2011年04月14日

ここまで代表選手に甘えてよいのか?

 二転三転、紆余曲折が続き、コパアメリカには出場する方針が決定したと言う。日本協会のWEBサイトに載ったリリースの一部を抜粋する。
JFAは、日本代表チームの強化や国際社会への復興メッセージの発信といった見地で同大会への参加を検討することとし、J1ならびにJ2の実行委員会を経て、本日(4月14日)JFA理事会で審議しました。

JFAとしては権威あるコパ・アメリカで戦えるような強い日本代表チームを編成することを基本に、Jリーグ所属選手はJクラブの理解と協力を得て、また、海外のリーグで活動する日本人選手の招集については、CONMEBOLの協力を得て進めていきます。
 何か、決定的におかしい。以前も述べたが選手を決めるのはザッケローニ氏なのだ。氏が選考希望するメンバをリスト化して、欧州クラブ所属選手はCONMEBOLが各クラブと交渉し、日本のクラブの場合は日本協会が交渉し、ザッケローニ氏が納得できる23人(ですよね)が揃うまで、交渉をそれぞれ続けるとでも言うのだろうか。では、ザッケローニ氏が納得できる選手が揃わなければどうするのか。小倉会長なり、原博実氏なりが、「頼むからこのメンバで戦ってくれ」とザッケローニ氏を説得するのか?!

 色々な方々が書いた「とにかく出場を」と言う趣旨の文章を読んだ。何か違う。コパアメリカだよ。ブラジル、アルゼンチンを含めた南米の列強が待ち構えている公式大会なのだ。中途半端な姿勢で臨める大会ではない。
 南アフリカでも、ドーハでも、私達の代表チームは、最高レベルの集中力で、自らの戦闘能力を絞り出すような試合をしてくれた。岡田氏の言うところの「1+1=3」状態である。そして、そのような戦いをする事で、選手達も究極の経験を積み、その能力を高める事ができる。しかし、今回のような選考方針で、選手達にそこまでの集中を期待してよいものなのだろうか。
 皆、勘違いしていないか。長谷部とその仲間達を集めて、強豪と試合をすれば、自動的に、あのようなすばらしい戦いをしてくれるものと。彼らはロボットではない、人間なのだ。究極に戦ってもらうためには、相応の環境と準備が必要なのだ。もちろん、出場する事になった経験豊富な選手達は、プロフェッショナル中のプロフェッショナル。己の限界を極めようとしてくれるだろう。けれども、そこに「本当の意味で代表とは言えない」選手が加わっていたとしても、彼らに究極の努力を要求すると言うのか。それも「国際社会への復興メッセージ」と言うプレッシャを加えて。
 しかも、秋口からはワールドカップ予選も始まるのだよ。

 もう、いいかげん、長谷部達に甘えるのはやめようではないか。
 彼らにコパアメリカでも、最高レベルで戦ってもらおうと言うならば、全てを投げ打ち、南米を制覇するくらいの気持ちで戦う必要があるし、そのような準備をすべきだろう。それならば、長谷部達に「最高レベルで戦ってくれ」と頼むのも筋が通る。その場合、今期のJは陥落なしにするとか、超大胆な施策が必要になる(そうすると来期の日程は絶望的なものになるだろうが)。けれども、それはそれで、問題の先送り感もあるが、1つの見識だ。
 それができないならば、潔く撤退すればよいではないか。そして、丹念にJリーグを続け、欧州の精鋭達には休んでもらう。そして、ザッケローニ氏に適切な強化期間を提供し、ブラジルワールドカップに向けて淡々と強化を継続する。
 そりゃ、私だって遠藤を含めた「最強日本代表」をコパアメリカで見たいよ。でも、それは叶わない夢なのだ。そして、3月11日で我々の世界は一変してしまったのだ。それなのに、どうして、皆が叶わない贅沢を語るのだろう。日々のJリーグを堪能し、欧州で活躍する精鋭を見守り、そして秋口以降の史上最強の代表を愉しむ。これで十分じゃないか。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(16) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする