ところが、セレッソは同じ中3日の試合だが、前の試合はACLの敵地アレマ・マラン戦。日本からマランのようなインドネシアの地方都市への直行便はないので、トランジットが必要となる。これがACLの厳しいところだ。代表の試合ならば、多くは直行便のある首都で行われるのだから、まだだいぶ楽なのだが。しかも、週中の試合である。おそらくセレッソは、試合翌日の5月4日に丸一日かけて、トランジットを含む過酷な日程で、大阪に帰国したのだろう。さらにベガルタ戦後中2日で、ACLの1次リーグ最終戦に山東を森島スタジアムに迎えて戦わなければならない。ホームとは言え、負ければ山東に逆転で1/16ファイナル進出を許してしまうので、この試合への対応も重要となる(実際、山東には敵地では完敗しているし)。
もちろん、ベガルタも23日の再開戦からの3試合(それも中5日、中3日と結構きつい日程だ)、選手達は実にすばらしい集中力で戦い続けて来ており、疲労も相当のもののはずだ。そして、中3日での遠征試合となるセレッソ戦、いよいよ疲労はピークとなるだろう。
しかし、やはり5月3日の試合後の両チームの移動負担を考えると、戦闘能力が上回る難敵との敵地戦だと言う事を割り引いても、体調面を考えればベガルタの方が格段に状態がよい戦いとなる。
もっとも、退場で出場停止の朴柱成に加え、前節決勝点を決めながら足を引きずっていた赤嶺が出場てきない模様だ。ベガルタもメンバ変更を余儀なくされる。もちろん痛い事は痛いが、今期は適切な補強に成功しており、ここまで試合展開に応じて様々な交代選手が起用され、皆かなり有効に機能している。むしろ、連休による連戦にフレッシュな選手を起用しやすくなったと前向きに捉えるべきだろう。常識的には、朴の代わりに田村を、赤嶺の代わりに中島を、それぞれ先発させる事になるだろう。2人共経験豊富な選手だし、このような好機を活かして活躍してくれる事だろう。私としては、何よりも、遠征に武藤雄樹が帯同している事が気になるのだが。
ここで、過去3試合で明らかになった問題点を振り返ってみる。攻撃については、フロンターレ戦では敵の厳しいプレッシャをいかに抜け出すか、レッズ戦ではシュートの精度と工夫(特に当たっている敵GKをどう外すか)、アビスパ戦では急ぎ過ぎて攻撃が単調になる事、がそれぞれ最大の反省点だった。こうして振り返ってみると、いずれの試合でも問題点が違っているな。レッズ戦ではシュートまで行っていたのだが、アビスパ戦では後退している感もある。このあたり、常に前進できないあたりが、サッカーの難しさだし、リーグ戦のおもしろさのような気がする。まずは、アビスパ戦の反省を活かし、梁と関口に急ぎ過ぎの是正を期待したい。
一方で守備だが、3試合で失点1なのだから、いずれの試合もそれなりにうまくいってはいる。ただいずれの試合でも、中盤でボールを奪った、あるいは奪いかけた直後に、いかに保持し切るかが、大きな課題になっている。特に、高橋義希だ。よい体勢でボールを受けられれば着実に展開できるが、体勢が少しでも悪いと、途端にパスの精度が落ちている。ここは、一層 Think before, look before を意識して、いかによい体勢でボールを受ける頻度を増やすかを考えて欲しい。悪い体勢でのパス精度を上げるのは難事だが、よい体勢で受けられるようにするのは、知性で工夫できるはずだ。そして、そのような修正ができるかどうかが、義希と言う選手が、本当の意味でのトップJリーガとなれるかどうかの分岐点になるように思えるのだ。
お互い同時期に長々とJ2での暗闘を愉しんで来た仲間ではあるが、戦闘能力でも、実績でも格上と呼ぶべきセレッソ。そのセレッソの敵地戦ではあるが、上記した日程を考慮すれば、当方が有利と考えるべきだろう。長いリーグ戦では、このような信じ難い幸運な日程に巡り会う事があるものだ。ここは素直に幸運を受け入れ、勝ち点3の獲得を期待したい。