重苦しい報せばかりの昨今、ベガルタが発表したニュースリリースには、多くの人が勇気をもらう事ができたはず。藤澤恭史朗、正にあっぱれとしか語りようのない男の中の男である。
しかし、藤澤はサッカー選手としては、まだまだ見習の立場にしか過ぎない。その立場の選手が、マスコミ的な話題にさらされるのは、決して望ましい事ではない。それでも、ベガルタが公式発表したのは、あまりに藤澤の活躍が水際立っており、いつか話題になるのは間違いないための対策なのだろう。
とは言え、これだけの活躍をした若者を、可能な限り最大限に称える事は考えてよいとも思う。そこで、私が提案したいのは、3月29日に森島スタジアムで行われるチャリティゲームの準備として行われる代表合宿に、藤澤を帯同させる事だ。1人ではさすがに辛かろうから、チームメートも同行させよう。
そして、そこで長谷部や遠藤や長友や岡崎や本田圭佑が、いかほどのレベルにあるのか、いかほどの節制をしているのか、いかほどの努力をしているのか、いかほどサッカーを突き詰めているのか、それらを直接見る機会を提供するのだ。
プロフェッショナル見習いの若者にとって、この経験はどんなに実り豊かなものになるだろうか。藤澤は、ベガルタのプロフェッショナル達と触れ合う機会は、過去もあっただろうし、これからもあるだろう。そして、私はベガルタサポータとして、我々の選手達のプロフェッショナリズムは、相当レベルが高い事はよくわかっているつもりだ。しかし、それらのプロフェッショナルの中で選ばれた超エリートが、どのようにサッカーに取り組んでいるか、そして彼らが揃った時のトレーニングのレベルがいかに高いか。
それに参加する権利を、希有な経験、社会貢献をした若者に与える。そして、以降は一切採り上げない。まして、大観衆前での表彰などは一切不要。あとは、藤澤がプロ選手になった時に「美しいエピソード」と語られる事を期待するのみである。