2018年11月23日

ベガルタ、来期に向けて

 シーズンも終盤に近付いてきた。
 ベガルタは一時期の連敗で、リーグ戦上位に入ってのACL出場の可能性は失ったが、残り2試合をキッチリ戦って、シーズン当初の目標である5位に少しでも近づきたいといころ。
 そして、言うまでもなく我々は天皇杯を残している。もちろん、宿敵モンテディオを倒し、さらに新旧のアジア王者であるアントラーズとレッズのいずれかがファイナルで待ち構えることを考えれば、決して容易な戦いにはなるまい。けれども、今年の充実したチーム力を考えれば、歓喜の確率は低くなく、この時の25倍くらいはあるように思っている。
 
 一方でだが、シーズンが終わりに近づいてくると気になるのが、来シーズンの編成である。決して経済的に潤沢とは言えないわがクラブ、今シーズンすばらしい実績を残してくれた各選手に、来シーズンいかにその成果の対価を提供するか。
 代表に定着しつつあるシュミット・ダニエル、毎年オフには「他クラブが獲得に乗り出す」報道が流れる大岩一貴、今シーズン格段に成長した椎橋慧也、こう言ったタレントをつなぎ止めることができるのか。ベガルタの最も上手な補強手段と言われる、「レンタル選手のいつのまにか保有権移転」は、今シーズンも成功するのか。何にせよ、これらのタレントの確保のために、ベガルタは彼らにしっかりとした誠意を見せる必要がある。そして、この世界での誠意とは、現金以外にはない。
 まあ上記については、毎年のシーズンオフの話題なのだが、このオフに関しては、他に結構重要な事柄があるように思っているのだ。以下、講釈を垂れていきたい。

 ベガルタサポータの幸せの1つに、梁勇基と菅井直樹と言う2人のレジェンドの所有がある。この2人と共に七転八倒した十数年の歴史は、本当に素敵なものだ。そして、梁は36歳、菅井は34歳になった。
 梁は巧みな位置取りや、的確な引き出しで、今でも起用されれば常に見事なプレイを見せてくれる。先日のレッズ戦、前半せめあぐんだベガルタだが、後半に入るや、梁が変幻自在の位置取りを見せる。その結果、後方からの出しどころが増え、我々は攻勢をかけるのに成功した。先日のサガン戦、久々の生観戦の私の眼前で、梁はFKから見事なボールを蹴り、石原の得点を引き出した。この弾道は、精度、タイミング、曲がり具合、いずれも往時のそれらとまったく遜色がない美しいものだった。目頭が熱くなったのは秘密だ。
 そして菅井。元々、今のベガルタのやり方のねらいは、各選手の位置取りの約束事を徹底してボールを回しつつ、両翼を前に張り出すリスクを冒し、組織力でそれらがために訪れるリスクを最小することにある。知的なポジショニングで攻守両面で能力を発揮する菅井は、(往時のスピードは失われたものの)このやり方には最適なタレント。サイドMFにせよ、CBにせよ、起用されれば、格段のプレイを見せている。ただ、あまりに負傷が多いこともあり、次第に出場機会が限定されてきている。
 この2人は最後までベガルタでの選手人生を全うしたいと思ってくれているに違いない。しかし、問題なのは、ベガルタがこの2人に、彼らが納得してもらえる高給を継続することができるのかだ。限られた金銭という資源を、この2人と、上記した現状の中心選手たちやレンタル選手たちと、どのように配分するのか。さらに、この2人には試合出場への欲求があるはずだ。僅かでもランクを下げれば、この2人に出場機会をもっと提供してくれるチームはいくらでもあるだろう。他のユニフォームを着たこの2人を見ることは耐えられないのだが、それは私のわがままと言うものだろう。彼らの考えと、ベガルタフロントの考えが、錯綜する。

 石原直樹は、まごう事なきベガルタの要の選手。今のベガルタの攻撃のほとんどは、後方からのフィードを、石原が妙技を駆使して収めるところが起点となると語っても、過言ではないほどだ。私の見るところ、石原よりもボールを収めるのが巧みな日本人選手は大迫勇也くらいのもの。大迫のバックアップを見出すことができていない森保氏に、「石原をUAEに連れて行ったらどうでしょう」と進言したいくらいだ。
 ところが。石原直樹は、同じ名前の菅井直樹の1か月前生まれ、もう34歳なのだ。そして、この34歳の偉才に、今のベガルタのサッカーは大きく依存している。石原はよほどの節制と努力を重ねているのだろう、今シーズンの石原を見る限り、衰えは微塵も感じさせないプレイぶりだ。けれども、来シーズン半ばには35歳を迎えるタレントである、後継者の確保は急務なのは言うまでもない。つい数か月前までは、この候補として西村拓真がいたのだが、彼は野望を胸に北の大国に旅立ってしまった。
 などと考えると、ここの補強は、このシーズンオフ最大の課題に思えてくるのだ。もちろん、ハモン・ロペスがもう少し体調を整えれば有力な候補だが、そもそも彼と再契約ができるのかどうかを含め。

まあ、来年のことをどうこう言う前に、残り4試合全勝することだな。うん。
posted by 武藤文雄 at 22:11| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月18日

シュミット・ダニエル、A代表初出場

シュミット・ダニエルA代表初出場
 日本対ベネズエラ。
 ベガルタのシュミット・ダニエルがスタメン出場。ベネズエラの単調なクロスをしっかりと止め、巧みなビルドアップで貢献、PKから1失点したものの、すばらしいプレイ振りだった。本当に嬉しいことだ。
 ベガルタの選手がA代表マッチに出場するのは、2003年の山下芳輝(韓国戦、スタメンするもハーフタイムで交替)、2010年の関口訓充(アルゼンチン戦、71分から交替出場)以来3回目。ただし、90分フル出場したのは今回のシュミットが初めて。当時の山下も関口も代表には定着できなかった。しかし、シュミットには代表定着はもちろん、スタメン確保、22年ワールドカップでの上位進出への直接貢献を期待できるのではないかとの思いは高まる。
 その詳細は後述する。

 このベネズエラ戦は、アジアカップをねらう日本代表としては、重要な準備試合。
 ここまでの準備試合で、富安、南野、堂安、中島と言った若手タレントがよいプレイを見せ、遠藤航も充実したプレイを見せている。ロシアワールドカップのチームにこう言った若手を組み合わせることで、アジアカップで強力なチームを愉しめる期待が高まっていた。、ロシアのメンバに加えてこれだけの新戦力を機能させたのだから、ここまでの森保氏の手腕は中々のものがあった。
 ところが、ここに来て長友の出場が危ぶまれている。元々、両サイドバックは酒井宏樹、長友と世界のいずれの国にも遜色ないタレントがいるが、ワールドカップ時から控えの層は薄いのが悩みどころだった。
 森保氏は、長友の代わりに佐々木を起用、佐々木はミスもあったが無難なプレイを見せた。このポジションには、抜群の左足を誇るマリノスの山中が選考され、また本来はCBの槇野と言う選択肢もあった。しかし、森保氏は、自ら直接指導した経験もあり、大学経由でプロとなり不運な重症も経験した佐々木を重要視するようだ。苦労人の佐々木のアジアカップでの活躍を期待したい。
 もう一つ、富安がパナマ戦に続き見事なプレイを見せたのも、長友不在時の対応に重要となる。それにしても、この逸材は頼もしい。20歳そこそこで、単純な強さ、守備対応の柔軟性、敵攻撃の読み、攻撃力、これらを兼ね備えたCBは、井原正巳、松田直樹以来ではないか。富安がここまで充実していると、現状のメンバに加え、アントラーズでアジアを制した昌子を呼び戻し、麻也と富安とを並べれば、過去日本代表にはちょっと考えられなかった強力な3DFが構成可能となる。その場合は、左サイドに原口を起用すれば、比較的バランスよい布陣となるだろう。ただ、そのやり方をすると、中島、南野、堂安の同時起用はできなくなるけれど。あるいは、富安を遠藤航と並べて中盤の底に置くやり方も考えられる。ただそうすると、柴崎の使い所が難しくなるだろうか。このあたりを、キルギス戦を経て、森保氏がどのような采配を振るうかは、とても愉しみだ。

 さてシュミット・ダニエル。
 終盤ベネズエラに与えてしまったPK。私は一瞬「シメシメ」と考えてしまいました。ここまで、非常によいプレイを見せていたシュミットだが、それに加えて、超ファインプレイを見せる絶好機がやってきたからだ。しかも、PKを与えたのは責任はシュミットにはなく、責められるべきは、やらかした酒井宏樹なり軽率にボールを失った杉本(だと思った)だし。もちろん、そのような邪な気持ちは、たいがい叶わないのを再確認することになったわけだが。
 ともあれ、シュミットは森保氏の起用によく応えた。自らの特長である、長身を活かした高さと、展開力のうまさをとを、しっかりと発揮したのだ。この日のベネズエラは、前線のタレントは経験不足からかラストパスは精度を欠き、攻撃はあまり脅威ではなかったのを、割り引く必要はあるかもしれないが。
 まず、その高さがよく機能した。何より、ハイクロスへの対応も的確で、 ベネズエラの中途半端なクロスをキッチリと押さえていた。麻也と富安の2CBの安定と合わせ、ゴール前の制空権もまったく問題なかった。これだけ、中央の高さが安定していれば、敵の攻撃の選択肢は限定される。
 そして、展開力。ベネズエラが最前線から、麻也、富安に厳しくプレスをかけてきたため、2人はシュミットにバックパスをすることが多くなった。するとシュミットは落ち着いて、両サイドバックなりDFラインまで下がってきている柴崎なりに、正確なパスを供給、攻撃の起点として機能した。もちろん、ときには大迫をねらった正確なロングボールを提供、これらをことごとく大迫が収めてくれるから、日本は幾度もそこから好機を掴めた。
 日本が世界のトップクラスと伍して戦おうと言うならば、高さに秀でたゴールキーパが必要なことは言うまでもない。また昨今、組織的な守備論理が整備されると共に、ゴールキーパが組み立てに参加する必要性と、浅い守備ライン後方をカバーする能力も重要となっている。
 以前から再三講釈を垂れているように、シュミットは、この現代風のゴールキーパに最も近い存在であることは言うまでもない。まあ、色々あったけれどもね。そして、このベネズエラ戦は、シュミットの潜在力が存分に発揮された試合となった。そう、これがはじまりなのだ。
posted by 武藤文雄 at 21:36| Comment(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする