全に確立すれば「久々」もあると思う。
 ヴェルディは、ようやく体制が整備された。フッキと言う爆弾は存分に機能するのはもうわかっている事、最大の問題は後方のベテラン達が夏場にどこまで戦えるかだろうか。
 何にしてもはっきり言える事は、この両チームが強い方がリーグ戦が面白いと言う事だな。 
posted by 武藤文雄 at 23:22| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ

2008年05月02日

西村主審暴言問題

(一部わかりづらい部分を修正しました 2008年5月3日)

 最初から最後まで、何ともがっかりする話だ。「死ね」発言があったと言う話にも、日本協会の収拾策にも。

 「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛むとニュースになる」と言うけれど、そのような類の話と言えるのだろうか。選手が審判に暴言を吐いて「ハイ、サヨナラ」は、それはそれで残念だが、しばしば見受けられる場面である。しかし、審判が選手に暴言と言うのは...
 学生時代の事だから25年くらい前になるだろうか、社会人の相当レベルの高いチームに練習試合をしてもらった事があり、先方のチームから主審が出た。チームメートがハンドと判定されPKを取られたので、主審にしつこく文句を言った。すると、その主審は「うるせえ、ガキは黙ってろ!」とフィールド中に響き渡る大声で恫喝?してきた。若い学生に色々言われたので、単に腹が立ったのだろうが。横から見ている限りでは、直後のチームメートの腰の引け方が面白くて笑いをこらえるのに苦労したのだが。まあ、しょせん田舎の練習試合ならば、このように愉しい思い出になるのだが、今回はJリーグの主審だからねえ...
 しかし、本当に「死ね」と言ったのだろうか。私の感覚からすれば、「死ね」と言う表現は、1対1で口論になり相手を罵る場合にはあまり使わない気がする。この表現が取られるのは、殺し屋が人を殺そうとする瞬間が典型に思えるのだが(つまり発言者が殺人行為をする場合)。自分が直接手を下さずに相手の死を望む場合は、普通「死んでしまえ」と言うように思う。もっとも、この表現はインタネットが普及して、ポピュラに使われるようになったのかもしれないから、私が古いのだろうか。それとも西村氏は、インタネットの巨大掲示板を愛好しているのだろうか。
 大体、「死ね」と言われた選手は主審の指示にしたがわなかったのだが、それはそれで警告されないのかと心配したりして。

 と、バカを言っている場合ではないな。

 本件については、日本協会もすぐに動き、正式なリリースを発表した。田嶋氏によると
「西村主審は、抗議した選手に対して『うるさい。黙ってプレーして』と注意を促したが、『死ね』とは言っていないと否定している。映像や調査からも、主審がそう発言するほどの状況だったとは思えない。
との事である。
 日本協会としては、(性善説から評して)証拠不十分な告発は無罪としか判断しようがないだろうし、(性悪説から評して)証拠不十分な告発なので臭いものには蓋をしたいのだろうし、ある意味で予想された処理である。実際に確かめようもない事だし、上記に述べた小理屈で「死ね」と言う発言には不自然なものを感じる事も否定はしない。ただし、是非、田嶋氏にはテレビの前で「うるさい。黙ってプレーして」を代演いただき、「死ね」と視聴者が聞き違えるかどうか実験する事を期待したい。

 しかし、状況把握が決定的にずれている。

 問題は「死ね」と言ったか、言わなかったかではないだろう。
 主審が「死ね」と言うのは論外だ。しかし、「うるさい」と言うのだって十分問題ではないか。「うるさい」と言う日本語は親しい者同士に使われる分にはそれほど失礼な表現ではないし、冷静な会話内でも使われる。しかし、それほど親しい間柄ではない者同士に使われる場合は、主に恫喝的に使われるのが普通だ。西村主審と当該選手がある程度以上に親しいならば、元々今回のようなトラブルにはなっていないだろう。そう考えれば「うるさい」と恫喝したとしか思えず、西村主審はその時点で相当興奮していたとしか推定できないではないか。
 本質的な問題は、西村主審が試合中に相当興奮していた事にあるのだ。

 サッカーの試合中に、選手が興奮し冷静さを欠く状況になるのは、誉められた事ではないが、仕方がない事だ。サッカーとはそのような競技なのだ。その興奮した選手を諌めるのは、チームメートであり、ベンチであり、審判であるはずだ。そして、サッカーと言う競技は、どのような混乱があっても、その最終決定は「審判、それも主審が行う」と言う約束で行われているのだ。だからこそ、審判は冷静である必要がある。
 それでも審判だって人間である。何かしら不運があって、ついつい感情的になってしまう事あるかもしれない。それは褒められた事ではないが、人間である以上はそのようなミスが起こる可能性は常にある。だからこそ、そのような感情的な状態になってしまったら、審判として「不出来であった」と猛省してもらわなければ困る。そのために、日本協会は「不出来の審判」に対して、厳しい態度で臨む必要があるのだ。そして、「うるさい。黙ってプレーして」と言った主審は極端に不出来だったのだ。不出来だった以上は何がしかの叱責が必要になるのではないか。
 ただし繰り返すが、人間なのだから完璧は望めないと言う事。1試合出来が悪かったと言って、審判に致命的な厳罰を処するのは違う。スター選手だって不出来の試合があるのと同じだ。不出来な試合があったから、「スペシャルレフェリーをクビにしろ」とか「J1の笛を金輪際吹かすな」は飛躍に過ぎる。もちろん、あまりに1人の審判が、そのような大トラブルを重ねたるならば、その審判の素材的な能力を問われる事になるけれど(そして、そう指摘したくなる主審がいる事が悩ましいのだが、それはそれとして)。
 だからこそ、日本協会は「審判の不出来」を議論するのを避けるべきではない。そしてこれだけ、メディアが発達しているのだから、それは内部の議論に留めるのではなく、オープンな議論をすべきである。「審判はミスをしない」とか「何があっても審判が正しい」と後知恵で語れる時代ではない事を理解していないのではないか。
 簡単な話だ。「西村主審は『死ね』と発言ていない模様」で留めてはいけないのだ。「ただし、西村氏はいささか神経質だった。改善を期待したい。」と添えて反省を促した事を公開すればよい。同様に相当の問題があった時や、問題を起こす頻度が高い審判に対して、審判する事を休ませる措置をを公開するのも躊躇すべきではなかろう。

 先日私はアルビレックス−サンガ戦の佐藤隆治主審の不出来を酷評した。当該エントリでUZ氏が「佐藤氏がよい笛を吹いた試合もある」と指摘してくれた(このようなコメントは本当にありがたい)。また、佐藤氏の前節のマリノスージェフ戦での笛がよかったと複数の友人から聞いている。
 西村氏だって、この時のように「これ以上難しい試合はない」程の試合を巧く吹いた実績もある。

 日本協会は「臭いものに蓋をする」措置を継続する事で、日々努力している審判諸兄への不信感を自ら高めている事に気がついて欲しい。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(6) | TrackBack(0) | Jリーグ