ベガルタはアビスパに対し、やや幸運に恵まれてもぎ取った1点を守り切って3連勝。
内容的には褒められたものではなかったし、前半終了直前にアビスパ主将の中町が負傷交代したのも大きかったし(中町は評判通りすばらしいプレイ振りだっただけに軽傷である事を切に望む)、そして、決勝点もやや微妙な判定だった。それでも悪いなりに試合をまとめ、勝ち点3を獲得できた事は重要だ。
かくして、第9節(!)終了時点で単独首位に立つ事に成功した(笑...第9節が4試合目になった要因を考えると、笑っては不謹慎かもしれないが、ご容赦いただきたい)。もう今期のリーグ戦、これで止めて2億円をもらいたいくらいだ。冗談はさておき、着実に勝ち点を積み上げる事に成功している事を素直に喜びたい。
しかし、上記した通り内容は褒められたものではなかった。
前半慎重に戦ったのはよかったが、その割にはしばしば中町や末吉に中盤で競り負けて、ショートカウンタを許す場面があったのは反省材料。アビスパのFWは、味方がベガルタ守備ラインの裏にフィードを入れる事を信じて、素早い動き出しで裏を突いてくるので、ヒヤリとする場面が幾度もあった。ただ、曹秉局の読みと高さは抜群で破綻を見せずに前半終了。
後半に入り、上記の通り中町の離脱もあり、ベガルタの好機が増えてくる。ただ、肝心の関口も梁も、攻撃を急ぎ過ぎ。常に直線的に敵陣を目指す攻撃を選択するので、アビスパCBに読まれてしまう。相手が守りを固めているのだから、ちょっと溜めを作って、アビスパ守備陣を引き出す工夫が欲ししいところなのだが。また、この2人を含め、アビスパDFに第1波の攻撃をはね返され、そのボールを拾う時に、再度すぐに攻めかけようとする意図でのトラップばかり狙うので、ボールを奪われるリスクも多く、連続攻撃が途絶えてしまう。押し気味に試合を続けている時こそ、攻撃を連続させ、敵DFを疲れさせる事が大事なのに。また、1度クロスをはね返されると、この2人にしても太田や菅井にしても、やや慌てたように低い位置からのクロスを再度狙っていたのも疑問。中原がいるならさておき、あくまでもサイドをえぐってのクロスでなければ、敵CBは対応しやすいのだから。
それでも、60分過ぎに高橋義希に代えて中島を起用、梁をボランチに下げた攻撃的布陣で圧力を継続。80分近くについに先制に成功する。梁のCKを鎌田が折り返しを狙うもミートし切れずボールは浮いてしまう、GKに取られそうなロブのボールに赤嶺が果断に飛び込み見事なヘディングでゴール内にねじ込んだ。ただ、アビスパGK神山が飛び出す際に角田がブロックする形になっており、オブストラクションを取られてもおかしくないようにも見えたのだが。まあ、文句を言ってはバチが当たりますね。
直後ベガルタは富田を起用し、試合をクローズにかける。ところが、85分に朴柱成が対面の山形ともめ事を起こし、2度目の警告で退場。手倉森氏は足を引きずっていた赤嶺に代えて田村を起用。完全に守備ブロックを固めたベガルタはロスタイム5分を含めた残り時間を大過なく守り、勝利を決めた。終盤、前掛りの敵の裏をうまく突き、梁と田村が決定機を掴んだのだが、あれは決めておきたかったけれどね。
内容が悪いなりにも、エース赤嶺の今季初得点で勝利。これは大いに評価すべきだろう。
たまたま首位に立った訳だが、こんなに早く目立つ事は、あまりよい事ではなく、他クラブもベガルタ守備陣の弱点を狙ってくるに違いない。したがって、当方も特にアビスパ戦で顕著になった守備問題を修正する必要があるだろう。また、攻撃についても、4試合で4点しか取っていないなど、不満を言えばキリがない。こちらの改善は、まずは梁と関口の2大黒柱に期待と言うところか。まあ、勝ち点勘定がここまでうまく進んでいても、文句を言いたくなるのは、サポータの性だな。
ただし、せっかく初得点を決めてくれた赤嶺は足を負傷した模様で、試合後の挨拶にも参加できなかった(とは言え、ロッカールームに去る事なくメインスタンド側のピッチ上に残っていたのは、プロとして立派だったが)。次節の出場は可能だろうか。友人達には「そこで武藤雄樹ですよ」と言っておいたのだが、どうだろう。
また朴もいかにも朴らしい退場劇で次節は出場停止となる。もっとも退場になるまでの朴は、守備ではよく対面の田中佑昌や山形を止め、攻撃でも朴だけは敵ゴールラインまで進出してえぐる事を狙い決定機も演出しかけていた(上記したように他選手は急ぎ過ぎのアーリークロスが目立った)。退場がなければ、ベガルタのこの日のベストプレイヤは朴だったのだが。
ブラジルに去ったマルキーニョスを太田に代えたのを除けば、今期は固定のスタメンで戦って来たベガルタだが、次節はどのようなスタメンで戦う事になるか。期待して見守りたい。