2011年05月31日

オーストラリアンフットボールを観て

 明日は日本代表の試合なのだが、情けないことに実は豪州にいる。考えてみれば、明日はペルー戦の前座として、五輪代表の豪州戦が行われるのだから、間抜けな事この上ないな。

 で、ホテルでテレビをつけたら、オーストラリアンフットボールをやっているではないか。最初は何が何だか、さっぱりわからなかったのだが、観ているうちに段々とルールや駆け引きがわかってきた。これが、結構おもしろいのだ。
 ルーズボールの争いなどは、ラグビーを彷彿させる激しさで、すさまじいボディアタックの応酬。また、ボールをパンチする事で長いパスを出すやり方や、長い距離をボールをもって走る際は1回ボールをバウンドさせる(バスケットボールやハンドボールのドリブルを一拍はさむ感じ)など、独特のルールが興味深い。
 しかし、何と言っても一番おもしろいのは、大きな展開をするのにパントキックを使う事だ。どうやら、肉弾戦の目的は、フリーでパントキックができる選手を作るのが目的のようだ。そして、一度フリーの選手ができると、幅広なフィールドを駆使してサイドチェンジを含むパントキックの連続で攻撃を組み立てる。各選手の射程距離や精度はかなりのもので、長いボールが悠然とつながって、広大なフィールドを上下左右するのは、中々の見ものである。
 そういう意味では、ラグビーやアメリカンフットボールと比較すると、「ボールを蹴る」と言う技術が非常に重要な競技で、これらよりも「フット」ボールとしては、サッカーに近い技術が必要とされるように思える。

 唯一残念なのは、長いパントキックがゴール前に通ると、厳しいチェック抜きでフリーでパントキックで得点を狙うルールなので、一番肝心なゴール前の攻防が少ない事くらいか。
 そのせいもあって、とにかくよく点が入る。4本棒が立っていて、真ん中の2本の間にキックが通ると6点、外側の棒の間だと1点らしいのだが、20分4クォータ制で、100点入るのはざらに思える。そういう意味では、サッカー的に「点が入らない」おもしろさは感じられないが、まあ仕方がないのだろう。
 また、どうやらオフサイドの概念がない模様で、それも最終ラインの攻防を単調なものにしているように思える。
 サッカー狂からすれば、「もう少し点を入りづらくすれば、もっともっとおもしろいのになあ」とは思うけれど、まあ余計なお世話と言う奴だろう。
 それでも、状況によっては、敵に妨害されながらボールを抱えながら全力疾走し、その状態から鋭角のキックで直接得点を狙う技術などは、挙動開始こそ全く異なるが、サッカーに近い感覚があり、興奮させられる。

 まあ、こうやって人生の手段と目的を取り違える間抜けな日々の中にも、喜びはあると言うことで。
posted by 武藤文雄 at 23:20| Comment(1) | TrackBack(0) | サッカー外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月25日

ちょっと多忙なもので

 色々多忙なもので、更新がままなりません。
 申し訳ありませんが、しばらくお待ちください。
posted by 武藤文雄 at 23:23| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月18日

妥当な結論

 本業都合で異国にいるので手短に。

 極めて妥当な結論に落ち着いたようだ。遠藤を軸にした代表をコパアメリカで堪能したい気持ちには全く変わりはないが、どうしようもなかったのだ。
 また交渉の経緯をしっかりと記者会見で発表した日本協会の対応にも敬意を表したい。すべてが発表できる種類の情報ではなかろうが、小倉氏、原氏共に誠意を持って状況をわかりやすく説明してくれている。発表できる範囲で適切に活動を説明する事はとても重要な事だ。

 今回の一連の騒動で、できもしない方策を並べ立てて強引に出場を唱えた一部マスコミ関係者に辟易した方々も多かろうと思う。それはそれで仕方がないだろう。彼らも食うためには必死なのだから。

 繰り返すが残念な気持ちは残る。今の遠藤が率いる我らが代表を、アルゼンチンで見たかった。
 でも、仕方がない事なのだ。

 我々にはJリーグがある。毎週毎週すばらしい試合を堪能できる。
 五輪代表も難しい予選に挑戦する。何とかホームの豊田スタジアムには参戦したいものだ。
 そした秋口には、ワールドカップ予選がはじまる。コパアメリカを失いながら、いかに強化していくか。目標はあくまでも本大会の好成績だが、予選を1つ1つ戦っていく愉しさには、堪えられないものがある。
 これだけの娯楽を愉しむ事ができる。ありがたい事だ。

 もちろん、今回の辞退劇も絶対に忘れてはいけない。むしろ、この残念さを忘れずに、この長く果てなき大震災との戦いを続けていく事が肝要なのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:42| Comment(42) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月14日

腹立たしいが前向きに考えたい

 ベガルタは、ユアテックにジュビロを迎え、前半の2−0のリードを追いつかれ、終了間際に突き放したと思ったらロスタイムに軽率なプレイから再び同点とされると言う、何とも味わい深い試合を展開した。腹立たしいと言えば腹立たしいが、落ち着いて考えると、去年までの「僕らの愉しいベガルタ」が帰ってきたかのうような試合でもあり、奇妙な安堵感を覚えたりもした。そして、前節以上にもったいない勝ち点消失ではあったが、ここまでの選手達の戦いぶりを振り返ると、さすがに疲労は相当溜まっているのだろうし、このような間抜けな試合をしてしまうのも仕方がないかと思ったりして。

 ベガルタの前半は完璧。クラブの歴史を振り返っても史上最高の内容ではないかと思わせる45分間だった。
 3分、後方でボールを回し、フリーになった曹秉局が正確なフィードを縦に入れ、赤嶺が後方の角田に落とす。フリーで前進する角田はジュビロの中盤選手をかわし、右サイドの太田にタイミング精度共に抜群のスルーパス。太田はグラウンダのセンタリングを入れるも、わずかにボールは左サイドに流れる。そのボールを拾って、再び押し込み最後は梁が中央で溜めて、左サイドゴールライン前でフリーキックを蹴るくらいフリーになった朴柱成へ。朴は狙い済ましたクロスを上げ、逆サイドから長駆走りこんだ菅井が見事なヘディングで決めた。何とも美しい攻撃だった。
 続く9分。菅井の出足のよさで掴んだ右サイドハーフウェイライン過ぎたあたりからのフリーキック。梁は大外の曹にピタリと合わせ、曹が落としたボールを赤嶺が蹴りこむ。
 2点差としたベガルタは、得意の素早く引く守備と、鋭い逆襲を見せ、ジュビロを完全に圧倒。ジュビロにほとんど好機すら与えずに前半を終了した。

 後半、ジュビロ監督柳下氏が動いてくる。アンカーの那須を最終ラインに下げ3DFとして、両翼の駒野と朴柱昊(どうでもいいが、この韓国代表の若者は、うちの朴と名前が似ているな、今この原稿を書いていて気がついた)を上げてきたのだ。これは今のベガルタに対しては1つの策だろう。しっかりとボールをキープできずとも、梁と関口を押し下げる事ができるからだ。しかし、ベガルタの後半の入りも抜群だった。前半同様の出足の鋭さで、鋭い攻撃を繰り返した。約10分間は。
 ところが、高橋義希がバックパスを誤り敵FWにシュートを許した(林が見事にブロック)あたりから様相が変わる。さすがに鋭い出足はそうは続かず、ベガルタが一服入れたあたりで、右サイドの駒野への守備がすっかりおかしくなってしまった。基本的には関口が駒野につくべきだが、帰陣が遅れたり絞ったりしてつけない場面もあり得る、そうなると朴なり高橋義希あたりが、密着とは言わないまでもある程度スライドして適切な距離でウォッチする必要が出てくる。そこの修正が、ちょっとうまく行かないところを突かれ、右から速いクロスを入れられ、折り返しを山田に決められる。こら、菅井、オフサイドのアピールをしている暇があったら、ちゃんと守れ。評価の高かった山田だが、ここまでほとんど消えていたのだが、ワンチャンスを決めてくるとは、何か持っている感もあるな。
 ここまでほとんどジュビロに好機を与えていなかったのだから、何もあわてる必要はなかったのだ。1点差になったのだから、守備を厚めにしてしばらく我慢をすればよい。ジュビロは3−5−2に切り替えている事そのものが、バランスを崩している。点を取った山田、五輪代表の中核と期待される山崎、ボランチの若手小林、山本、勢いに乗って出てくるのは自明なのだから、ベガルタはいなせばよかったのだが...1点差になって慌てて前掛りになり、同じように駒野から崩され、見違える動きを見せた山崎に...同点。ちゃんと守備の人数は揃っていたのに。

 ただ、ここからは、ジュビロの若さが出た。ユアテックでベガルタは必ず勝ち点3を目指す。だから、同点になったのだから、ジュビロは落ち着いてボールを回して、うちが出てくるのを待てばよかったのだが、逆に前に出て来てくれた。太田に代わり入ったと富田の運動量をを軸に、ベガルタイレブンも、肉体疲労の色は濃いが精神的に立ち直る。右サイドに飛び出した義希が右に出るフェイクから逆に左のターンで敵DFを振り切り、赤嶺にラストパス、赤嶺の狙い済ました左足シュートは、川口の超美技に防がれる。さらにベガルタは足のつった菅井、義希の代わりに田村、中島を起用し、圧力を高める。梁のスルーパスに中島が反応するが、振り切れない。富田を起点にした逆襲で梁が持ち出すが、川口にまたも防がれる。と、これだけ攻めれば、ジュビロ守備陣も突かれてくる。右の田村のクロスをはね返され、逆サイドで拾った朴がクロス。この揺さぶりにジュビロ守備陣はついていけず、後方から進出した角田は全くのフリー。川口もこれは止められなかった。
 まあ、ジュビロも疲れていて、パワープレイする体力すら残っていなかった。勝ったと思うよな。でも、今期ここまですばらしいプレイを見せてくれた曹、鎌田、林を責めるのもねえ。むしろ文句を言うとしたら、あと2分くらい残っていたのだから、同点にされた瞬間に倒れ込んでしまった事にだな。その後、攻め込んで敵陣前のFKやCKを結構つかんだのだから、さっさと再開していたら、4−3に突き放せていたかもしれん。

 何とも言えず、悔しい試合だった。
 でも、サッカーだからな。重要な事は、選手達が相当疲労している事だ。再開以降の見事なプレイの連続、疲労が溜まって当然だろう。最後の失点など、曹と鎌田がすり減っているがためとしか思えない(だからと言って、あの間抜け振りが許されるかと言うと、議論は別れようが)。菅井や義希が足をつらせて途中退場したのもそうだ。そのような状況下において、2点差を追いつかれた後、攻め返して突き放したのだ。これはこれですごい事だと思う。キリンカップのための中断期まで、適切な体調管理と、格段に厚くなった選手層をうまく使う事で、よりよい成績を残す事が、何より大事だろう。
 ここまで選手達は見事な集中力で、すばらしいサッカーを見せてくれた。みな、人間だから抜ける事もあるさ。もちろん、誉められなかったこの試合で勝ち点3を獲得できれば、めでたかっただろう。でも、それはそれ。今日は、ヘマした試合はヘマした試合として、同点に終わった事で、自分たちの反省材料になったと考える事にしよう。甘いと言われるかもしれないが。
 あの入替戦、能力的には圧倒的な差を見せつけられたジュビロを、この試合では技術戦術で完全に圧倒したのだから。そして、6試合終わって3勝3分け、無敗で勝ち点12。堂々たる成績である。今日の試合を見たザッケローニ氏は、梁も関口も角田も菅井も、前田や駒野に匹敵するタレントと判断してくれたに違いない。物事を前向きに捉える事こそ大事なのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月13日

松下の直接FKを再考して

 明日ベガルタはユアテックにジュビロを迎える。ジュビロは前節、大エースの前田の活躍もあり、モンテディオに快勝。難しい試合になりそうだ。しかし、今のベガルタの攻撃から守備の切り替えの速さ、意思統一された速攻の充実があれば、十分に勝機は見出せるだろう。

 話はちょっと飛ぶが、ロスタイムに追いつかれた悔しい前節を反芻したい。
 私も指摘したが、同点に追いつかれた直接的要因は、その直前のセレッソ陣前での直接FKをボールキープにつなげずに、松下が直接狙ってしまった事にあった(松下のシュートはわずかに浮いて枠を捉えられず敵のゴールキックとなった)。戦術的には明らかな誤りな事は間違いない。狙った松下のみならず、その時点で腕章を巻いていた関口、明確な指示をしなかった(あるいは指示はしたかもしれないが徹底できなかった)手倉森氏など、皆が反省しなければならない失敗だった。みすみす勝ち点2を失った失敗経験が、今後に活きる事を祈るばかりである。

 しかし、あれから1週間、ちょっと違う視点の解釈も考えているのだ。失った勝ち点こそ痛いものの、今期のベガルタにとっては、とても素敵な場面だったのではないかと。
 前々節のレッズ戦、松下は終盤太田に代わって起用され、持ち前の判断力や正確なプレイを披露してくれた。特にセットプレイでは幾度も好キックを見せ、赤嶺にこーナキックをピタリと合わせた場面などは実に見事なものだった。この試合、豊富な運動量でチームを引っ張っていた梁が、終了間際に相当疲労していた事もあり交代でピッチを去った。梁が退く際に、「今期は、松下がいる事で、試合終盤に梁を交代させやすくなるんだ」と、的確な補強に安心感を持ったものだった。我々サポータからすれば、ベガルタの攻撃的MFは、梁と関口と言う生え抜きの、いや我々にとっては単なる生え抜き以上の、2人のタレントが君臨するポジションである。そこにバックアップとして松下のような信頼できるタレントを所有できるのは、非常に心強い事ではないか。
 しかし、松下の立場から考えてみればどうだろうか。松下は「梁や関口の控え」と言う己の立場に納得、満足しているだろうか。
 松下はアルビレックスの中心選手として活躍し、昨期FC東京に移籍。起用されれば精度の高いパスや、適切な位置取りで常に一定以上の活躍を見せていた。けれども、FC東京の層の厚さもあってか、中々出場機会を得る事はできなかった。今期松下がベガルタに移籍してきたのは、出場機会を求めての事だろう。
 そう考えれば、松下は現状の限られた出場時間で、明確な結果を残し、梁や関口あるいは太田や高橋義希などから、定位置を何としても奪いたいと考えていても、全く不思議ではない。いや、プロフェッショナルなのだから、現状に満足せずに、そう考えてもらわなければ困る。
 そして、その松下の野心が前面に出たのが、あの直接FKではなかったのか。そのような前向きな姿勢で戦おうとする選手の存在が、いかに我々にとって力強いものである事か。

 我々は能力的にも実績的にもそして精神力の面でも、梁と関口を脅かし得るタレントを入手したのだ。前節失った勝ち点2など、松下は数倍にして取り返してくれるに違いない。いや、それだけではない、松下の存在により、梁も関口も従来以上のプレイを見せてくれるに違いない。
 そのような定位置の激しさの成果が、まずは明日のジュビロ戦でも存分に見られる事だろう。

 実は所用で仙台に帰ってきているのですが、明日参戦できるかどうかは事情で微妙なところなのです。ユアテック近傍にいながら、参戦できないと言うのは拷問に近い苦しさなのですが。何とか、やりくりしてユアテックに行かれますように。
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2011年05月12日

北嶋秀朗と大前元紀

 リーグのトップを好調に走るレイソルだが、ベテランストライカの北嶋秀朗が既に4得点、得点王レースの先頭を走り、話題になっている。若い頃から定評のあったシュートの巧さ、老獪と言うかしたたかで適切な位置取り。元々見ていて愉しい選手だが、今期は好調なチームの中で、すっかり働き場所を見出しているようだ。ただし、ちょっと驚いたのは、北嶋自身の今季初得点(ヴァンフォーレ戦)が、J1通算50得点目と言う報道。北嶋は33歳、今期が15シーズン目のはず。「え、まだそれしか点を取っていなかったの」と感想を持ったのは私だけだろうか。

 北嶋は市立船橋高校のエースとして、1年生の時から高校選手権で大活躍。鳴り物入りでレイソルに加入した。順調に成長し、2000年シーズンには完全なエースストライカとして活躍、ほぼフル出場し18得点を奪った。
 このシーズンに行われたアジアカップでは代表入り。定位置獲得はならなかったが、大量点で勝利したウズベク戦で1得点を決めている。この得点は、小野のパスで完全に抜け出し、落ち着いてGKを抜きさって、冷静に流し込んだもの。この選手の持ち味である、冷静で正確なボールを扱いによるシュートの巧さが、見事に発揮されていた。当時トルシェ氏が選考していたFWは高原、西澤、柳沢、いずれもボールの引き出しやポストプレイには妙味を発揮するが、シュートそのものはあまり巧いとは言えない選手(その後、高原は時間限定ながらシュートも上手になるのだが)だっただけに、北嶋への期待は大きかった。そして、いやしかし、当時このウズベク戦の得点が、このストライカの代表戦での唯一の得点となるとは思いもしなかった。  
 また、同じ年のJリーグ後期最終戦、今でも語り草となっているレイソルーアントラーズ戦、レイソルは勝てば後期優勝を決められるところだったが、秋田、相馬、本田らを擁するアントラーズが見事に0−0に持ち込み後期制覇を決めた。北嶋も幾度か好機を掴みかけたが、秋田の壁をどうしても破れなかった。試合終了後の北嶋の悔しさを噛み殺した表情は、若きエースがこの悔しい経験を糧に大きな成長をしてくれるものと期待させてくれるものだったのだが。
 ところが翌シーズン、レイソルには韓国の名ストライカ黄善洪、オールラウンドプレイヤ柳想鐵が加入した事もあり(黄は2000年に加入していた)、北嶋の出場機会は微妙に減って行った。もちろん、出場機会が減ったのは強力なライバルが存在したためだけではなかった。このあたりから、北嶋は己の最大の特長であるシュートの巧さを見失い、妙にポストプレイにこだわり過ぎているように思えたのだ。古い議論だが、サッカーが組織的になればなるほど、FWには得点の他の能力が要求される。巷によく言われる、ボールを奪われてからの最初の守備者としての機能、攻撃を組み立てる際の一員としての機能、後方からのフィードを持ちこたえて味方が上がる時間を確保する機能。これらの機能と、得点能力とのバランスは常にFWに対する難しい要求事項となる。そして、北嶋はこのバランスを操り損ねたように思えたのだ。
 以降北嶋は苦労を重ね、エスパルスへの移籍を経験しつつ、今はレイソルの大ベテランとして君臨している。往時の瞬間の切れはなくなったものの、ボールの受け方の巧さ、シュートへの持ち出し、冷静さなどは磨きがかかり、見ていて本当に愉しい選手だ。過日のレッズ戦での2得点、位置取りの巧さと冷静さが見事に発揮されていたではないか。
 
 今の北嶋は本当に見ていて愉しい選手なのだが、もっともっと点を取ってくれてもよかったのではないか、と言う思いがどうしてもあると言うだけの話。ただ、今の北嶋を見ていると、もうこれで十分以上のものを見せてもらえているのも確かだし...

 突然、大前元紀について。北嶋と大前って、あるポイントがそっくりに思うのだ。
 外的な共通点は千葉県の高校で、高校サッカー選手権で大量に得点を取って優勝した事くらい。プレイスタイルも全く異なる。けれども、この2人のシュートの際の冷静さに、非常に近いものを感じるのだ。昨年の後期ユアテックでのエスパルス戦、リードを許したベガルタの終盤のコーナキック、GKの林も攻撃に参加したところでの、エスパルスの逆襲。大前の心憎いばかりの冷静さで無人のゴールに流し込まれ、トドメを刺された訳だが、あの場面の大前の冷静さに、上記した北嶋のウズベク戦の得点を思い出したのだ。
 今期の大前はすばらしい。大幅にメンバが入れ代わり、大エースの岡崎を失ったエスパルス。その中で豊富な運動量で動き回り、敵陣前で見事なシュートを放ち、さらには見事な直接FKを決める大前。「今期Jで最も冴えている攻撃タレントは北嶋と大前」と言っても過言ではないくらいだ。あ、もちろん、関口も。
 残念ながら、本日発表された五輪代表には大前は選考されていないようだ。しかし、現状のプレイを継続していれば、関塚氏ではなくザッケローニ氏が選考する可能性も高いと思う。大前は、最大の特長のゴール前の冷静さを最大限に活かすために、1.5列目(1.3列目って言う方が適切かもしれないな)からすさまじい運動量で動くプレイスタイルを身につけつつある。

 確かにこの2人のプレイスタイルは全く違う。でも、今の北嶋の域に、少しでも早く大前が近づいて欲しいなと。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月07日

悔しい引き分けだったのは確かだが

 ベガルタは敵地で終盤までリードしながら、94分にセレッソに追いつかれ同点に終わった。大変に悔しく残念な勝ち点2消失劇となった。
 落ち着いて考えれば、敵地で勝ち点1を確保したのだから、勝ち点感情的には上々。開幕から5試合(ホーム2試合、敵地3試合)で3勝2分け、勝ち点11なのだから、勝ち点勘定を考えれば満点近いのだし、不満を言うのは随分と贅沢のはわかっているのだが。
 昨日講釈を垂れたように、セレッソがACLで消耗していて終盤ガス切れするのではないかと期待?していたのだが、どうしてどうして。セレッソも終盤パワープレイで押し込んで来た。それでも、林と曹を軸にしっかりと守っていたのだが。
 ただ、終盤に同点に追いつかれた要因への反省は重要だ。同点になる直前に、関口が見事なドリブルから敵陣前で直接FKを得た。あれを松下が狙ったのはセオリーに完全に反している。あそこは、狙う振りをするのは重要だが(セレッソ選手のほとんどを自陣に下げる意味もあるので)、コーナフラッグ近傍でのキープを選択すべきだった。あそこで、時間稼ぎに入っていれば、同点にされる怖れはほぼゼロだったに違いない。このリアリズムの欠如により同点に追いつかれた事は、この試合の第1の反省点だろう。
 また文句を言っても詮無き事だが、どうしてアディショナルタイムが5分もあったのだろうか。負傷者もいなかったはずだし、大きなトラブルもなかった。89分頃には、あわよくばアディショナルタイムはゼロだったりして、と思って観ていたくらいだったので、正直釈然としないな。

 開始早々にCKから鎌田がすらしたボールを角田がヘディングシュートするがバーを直撃。その後前半半ばは、セレッソに攻勢を取られるも、落ち着いて守備を固めてしのぐ。そして、前半30分、ベガルタは見事な先制。右サイドで高橋義希が落としたボールを角田が前線にフィード、梁が競り勝ってボールを流すと、後方から義希よりも内側を長駆した菅井がそのボールを受けて右サイドをえぐりながらダイレクトでセンタリングを上げる、すると中央を固めていたDFの後方から飛び出した太田が敵DFの鼻先で強引なシュートでボールをねじ込んでくれた。
 以降、ベガルタはセレッソの攻め込みをしのぎながら、逆襲速攻を繰り出す展開となる。J2時代からなのだが、クルピ氏率いるセレッソと、手倉森氏率いるベガルタは、双方のやり方が噛み合い、結果お互いが好機をつかむ展開となって、面白い試合になる傾向があるようだ。セレッソはマルチネスの好展開を起点に、技巧レベルの高い選手達が人数をかけての崩しを狙う。だから、ベガルタが攻撃から守備への切り替えを素早く行って、後方に人数を揃えても破られるリスクも高くなる。一方でセレッソは攻撃に人数をかけているだけに、ベガルタのボールを奪ってからの得意の人数をかけた速攻は、非常に効果的になる。そして、その速攻を能力の高いセレッソCBが防ぐ。こう言った双方の特長が攻撃の長所を発揮しやすいために、セレッソとの試合は双方が好機を頻繁に掴む試合となる(まあ、当方の内容や作戦が極端に悪かった昨年後期の試合などは、サンドバックのように押し込まれ幸運に恵まれての0−0引き分けだったのだが)。
 また、ベガルタGK林も、セレッソGK金鎭鉉も、この対戦相手の試合では、いつも以上にファインプレイを連発するようにも思うが、これは考え過ぎか。

 この日はベガルタの速攻は非常に効果的で、先制以降も中島、梁、太田らが決定機を掴む。が、決められない。中でも、関口の左サイドの突破は、最後角度のないところから金鎭鉉と1対1になりニアを狙いポストに当たって逆サイドに抜けたが、実に見事なものだった。これらのシュートの僅かなズレで、ここで2点差にできなかった事は、この試合の第2の反省点だろう。
 ただし、セレッソも乾のポストに当たるシュートなど決定機をつかむが、次第に後半に入ると疲労からか精度を欠くようになる。すると70分過ぎ、クルピ氏はピンポンパンと乾に代えて、小松と永井龍を起用、上記した通りにパワープレイに来た。そしてベガルタは再三ピンチを向かえる事になるが、゙秉局と林を軸にかろうじてしのぐ時間帯が続いた。手倉森氏も、松下、斉藤を相次いで投入し、流れを変えようとはしたが、最後まで押し込まれたままだった。敵が無理攻めに来ているから危ない場面を作られるのは仕方がない部分もあるが、ちょっとやられ過ぎ。もう少し落ち着いたキープの時間帯を作ったり、敵に攻勢を許さない工夫が必要だったはずで、これはこの試合の第3の反省点だろう。

 まあ、色々愚痴も述べたが、文句を言ったら罰が当たりそうなくらい、順調に勝ち点が積み上がっているのが現状。それを「よし」とすべきなのは、理屈でもわかっている(感情は別と言う事はさておきね)。今日のところは、ベガルタ得意の人数をかけた湧き出す速攻が再三成功直前まで進んだ事、関口がすばらしい切れのドリブルを見せてくれた事など、ポジティブな現況を喜ぶ事とすべきなのだろう。武藤雄樹がベンチ入りした事含めて。
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2011年05月06日

セレッソ戦前夜2011前期

 ベガルタは明日、中3日で敵地でセレッソと戦う。
 ところが、セレッソは同じ中3日の試合だが、前の試合はACLの敵地アレマ・マラン戦。日本からマランのようなインドネシアの地方都市への直行便はないので、トランジットが必要となる。これがACLの厳しいところだ。代表の試合ならば、多くは直行便のある首都で行われるのだから、まだだいぶ楽なのだが。しかも、週中の試合である。おそらくセレッソは、試合翌日の5月4日に丸一日かけて、トランジットを含む過酷な日程で、大阪に帰国したのだろう。さらにベガルタ戦後中2日で、ACLの1次リーグ最終戦に山東を森島スタジアムに迎えて戦わなければならない。ホームとは言え、負ければ山東に逆転で1/16ファイナル進出を許してしまうので、この試合への対応も重要となる(実際、山東には敵地では完敗しているし)。
 もちろん、ベガルタも23日の再開戦からの3試合(それも中5日、中3日と結構きつい日程だ)、選手達は実にすばらしい集中力で戦い続けて来ており、疲労も相当のもののはずだ。そして、中3日での遠征試合となるセレッソ戦、いよいよ疲労はピークとなるだろう。
 しかし、やはり5月3日の試合後の両チームの移動負担を考えると、戦闘能力が上回る難敵との敵地戦だと言う事を割り引いても、体調面を考えればベガルタの方が格段に状態がよい戦いとなる。

 もっとも、退場で出場停止の朴柱成に加え、前節決勝点を決めながら足を引きずっていた赤嶺が出場てきない模様だ。ベガルタもメンバ変更を余儀なくされる。もちろん痛い事は痛いが、今期は適切な補強に成功しており、ここまで試合展開に応じて様々な交代選手が起用され、皆かなり有効に機能している。むしろ、連休による連戦にフレッシュな選手を起用しやすくなったと前向きに捉えるべきだろう。常識的には、朴の代わりに田村を、赤嶺の代わりに中島を、それぞれ先発させる事になるだろう。2人共経験豊富な選手だし、このような好機を活かして活躍してくれる事だろう。私としては、何よりも、遠征に武藤雄樹が帯同している事が気になるのだが。
 ここで、過去3試合で明らかになった問題点を振り返ってみる。攻撃については、フロンターレ戦では敵の厳しいプレッシャをいかに抜け出すか、レッズ戦ではシュートの精度と工夫(特に当たっている敵GKをどう外すか)、アビスパ戦では急ぎ過ぎて攻撃が単調になる事、がそれぞれ最大の反省点だった。こうして振り返ってみると、いずれの試合でも問題点が違っているな。レッズ戦ではシュートまで行っていたのだが、アビスパ戦では後退している感もある。このあたり、常に前進できないあたりが、サッカーの難しさだし、リーグ戦のおもしろさのような気がする。まずは、アビスパ戦の反省を活かし、梁と関口に急ぎ過ぎの是正を期待したい。
 一方で守備だが、3試合で失点1なのだから、いずれの試合もそれなりにうまくいってはいる。ただいずれの試合でも、中盤でボールを奪った、あるいは奪いかけた直後に、いかに保持し切るかが、大きな課題になっている。特に、高橋義希だ。よい体勢でボールを受けられれば着実に展開できるが、体勢が少しでも悪いと、途端にパスの精度が落ちている。ここは、一層 Think before, look before を意識して、いかによい体勢でボールを受ける頻度を増やすかを考えて欲しい。悪い体勢でのパス精度を上げるのは難事だが、よい体勢で受けられるようにするのは、知性で工夫できるはずだ。そして、そのような修正ができるかどうかが、義希と言う選手が、本当の意味でのトップJリーガとなれるかどうかの分岐点になるように思えるのだ。

 お互い同時期に長々とJ2での暗闘を愉しんで来た仲間ではあるが、戦闘能力でも、実績でも格上と呼ぶべきセレッソ。そのセレッソの敵地戦ではあるが、上記した日程を考慮すれば、当方が有利と考えるべきだろう。長いリーグ戦では、このような信じ難い幸運な日程に巡り会う事があるものだ。ここは素直に幸運を受け入れ、勝ち点3の獲得を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京ダービーを愉しむ

 久々の東京ダービー、28,000大観衆が作り上げたすばらしい雰囲気の下、野次馬としておもしろい試合をすっかり堪能させていただいた。ヴェルディの選手の識別に悩みながらだったけれども。

 個人的には今年のヴェルディは相当やると期待していた。昨期序盤は経営そのものが不安定な事もあり成績も悪かった。けれども、新スポンサの確立や、Jリーグ事務局の羽生氏の社長就任などが進むうちに成績も向上し、そのまま昨期から継続して川勝氏が采配を振るうからだ。ところが、ここまで3連敗。どのような状態なのか。
 J1でも優勝を争えそうなメンバ構成(と言うか残留説得)に成功したFC東京も、1勝1分け1敗とはっきりしない成績。こちらは昨期天皇杯から明確なチーム作りの方向性が見えないので、ある程度苦戦する事は予想されてはいた。ただ、友人たちがあまりに悲観的戦評を書いているので、野次馬的な興味はそそられた。
 結論から言えば両軍ともそう悲観的な内容にはとても思えなかった。お互い中断期間の調整はうまく行かなかったようだが。

 序盤はロベルト・セザーがうまくボールを受けたFC東京が、両サイドバックの積極性もあって好機を複数回掴む。特に開始早々の梶山の前進は決定的だったが、あれが入らないあたりが、チームが調子に乗り切れない所以なのかもしれない。
 さすがに土屋がセザーを厳しくマークするようになると、FC東京が攻め込めなくなる。そして、複数回ロングボールからヴェルディがFC東京守備陣の裏を突く攻撃を見せると(ただし今野と森重の速さと強さを突破するに至らない)、FC東京の椋原、阿部の若い両サイドバックが押し上げられなくなる。すると、森勇介と福田の両サイドバックが精度の高いサイドチェンジを見せ、小林祐希(たぶん...何せ背番号が判別できないので正確には誰だかわからない)が的確にさばくヴェルディが次第にペースを握る。ヴェルディの攻撃ラインは、彼らを信頼して早い動き出しを見せ前線に起点を作り、そこから河野広貴を軸にヴェルディ伝統の短くて速いパスで崩そうとする。ただ、最後の最後で今野と森重が防ぐ。また、ヴェルディの中途半端なクロスはすべて権田が確実に押さえる。
 後半に入っても同じ展開が続く。セザーが軽率なダイビングで退場になったあたりから、逆にヴェルディが攻め疲れの感が出てくる。そして、FC東京がペドロ・ジュニオールと谷澤を起用し、椋原と阿部が前進できるようになり攻勢を取る。ヴェルディは前半スタメンFWの平繁が負傷し交代カードを1枚使ってしまったためか、修正できない。以降は1人少ないFC東京が終始押し込むが、ヴェルディも粘り強く守り、最後はGK土肥が負傷退場し平本がGKを務めるハプニングもあったが、そのまま0−0で終了した。
 双方が最後まで「戦う意思」を前面に出したおもしろい試合だった。

 ヴェルディだが、攻撃の約束事は確立されているし(小林、福田、森の好フィードに選手が飛び出す攻撃は魅力的だ)、最終ラインの粘りも中々。何のかの色々な評価があるようだが河野のドリブルはシャープ。平本、平繁が点を取ってくれれば、上位に粘ってくる事だろう。そうなれば、川勝氏の采配の巧みさは利いてくるはずだし、若手の有力な攻撃タレントの成長は愉しみ。ちょっと終盤のガス切れが気になったが。
 FC東京も前半はいただけなかったが、後半両サイドバックが押し上げるようになってからは攻撃もそれなりに機能した。平山と米本が離脱し、中々点は入らないかもしれない。しかし、鈴木達也、羽生、谷澤は後方からのサポートがあれば、好機を作り続ける事は間違いない。そして何より、今野、森重、権田が固める守備ラインからJ2のクラブは、ほとんど得点できないはずだ(だいたいこの4試合での失点は、オーロイにやられただけなのだ)。点は入らなくても、点を取られなければ順位は間違いなくついてくる。
 中々エンジンがかからない両クラブにとっての心配事は、複数の他クラブが突っ走り、早々に差が開く事か。しかし、今の所、その可能性が一番高そうなサンガも調子が上がらないようだ。また、ジェフはオーロイの負傷次第だろうが、オーロイが欠けた瞬間に敗れたのを見る限り、攻撃の幅は少なそう。横浜FCもサガンもそこまで早々に調子を上げるには至っていない。栃木SC、ロアッソ、ヴォルティスはそこまで連勝できる戦闘能力はないように思える。そう考えると、反町氏が創意工夫をこらし、比較的早い段階でチームを仕上げてくるだろうベルマーレが間隙を縫って抜け出す可能性くらいか。
 そうこう考えると、両クラブとも十分にJ1昇格の可能性はあると思うのだが。特にFC東京は今後、今野、森重、鈴木達也、谷澤のいずれかが長期離脱しない限りは、3位内に入る可能性は十分にある。FC東京周辺から聞こえてくる悲観的意見は、よくわからない。もちろん、もっと有効なやり方はあろうし、現状のコストパフォーマンスがあまりよくないのは間違いないけれど。
posted by 武藤文雄 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月05日

ヴェルディの背番号

 昨日、味の素スタジアムで東京ダービーを愉しんだ。観戦記は別に書く。
 とにかく、あきれたのはヴェルディ選手の背番号が全く判別できない事だ。ヴェルディのユニフォームは、白とクラブカラーの緑の横縞模様。なかなかしゃれた格好のよいユニフォームだと思う。そこにどうやら黄色地の上に黒い背番号があるのだが、そのフォントが細いのか、遠方からは全く識別できないのだ(この背番号の部分の配色は帰宅後にネットで確認したもの)。私はこの日2階席コーナフラッグ延長戦あたりにいたのだが、とにかくかろうじて1桁か2桁かがわかるくらい。ちなみに私は老眼で最近は読書や仕事をする際に老眼鏡は不可欠になっているが(笑)、遠目はよく利き現在でも視力は左右とも1.5くらい。だから、私が識別できなかったのは、私固有の問題ではなく、ユニフォームと背番号の問題だと思う。
 とにかく、選手の識別が非常に難しい。もちろん土屋はわかる(笑)。あとボールを蹴る姿勢から、森有介が左サイドバックにいるのもすぐわかった。後は目をこらして、ポジションと記憶を紡ぎ合わさなければならない。森の反対サイドはたぶん、福田健介だろうな。トップは平繁で、右サイドを起点にシャープなドリブルをする赤いスパイクを履いた小柄な選手は河野広貴のようだ。正直言って非常にストレスを感じる観戦となった。
 考えてみれば、リーグ開始前だっただろうか。今期のヴェルディの背番号が非常に見づらいと言う報道を呼んだ記憶があるような、ないような。ただし、ヴェルディのサポータの方々からすれば、背番号が判別できなくとも、そのボールの持ち方やプレイスタイルから、どの選手かすぐにわかるのだろう。また、ヴェルディを追いかけている番記者の方々も同様だろう。けれども、私のような新参者には、この背番号はつらい。

 白と他の色のユニフォームの背番号を識別しやすくするのは、昔から難しいもので、ユニフォームデザインの問題となっていた。たとえば、パラグアイ代表、フェイエノールト、ユベントスなどは、常にそのあたりを工夫している。アルゼンチン代表のように水色のように薄い色と白の縦縞でも、背番号のフォントの選定がよくないと非常に見づらい事がある。最終的手段は、背番号の部分を単色にするのが一番間違いない方法となるのだが、デザイン的にはちょっと格好悪くなるのが問題か。
 今回のヴェルディのユニフォームと似ているデザインと言うと、何と言ってもセルティックなのだが不思議にそう見づらいと言う話を聞かない。何となくだが、セルティックの緑はヴェルディのそれよりもやや薄い発色で、かつ背番号のフォントがやや太いように思うのだが、そのせいだろうか。もっとも、私はセルティックパークで中村俊輔を見た経験はなく、あくまでもテレビ桟敷観戦なので、比較する事はできない。実際にセルティックパークの2階席から見た際どうなっていたのか、もしご存知の方がいたら教えて下さい。

 と言う事で結論。
 ヴェルディは背番号を何とかしてください。このままならば、「白い布切れにマジックで背番号を書いて縫い付けてください」と言いたくなります。昨日、ヴェルディのHPで意見提出のページを見つけ、羽生社長宛にメールを打ったのだが、想いは届くでしょうか。
 だいたい、川勝氏は日本サッカー界におけるユニフォームデザイナの走り。80年代の読売クラブのデザインは選手川勝が行っていたとの事だ。およそデザインの難しさと言うものは、外見のみならず機能面を両立させなければならないからのはず。どんなに格好よくとも、機能面で課題があるユニフォームのチームを率いるのは、川勝氏だってプライドにかかわるのではないだろうか。
posted by 武藤文雄 at 19:40| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする