2011年04月29日

勝利がチームに自信を植え付けていく

 ベガルタは、今期ユアテックでのそして震災後の初戦となったレッズ戦に1−0で快勝。
 前節のフロンターレ戦は、粘り強く守備を固め、勝負どころをチーム一丸となって活かす事によって勝利を得る事ができた。ただし、終始フロンターレペースだったし、当方の決定機は非常に少なく、相当な幸運に恵まれた事も間違いなかった。しかし、このレッズ戦はホームだった事もあるが、完全にペースを掴み、決定機や好機の数でも圧倒した。間違いなく、チームは進歩している。

 序盤からベガルタペースで試合は進んだ。ベガルタは前節と全く同じメンバだったが、配置をすこし変えていて、太田を赤嶺周辺に遊弋させ、関口と梁を左右両翼に配置させた(以降の左右は全てベガルタから見て)。どうもレッズ守備陣は、それにうまく対応できなかったようだ。特に梁について宇賀神が前にフラフラと出てきて、位置取りを修正しないので、右オープンが空く。このスペースを永田がカバーするのだが、スピラノビッチはスライドの判断が悪く、結果的に右オープンなり中央に再三スペースが空く。そこに、ベガルタ選手が次々に進出し、好機を演出した。
 一方でレッズにボールを奪われると、ベガルタは素早く帰陣すると共に赤嶺と太田がレッズ守備陣を巧みにチェーシング。特にスピラノビッチはプレッシャを受けると極端にフィードの精度が落ち、高橋義希と角田がおもしろいようにボールを拾って速攻につないだ。
 前半の得点場面はその典型、梁が右サイドでの宇賀神との競り合いに勝ったのだが、それをカバーする永田も柏木も緩慢で、梁はFKのようにフリー、狙い澄ましたセンタリングをニアに飛び込んだ太田に合わせた。この場面以外にもベガルタは、梁(梁独特の左サイドから落ち着いて狙ったシュート)、関口(フリーのミドルシュート、山岸に好捕されたがGKのタイミングを外すなり、もう一工夫できないか)、義希(赤嶺が右サイドのセンタリングを振り向きざま狙った山岸正面)、太田2本(CK崩れの混戦から山岸に防がれる、林のロングボールをレッズCBの混乱に乗じてロブで狙うがポスト)と決定機を掴んでいた。内容はすばらしかったが、1点しか取れなかったのは残念という展開だった。
 ペトロビッチ氏が守備の修正指示をしなかった(ように見えた)のは不思議。宇賀神に梁を深追いするなと指示をするなり(原口に梁をウォッチさせるなり...ベガルタの右DF菅井はまずは守備を重視しているのだから)、宇賀神が上がった時に山田に最終ラインに入り、永田が左をはっきりカバーするなり、修正はいくらでもできたと思うのだが。また、スピラノビッチのフィードのまずさは明らかだったので、柏木がもっとはっきりと受ける動きをして、パスコースを増やす必要もあった。田中達也やマルシオ・リシャルデスが、再三業を煮やして後方に引いて受ける動きをしていたが、彼らの挙動開始点が後方になるのは、ベガルタの思うつぼである。

 後半に入り、ペトロビッチ氏は田中達也に代えて高崎を起用して2トップとして、右サイドにマルシオを回す。前線で高崎はがんばる選手だし、元々エジミウソンはワントップは得意としていないし、マルシオもサイドから挙動を開始するのも巧いから妥当な策に思えた。しかし、相変わらず柏木が機能しない。ベガルタが後方でゾーンによる守備網を固めているだけに、中盤で変化をつけるのは必須なのだが。この試合柏木は再三アウトサイドキックのパスを狙っていたが、これは意表を突く狙いと言うよりは、ベガルタのプレスに押されボールをもらう体勢が悪いから。結局柏木は義希、交代した富田に押しまくられ90分を終えた。この柏木の不出来は大きな失望だが、文句を言う筋合いではないな。しかし、遠藤や憲剛への道はあまりに遠い。
 攻め手が見出せないペトロビッチ氏は、マゾーラを山田に代えて起用、マルシオ・リシャルデスと柏木をボランチに下げる。山田は確かに疲労ぎみだったが、これで中盤の守備力が低下し、ベガルタは楽になった。鈴木啓太を使わないのは、これまた文句を言う筋合いではないが不思議だ。
 ベガルタは、太田に代えて、しっかりとボール保持できる松下を起用。松下はセットプレイでも好機を演出。終盤、見事な運動量を見せてくれた梁は息絶え絶え(それでもマゾーラへの守備は怠らず頑張っていた)、ロスタイム直前にマックスと交代したが、松下がいる事で梁(あるいは関口)も下げやすくなった。松下の補強は大成功だ。
 そして、終盤のスピラノビッチを上げてのパワープレイも、角田とマックスと曹が跳ね返し、鎌田が落ち着いてカバーして、無事にクローズ。

 後半、レッズの決定機はエジミウソン?のヘッドくらい(鎌田がかき出したが、枠に飛んでいたように見えた)。あと終盤のゴール前のマルシオ・リシャルデスのFKが怖かったな(これはスピラノビッチのヘッドで崩されたFK提供)。
 一方でベガルタの決定機は多数。義希(義希自信の左サイドへの好展開のこぼれをダイレクトのミドル、いい速攻だっただけに決めたかった)、関口(ベガルタ得意の湧き出る速攻で梁の好パスから完全に抜け出したが、山岸に防がれる)、赤嶺2本(交代した松下のCKをドンピシャのヘッド...これは決めなくては、ロスタイム敵陣コーナアークのボールキープから抜け出し角度のないところで全くフリーで力入り過ぎ)、菅井(ロスタイムの逆襲、高橋峻希?のスライディングで止められる、PK取ってもいいと思ったけど、ボールに行っていたのかなあ)。これらを皆外したは、やはり反省材料。
 
 元々、今期のベガルタは積極的補強で一段高い質のサッカーを目指していた。マルキーニョスは去り、柳沢は負傷離脱したものの、昨期よりも格段に戦闘能力が向上したのは間違いない。そして、早くも3試合目で連携も向上してきている。フロンターレ、レッズと言う強豪への勝利で選手たちも自信をつけているはずだ。だからこそここで、中盤からの守備の稠密性と、速攻の精度を、一層向上させたい。もっとレベルの高いサッカーを狙えるはずだ。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする