2011年05月06日

セレッソ戦前夜2011前期

 ベガルタは明日、中3日で敵地でセレッソと戦う。
 ところが、セレッソは同じ中3日の試合だが、前の試合はACLの敵地アレマ・マラン戦。日本からマランのようなインドネシアの地方都市への直行便はないので、トランジットが必要となる。これがACLの厳しいところだ。代表の試合ならば、多くは直行便のある首都で行われるのだから、まだだいぶ楽なのだが。しかも、週中の試合である。おそらくセレッソは、試合翌日の5月4日に丸一日かけて、トランジットを含む過酷な日程で、大阪に帰国したのだろう。さらにベガルタ戦後中2日で、ACLの1次リーグ最終戦に山東を森島スタジアムに迎えて戦わなければならない。ホームとは言え、負ければ山東に逆転で1/16ファイナル進出を許してしまうので、この試合への対応も重要となる(実際、山東には敵地では完敗しているし)。
 もちろん、ベガルタも23日の再開戦からの3試合(それも中5日、中3日と結構きつい日程だ)、選手達は実にすばらしい集中力で戦い続けて来ており、疲労も相当のもののはずだ。そして、中3日での遠征試合となるセレッソ戦、いよいよ疲労はピークとなるだろう。
 しかし、やはり5月3日の試合後の両チームの移動負担を考えると、戦闘能力が上回る難敵との敵地戦だと言う事を割り引いても、体調面を考えればベガルタの方が格段に状態がよい戦いとなる。

 もっとも、退場で出場停止の朴柱成に加え、前節決勝点を決めながら足を引きずっていた赤嶺が出場てきない模様だ。ベガルタもメンバ変更を余儀なくされる。もちろん痛い事は痛いが、今期は適切な補強に成功しており、ここまで試合展開に応じて様々な交代選手が起用され、皆かなり有効に機能している。むしろ、連休による連戦にフレッシュな選手を起用しやすくなったと前向きに捉えるべきだろう。常識的には、朴の代わりに田村を、赤嶺の代わりに中島を、それぞれ先発させる事になるだろう。2人共経験豊富な選手だし、このような好機を活かして活躍してくれる事だろう。私としては、何よりも、遠征に武藤雄樹が帯同している事が気になるのだが。
 ここで、過去3試合で明らかになった問題点を振り返ってみる。攻撃については、フロンターレ戦では敵の厳しいプレッシャをいかに抜け出すか、レッズ戦ではシュートの精度と工夫(特に当たっている敵GKをどう外すか)、アビスパ戦では急ぎ過ぎて攻撃が単調になる事、がそれぞれ最大の反省点だった。こうして振り返ってみると、いずれの試合でも問題点が違っているな。レッズ戦ではシュートまで行っていたのだが、アビスパ戦では後退している感もある。このあたり、常に前進できないあたりが、サッカーの難しさだし、リーグ戦のおもしろさのような気がする。まずは、アビスパ戦の反省を活かし、梁と関口に急ぎ過ぎの是正を期待したい。
 一方で守備だが、3試合で失点1なのだから、いずれの試合もそれなりにうまくいってはいる。ただいずれの試合でも、中盤でボールを奪った、あるいは奪いかけた直後に、いかに保持し切るかが、大きな課題になっている。特に、高橋義希だ。よい体勢でボールを受けられれば着実に展開できるが、体勢が少しでも悪いと、途端にパスの精度が落ちている。ここは、一層 Think before, look before を意識して、いかによい体勢でボールを受ける頻度を増やすかを考えて欲しい。悪い体勢でのパス精度を上げるのは難事だが、よい体勢で受けられるようにするのは、知性で工夫できるはずだ。そして、そのような修正ができるかどうかが、義希と言う選手が、本当の意味でのトップJリーガとなれるかどうかの分岐点になるように思えるのだ。

 お互い同時期に長々とJ2での暗闘を愉しんで来た仲間ではあるが、戦闘能力でも、実績でも格上と呼ぶべきセレッソ。そのセレッソの敵地戦ではあるが、上記した日程を考慮すれば、当方が有利と考えるべきだろう。長いリーグ戦では、このような信じ難い幸運な日程に巡り会う事があるものだ。ここは素直に幸運を受け入れ、勝ち点3の獲得を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

東京ダービーを愉しむ

 久々の東京ダービー、28,000大観衆が作り上げたすばらしい雰囲気の下、野次馬としておもしろい試合をすっかり堪能させていただいた。ヴェルディの選手の識別に悩みながらだったけれども。

 個人的には今年のヴェルディは相当やると期待していた。昨期序盤は経営そのものが不安定な事もあり成績も悪かった。けれども、新スポンサの確立や、Jリーグ事務局の羽生氏の社長就任などが進むうちに成績も向上し、そのまま昨期から継続して川勝氏が采配を振るうからだ。ところが、ここまで3連敗。どのような状態なのか。
 J1でも優勝を争えそうなメンバ構成(と言うか残留説得)に成功したFC東京も、1勝1分け1敗とはっきりしない成績。こちらは昨期天皇杯から明確なチーム作りの方向性が見えないので、ある程度苦戦する事は予想されてはいた。ただ、友人たちがあまりに悲観的戦評を書いているので、野次馬的な興味はそそられた。
 結論から言えば両軍ともそう悲観的な内容にはとても思えなかった。お互い中断期間の調整はうまく行かなかったようだが。

 序盤はロベルト・セザーがうまくボールを受けたFC東京が、両サイドバックの積極性もあって好機を複数回掴む。特に開始早々の梶山の前進は決定的だったが、あれが入らないあたりが、チームが調子に乗り切れない所以なのかもしれない。
 さすがに土屋がセザーを厳しくマークするようになると、FC東京が攻め込めなくなる。そして、複数回ロングボールからヴェルディがFC東京守備陣の裏を突く攻撃を見せると(ただし今野と森重の速さと強さを突破するに至らない)、FC東京の椋原、阿部の若い両サイドバックが押し上げられなくなる。すると、森勇介と福田の両サイドバックが精度の高いサイドチェンジを見せ、小林祐希(たぶん...何せ背番号が判別できないので正確には誰だかわからない)が的確にさばくヴェルディが次第にペースを握る。ヴェルディの攻撃ラインは、彼らを信頼して早い動き出しを見せ前線に起点を作り、そこから河野広貴を軸にヴェルディ伝統の短くて速いパスで崩そうとする。ただ、最後の最後で今野と森重が防ぐ。また、ヴェルディの中途半端なクロスはすべて権田が確実に押さえる。
 後半に入っても同じ展開が続く。セザーが軽率なダイビングで退場になったあたりから、逆にヴェルディが攻め疲れの感が出てくる。そして、FC東京がペドロ・ジュニオールと谷澤を起用し、椋原と阿部が前進できるようになり攻勢を取る。ヴェルディは前半スタメンFWの平繁が負傷し交代カードを1枚使ってしまったためか、修正できない。以降は1人少ないFC東京が終始押し込むが、ヴェルディも粘り強く守り、最後はGK土肥が負傷退場し平本がGKを務めるハプニングもあったが、そのまま0−0で終了した。
 双方が最後まで「戦う意思」を前面に出したおもしろい試合だった。

 ヴェルディだが、攻撃の約束事は確立されているし(小林、福田、森の好フィードに選手が飛び出す攻撃は魅力的だ)、最終ラインの粘りも中々。何のかの色々な評価があるようだが河野のドリブルはシャープ。平本、平繁が点を取ってくれれば、上位に粘ってくる事だろう。そうなれば、川勝氏の采配の巧みさは利いてくるはずだし、若手の有力な攻撃タレントの成長は愉しみ。ちょっと終盤のガス切れが気になったが。
 FC東京も前半はいただけなかったが、後半両サイドバックが押し上げるようになってからは攻撃もそれなりに機能した。平山と米本が離脱し、中々点は入らないかもしれない。しかし、鈴木達也、羽生、谷澤は後方からのサポートがあれば、好機を作り続ける事は間違いない。そして何より、今野、森重、権田が固める守備ラインからJ2のクラブは、ほとんど得点できないはずだ(だいたいこの4試合での失点は、オーロイにやられただけなのだ)。点は入らなくても、点を取られなければ順位は間違いなくついてくる。
 中々エンジンがかからない両クラブにとっての心配事は、複数の他クラブが突っ走り、早々に差が開く事か。しかし、今の所、その可能性が一番高そうなサンガも調子が上がらないようだ。また、ジェフはオーロイの負傷次第だろうが、オーロイが欠けた瞬間に敗れたのを見る限り、攻撃の幅は少なそう。横浜FCもサガンもそこまで早々に調子を上げるには至っていない。栃木SC、ロアッソ、ヴォルティスはそこまで連勝できる戦闘能力はないように思える。そう考えると、反町氏が創意工夫をこらし、比較的早い段階でチームを仕上げてくるだろうベルマーレが間隙を縫って抜け出す可能性くらいか。
 そうこう考えると、両クラブとも十分にJ1昇格の可能性はあると思うのだが。特にFC東京は今後、今野、森重、鈴木達也、谷澤のいずれかが長期離脱しない限りは、3位内に入る可能性は十分にある。FC東京周辺から聞こえてくる悲観的意見は、よくわからない。もちろん、もっと有効なやり方はあろうし、現状のコストパフォーマンスがあまりよくないのは間違いないけれど。
posted by 武藤文雄 at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする