2011年03月04日

Jリーグ順位予想2011

 いよいよJが開幕する。シーズン前に順位予想などすると愉しいのだが、愛するベガルタが加わっているリーグの予想は中々難しい。「まずベガルタの優勝が確定で...」で語り始めたいところだが、そこまで図々しくもないので。また、この手の予想は何がしかを断定口調で語らなければおもしろくない(それが、見事に外れるからまた愉しい)。と、言いつつ、昨期と比較して戦闘能力がプラスかマイナスかと言う点から、今期を展望してみます。
 
 グランパス。先日も語ったが、チームを支える中堅どころは着実に成長している。ただ、マギヌンマイナスと藤本プラスは相殺くらい。とするとプラス分は永井謙佑くらいか(ただこの選手はアジア大会のできがとてもよかったが、あのような短期大会の充実を長期に繰り返すと言う新しい課題に取り組まなければならないから、少し時間がかかるかもしれない)。また藤本淳吾は、先日の天皇杯決勝、アジアカップ決勝での凡庸なプレイを思い起こすと、何か大事なところで信用できないような気がする。ダニルソンとブルザノビッチの長期離脱、地味だが竹内、杉本と言った選手が去った事。ACLとの平行する戦い。上位には来るだろうが、昨季程には行かないのではないか。一昨期もACL準決勝進出したものの、Jでは一休みだったしな。
 ガンバ。ルーカスは去ったが、アドリアーノが加わり、伸び盛りの宇佐美、平井に、仕事師の李根鎬と並ぶ攻撃ライン、それを遠藤が操る攻撃ラインはやはりJ最強だろう。金勝龍の補強も妥当に思う。ただ、明神と橋本の長期離脱を考えると中盤が薄い。レンタルに出していた寺田、倉田を呼び戻すと思ったのだが。また、最終ラインの補強が薄いのも不思議。加地と山口がフル出場できるとは思えないのだが。もちろん、金正也の評価は高いし、このクラブの事だから優秀な若手が多数控えているのだろうけれども。
 セレッソ。家長、アマラウ、羽田らが去り、ホドリゴ・ピンパォン(ピンポンパンと書きたくなる)、金甫Q、中後、倉田と言ったあたりが加わった。戦闘能力的には、ピンポンパンが機能すれば、プラスマイナスゼロと言うところか。昨期J1に復帰するや、いきなり3位となりACL出場権を獲得した事は正に快記録(もっとも、あれだけの戦闘能力を持ちながら、何故あれだけ長期に渡りJ2を抜け出せなかったのかこそが本質のように思うけれど)。ただし今期はACLとの平行しての戦いとなるだけに、選手層からもややきついかもしれない。しかし、ここは若くて輝きのあるスタア候補が満載、乾、金甫Q、清武に加え、丸橋、山口蛍、永井龍(こちらの永井の「素材感」も相当だ)、杉本など、タフなACLを通して彼らが一気に伸びて来てくれれば。
 アントラーズ。補強としては最高レベルだろう。モンテディオで実績を積んだ田代と増田をレンタルバック、本田拓也、西、アレックスの即戦力獲得。わかったようでわからないカルロン、若手の大物柴崎らも加わった。マルキーニョス、佐々木、宮崎、ジウトン、大岩と言ったあたりが去ったが、戦闘能力では明らかにプラスだろう。唯一、アジアカップ準決勝で味わい深いファウルをした本田拓也が微妙と言えば微妙だが。気がついてみると、小笠原、中田浩二、本山のナイジェリアトリオが楽隠居できる選手層になっているのだから、ここのフロントはすごいな。このトリオが本隠居する前の今期、何としてでもACLを獲得したいところだが、どうなるか。
 フロンターレ。去ったのはヴィットール・ジュニオールと谷口。山瀬、柴崎の他に田中裕介らも加わり、実質的に戦闘能力はプラス。やや弱い感もあるCBだが菊地、横山、そして薗田と、「素材」がズラリ。憲剛と言う絶対的大黒柱の慰留にも成功(あの素早い展開が欧州を席巻するのを見てみたかったので残念な気持ちと、今期のあの恐ろしい展開に恐怖できる歓喜と、半々なのだが)。唯一の不安はジュニーニョの衰えくらいか。ただ、そうなったら空きの多い外国人枠をうまく使えばよい訳で。ただし、相馬直樹氏が、(現役選手時代に期待した通りに)よい監督かどうか。もし関塚氏がこのメンバを率いるならば、安心して優勝候補筆頭と言ってもよい陣容なのだが。一方で、この若き指導者が成功するか否かは、日本サッカー界にとっても、とても重要に思っている。期待しよう。
 エスパルス。理解不能です。大胆にチーム改造をする事は否定しないけれど、その上で強化責任者の望月達也氏までクラブを去るのだから。ゴトビ氏はよい監督だと思うし、実際戦闘能力面で決定的なマイナスは岡崎だけだし、後方の中核は皆残っているし、大前のように成長しているタレントもいるし、村松(ただしサイドバックで彼本来の魅力が出るのかどうか)や小林大悟はよい補強だとも思うし。しかし、小野伸二と高原直泰を軸にしようとするのは、時計を戻しているだけに思え、かつ前線の選手層の薄さは、かなり厳しいように思えるのだが。
 サンフレッチェ。槙野とストヤノフが去り、また中堅どころの多くを放出している。しかし、じっくりとテストを行った上で東欧からトミッチ、ムジリを獲得、また水本も取っているし、山崎、山岸らのレンタルパックンにも成功、選手層はむしろ厚くなったと考えてよいだろう。どうせ森山製作所から、優秀な若いタレントも続々出てくるのだろうし。また、あのボレーキックで李忠成がすっかりと全国区のスタアとなったが、李が今期も安定して活躍できれば、寿人との2トップは国内最強と言えるだろう。しかし、信じられないのだが、一般マスコミには忠成の方が、寿人より有名らしいから、恐れ入る。ただ、初戦でお手合わせする当方としては、この忠成の異様な浮かれぶりはありがたい、と思っているけれど。
 マリノス。後方の補強、青山直晃、小林祐三、谷口博之はすばらしいの一言。3人とも、あと一化けすれば、代表で活躍する潜在力を持っている選手達だ。けれども、坂田、山瀬と再契約を結ばず、わざわざ大黒を取りに行った理屈がさっぱり理解できない(最前線の補強の思惑違いだろうか)。もっとも渡辺千真と小野裕二の最前線は魅力的なのだが。また、中村俊輔と中澤佑二の2人が、いかほどベストに近い状態でプレイできるのか。ここは常に木村和司監督が、色々な面で話題になる。「ちゃぶろう」が「ちゃぶれまい」が構わないが、大事な事はいかにチームとして安定して、組織力を発揮できるかだと思うのだが。
 アルビレックス。私は昨期の黒崎監督の手腕を極めて高く評価し、年間最優秀監督賞を提供すべきだと思っている。あれだけ多くの選手を失いながら、しかも開幕直後は連敗を重ねながら、丁寧に戦い、最終的には1桁順位を確保したのだから。そして、今期もレッズに、マルシオ・リシャルデスと永田を奪われた。しかし、丹念にそれをカバーする補強をしているのはさすが。特にCBは石川直樹を獲得、さらに五輪代表の中核にも期待されている鈴木大輔もいる。もちろん、酒井もJ屈指の若手選手。これで、新ブラジル人のブルーノ・ロペスが機能すれば戦闘能力は、ほとんど落ちないと考えられる。今期、黒崎氏が昨年に続いて見事な采配を見せ、結果を残すとなると、氏の監督としての商品価値も格段に上がってくる事だろう。
 レッズ。ポンテの穴はマルシオ・リシャルデスが埋めるだろう。課題だったCBには永田が加わった。エジミウソンの孤立問題については、田中達也、梅崎司、山田直輝の3人のいずれかが負傷の悪夢から解放されれば、これまた解決できるはず。すると唯一の問題は、細貝萌の穴と言う事になる。もちろん鈴木啓太がいるので、極端な破綻はないだろうが。そして、ここには青山隼と出戻りの堤俊輔と言う好素材がいる。そうこう考えると、選手層は相当改善されたのがわかる。もちろん、原口、高橋、岡本ら、フィンケ氏に機会をもらった野心的な若者達の虎視眈々も期待できよう。ただ、唯一心配なのが、監督としてのペトロビッチ氏。選手時代の堂々としたプレイはさておき、指導者としての確固とした実績はない。もちろん、「恐れ入りました」と謝罪する事を期待してのコメントです。
 ジュビロ。正直言ってマイナスが非常に大きい。上田、大井、成岡、そして松浦(この選手を評価するのは、ハンス・オフト氏とベガルタ関係者だけだと言う説があるが)を放出、明確な補強はない。確かに前田と駒野の能力に疑いはないし、山本康裕、山崎は伸び盛り。しかし、昨期中位をかろうじて確保したクラブの補強がこれでよいとは思えないのだが。過去の柳下氏の手腕を評価してきたし、昨期のナビスコ制覇はやや停滞していたこのクラブを大いに活性化させたはずなのだが、この補強の消極性はちょっと残念。
 アルディージャ。ここの補強はよい。働き盛りの上田、渡辺大剛、伸び盛りの東(この選手はアジアカップ決勝の不敵な時間稼ぎが見事だった)、金英權(この選手はよい意味での荒削り感がある)。実質的なマイナスは、安英学くらい。戦闘能力の上昇は、間違いなくJ1屈指だろう。青木とか渡辺大輔のような好素材もいるし。率いる鈴木淳氏の手腕も悪くない(やはり、この人には特別な思い入れがある)。淳にも大きな野心があるだろうし、そろそろ大仕事をしてもらいたいところだし。どうでもいいが、渡辺大剛と渡辺大輔が同じクラブなのはややこしいな。タイプは違うが2人共よいサイドアタッカだし。
 モンテディオ。田代と増田が抜けた事を否定的に捉える人が多いようだが、元々この2人はレンタル。小林伸二氏が、2人のレンタルバックを想定していなかった訳がない。そして、代わりに大久保哲哉と船山を入れているのだから、極端なマイナスはない。2人のブラジル人が機能すれば、間違いなくプラス化する。今年も粘り強く粘り強く戦い抜くのだろうな。しかし、モンテディオがどのような契約を小林氏と結んでいるのかは知らないが、経済的に潤沢なクラブはどうして小林氏を引き抜きに来ないのだろうか。一番確実に、チーム力を向上させる手段に思うのだが。
 ヴィッセル。大きなマイナスもないが、はっきりとしたプラスは羽田くらい。もっとも、ポポ、ボッティと、気の利いたブラジル人を連れてくるのにはうまいクラブなので(よいブラジル人監督を連れてくるのには失敗しているが)、新ブラジル人のホジェリーニョには期待できるかもしれない。もちろん、小川慶治朗の才能はすばらしいし、河本にはA代表を目指して欲しいとか、期待する選手もいる。ただ、何か上積みを感じない陣容である。
 レイソル。元々、降格時点から復帰後を考えて、積み上げて来た陣容は非常に強力。安英学、増嶋、兵働、そして評判高いジョルジ・ワグネルなど補強も積極的。小林祐三は抜けたものの、プラス分が多いと見るべきだろう。ネルシーニョ氏の手腕も疑いない。また、大津、工藤、茨田、酒井と言った若手好素材も多い。気になるのは、周囲からも強いと言われ過ぎている事くらいか。最初から、他クラブのマークがきつくなるのは、ロクな事ではない。
 ヴァンフォーレ。私は三浦俊也と言う人が苦手なのだ。守備的なサッカーもリアリズムも大好きなのだが、どうにもこの人をうまく飲み込めない。そして、かつて大木武氏が指向したサッカーはやや極端過ぎたかもしれないが、このクラブがよりによって三浦氏を招聘するとは。もちろん、海野社長、佐久間GMの事だから、熟慮しての判断だとは思うのだが。もしかしたらハーフナーを最大限に活かし、大柄なスーパーストライカに育てる事一本に狙った監督起用なのかと邪推したりして。補強そのものは、伊東、市川に加え、内田、阿部、残留争いの直接ライバルとなりそうなアビスパからの永里獲得など、地味だが堅実なもの。ただ、J2落ちしたサンガに秋本が移籍したのは何とも不思議な事態だ。
 アビスパ。一時の経営ミスからJ2でも中々上位に来られなかったアビスパのJ1昇格はすばらしい快挙だ。またトリニータの暴挙でゼロになっていた九州に、J1クラブが再登場した意味も大きい。まだ若い篠田監督の能力は絶賛されてよいものだろう。中核だった大久保、永里を失ったものの、補強で獲得したのは実戦的な選手が多い。成岡、松浦はもちろんだが、小原とか重松の獲得は中々見事。大ベテランの清水も使い所を間違えなければかなり貢献するだろう。確かに戦闘能力的には厳しいかもしれないが、失うものも何もない。

 とまあ、駆け足で各クラブを展望してみた。最後に簡単な順位予想を。一番読めないのは、やはり相馬氏とレッズペトロビッチ氏の手腕。全くの個人的エイヤだが、相馬氏を信じ、レッズペトロビッチ氏を?として判断した。1.フロンターレ、2.アントラーズ、3.サンフレッチェ、4.ガンバ、5.グランパス、6.アルディージャ、7.レッズ、8.セレッソ、9.ベガルタ、10.レイソル、11.アルビレックス、12.マリノス、13.モンテディオ、14.ジュビロ、15.ヴァンフォーレ、16.エスパルス、17.ヴィッセル、18.アビスパ。
 ついでにJ1昇格。一番難しいのはジェフの新監督が全くわからない事、しかも2mの巨人と言う不思議な存在。とりあえず、ジェフを?と判断。で、昇格3クラブはサンガ、ヴェルディ、横浜FCと予想。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(16) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする