また、翌週の29日には、ユアテックにレッズを迎える。ユアテックそのものの被害も多いと聞いていたので、「本当によいのか、復旧活動の優先度は他が先ではないのか」との疑問も否めない(もっとも、先日訪ねた時は、外観は問題ないようにも見えたのだが)。しかし、大東チェアマンがユアテックを来訪してなお、決定が覆らないと言うのだから、「大丈夫だ」と考える事にしよう。もっとも、本当かどうかわからないが、「応援時のジャンプ禁止」など拘束条件もありそうだが。しかし、応援時のジャンプは我慢できても、得点時、勝利時の歓喜は我慢できないだろう。本当に大丈夫なのか、いくばくか不安が残るのだが、正式な沙汰を待つ事にするか。
以前から語っているように、大変陳腐で申し訳ないが、復旧、そして復興のためには、いかに物事を正常に戻すか、いかに経済を活性化するかが全てだ。
しかし、あまりに課題は大きい。困った事に、いや恐ろしい事に、今回の震災の被害範囲はあまりに広い。津波被害の地域が全長500kmと言われると、絶望的な気持ちになってくる。地震被害に至っては、その500kmに内陸までの数十kmの距離を掛け合わせた面積が対象になる。そして、原発問題。
しかも、水産業、農業などの1次産業の被害は物凄いものがある。塩分が僅かでも残留していると、田畑としての復帰は容易ではないと聞く。港や船が失われても、天然の良好と、黒潮と親潮が出会う事による世界最高レベルの漁場は生きている。けれども、失われた船や、破壊された加工工場などの水産業インフラを再立ち上げするコストや時間は、いかほどになる事か。さらに、被害地の多くは、人口が減少気味だった地域だけに、再開発そのものの計画立案も、簡単な答えは見つからないかもしれず、軽率には語れない。
けれども、正常に戻せるところから戻すのが重要な事は間違いない。仙台の市街地は、案外と被害は少ない。上記したようにガソリンの供給が復活しつつある今、3次産業は比較的早期に復活できる。まず、これが大事なはずだ。ベガルタの復活も(イーグルスの復活も、事態は相当深刻そうだが89ersの復活も)それらの皮切りの1つとなる。そうやって仙台市街地の経済が落ち着けば、次に進む事ができる。
もちろん現実は厳しい。ソニー仙台は、JFLの前期での活動を断念する方針らしい。コバルトーレ女川は、当面の活動の休止を発表した。キャッシュがつながらなければ、正常に戻る活動すら、叶わないものが多いのだ。
そして、同様にとても気になるのが、被災地のサッカー少年達への「戦う場」の提供。宮城県協会の自粛要請が、一部で話題になっている。これは現状を反映しているのだと思う。今なお、特に沿岸地域の避難所では、苦難に耐えている方々が多数いらっしゃる。若いサッカー選手達は、ボールを蹴るよりも前に、これらの方々の支援に回るべきなのは当然だ。
けれども、たとえばインタハイ予選の地域大会は近々開始しなければならないはず。そして、この大会に臨むために、多くの若者は必死に準備をしてきたはずだ。少なくとも、30余年前の私はそうだった。それ以外、何も考えていなかった。
優先順位は理解できる。今がその時期でないのもわかっている。しかし、彼らに「戦う場」を与えたい。