2017年07月31日

蜂須賀孝治の充実と課題

 J1第19節、ベガルタ1-1レイソル。

 中断前3試合で、毎試合のように大量失点をして3連敗していたベガルタ。さすがに、この試合では守備を相当意識した試合を行った。蜂須賀と中野の両サイドMFが、素早く最終ラインに入り、3-4-3と言うよりは、5-4-1と言う並び。もちろん、ボールをしっかりとキープする狙いは変わっていないから、蜂須賀と中野は幾度も上下動を繰り返す必要があり、負担は非常に重い。
 そして、ベガルタの守備は非常によく機能。石原と西村が長い距離を走る逆襲速攻、蜂須賀の強引な右サイド持ち出しに大岩と西村がからむ右サイドからの崩しなど、上々の展開で後半半ばまで試合は進む。
 しかし後半半ば過ぎ、ベガルタはCKから先制を許す。その後、ベガルタは中々有効な攻め込みができない。クリスランと石原が、レイソルの中谷、中山の若きCBに押さえられ、結果両翼に起点を作れなかったのだ。中でも、シーズン当初より上半身が明らかにたくましくなった中谷は、忌々しい事この上なく、カバーリングの妙と、体幹の強さを存分に発揮されてしまった。
 それでも、アディショナルタイム、クリスランが狡猾な動きから、中野のスルーパスを呼び込み、左から抜け出し鋭く低いクロス、石原が見事なスクリーンプレイからボールを落とし、中野が叩き込んで同点。
 まずはやれやれである。この勝ち点1は、ベガルタにとっては、本当に貴重なものとなった。

 ともあれ。CKから奪われた失点は、ほろ苦いものだった。
 レイソルに分厚い攻めを仕掛けられたが、ベガルタ守備陣も丹念に対応。富田が実に見事なボール奪取を見せたものの、蜂須賀がクリアすればよいものの中途半端につなぎを狙い拾われ、シュートまで持ち込まれたのをブロックして許したCKからだった。
 そして、キッカーのクリスティアーノがファーサイドを狙ったボールに、見事な出足で飛び出した伊東に、蜂須賀の前でヘディングを許し、決められてしまった。
 つまり、蜂須賀が提供したCKの対応を、蜂須賀が誤まり、失点してしまったのだ。

 つらいことだが、中断前の3連敗、失点場面に幾度も蜂須賀はからんでいた。ガンバに許した決勝点は、ガンバのFKに一番ファーサイドにいた蜂須賀が対応できず、ファビオにヘディングシュートを許したものだった。ヴィッセルに許した先制点は、蜂須賀が不用意につなごうとしたボールを奪われたものだった。
 この日のレイソル戦の失点は、蜂須賀はつい最近行ったミスを再度犯してしまったために、許したものだったのだ。

 蜂須賀は2013年シーズン、仙台大から特別指定選手を経てベガルタに加入したサイドプレイヤ。180pの体躯、利き足は右だが左でもしっかりとクロスを蹴ることができ、縦への疾走を繰り返すことができる。しかし、中々定位置をつかむことができずに5シーズン目を迎えた。
 蜂須賀がレギュラに定着できなかった要因はいくつかある。元々、ベガルタの右サイドバックには、クラブのレジェンドでもある菅井直樹がいたこともあった。蜂須賀自身が、ベガルタ加入以降複数回下半身の大怪我をしたこともあった。ただ、それらに加えて、時々びっくりするようなミスをする悪癖があったのだ。中盤でパスをつないでいるときに、簡単な横パスを提供してしまう。逆サイドから攻め込まれているときに、敵に揺さぶられているわけものないのに、ボールウォッチャになってしまうなど。
 それでも今シーズンの蜂須賀は格段に成長している。幾度も上下動を行える脚力を活かし、いずれの試合でもスプリント数は格段の回数を誇る。縦に出た右クロスも、切り返した左クロスも、精度が向上した。敵サイドプレイヤに対する守備応対も随分と粘り強くなった。中盤でのつなぎも、逆サイドへの展開を含め、間違いなく上達した。
 渡邉監督が目指すサッカーでは、サイドMFの充実が何より重要。そして、左サイドで高い評価を得ていた新人永戸の負傷離脱はあまりに残念。しかし、その他のサイドMFとしては、ようやく負傷が癒えた中野、グランパスから獲得した古林、ベテランの菅井、若手の茂木、小島など候補選手は多い。しかし、蜂須賀には彼らライバルにはない、体格の強さ、空中戦の強さ、そして何より上下動をいとわない脚力がある。
 そして、我がクラブは、少々欠点がある選手を見捨てる贅沢は許されない。蜂須賀が己の長所を活かし、短所を改善することで、格段のサイドプレイヤに成長すること。それが、今シーズンの上位進出のカギを握るのだ。

 頑張ってくれ、蜂須賀よ。 
posted by 武藤文雄 at 00:12| Comment(1) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする