2011年05月13日

松下の直接FKを再考して

 明日ベガルタはユアテックにジュビロを迎える。ジュビロは前節、大エースの前田の活躍もあり、モンテディオに快勝。難しい試合になりそうだ。しかし、今のベガルタの攻撃から守備の切り替えの速さ、意思統一された速攻の充実があれば、十分に勝機は見出せるだろう。

 話はちょっと飛ぶが、ロスタイムに追いつかれた悔しい前節を反芻したい。
 私も指摘したが、同点に追いつかれた直接的要因は、その直前のセレッソ陣前での直接FKをボールキープにつなげずに、松下が直接狙ってしまった事にあった(松下のシュートはわずかに浮いて枠を捉えられず敵のゴールキックとなった)。戦術的には明らかな誤りな事は間違いない。狙った松下のみならず、その時点で腕章を巻いていた関口、明確な指示をしなかった(あるいは指示はしたかもしれないが徹底できなかった)手倉森氏など、皆が反省しなければならない失敗だった。みすみす勝ち点2を失った失敗経験が、今後に活きる事を祈るばかりである。

 しかし、あれから1週間、ちょっと違う視点の解釈も考えているのだ。失った勝ち点こそ痛いものの、今期のベガルタにとっては、とても素敵な場面だったのではないかと。
 前々節のレッズ戦、松下は終盤太田に代わって起用され、持ち前の判断力や正確なプレイを披露してくれた。特にセットプレイでは幾度も好キックを見せ、赤嶺にこーナキックをピタリと合わせた場面などは実に見事なものだった。この試合、豊富な運動量でチームを引っ張っていた梁が、終了間際に相当疲労していた事もあり交代でピッチを去った。梁が退く際に、「今期は、松下がいる事で、試合終盤に梁を交代させやすくなるんだ」と、的確な補強に安心感を持ったものだった。我々サポータからすれば、ベガルタの攻撃的MFは、梁と関口と言う生え抜きの、いや我々にとっては単なる生え抜き以上の、2人のタレントが君臨するポジションである。そこにバックアップとして松下のような信頼できるタレントを所有できるのは、非常に心強い事ではないか。
 しかし、松下の立場から考えてみればどうだろうか。松下は「梁や関口の控え」と言う己の立場に納得、満足しているだろうか。
 松下はアルビレックスの中心選手として活躍し、昨期FC東京に移籍。起用されれば精度の高いパスや、適切な位置取りで常に一定以上の活躍を見せていた。けれども、FC東京の層の厚さもあってか、中々出場機会を得る事はできなかった。今期松下がベガルタに移籍してきたのは、出場機会を求めての事だろう。
 そう考えれば、松下は現状の限られた出場時間で、明確な結果を残し、梁や関口あるいは太田や高橋義希などから、定位置を何としても奪いたいと考えていても、全く不思議ではない。いや、プロフェッショナルなのだから、現状に満足せずに、そう考えてもらわなければ困る。
 そして、その松下の野心が前面に出たのが、あの直接FKではなかったのか。そのような前向きな姿勢で戦おうとする選手の存在が、いかに我々にとって力強いものである事か。

 我々は能力的にも実績的にもそして精神力の面でも、梁と関口を脅かし得るタレントを入手したのだ。前節失った勝ち点2など、松下は数倍にして取り返してくれるに違いない。いや、それだけではない、松下の存在により、梁も関口も従来以上のプレイを見せてくれるに違いない。
 そのような定位置の激しさの成果が、まずは明日のジュビロ戦でも存分に見られる事だろう。

 実は所用で仙台に帰ってきているのですが、明日参戦できるかどうかは事情で微妙なところなのです。ユアテック近傍にいながら、参戦できないと言うのは拷問に近い苦しさなのですが。何とか、やりくりしてユアテックに行かれますように。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする