2016年07月24日

FC東京は何のために城福氏を起用したのか

 J2ジェフ対エスパルスをノンビリ映像観戦する日曜の夕刻。ふと、気が付いた。両軍の監督は、関塚隆と小林伸二、何と2人とも私の同級生ではないか。考えてみれば、歴史、予算規模、ホームタウン、スタジアム、いずれも相当なレベルにあるが、過去のほんのちょっとした不運から、J2での戦いを余儀なくされている両クラブ。早期のでのJ1復帰を目指し、国内で実績屈指の名監督を招聘しているわけだ。
 試合そのものも、スリリングな点の取り合いでおもしろかった。両軍関係者の悲喜こもごもを想像すると、何とも言えないが。

 さて、その試合中に飛び込んできた情報。FC東京が、城福監督を解任したと言う。おお、この人も、同級生ではないか。いや、同級生かどうかは、何ら本質的な問題ではないのですが。

 FC東京は現在勝ち点26の13位、確かに代表選手やそれに準ずるスタアを多く抱え、昨シーズンは4位に食い込んだクラブとしては、非常に不満がある成績だろう。特にACLの影響がなくなりリーグ戦に専念できるようになった6月以降に、中々勝ち点が上がらないのも印象が悪かった。
 もっとも、ACLでは1次ラウンドを突破、1/16ファイナルで敗退したわけだが、「最後のアディショナルタイムを守り切れなかった」のは、采配云々よりは不運と語られる語られるべきだろう。現実的に、ガンバとサンフレッチェが1次ラウンドで敗退したことを考えると、そう悪い成績ではなかった。

 しかしながら、今回の解任劇については、ここ最近のFC東京の不振だけで議論できないのは言うまでもない。城福氏がFC東京から解任されるのは、2回目なのだから。しかも、前回の解任劇では城福氏の采配の下、FC東京は低迷し、氏を解任した後も成績は上がらずJ2陥落してしまっていた。
 さらにFC東京は昨シーズン上々の成績を収めたフィッカデンティ氏を解任し、敢えて過去J2ア降格を誘引した城福氏を呼び戻している。フィッカデンティ氏を解任した背景は、野次馬にはわかりづあらいが、どうもFC東京のフロントはフィッカデンティ氏の守備的なサッカーがお気に召さなかったらしい。
 ところが、城福氏が以前FC東京の監督を務めていた折は、守備的なやり方をしてナビスコカップを制するなど上々の成績を収めたが、「ムービングフットボール」と言うモットーで志した攻撃的サッカーを、あまり見せることはできなかった。また、FC東京解任後に務めたヴァンフォーレでは、必ずしも恵まれない戦闘能力ながら、リアリズムに富んだ采配でJ1昇格、残留を演じている。つまり、城福氏は、必ずしも攻撃的なサッカーで成果をあげた監督ではないのだ。
 そうこう考えると、野次馬にとって、FC東京のフロントが、何を考え、何を目指し、何を期待して、城福氏を再招聘したのかが、さっぱりわからなかった。それでも、我々が知り得ない何かを望み、氏を呼んだのだろうかと推測していたのだが、シーズン半ばでのこの解任。いよいよ、理解できない。ここでクビにするならば、最初から呼ばなければいいんじゃないの?
 繰り返そう。いったい、FC東京のフロントは、何を求めて、城福氏を再度呼んだのだろうか。

 帝都東京をホームタウンにし、多くのスタアを抱え、カップ戦を複数回制覇し、幾度かACLにも参戦したFC東京。このクラブが、真の強豪を目指し、もがいている。そして、このもがきものが、Jリーグの、あるいは日本サッカーの歴史なのだろう。
 ついでに言うと、城福氏をすぐ招聘しそうなクラブが、中部地方に(以下自粛)。
posted by 武藤文雄 at 23:56| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

扇原貴宏と山村和也

 セレッソの扇原貴宏が、グランパスに移籍したと言う。色々なことを考えさせてくれる移籍劇だ。

 扇原は、ロンドン五輪代表選手。正確なパスを武器にチームの中核として活躍した。しかも、184cmの大柄な体躯、左利きと言う特長も備えている。ロンドン大会準決勝のメキシコ戦で決定的な失点につながるミスをしたものの、そのような失敗経験をプラスに活かし、大成するのではないかとの期待も大きい選手だった。
 その後、2013年の東アジア選手権ではA代表にも選考されたこともあったが(海外クラブ所属選手不在のタイミングだったが)、自クラブのJ2陥落を止めることはできず、もう一つ明確な活躍が見受けられずに、今日に至っている。上記のメキシコ戦のように、時々いわゆる「抜けた」プレイをする悪癖が、なかなか改善されないのが課題に思える。たとえば、昨シーズン肝心かなめのJ1昇格決定戦のアビスパ戦では、ベテランの橋本にスタメンを譲ったのも残念だった。さらには、この大一番の終盤、セレッソがリードした時間帯に、扇原は橋本と交替して起用された。ところが、セレッソはその時間帯にアビスパに同点とされ、J1昇格を逸することになる。その失点の要因の1つが、中盤を老獪に引き締めていた橋本の不在だった印象もあり、いっそう扇原の伸び悩みを印象づけるものとなった。
 今シーズンは、セレッソでもロンドン五輪代表でも、ボランチでコンビを組んでいた山口蛍が、欧州に移籍。扇原にとっても、チームの中核としての自立が期待されたシーズンにもかかわらず、定位置を失ってしまった。
 扇原にとって、新たな場を求めて移籍は、有効な選択と言えよう。グランパスは勝ち点勘定、チーム作りいずれの面でも、苦しい状況にあるようだ。不運にも、加入早々に負傷離脱となってしまったようだが、新加入の扇原にかかる期待は大きいはず。ここで活躍することで、まだ24歳のこのタレントが、再度A代表を目指す道が開かれるかもしれない。活躍を期待したい。

 その扇原がポジションを奪ったのが、山村和也。これまた186pと言う身長に加え、技巧も運動量も優れたタレント。しかも、扇原と同じロンドン五輪代表選手だ。その山村は、前所属のアントラーズでは定位置を獲得できず、セレッソに移籍してきた。
 山村は、ロンドン五輪代表チームがスタートした際は、主将を務め、中核として期待されていた。けれども、傍から見ていて、「気持ちが前面に出てこない」 タイプと言うこともあり、活躍の印象は薄い。結果的に、予選半ばから、扇原に定位置を奪われた形となった。ロンドン本大会でもメンバには入ったものの、中盤の控え選手として、やはり「気持ちが出てこない」プレイに終始。結果的に、同じポジションの山口蛍と扇原を休ませづらい状況となり、大会終盤に勝ち切れなかった要因の1つとなった。正直なところ、「ほかの選手を連れていくべきだったのではないか」と言う印象だった。
 その後、アントラーズでも、思うような活躍ができずにいた山村。昨シーズンオフにセレッソに移籍、シーズン序盤から、扇原からポジションを奪い、そこそこの活躍をしていた。「この好素材が、ようやく本物になってきたか」と雰囲気が出てきている。もっとも、山村は山村で、山口蛍がセレッソに復帰するや否や、 定位置を奪われてしまったのだが。

 選手の成長と言うのは難しいものだと思う。
 そもそも五輪代表の最終メンバに入ることのできる選手は、正にエリート中のエリート。しかも、五輪本大会と言う修羅場を経験することで、一層の成長(すなわちA代表)が期待される存在だ。
 けれども、そのように順調に成長する選手もいるが、伸び悩む選手も少なくない。アトランタ五輪後の前園真聖と中田英寿の明暗がその典型。そこまで極端ではないが、ロンドン五倫のボランチも、山口蛍は代表に定着し(ここに来て、やや壁に当たった感もあるが)、一方で扇原と山村はもがいている。
 選手の成長は、その環境(所属チーム)に左右されるとよく言われる。出場機会がどの くらい得られるか、戦術的にその選手の特長が活かせるか、などが重要だからだ。けれども、扇原と山村については、従来の所属チームが、その成長に不適切な環境だったとは考えづらい。扇原はセレッソユース育ちでそのままセレッソでプレイしていた、チームとの相性が悪いなどの、外部環境問題は少なかったはずだ(もちろん、フォルラン騒動など、チームそのものの不安定感はあったのは確かだが)。山村は、新人選手や移籍選手のスカウト、その後の成長に定評があるアントラーズに所属していた。これまたチームコンセプトと、山村のプレイが合わなかったとは思えない(もちろん、アントラーズにはチーム内の激烈な競争はあるのだが)。

 そもそも、我が国は、180cmを超える中盤でプレイする代表選手を、ほとんど輩出していない。メキシコ五輪の英雄、小城得達は、大柄で技巧に優れていたが178cm(釜本と同じサイズ、180cm未満ではあったが、当時は超大型選手と言う印象はあった)。70年代後半に大器として期待された西野朗は、とうとう代表には定着できなかった。そして、日本サッカーの質が格段に上がった90年代以降も、180cmを超える代表に定着した中盤選手は数えるほどしかいない。90年代前半の浅野哲也、2000年代の福西崇史と稲本潤一、そして本田圭佑くらいだろう。
 世界的に見ても、GK、CB、ストライカ以外でも、185cmを超えるタレントが当たり前になってきている。これは、アフリカ系の選手が各国の代表に増えていること、トレーニング技術が発達し体格のよい少年への技術指導が定着したことなどが要因に思える。中盤の選手に高さがあるのは、セットプレイや敵の放り込みへの対処に有効なだけではない。偶然巻き起こる中盤でのちょっとした空中戦を制することで、思わぬ好機が演出されることもあるのだ。日本協会にしてもJの各クラブにしても、積極的に大柄な少年選手の育成に力を入れているようだが、中々結果に結びついていないのが現実だ。リオ五輪世代を考えてみても、遠藤航でさえ178cm。180cmを超えるタレントはGK、CB、最前線に留まっている。そう考えると、扇原と山村の「タッパ」は、それだけで魅力なのだ。
 扇原も山村も20代半ばとなった、けれども選手の成長曲線はまちまちだ。特に大柄な選手は、20歳を超えたあたりで、身体が大人になったところで、少年時代にできていた動きができなくなるケースが、よくあると言う。2人がそれにあたるかどうかは別な議論となるが、いずれにしても、丹念にコンディショニングを高め、経験を活かして判断力を磨けば、まだまだ「化けられる」可能性はあるはず。粛々と努力を積み、成長を期待したいところだ。
posted by 武藤文雄 at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

続関憲太郎の矜持

 65分のことだった。左サイドに流れてきたアルビレックスのエース山崎に裏をとられ、石川の対応が遅れる。慌てた石川は明らかなプッシング。主審がPKスポットを指差す。
 直前にセットプレイから1対1に追いつかれていたベガルタ。ここでPKを決められると相当苦しくなる。5連敗が頭にちらつく。

 しかし、我々には関憲太郎がいた。
 
 前半立ち上がりに、守備ラインの左から右へのスライドが遅れたところを、レオ・シルバに狙われ、中央を崩され、ラファエル・シルバが抜け出す。しかし、関が鮮やかな飛び出しで、シュートブロックで防いでくれた。この場面の関が素晴らしかったのは、その位置取り。ラファエルの前進を的確に把握し、反応可能な距離を置きつつ前進していたことにあった。六反から定位置を取り返した関、その充実振りを如実に示すビッグセーブだった。
 そして、冒頭の場面のPKストップ。
 ここまで4連敗と苦しんできたベガルタを救う、いや生き返らせる、2つのビッグセーブだった。関と六反の、非常にレベルの高い戦い。ありがたいことだ。

 上記した開始早々のアルビレックスの決定機を関が防いだ以降は、重苦しい展開となる。ベガルタ、アルビレックス共に、相手の組織的な中盤守備を抜け出すことができなかったからだ。共に連敗しているだけに、「何としても負けたくない」 意識も高かったからだろう。

 後半、ベガルタは、チーム全体を引き気味に修正し、アルビレックスを引き出しておいて、逆襲をねらうやり方に修正。これが当たった。奪った2得点とも、ようやく体調が整ったウイルソンが、長駆を繰り返せるようにになったことがカギとなった。
 先制点は、ベガルタ陣から左サイドに持ち出したウイルソンが、ハモンの左への流れも利用したカットインで敵DFを抜き去って、振りの非常に速いグラウンダのミドルシュートをニアに決めたもの。何とも鮮やかな一撃だった。持ち出しと言い、振りの速いシュートといい、ウイルソンに往時の切れが戻ってきたのが、何ともうれしい。
 上記関のPKストップ直後の奥埜の決勝点は、ウイルソンがまた異なる魅力を発揮してくれたもの。前の場面と同じように左から持ち出したウイルソンは、ハーフウェイラインを越えたあたりから、逆の右サイドに前進している奥埜にピタリとロングパスを通した。完全に敵DFの裏をとった奥埜は、正確なトラップから落ち着いて中央に切り返し、左足で正確なシュートをファーサイドに叩き込んだ。
 2点とも、美しい逆襲からの、見事な得点だった。

 2対1になった後は、アルビレックスが手替え品替え攻め込んで来るが、渡邉監督もいつになく、早め早めに選手交代。菅井、藤村、二見を起用、終了間際は両サイドにサイドバックを2枚ずつ並べる分厚い守備布陣で、何とか逃げ切りに成功。貴重な勝ち点3獲得に成功した。
 もともと、運動量を基盤に戦うベガルタは、夏場は中々勝ち点を伸ばせない傾向があった。しかし、この日は水曜日に試合をしながら、最後まで戦い続けるタフファイトを継続し、勝ち切ったことは、とても重要だ。

 もちろん、まだまだ課題は大きい。
 短期的に気になるのは、石川の調子が落ちていること。同点弾も、マークしていた舞行龍に、石川が完全に振り切られたものだった(ちなみに、前々節のガンバ戦の先制点も、石川がマークしていた米倉に振り切られたものだった)。さらに冒頭のPKも、山崎に裏を取られた反応の悪さも問題だったが、慌てて不用意なプッシングをしたのも感心しなかった。まずは体調を整えて欲しい。
 また、これからさらに気温が上がる盛夏となる。富田、梁、ウイルソンと言ったベテラン達がいかに、体調を整え継続的に活躍してくれるか。これも、渡邉氏以下のコーチングスタッフの課題となる。

 しかし、連敗中もブレずに積み重ねてきたサッカーは、いずれのチームにも通用する組織力を持つ。そして、敵に最も脅威を与えられるウイルソンが帰ってきた。
 丁寧に、丁寧に、勝ち点を積み上げていきたい。
posted by 武藤文雄 at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月09日

ベガルタは完敗だったけれど

 2016年7月9日、敵地ガンバ戦、84分。1対2で負けていたベガルタは、佐々木匠を起用した。
 ベガルタユース時代から、若年層代表で、常時定位置に近いところにいた技巧派、いわゆるスタア候補。正直言って、ベガルタサポータとしては、もっと早くからの登場を期待していた若者である。
 アディショナルタイムを含めて、約10分のプレイ。匠は、軽妙なボール扱いで、ベガルタの攻撃に変化をつけるのには貢献したが、はっきりとガンバ守備陣に脅威を与えることはできなかった。
 匠には、はっきり伝えておきたい。「中村俊輔や小野伸二は、デビュー戦でもっと格段にインパクトのあるプレイを見せてくれたよ」と。このままではダメだ。頑張れ。

 ベガルタは、その後パトリックに追加点を奪われ、1対3で完敗。4連勝のあと、3連敗。しかも、3試合連続で、3失点。何とも、味わい深い難しい状況の落ち込んでしまっている。

 けれども、今日のガンバ戦、内容はよかった。

 序盤から、ハードワークでガンバを押し込む。押し込めば、速攻のスペースを与えるため、一度藤春の突破から好機を許すが、これは仕方がない。ところが、遠藤のFKから、米倉のヘディングシュートを決められ、敢え無く先制を許してしまった。遠藤の精度、米倉の飛び出し、一方当方の石川の対応遅れ。このような詳細を丁寧に詰めなければやられてしまうのだ。
 しかし、このFKの判定には、大きな不満を感じた。ガンバの中盤がボールを回した場面、ガンバのトップのアデミウソンが、ボールよりはるかにベガルタゴール寄りで、マークしていたベガルタDF渡部をスクリーンした。渡部は、ボールに向かい、途中で妨害するアデミウソンに接触しながら前進し、ボールにアプローチ。そのアデミウソンへの接触をファウルにとられのだ。
 これは、アデミウソンの、オブストラクションではないのか。アデミウソンはまったくボールに関係ない地点で、渡部のプレイを妨害していたのだ。

 先制を許した以降しばらく、ガンバに押し込まれる。あのような不可思議なフリーキックをとられたため、腰が引けてしまったためだった。
 それでも、少しずつ冷静さを取り戻し、前半終盤には激しい当たりを思い出し、ペースを再びつかみ直す。
 後半に入っても、ベガルタの良さは継続する。全員が厳しい圧力を継続。幾度も好機をつかむ。そして、55分、CKからハモンがフリーでたたきつけるヘッド。コースは今一歩で、GK正面だったが、これを名手東口がファンブル。幸運にも恵まれ、同点に追いつく事に成功した。

 当然ながら、ガンバは圧力をかけ直してくる。渡部を中心に厳しく守り、この日久々に起用されたGK関の落ち着いたプレイもあって、よく防いでいたのだが。
 結果的に、アデミウソンと交代したパトリックにやられてしまった。強敵に追いついた後、いかにしのぐかは1つの課題。交代の使い方を含め、もっとやりようがあるのではないか。負傷者が多いとは言え、それがサイドバックの交代(今日は大岩から菅井)だけでは、ないように思うのだが。まあ、それはそれとして。
 突き放されたベガルタは、再度攻め直す。菅井でけではない、ウイルソンと匠を起用。圧力をかけ直し、幾度も好機をつかみかける。梁のシュートが、東口に好捕された場面は惜しかった。
 そして、無理攻めを仕掛けたアディショナルタイム、パトリックに決められ、2点差とされ、勝負は決まった。

 悔しい。
 でも、内容は悪くなかった。それなりに攻め込みながら、攻撃に変化が乏しいうちに、速攻から大量点を奪われた、ジュビロ戦、フロンターレ戦と比較すると、格段によかった。守備も安易に逆襲を許さなかった。攻撃も変化をつけることができた。
 たとえ、負けが込んでも、今のよさを伸ばすことを考えるべきだろう。

 匠がようやくピッチに立った。西村もいる。藤村も長時間機能した。ウイルソンも菅井も復帰した。パブロ・ジオゴと言う新ブラジル人も加入した。個人的にずっと期待している、高卒2年目の茂木もいる。
 選手層は格段に厚くなったのだ。渡邉氏の手腕に期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月03日

世界最高峰の戦い

 ドイツ対イタリア。すごい試合だった。
 そして、両国の「サッカー力」のものすごさを存分に堪能することができた。すごかった。

 ここまでの欧州選手権の試合を観ていると、前線からの激しいプレスと、最終ラインの強さに、改めて感心してきた。もちろん、欧州チャンピオンズリーグでも、各国のトップリーグでも、そう言ったことは愉しむことができるし、日本代表やJリーグとの比較を検討できる。
 しかし、今回の欧州選手権は、本大会出場国が24と拡大されたこともあり、ウェールズ、アイスランドなど、必ずしも戦闘能力が揃わない国がいくつも登場している。それらの国が、持ち味の強さに組織を加えて強国に抵抗するのが、今大会の特徴。そのような展開では、いわゆる強国が激しいプレッシャのために、蹴り合いに巻き込まれせわしない試合を余儀なくされていた。ベルギーがウェールズに蹴散らかされたのがその典型。フランスがエールに先制されたときも、焦りもあったのだろうが、完全な蹴り合いに巻き込まれていた。
 考えてみると、先日我が日本代表が、ボスニアヘルツェゴビナにやられた試合もそうだった。ボスニアの忠実で激しい当たりに、我を忘れ蹴り合いに巻き込まれて、苦杯を喫したのは記憶に新しい。

 ところが、さすがドイツでした。
 イタリアの、ピッチ上全域の壮絶なプレスを、ドイツはかわすのだ。いや、かわすだけでない。最後尾のノイアーとボアティンクを起点に、組み立てるのだ。また、絶対に慌てて無駄な縦パスに逃げない。丁寧に回しながら(イタリアの猛プレスをかわしながら)、クロースは必死にエジルがフリーとなるのを探す。70年代、「西ドイツだけは技巧は南米勢に対抗できる」と言われた時代(つまりベッケンバウアーの時代)から40年。ドイツは改めて世界最高峰の技巧(と判断力を誇る強国となったのだ。いや、その途中でも世界屈指の強国だったし、世界一や欧州一を、複数回獲得していたけれども。

 イタリアもイタリアだった。
 ドイツに対し、知的でよく訓練されて厳しいプレスをかける。それでもドイツはかわして組立てくる。イタリアは、そこをまた粘り強く几帳面につぶし直す。そして、ボールを奪うや、毅然として速攻をしかける。速攻できないならば、落ち着いてつないでいく。無謀な攻撃を仕掛けて、ドイツにボールを渡すような愚行はおかさない。
 今回のイタリアはリーバやロッシやバッジョのような、単身で逆襲速攻を担えるタレントはいなかった。そのために、中々攻めの形は作れなかったが、それでも攻めるときの「行ききる姿勢」は格段で、ドイツも再三肝を冷やす。せめて、デルピエロやトッティ程度のタレントがいれば、状況は随分と好転したのだろうが。

 両軍とも、厳しいプレスで、敵ゴールに近いところでの刈り取りを行い、いわゆるショートカウンタを狙うのは当然のこと。そして、お互い再三その狙いどおりにボールを奪うことには成功した。しかし、そのように「悪い場所」で奪われても、両軍の切り替えがまた早い。崩される前に、奪った選手を囲み、危機を作らない。

 的確に強化され、組織化された両国は、やはり他国とは異なる格段の「何か」を持っていると言うことなのだろう。
 考えてみると、過去40年を振り返ってみると、両国がここまで充実した戦闘能力を具備して、トップレベルの戦いを演じた試合は記憶がない。どちらかがよいときは、どちらかが冴えない歴史が続いていたように思える。すみません、あの1970年の延長4対3の折は、私はまだ小学生。明確な記憶がないのですが。
 もっとも、今回のイタリアは戦闘能力が揃わず、大会前の評価は低かった。評価が低いときのイタリアは強いという伝統はあるな。

 いずれにしても。
 過去約20年で、我々は世界のトップに近づいた。過去考えられないほど、近づいた。しかし、近づけば近づくほど、差が具体的に見えてきて、悩みも深くなってきている。
 我々が考えるべきは、「ドイツやイタリアが、どのようにしてこのようなプレイができるのか。他の欧州列強との差は何なのか。」と言うことのように思える。ここで「ドイツとイタリア」を「ブラジルとアルゼンチン」に置き換えてもよいとは思うけれど。
 彼らに追いつく事は容易ではない。いや、叶わないかもしれない。けれども、それを目指そうと考え、努力を重ねることほど、愉しいことはないではないか。
posted by 武藤文雄 at 23:43| Comment(1) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする