2017年05月29日

渡邉監督、順調だからこそ柔軟な采配を

 イタリア戦の堂安の2発もすごかったが、昨日のアルビレックス戦ののクリスランの決勝弾も相当な難易度だった。テレビ桟敷とは言え、これだけ鮮やかな得点で幾度も歓喜することができたのだから、誠に結構な週末だった。

 ベガルタは、アルビレックスに2対1でかろうじて逆転勝利。敵地でエスパルスに3対0で快勝した以降、4試合ぶりの貴重な勝利となった。
 ちょっと過去3試合を振り返ってみる。
 まずホームのFC東京戦。前半CKのこぼれ球、ゾーンディフェンスがカバーできない地域に位置取りした大久保に、ペナルティエリア外側あたりから、地を這うような強烈な一撃を決められる(生観戦してたのですが、美しい弾道だった、くそぅ)。さらに後半、シュミットのミスを突かれ大久保にもう一発食らう。強引な攻めは森重に止められるため、三田を中心に丁寧に変化をつけた攻めを展開。しかし、どうしてもGK林を破ることはできなかった。大久保、森重、林と言った、個人能力の高い選手に敗れた試合だった。
 続く敵地の大宮戦。前半は完全に圧倒、敵DFの軽率なミスで得たPK崩れからクリスランが先制。その後も複数回好機をつかむ。ところが、後半CKからニアを固める(最近のはやり言葉ではストーン)クリスランが簡単に敵に前に入られフリックされて、ファーサイドフリーの山越に決められ同点を許す。これにより、連敗続きの大宮がホームの大声援の後押しで勢いを増す。特にFW瀬川の献身的なフォアチェックに苦戦。西村の軽率なボールロストからの速攻から、大前に鮮やかな個人技を発揮され決勝点を奪われた。ペースを奪われた時間帯に無理をしてしまい、悪い流れのまま無理をしてやられると言うもったいない試合だった。
 そして前節の敵地横浜戦。この試合も前半から敵を圧倒する。決定機は前節前半より多いくらいだったが決められない。選手達にも焦りがあったのか、フィニッシュに向けて、妙に凝ったパス回しを始める。イヤな予感がしていたら、案の定中盤のミスから速攻を食らい、前半アディショナルタイムに先制を許す最悪の展開。それでも後半もよいペースを維持、CKから大岩が同点弾を決め、その後も攻め込んだが、どうしても中澤を破れず、引き分けに終わった。フィニッシュには課題が残ったが、90分間攻勢をとれたのは明るい材料と思われた。

 そうこうして迎えたこの新潟戦。前節からの勢いをそのまま継続したように前半から攻勢をとる。しかし、フィニッシュに工夫が足りず決めることができない。特に高いクロスの多くを、新潟CB宋株熏にはね返されていたのだから、ラストパスにもう一工夫欲しいところだった。
 しかし、好事魔多し。後半立ち上がりに、中盤で簡単に奪われて、速攻から決定機を許すも、かろうじてしのぐ。そして、それ以降、押し込むことができなくなる。そして、無理に攻め込もうとしては中盤でボールを奪われ、さらに2度好機を許す。そして、60分過ぎ、前線で石原がうまいキープを見せるがフォローに入った梁?との連係ミスから簡単にボールを奪われ、またも速攻を許し、とうとう先制点を奪われてしまう。
 これは、渡邉監督の采配ミスだろう。後半立ち上がりから、思うような展開が叶わず、幾度も速攻から決定機を許していたのだから、何がしかの修正を行うべきだった。梁に代えて西村を入れて運動量を増やし敵DFを押し下げてもよかた。この日久々にベンチに入った野沢を起用して全体の展開をスローにする手段もあったはずだ。もちろん、中盤を構成する富田や三田に、ベンチから「無理して前ばかりいかず、ゆっくり展開せよ」と指示する手段もあった。しかし、後半立ち上がりの15分間、あれだけペースが悪くなっていたのに、渡邉氏は何も手を打たなかった。
 大宮戦もそうだが、敵がアグレッシブになることで、今までうまく行っていた展開が叶わなくなることはあるものだ。それに対して、無理にうまく行っていたときと同じやり方にこだわるのは、どうしても無理が生じてしまう。

 失点後、渡邉氏は果断な采配を振るう。クリスランと西村を同時投入、基本的に後半交代することが多い梁はさておき、今シーズン攻撃の要としてほぼフル出場していた石原を比較的早い時間帯に外したのは、相当な決断だった。
 この交代はうまく行った。いきなり西村が遠い距離からミドルシュートを放つなど、再三縦に出る勢いを見せ、新潟DFを押し下げることに成功したからだ。そして、ベガルタは再び攻勢をとると、少しずつ新潟の選手に疲労が目立ち始める。
 そして83分、西村との連係で抜け出そうとしたクリスランが倒されPK獲得し同点。さらにその直後、永戸が守備ラインとGKの間に見事なクロスを通す。そして、クリスランがものすごい得点を決めてくれた。左からのクロスをジャンプして左アウトで左前方にトラップ、それを左足のジャンプボレーで叩き込んだのだ。クリスランがトラップした瞬間、「ヘディングシュートを狙えよ」と文句を言ったのはひみつだ。
 その後は、一度ホニに抜け出されシュミットのファインプレイでしのいだ場面を除いては、丁寧に時計を進めタイムアップ、久々の勝利とあいなった。まずはやれやれである。

 勝ったのは嬉しい。しかも逆転劇の快感は格段だ。けれども、後半序盤の悪い時間帯に、しっかり修正できていれば、ああも易々と失点しなかったのではないか。そして、大宮戦に続き、悪い時間帯に修正し損ねたのは気になる。

 勝ち点は思うように伸びていないが、チーム作りは順調に進んでいるのは間違いない。
 今シーズンから始めた両翼を押し出す3DFの連係は、試合ごとによくなっている。開幕当初から、よく機能している左サイドの新人永戸は、この日もアシスト以外でも、工夫したクロスを再三上げている(同点直前、西村に合わせたグラウンダのクロスも見事だった)。加えて、ここ最近、右サイドの蜂須賀が、脚力と両足を扱える長所を活かせるようになってきた。今期の移籍組で最も期待された中野も復活してきたし、ここにはふてぶてしさが武器の茂木もいる。
 前線の選手層も相当なものだ。石原と梁の異なる知性、奥埜の献身と裏抜け、西村のアグレッシブさ、佐々木匠の技巧は間違いない、ルヴァンカップを見た限りではまだまだ野沢も元気だ。そしてクリスランのズドーン。これだけのタレントを、どう組み合わせるか。
 若い選手の台頭も多く、選手層も着実に厚くなっている。結構なことだ。ルヴァンカップを含め、西村、匠、椎橋と言ったタレントが存分に機能している。他クラブの関係者に笑われるだろうが、我がクラブが20歳そこそこのタレントを機能させられたのは、J2時代の菅井、関口、萬代ら以来なのだ。

 渡邉氏は、見事にチームを作ってきている。だからこそ、いっそう柔軟な采配を期待したいのだ。せっかく、ここまで質の高いサッカーの息吹が感じられるのだから、それを存分に活かしたいではないか。
 まあ、そうそう思うように行かないから、おもしろいのですがね。
posted by 武藤文雄 at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月28日

ワールドユース、まずは1次ラウンド突破

 ワールドユース(最近はU20ワールドカップと言うらしいが、この呼び名の方がずっと好きなので、あしからず)、グループリーグの無事突破が決定。
 いや、よかった、よかった。しかも、進出を決めたイタリア戦、序盤に2失点する最悪のスタートから巻き返し、堂安の鮮やかな個人能力による2得点で追いついたのだから堪えられない。
 加えて、試合終盤には、あのイタリアと相互忖度で試合をクローズさせたのだから、もう最高。単調な約15分間のすばらしさ、現地に行かなかったことを心底後悔した。
 さらに、これが土曜日の晩なのだから、酒が進むと言うものだ。

 しかもですよ。3試合とも先制点を奪われ七転八倒を余儀なくされたのだから、我らの若い戦士たちには格好の経験となった。
 もっとも、その失敗要因は、非常に悩ましいものだったが。南アフリカ戦は、いわゆる初戦の序盤の緊張。ウルグアイ戦は、小川の負傷退場に対する過剰な負の反応。そして、イタリア戦序盤の最終ライン調整のグズグズさ。ウルグアイ戦の2点目を除いた4失点はいずれも、こう言ったおかしくなった時間帯に奪われたもの。
 しかし、これらの失点後落ち着いた後は、(結果的にリードしている)敵は丁寧に守備を固めてきた。それにもかかわらず、日本は伝統のすばやいパスワークに加え、三好、堂安、久保の個人技で再三相手守備を崩すことができた。一方、前掛かりになったが故の敵の逆襲は、冨安の圧倒的な守備能力と中山の冷静な対応で、しっかり止めてしまう。
 これだけの能力の選手たちが、どうして上記のような不首尾を演じてしまうのか。

 自らへの過小評価のためではないか。そして、これこそ日本サッカー界の最大の欠点なのではないか。

 ウルグアイもイタリアも確かに強かった。しかし、落ち着いて戦っている場面を見れば当方の戦闘能力は何ら遜色がなかったのは、誰の目にも明らかだろう。先制を許してしまった後に、落ち着いて粘り強く自分たちのペースに引き戻せたのだから、選手達の精神力も大したものだ。
 そうこう考えれば結論は明らかではないか。あのような不首尾を演じてしまうのは、自分たちの能力に対する自信のなさなのだ。言い換えると、敵への過剰なリスペクト。
 そしてこれは、マスコミを中心にした周辺が「相手が強い、日本が弱い」と過剰に騒ぎ、「日本のあれがダメ、これがダメ」と騒ぎ立てることによるのではないか。
 誤解しないで欲しいが、私は別に日本代表がワールドカップに優勝できると言っているのではない。現実は厳しく、いまだ日本からは、欧州チャンピオンズリーグを制するようなチームで、コンスタントに活躍する選手を輩出はできていない。
 しかし、イタリアの守備者のすべてが日本の守備者より能力が高い訳でも、スペインの若年層育成組織のすべてが日本の組織より優れているわけではない、と言うことをいいたいのだ。実際、この試合では、イタリアの中盤選手達は堂安をまったく止められなかった。イタリアのFWは単身では冨安をまったく突破できなかった。
 だから、試合開始から選手達がもっと自らの能力に自信をもって戦っていれば、こんな苦しい戦いにならなかったと言いたいのだ。そして、そのためには、いたずらな自虐論はやめて欲しいのだ。もちろん、このユース代表のタレントたちが、欧州南米の同年代の名手たちに劣らない微分値の成長曲線を維持できるかどうかは、別な話なのだが。
 まずは、2次ラウンドで、腰を引かずに堂々と戦ってください。

 ともあれ、今日の堂安はすばらしかった。正直言って、南アフリカ戦でも、ウルグアイ戦でも、内山氏が、必ずしも本調子とは思えない堂安に最後まで拘泥した采配に疑問を感じていた。
 申し訳ありませんでした。私が間違っていました。
 あれだけ身体が伸び切った状態で、しっかりと空中でボールにミート。ペナルティエリアで3人を抜き去った後に、丁寧に内側の左足でボールにミート。クライフとディエゴだよな。クライフはインサイド、堂安はアウトサイドだったし、ディエゴの挙動開始点はハーフウェイライン、堂安はバイタルエリアだったけれどね。
 このまま、大会終了後、堂安はユベントスに行ってしまうのではないかとの思いはあるが、彼の将来はこれからなのは言うまでもない。1979年のディエゴとなるか、2005年のオランダのクインシーにとどまるか。
 まずは、2次ラウンドで、ディエゴへの道を歩んでください。

 改めて国際試合と言うものはおもしろいものだと感心するこの大会。
 そして、ここ最近、ワールドユース出場権を逸し続けたことは、日本サッカーの損失だとの意見をよく耳にした。正直言って、私はこれらの意見にはあまり賛同できなかった。もちろん、出場できれば、それに越したことはないし、選手達はすばらしい経験を積めたことだろう。けれども、出場権を得られなくとも、日本は常に五倫出場権をしっかりと獲得し、優秀な選手は次々にA代表に登場し続けている。ワールドユースに出られなくとも、致命的な損失はないのではないか、と私は考えていたのだ。
 しかし、今大会を見ると私は間違えていたように思う。やはり、ワールドユースの出場権を逸し続けてきたことは大きな損失だったのだ。なぜならば、我々サポータが、こんなおもしろいタイトルマッチを愉しむ機会を逸し続けてきたのだから。
posted by 武藤文雄 at 01:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 若年層 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする