2018年09月23日

シュミット・ダニエルの致命的ミス

 それは79分のことだった。
 ハーフウェイラインからややベガルタ陣に入ったところで、長崎に与えたFK。
 長崎FWファンマに合わせたクロスに、果敢に飛び出した仙台GKシュミット・ダニエル。しかし、ボールに触ることができず、こぼれたボールを長崎澤田に無人のゴールに決められてしまった。
 言い訳のしようがない、シュミットのミス。ここまでの時間帯、丁寧に攻め込み、幾度も決定機をつかみながら、長崎の粘り強い守備をどうしても崩せなかったベガルタとしては、本当に痛い失点となった。その後、梁勇基とハーフナーを投入し、猛攻をしかけるが、逆に攻撃が単調になったきらいもあり、崩し切れず。
 ベガルタにとっては、この敗戦は、歴史的な痛恨となるかもしれない。丁寧に勝ち点を積み上げ、ようやくACL出場権が現実的なものになってきた矢先の勝ち点ゼロだからだ。このシュミットのミスにより、来年のACLを失ったかもしれない。

 ともあれ、ベガルタの試合内容はよかった。
 前半から、ここに来てしっかりとチームの基軸となった速いパスワークから、両翼に基点を作り好機を幾度か作る。そのため、後方を厚くした長崎に対して、最終ラインから精度の高いロングボールを入れることで、長崎の中盤選手を押し下げる。結果、はね返されたボールを、奥埜や富田がきっちり拾い分厚い攻撃を続ける。
 ただ、長崎高木監督は、しっかりベガルタの弱点を狙っていた。ベガルタの攻勢をはね返したボールが、(ベガルタから見て)左サイドに流れると、いずれの選手も板倉の軽い当たりを突き、そこから速攻をしかける。しかし、ここ数試合でベガルタの危機管理は見違えるほど充実している。全選手の帰陣も早く、シュミットの落ち着いた位置取りもあり、しっかりと押さえる。
 そして後半に入り、ベガルタはさらに攻め込む。野津田の展開と、奥埜の押し上げ。中野を関口に替えて投入し、蜂須賀との両翼攻撃が圧力を増す。それでも決められないまま、終盤を迎え、最後の10分でどう崩すかと言う場面での、冒頭の失点…
 シュミットの失態を別にすれば、この試合の反省点はハーフナーの活かし方。空中戦の強さが格段のこのシュータをトップに入れた際の、両翼の崩しや、他の選手の入り方が、まだまだ洗練されていない。ベガルタは、最前線の選手にも、高度な守備判断を求めるサッカーを行っている。そのため、シーズン途中に加入したハーフナーは、どうしてもスタメン起用ではなく、終盤どうしても点を取りたい場面に限定される。ために、ハーフナーの出場時間は限定され、中々連携が成熟してこないのが悩みだ。あと9試合でどこまで、この連携を高めていくか。

 済んだことはしかたがない。冒頭に、敢えて重苦しい表現をとったが、私は悲観していない。
 ここまで質の高いサッカーをできるようになってきたのだ。上記した板倉の軽率さや、ハーフナーの使い方の改善を含め、連携を洗練させ、攻撃に変化を加え、守備の粘り強さを高める。全選手が、いっそうの努力を重ねれば、2度目のACLは自然と我々の手に入るはずだ。

 で、シュミット・ダニエル。
 ベガルタサポータとしては、過去もシュミットのミスを嘆息したこともあった。また、ベガルタには、キーパとしては小柄ながら、堅実に実力を積み重ねてきた関と言うすばらしい選手もおり、毎シーズンシュミットと激しい定位置争いを演じてきた。そして、シュミットは、ここに来てベガルタの定位置を確保し、控えとは言え代表にも選考された。2m近い長躯、左右で蹴ることができる正確なキック、敵FWのプレスをかわせる技巧、シュミットには世界トップレベルのキーパに近づける、いや追いつける、あるいは追い越せる?素質はある。
 シュミットが、2022年ベスト8以上を目指す日本代表の正ゴールキーパを目指そうと言うならば、あのクロスに飛び出し、しっかりはね返せる選手にならなければならない。そして、そう言ったレベルのキーパになるためには、それなりの失敗経験は必要だろう。ベガルタサポータにとしては、この長崎戦の悔しい敗戦は、2022年日本のゴールを守るシュミットを楽しむための、高い授業料だったと理解したい。
 シュミットはこの日のミスをしっかり反省するのは当然だ。しかし、反省して、このクロスに飛び出さなくなったら意味はない。今後も、このようなクロスには飛び出し、確実にはね返すキーパにならなければいけない。ノイヤーや、ロリスや、クルトワのように。そして、2022年の歓喜のために。
posted by 武藤文雄 at 00:13| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする