2020年07月07日

再開戦の快勝

 Jリーグが再開した。
 ベガルタは開始3分の幸運な得点を守り切り、ベルマーレに敵地で1-0での勝利。結果もよかったが、内容も上々だった。木山新監督に変わった今シーズン、中断前は、ルヴァンの敵地レッズ戦、リーグ初戦のホームグランパス戦、いずれも芳しい試合内容ではなかっただけに、まずはめでたしめでたしである。
 
 勝負を分けたのは開始3分間に代表される右サイドの攻防だった(以降、左右はすべてベガルタから見て)。
 開始早々、ベルマーレは、左足のクロスが魅力的な売り出し中のサイドバック鈴木冬一がかなり高い位置取り。落ち着いたボールキープからの崩しから右サイドのCKを奪われる。そこからショートコーナ絡みで強シュートを打たれるが、ユース出身で抜擢された18歳のGK小畑裕馬が冷静にさばく。
 その直後、ベルマーレGK富井大樹の甘いフィードを関口訓充がカットし、右オープンに展開。ジャーメイン良が、前掛かりの鈴木と(昨シーズンまでベガルタに所属していた)大岩一貴の間隙を付いて突破。余裕をもって上げたクロスが、よい方向に飛び逆サイドのゴールネットを揺らした。強風が幸いしたのだろうか。ベガルタにとって幸運と言ってしまえばそれまでだが。

 とは言え、敵地で先制したベガルタは、余裕をもって試合を進めることができた。3DFをとるベルマーレに対して、右のジャーメイン、左の欧州帰りの西村拓真の両翼が大外に開いてボールを受けることで、幾度も好機を作る。一方で、ベルマーレとした自慢の両サイドMFの鈴木と主将を務める岡本拓也を前に進出させてペースをつかみたいところ。しかし、早々に先制して余裕が出たこともあり、ベガルタはボールを奪われるや否や、アンカーの椎橋慧也が的確に位置取りを修正し、ベルマーレにペースを渡さない。それでも、20分過ぎに鈴木が左サイドから好クロスを上げ、タリクにヘディングに合わされるが、幸運にもボールは枠に飛ばなかった。タリクはノルウェー代表主将経験もあると言うストライカ、ベガルタDFの間に飛び込む感覚は中々のものがあった。
 その後もベガルタは、ジャーメインが鈴木の後方を再三突いて好機を演出。ジャーメインは、ボールを受ける位置取りとトラップの方向が格段に上達した感がある。従来は敵DFに密着されると収めきれない欠点があったが、いわゆるアウトサイドFWに起用されれば、相当やれそう。もちろん、この日は対面の鈴木が攻撃ばかり考えて、後方への備えが甘かったことは割り引かなければならないだろうし、4DFのチームに対してどこまでやれるか、まだまだこれからなのだが。ちなみにジャーメインがサッカーを始めたのは、この日の会場BMWスタジアム近隣の厚木市の小さな少年団。少年時の指導者達がジャーメインの晴れ姿を生で見ることができなかったのは、何とも残念だったが。
 一方でベルマーレ監督浮嶋氏は、55分ついに鈴木をあきらめ交代。冒頭に述べたように、この右サイドの攻防が勝敗を分けたと言うことになる。
 その後の時間帯も、椎橋の安定した中盤守備が奏功、吉野恭平と平岡康裕のCBがベルマーレの単調な攻撃をしっかりとはね返しシマオ・マテの負傷離脱の不安を払拭。さらにユース出身で抜擢されたGK小畑祐馬が安定した守備と球出しを披露。最少得点差の1-0ではあったが、ベガルタとしては快勝と言ってよい内容だった。

 何より、椎橋がアンカーで、完璧に近いプレイを見せたのが嬉しい。椎橋は、一昨シーズン定位置を確保し天皇杯決勝進出貢献。昨シーズンは完全な中心選手と期待されながら、序盤の負傷やシーズン半ばの軽率な退場劇などがあり、シーズンのほとんどを控えとして過ごした。開幕戦もスタメンから外れ心配していたのだが、この日はすばらしかった。五輪代表のライバルとも言うべきベルマーレの斉藤未月を圧倒できたのも重要。元々五輪代表は中盤後方の有力選手の多くが伸び悩んでおり、椎橋がこのレベルのプレイを継続できれば、大いに期待できる。
 いわゆるCFタイプと言われていた新外国人アレクサンドレ・ゲデス。後半から起用され、いわゆるトップ下で起用され、守備のタスクをキッチリとこなしながら、上々の球さばきを見せてくれた。この新外国人選手を含め、すべての選手が90分間組織的な守備を演じ切ったのはすばらしかった。
 唯一の不安は、中盤で見事なパス展開を見せ主将を務めた松下佳貴が、後半半ば過ぎに複数回自陣でミスパスからショートカウンタのピンチを招いたことか。このあたりは、いわゆる試合勘もあろうし、やむを得ないこともあるだろう。ゲデスやこの日ベンチ入りしなかった道渕諒平、佐々木匠の2人、さらに長期離脱中のイサック・クエンカを含め、今後どのような併用がなされるのか期待したい。
 また、シーズン当初から期待されていた新外国人パラの体調が整わず、急遽柳貴博を補強した左DF。ここには、いわゆる攻撃的アウトサイドのドリブラ石原崇兆が抜擢され上々のプレイを見せてくれた。終盤守備固めに起用された飯尾竜太郎を含め、4人による定位置争いも楽しみとなる。

 考えてみれば、4か月の長きにわたる中断期間だった。
 トレーニングもままならない中、木山新監督のやり方が各選手に徹底され、渡邉前監督時代とは異なるやり方がほぼ定着した快勝は、本当に嬉しい。豊富な攻撃陣がそれぞれの特長を活かしながら、忠実な組織守備を見せてくれた。新監督の手腕への期待も、ますます高まろうと言うもの。
 COVID-19禍の中、クラブの経営状態は相当厳しいものがあろうが、再開戦で、現場がこれだけすばらしい質のサッカーで結果を出してくれたことを、まずは素直に喜びたい。
posted by 武藤文雄 at 00:05| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする