2017年03月28日

埼玉タイ戦前夜2017

早いもので、あの腹が立った埼玉UAE戦から半年以上が経過した訳だ。そして、迎えた敵地UAE戦、さすがにハリルホジッチ氏は、慎重で几帳面な策を選手達に指示、各選手がそれを冷静に遂行し、見事な2-0の勝利と相成った。細かい部分で、手放しで喜んでよいのか、と言う試合ではあったが、本大会出場にグッと近づいたのは間違いない。まずはめでたいことだ。

まずは、UAE戦を振り返ろう。
この日何より見事だったのは、吉田麻也の充実だった。前半から、的確な位置取りと丁寧なカバーリングを見せていた麻也の真骨頂は、後半2-0となったところで発揮された。技巧にすぐれた選手を多く抱えるUAEの逆襲を、丹念につぶし続けたのだ。
半年前埼玉でUAEに苦杯した試合では、逆襲対応に慌てる悪癖が出 てしまい、同点となるFKを提供するなどミスが目立った。けれども、豪州戦あたりから、非常に落ち着いたプレイを見せてくれるようになり、サウジ戦、そしてこの敵地UAE戦では、ほとんど完璧だった。
腕章も中々よく似合い、チームリーダとして風格も漂っていた。サザンプトンでも完全に定位置を確保したことを含め、完全に一段ランクを上げた感がある。この ベテランCBの向上は、ロシアでベスト8以上を目指そうと言う我々にとって、とてもとても嬉しいことだ。
余談ながら、後半幾度か日本が逆襲を許し、吉田が活躍する展開になったのは、皮肉な流れからだった。後半立ち上がり、日本は、ちょっとフワッとした感じで後半入ってしまい、UAEに2度ほど決定機を許した。その直後に、今野が突き放す2点目を決めたわけだが、タイミングも得点経過も絶妙だった。
麻也の正確なフィードを、大迫が完璧なヘディングで敵CBに競り勝って、フリーの久保にボールを落とず。久保は敵DFが寄せる前に、切り返して逆サイドへの正確なクロス。大迫が競り勝った際は、その後方でフォローしていた今野が、その間にファーサイドに進出、敵DFの裏から、久保のクロス を受けて落ち着いて決めてくれた。
同点機を複数回逸した直後に、2点差とされただけに、UAEには相当ショック だったはずだ。しかも、得点に至る流れが、個々の個人能力の差を活かしたものだっただけに、各選手が相当落ち込んだのがよくわかった。
その結果、日本が前半以上にパスを回せるようになったのだが、逆にチーム全体として分厚く守る方針が曖昧になり、前線で不用意なドリブルからボールを奪われて、時折逆襲を許す状況となった。
試合前の計画としては、2点差となれば、ホームのUAEが必死に前線に出てくるとので、後方を厚めにしっかり守って速攻をねらうやり方を考えていたのではないか。ところが、あまりに日本にとっては都合よく(UAEとしてはショッキングに)2点差となってしまったので、日本にとって制御が難しい流れとなってし まった。難しいものだ。

もちろん、この日の勝利を支えたのが、川島永嗣と今野泰幸の両ベテランだったことは言うまでもない。
正直言って、川島のスタメン起用には相当驚いた。ここ最近重要な試合では西川周作が起用され続けていたし、川島自身がFCメスでもほとんど出場機会が得られていなかったからだ。
前半半ばの好プロックにせよ、UAEのクロスをしっかり完封したことにせよ、川島はすばらしかった。プレイする機会が限られているにもかかわらず、よいトレーニングを積んでいるのだろう。ただ、ハリルホジッチ氏が、なぜ川島を起用したのかは、よくわからない。川島が公式戦でよいプレイを見せたならば理解できなくもないのだが、今回はそれにはあたらない。記者会見で、川島の経験やメンタルについて言及した模様だが、氏の真意はどこにあったのだろうか。
ポジティブに考えれば、試合出場機会に恵まれていないものの川島が相変わらず充実している、と言うことになる。ネガティブに考えれば、ハリルホジッチ氏は、西川ら他のGKのパフォーマンスに満足していないことになる。もちろん、Jの序盤戦で水際立ったプレイを見せていた東口の負傷も、氏の判断を左右したのかもしれないけれどね。
一方で今野のスタメン起用は驚きではなかった。今までハリルホジッチ氏が選考してきた中盤後方のタレントのうち、長谷部と井手口が負傷、永木はアントラーズ定位置を確保し切れていない、遠藤航はレッズで中盤では使われていない、と言う状況で、今野は呼び戻された。つまり、今野の招集は緊急事態に備えたものだっただけに、スタメン起用もある程度予想されたものだった。そして、今野はこの起用を存分に愉しみ、ついには得点まで決めてくれた。
ただし、今野をいわゆるボランチではなく、インサイドハーフに起用したハリルホジッチ氏の策は中々だった。アンカーに山口をおき、両サイドバックを自重させ、後方に人を残す。そうしておいて、今野を中盤の前方に配し、いわゆる刈り取りと攻撃支援を担当させたが、これが見事にはまった。原口と久保の2人はいわゆる相当後方まで引いて守る時間帯もあるので、今野のような守備力の高いタレントをここに起用するのは有効だった。このポジションに、今野の若いチームメートの井手口を使うとおもしろいのではないかと思ったりした。
今後今野が代表に再定着できるかどうかは、何ともいえない。代表チームが負傷者などが続き、メンバ構成が苦しくなった際に、30代半ばの経験豊富なベテランを呼び戻すのは有効な手段だ。ただし、そのような大ベテランを継続して招集するかどうかは、ワールドカップ本大会への準備を考えると、微妙なところだろう。特に83年1月生まれの今野にとって、ほぼ同世代の84年1月生まれの長谷部の存在が、代表再定着の大きな壁になる。
など考えていたら、今野が負傷で離脱したと言う。残念だ。同郷人が代表にいるのは、大きな喜びなのだよ。早期の回復と、上記した厳しいバトルへの復帰を祈るものである。
ともあれ、川島にせよ、今野にせよ、元気で充実したベテランの存在は頼もしいことこの上ない。そして、これらの貴重なベテラン達が、日本代表を一層分厚いものにしてくれているのだから、喜ばしいことだ。

日本のよさが目立った試合だったが、UAEのオマルを軸にした中盤の展開力には改めて感心させられた。上記した川島がファインプレイで防いだ前半の崩し、後半立ち上がりの素早くボールを左右に動かして許した決定機。日本の中盤守備がよかったにもかかわらず、隙を見て幾度か崩されてしまった。正直言って、豪州やサウジよりも、「戦いづらい」相手と言う印象がある。今回のUAE代表チームは若年層時代からの育成が奏功した世代と聞くが、このような強化が継続されれば、アジアサッカー界でのプレゼンスは高まっていくことだろう。これは日本にとっては歓迎するべき事態、知性と技巧を活かしたチームをアジア各国が作れば、アジアのレベルは格段に上がり、アジア域内の国際試合 で的確な強化を積むことができる。

さて、タイ戦。
勝ち点3の獲得が重要なのは言うまでもないが、贅沢を言うと得失点差を稼ぎたいところ。
大迫の離脱は痛いが、ここには岡崎がいるので問題はない。むしろ、ポイントは原口、久保の強力な両翼に、サイドバックをどのように絡ませるか。UAE戦は、長友と酒井宏樹に前進を自重させ、その役割を今野に託した。タイはUAEほど中盤でのキープ力はないだろうから、この個人能力の高い両翼に、サイドバックを含めた攻撃を交通整理して欲しい。このような交通整理が、攻撃力の強化に重要なはずだ。
ワールドカップまで、あと1年ちょっととなった。1つ1つ、丁寧に丁寧に積み上げ、ベスト8以上を目指すのだ。
posted by 武藤文雄 at 00:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月05日

ベガルタ開幕2連勝

 ベガルタは、敵地でジュビロを下し開幕2連勝。2試合続けて、粘り強く戦い、終盤に1点を奪い、丁寧に守り切る、いわゆるウノゼロ、理想的なスタートダッシュと呼んでよいだろう。両試合とも、今シーズンから導入した3ー4ー2ー1が奏功、新加入の石原と永戸が組織的に機能するのみならず、中心選手として活躍したのだから、笑いが止まらない。

 ともあれ、ジュビロ戦。
 前半はあまりよくなかった。川又(必ずしもポストプレイがうまいとは言えない選手なのだが)に再三クサビを収められ、中村俊輔に自由を許す。結果、両翼の太田とアダイウトンが再三前を向いて前進、危ない場面を多数作られた。さらに押し込まれていると、川辺とムサエフの両ボランチに拾われる悪循環が続いた。
 もう1つ状況を悪くしたのは、個々の選手の軽率なミス。押し込まれているのだから、さっさとクリアして切ればよいのに、無理につなごうとして状況を悪化させてしまった。中でも、菅井は凝り過ぎたプレイで、再三危ない場面を作ってしまった(まあ、菅井らしいと、ポジティブに捉えればよいのかもしれないけれどもね)。
 それでも、前半をゼロで終えることができたのは、GK関がほぼ完璧なポジション取りで、敵クロスやDFラインの裏へのボールに対応したこと。3DFがあわてず粘り強い対応で、敵速攻の第一波を止めたこと。そして、最前線の石原を含め全選手の帰陣が早かったこと。このあたりは、流れが悪いなりに的確に対応できたと評価すべきなのかもしれない。

 後半、状況は改善された。
 まず、ボールを奪われた直後の切替と敵選手への対応が格段に改善された。中でも、川又への厳しいチェックは見事だった。結果的に、川又が焦りからか独善的なプレイが増え、俊輔が機能しなくなった。さらに、永戸と菅井の両翼への早めの展開が増え、後方から石川と大岩が押し上げることで、攻め込みの時間が増える。特に、左サイドの永戸が左利きを活かしたサイドチェンジをねらい、菅井がそれを受けることで、効果的な場面を再三作った。見事な修正だった。
 そして迎えた74分。右サイドからのFKを平岡が折り返し、混戦になったところで石原が見事な身のこなしから、後方で待機する奥埜に落とす。奥埜は、インフロントキックで狙い済ましたシュート、その軌道は完璧で、GKカミンスキーはブラインドで動けず、ゴールカバーのDFの頭上を越え、ポストの内側を叩いてネットを揺らした。好機を高頻度でつかんでいた時間帯に、しっかりと決め切ることができた。
 その後、攻撃の切り札として投入された高速ドリブラ松本への対応に、対面する菅井が苦労する局面はあったものの、丁寧な組織守備と、前掛かりのジュビロの裏を突く速攻の継続で、しっかりと逃げ切り、めでたく開幕2連勝とあいなった。

 後半の内容はとてもよく、三田、永戸のロングフィードでの大きな展開、石原(まちがいなくこの日のMVP)の再三の妙技による前線の溜めに奥埜と梁がからむ攻撃も整備されてきた。昨シーズンからの大きな課題だった速攻への対応も改善されてきた。各選手の体調が上がるのはこれからだろうから、一層の改善が期待できるだろう。
 もちろん、課題はまだまだ多い。上記した通り、前半再三速攻を許したのは大きな課題。また、終盤松本への対応に後手を踏んだのも感心しなかった。またセンタバックの層の薄さも気になる。この日の終盤に平岡が足がつるハプニングがあり、増島が投入されたが、いまベンチ外のCBは、2年目の常田しかいない。まあ、悪いことを考えてもしかたがないので、楽観的に考えることにしよう。
 さて、最大の難敵のDAZNくん。先週はライブ中継は楽しめず、番組冒頭からの映像を時間遅れで見ることになっていた。今週は一応ライブで見られたのだから、大きな改善だった。もっとも、前半画面が真っ暗になる事態が2回、特に前半終了間際は真っ黒になったまま、何も返ってこなくなり前半が終わってしまった。まあ、少しずつ改善しているようだから、気長に付き合っていこう。
posted by 武藤文雄 at 22:29| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする