2011年04月06日

正常に戻せるところから

 ベガルタは23日に等々力でフロンターレと再開戦を戦う。具体的にターゲットができると、そこに向けて具体的で様々な活動がはじまる。宮城県のコンビニが十分回復していない現状でのチケッティングとか、被災地におけるパブリックビューの開催是非とか。結構具体的な課題が見つかっており、微力ながら私もちょっとお手伝いさせていただいている。ちなみに友人のフロンターレサポータが、「再開戦、仙台さんなのですよね。日本中を敵に回すのかと思うと...」と言っていたので、「いや敵に回すのは、日本ではなくて、世界だよ。」と言っておいた。
 また、翌週の29日には、ユアテックにレッズを迎える。ユアテックそのものの被害も多いと聞いていたので、「本当によいのか、復旧活動の優先度は他が先ではないのか」との疑問も否めない(もっとも、先日訪ねた時は、外観は問題ないようにも見えたのだが)。しかし、大東チェアマンがユアテックを来訪してなお、決定が覆らないと言うのだから、「大丈夫だ」と考える事にしよう。もっとも、本当かどうかわからないが、「応援時のジャンプ禁止」など拘束条件もありそうだが。しかし、応援時のジャンプは我慢できても、得点時、勝利時の歓喜は我慢できないだろう。本当に大丈夫なのか、いくばくか不安が残るのだが、正式な沙汰を待つ事にするか。

 以前から語っているように、大変陳腐で申し訳ないが、復旧、そして復興のためには、いかに物事を正常に戻すか、いかに経済を活性化するかが全てだ。
 しかし、あまりに課題は大きい。困った事に、いや恐ろしい事に、今回の震災の被害範囲はあまりに広い。津波被害の地域が全長500kmと言われると、絶望的な気持ちになってくる。地震被害に至っては、その500kmに内陸までの数十kmの距離を掛け合わせた面積が対象になる。そして、原発問題。
 しかも、水産業、農業などの1次産業の被害は物凄いものがある。塩分が僅かでも残留していると、田畑としての復帰は容易ではないと聞く。港や船が失われても、天然の良好と、黒潮と親潮が出会う事による世界最高レベルの漁場は生きている。けれども、失われた船や、破壊された加工工場などの水産業インフラを再立ち上げするコストや時間は、いかほどになる事か。さらに、被害地の多くは、人口が減少気味だった地域だけに、再開発そのものの計画立案も、簡単な答えは見つからないかもしれず、軽率には語れない。
 けれども、正常に戻せるところから戻すのが重要な事は間違いない。仙台の市街地は、案外と被害は少ない。上記したようにガソリンの供給が復活しつつある今、3次産業は比較的早期に復活できる。まず、これが大事なはずだ。ベガルタの復活も(イーグルスの復活も、事態は相当深刻そうだが89ersの復活も)それらの皮切りの1つとなる。そうやって仙台市街地の経済が落ち着けば、次に進む事ができる。
 もちろん現実は厳しい。ソニー仙台は、JFLの前期での活動を断念する方針らしい。コバルトーレ女川は、当面の活動の休止を発表した。キャッシュがつながらなければ、正常に戻る活動すら、叶わないものが多いのだ。

 そして、同様にとても気になるのが、被災地のサッカー少年達への「戦う場」の提供。宮城県協会の自粛要請が、一部で話題になっている。これは現状を反映しているのだと思う。今なお、特に沿岸地域の避難所では、苦難に耐えている方々が多数いらっしゃる。若いサッカー選手達は、ボールを蹴るよりも前に、これらの方々の支援に回るべきなのは当然だ。
 けれども、たとえばインタハイ予選の地域大会は近々開始しなければならないはず。そして、この大会に臨むために、多くの若者は必死に準備をしてきたはずだ。少なくとも、30余年前の私はそうだった。それ以外、何も考えていなかった。
 優先順位は理解できる。今がその時期でないのもわかっている。しかし、彼らに「戦う場」を与えたい。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月05日

ベガルタの被災地支援活動に参加

 この週末は、震災後初めて仙台に帰省した。幸いにも、私の実家は、巷に報道されているような大被害はなかった。とは言え、疲労気味の両親に、娘と坊主の顔を見せるのはとても重要。そして、各種の片付けの力仕事を坊主とする必要もあるので。
 けれども、ご承知のように、新幹線はまだ動いていない。東北自動車道は回復したが、長距離バスの予約は容易ではない(特に仙台発の方)。では自家用車で帰るかとなるが、各報道でもご存知だろうが、被災地のガソリン不足は大変な模様で、帰りのガソリン確保が難しそう。まして、帰りのために不足しているガソリンを私が使ってしまっては、被災地域に迷惑をかけるだけになってしまう。
 「さて、どうやって帰るか」と悩んでいたら、某仙台在住ライター兼アナウンサ(と言えば、誰かはすぐわかってしまうな...笑)が、よい知恵を授けてくれた。いわゆるハイブリッド車ならば、仙台でのガソリン補充をしなくても、相当の距離が走れるとの由。さっそく、グランパス系列のレンタカー会社に連絡すると、「プリウスならばおよそ1000kmは走れます」との事。おお、それならば、最悪途中の給油なしでも、ぎりぎり帰って来られるではないか。と言う事で、方法は決定した。
 で、ベガルタのWEBサイトを眺めると、先週から引き続き被災地への直接支援活動を行っていると言う。先週もそうだったとの事だが、ピンポイントで各避難所に不足しているものを集中して集め、トラックを仕立てて直接当該避難所に届ける企画だ。すると、トラックだけで現地に向かえばよい訳ではなく、現地で大量の物資をトラックから降ろし、運び込む人数が必要。そのため、トラックと一緒に自動車を何台かしたてる必要があるとの事。ところが、ガソリン不足から、そのような自動車の確保が難しいらしい。それならば、上記レンタカーはお役に立てそうだと、ベガルタ仙台に事前連絡をした。
 当日(つまり一昨日ですが)、集合場所のユアテックスタジアムに行ってみると、案外に自動車を持って来ている方が多い。現地で会えた上記ライター氏に聞くと、仙台地域ではここ数日で格段にガソリン事情が改善したとの事。そのため、当初の自動車不足は解消したらしい。それならば、無理して土地不如意(仙台を離れて、早25年、私が宮城県各地を中古のボロ車で走り回っていた時代と比べると、格段に道路事情は改善されている)の私が出しゃばる必要はない。と言う事で、運転手役は辞退させていただき、もっぱらユアテックで搬入の力仕事を、坊主と2人で手伝う事にした。
 ユアテックにはアルディージャ、レッズ、モンテディオのサポータの方々が物資を持って次々に到着。ベガルタサポータの方々の結束もすばらしいが、Jサポータ同士の連携の見事さを改めて実感。先週、こちらの活動で日本サッカーミュージアムに顔を出した時にも、多くのJサポータのパワーを実感した(この時は、すごい数のサポータの方々が組織的に動いていたので、力仕事1つすら手伝う必要がなく、植田朝日とアジアカップの前で手持ち無沙汰に雑談したものだった)。うまい日本語にならなくて申し訳ないのだが、本当に皆さんの力はすごいものだと再認識。
 最後にサポータのリーダのMさんが「今日でこの活動は一段落とします。再開日程も決まりました。それに向けて進んで行きましょう」と挨拶されていた。ベガルタサポータの方々は、ご自身それぞれが大変な被害を受けただろうに、2週続けての活動を円滑に遂行した。すごい。

 上記ユアテックでの活動を含め、仙台界隈の知人友人から、色々情報をかき集めた。改めて今回の大震災の被害が認識できたのだが、その大きさに改めて嘆息。津波被害を受けた地域が、根こそぎ産業まで持って行かれてしまった事。津波の被害は受けずとも、地震被害を受けた地域がすさまじい範囲の広さである事。
 自分がやれる事など、本当にたかが知れている。知れているのだが、それでもやれる事を少しずつやっていこう。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年04月02日

五輪代表2次予選2011近づく

 五輪2次予選の相手が、クウェートに決定した。
 今回の予選は、2次予選をホーム&アウェイで戦い、勝ち残った12チームを3グループに分けて、これまたホーム&アウェイの総当たり戦でトップが出場できると言うスタイル。2位になると、3チームがセントラルの総当たり戦を戦い、アフリカ代表とのプレイオフと言う、何とも魅力的なオプションとなる。
 各ラウンドのチーム数は、都度変っているが、おおむね毎回同様の予選方式が続いている。ワールドカップ予選よりも、アジア枠が小さい事もあり、各ラウンドとも1位抜けが必要。その分だけ、「番狂わせの怖れ」が高いので、戦闘能力で優位に立つ日本にとってはリスクが高いとは言えるだろう。

 クウェートとの対戦と言うのは、A代表でも非常に少なく、過去の相性もよくない。
 クウェートは82年スペイン大会に出場、フランス戦では王族が試合中に判定にクレームを付け、得点を取り消させると言う、ワールドカップ史に残るスキャンダルを演じたりした。その後も、アジアの強国として活躍、日本も86年のアジア大会の1次ラウンドで0−2に完敗している。けれども、湾岸戦争の影響で、チーム力は弱体化。以降、アジアのトップと言える活躍はしていない。
 けれども、96年のアジアカップの準々決勝では0−2の完敗。この試合は、その後幾度も手合わせをする事になる「我らが親友」とも言うべきミラン・マチャラ氏との初対決でもあった。日本の中盤のプレスをかいくぐるロングボールで攻められ、守備の弱点である相馬直樹を執拗に狙われ、GK下川健一にもミスが出て2失点。攻撃の中核と期待されていた前園真聖の不振もあり、そのまま完敗してしまった。この試合は、日本が本格的にアジアカップに取り組むようになった92年以降唯一の2点差負けでもある。
 以降は、重要な公式戦での対決は記憶になく、不思議に縁がない国だ。ただ、フランス、ドイツのワールドカップ予選では最終ラウンドに残っているし、アジアカップでも本大会には出てくる事もあり、中東の2番手国と言う地位は保っている。言わば、UAE、カタール、バーレーン、オマーンなどと同レベルと見る。したがって、もう少し手合わせの機会があってもよかったようには思うのだが、縁のおもしろさだろうか。
 そして、一連の最近の地位、実績から考えても、結構厄介な相手だろう。

 関塚氏が率いる今回の五輪代表は、(戦った選手たちには、やや失礼な言い方になるが)過日のアジア大会で堂々と優勝を飾り、順調なスタートを切っている。実際、アジアカップに出場しなかった選手を含め、香川を筆頭に既にJでもチームの中核を担うようなよい人材が非常が非常に多い。
 唯一不安と言えば、現状ではセンタバックに決定的なタレントが不足感があるくらいか。アジアカップで中央を薗田淳と鈴木大輔が固め上々の守備を見せた。先日のウズベク遠征では、村松大輔、濱田水輝らが起用された。皆よい素材だが、村松を除いてはJでの実績がまだ乏しい。唯一実績が豊富な村松は、好調時の1対1の粘り強さは格段のものがある好素材だが、上背が低く、またエスパルス移籍直後でチームで地位を確立したとは言えない点がやや不安(村松の体格はカンナバーロとそう変わらないから、上背が低い事ごときでマイナス評価をするのは失礼千万なのだが)。北京の時は、水本裕貴、青山直晃と言った実績のある選手がここを固め、チームの中核を担っていたのだが。もっとも、当時チーム安定の源泉となっていたこの2人は伸び悩み、当時まだまだ不安定だった他のポジションの選手たちがどんどんと成長し、既にA代表の中心選手となっているのだから、選手の成長曲線というものは難しいものだ。そういう観点で見れば、今回の五輪代表は、たまたまCBに早熟な選手が少ないと言えるだけで、予選本選と戦っているうちに問題なくなっていくような気もする。

 クウェート戦は決して簡単な試合にはならないだろうが、一方でそのような戦いで若い選手を伸びていくはずだ。それがタイトルマッチの醍醐味と言うもの、どのような戦いになるか期待したい。
posted by 武藤文雄 at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする