2016年11月13日

サウジ戦、そんなに心配はしてないけれど

 いわゆるAマッチデイにワールドカップ予選がなかったがために準備されたオマーン戦。久々に代表復帰した大迫が前半に2得点し、4対0で快勝した。まずは、15日火曜のサウジ戦に向けた準備と言う視点で、いくつか考えたことを。

 スタメンで起用された大迫、齋藤学、清武のできが上々だった。しかし、これは当たり前と言えば当たり前のこと。3人とも能力は折り紙付きのタレントでブラジルワールドカップのメンバ。そして、大迫と学はチームの大黒柱として好調ぶりを発揮しているし、清武はレベルの高いクラブで定位置確保に苦労しているようだが、起用されればよいプレイを見せている。
 既に完全に定位置を確保し代表の中心選手となりつつある原口と合わせ、彼らが代表の攻撃の中心を担うのは当然のことなのだ。ただ、原口を含めた彼らはみなそれほど若いわけではなく、20代半ば過ぎ。チームとしては極端な若返りでも何でもなく、今まで起用機会が少なかった実力ある選手達が、当然のごとく起用され始めたと解釈すべきだろう。
 こう言ったタレントたちが、中々代表で定位置を確保できずにいたのは、ハリルホジッチ氏が気弱の性格のためか、1次予選で岡崎や本田など既存の経験豊富な選手の起用にこだわったため。もっとも、この2人の輝きが格段だったことも確かで、ハリルホジッチ氏を責めるのは気の毒からもしれないが。
 さて、そうなると気になるのは岡崎と本田。岡崎はレスターで一時定位置を失っていたが、ここに来て取り戻しつつある。オマーン戦でも、得点こそなかったが、前線での存在感は格段。そもそもUAE戦にしても、イラク戦にしても苦戦の要因は、岡崎を勝負どころの後半半ばに交代させてしまったことにあった。サウジ戦でも頼りになることだろう。
 一方の本田は、オマーン戦ではスタメン起用。決して悪い内容ではなく、清武に前を向くスペースを提供し、よいクロスには大迫とタイミングをずらして飛び込むなど、よく機能してはいた。ただ、かつての体幹を活かした格段のボール保持力は失われ気味。これは年齢的な問題もあり、プレイスタイルの変更を考える時期に来ていると言うことなのではないか。そんなバランスの崩れが、豪州戦の前半、原口が作った決定機を外したことにもつながったようにも思える。さらに9、10月の試合では後半半ばに明らかなスタミナ切れを見せていた。ミランで「干されてる」のは、プレイスタイルの問題があるのだろう。そして、干されているが故にスタミナに課題が出てきているのだろう。いわゆる悪循環である。しかし、これだけの実績を残した男である、このまま衰えていくとはとても思えない。この苦しみの中から、新しい本田圭佑が登場することを期待したい。

 などと考えると、このオマーン戦はもう少し戦い方に工夫ができたのではないかと思えてくる。
 たとえば、サウジ戦で予想される中盤より前のスタメンは、長谷部、蛍、本田、清武、原口、大迫、と言うところか(私ならば、本田ではなく岡崎をスタメンとするが)。どうしても点をとりたければ、岡崎(または本田)、学、浅野を随時投入することになる。ただ、ここで、誰をどう並べるのかが、整理できているのだろうか。
 たとえば、リードしている状況以外で、原口を外すことは考えられないが、そうなると学をどう使うのか。2人を両翼に並べるとしても、2人とも左サイドから挙動を開始するのを得意としているのを、どう整理するのか。それをオマーン戦で試すべきだったのではないか。
 たとえば、大迫と岡崎を並べて起用する時間帯が必ずあると思うが、どのように並べるのか。岡崎を右サイドに置くのか、いわゆる2トップにするのか、大迫をトップ下にするのか(その場合の清武の起用法をどうするか)。こう言ったことこそ、もオマーン戦で試すべきだったのではないか。
 たとえば、ワントップの布陣を基本にしているのにかかわらず、岡崎、大迫、浅野、久保と、いわゆるトップで起用すると機能する選手を4人呼んで、どう並べ、使い分けるつもりなのか。特にオマーン戦の終盤、岡崎、浅野、久保を並べたわけだが、その3人の位置関係が不明確だった。オマーンが精神的に切れてしまい、日本継続猛攻状態になっていたから、いい加減な配置で問題は起こらなかったが、日本からすれば貴重な準備試合の時間を無駄にしたことになる。また、いわゆるストライカタイプの選手は足りているのだから、異なるタイプの選手を招集しなくてよかったのか。
 さらに言えば、リードをしたときのクロージングのやり方が見えてこない。タイ戦でも1対0でリードして、各選手が消耗した時間帯、ハリルホジッチ氏はぎりぎりまで選手交代を使わず、終盤ピンチを招いたのは記憶に新しい。香川にいたっては自分が得点できない焦りから、チームのリズムを崩すプレイを連続していたのに。豪州戦でも、守備組織はよく機能していたが、香川や本田が前線でキープもできなくなっており、交通事故のリスクが出始めたのに、氏の動きは遅かった。今のメンバを見ても、永木や井手口など、中盤守備で貢献できそうな選手はいるが、彼らをどのように起用するのか、よくわからない。岡崎や本田や香川がベンチに控えていれば、彼らを「守備を期待して」起用する選択肢もあるのかもしれないが。
 昨年、1次予選でシンガポールと埼玉で引き分けたあの凡戦。直前の準備試合のイラク戦で、大勝に浮かれたのか、香川の交代選手の確認などを怠ったことを思い出したりするのだ。

 そうは言っても。
 チームは着実に前進している。特に、春先のシリア戦以降、情けない限りだった守備面が、先日の豪州戦では格段に改善された。「やれるのだから、もっと早くやってくれ」との思いもあったけれど。さらには、豪州戦にしても、このオマーン戦にしても、麻也が落ち着いて守備の中核をどうどうと担ってくれたのは頼もしい限り。一時のおバカがなくなってくれれば、これほど嬉しいことはない。
 実際、オマーン戦では、前半日本のCK崩れのあと、蛍や丸山が対応を誤り持ち出された場面は感心しなかったが、組織守備は機能していた。いくら何でも、このサウジ戦の守備は期待できるだろう。
 攻撃にしても、冒頭から述べているように、働き盛りの多くの名手が、爪を研いでいる。色々迷走気味だったハリルホジッチ氏さが、さすがに的確なメンバを選考してくるだろう。
 何のかの言っても、ハリルホジッチ氏は着実にチームを前進させているのは、間違いない。そうこう考えると、過剰にサウジを警戒するのは、かえって逆効果かもしれない。むしろ、しっかりとスカウティングされた敵の長所、短所を把握したうえで(ハリルホジッチ氏のスタッフは、そのようなシゴトはしっかりしているはずだ)、当方のよさを前面に出す戦いが適切なようにも思える。
 サウジ戦、しっかりと組織化された試合で、確実に勝ち点3を獲得することを期待したい。
posted by 武藤文雄 at 17:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする