2021年09月12日

ベガルタ残留プラン

 ベガルタ8月の再開後2分4敗と思うように勝ち点を積み上げられず、現状残り11試合、勝ち点19、得失点差マイナス25の18位。17位までが降格の厳しいレギュレーションで、15、16位クラブの勝ち点は26、13、14位の勝ち点は30。J1残留には相当厳しい状況となっている(これらの数字は前節完了時点)。残留ラインをどう予測するかだが、40と見ると5勝6分0敗の勝ち点21、35と見ても4勝4分3敗ペースの勝ち点16の獲得が必要。不可能な数字ではないが、これまでベガルタは3勝しかしていないのだし、簡単に実現できると言ったら嘘になる。

 上記再開後の試合を振り返ってみると、何かしら運もない。大差をつけられ完敗したのはマリノス戦のみ。このマリノス戦は後半立ち上がりまで粘り強く守っていたが、水沼とレオ・セアラの妙技に2点目を許し、前に出たところで大量失点を食らったもの。
 それ以外の負け試合はなんとも言えない微妙な負け方ばかり。8月再開初戦のガンバ戦とこの代表ウィーク中断直前のサガン戦は、セットプレイによる失点をどうしても返せず0-1の敗戦。FC東京戦はアディショナルタイム、敵の明らかなダイビングをPKとされると言う主審の個性的な判定での敗戦(そうは言っても試合は審判に任せなければ成立しないからしかたない)。引き分けたセレッソ戦と横浜FC戦は、相応に好機をつかんだがポストに嫌われた。まあ、長いシーズンだ。ツキがない時とはそう言うもの。ここは割り切って粘り強く戦うしかない。
 幸い上記した通り、守備網はかなりのレベルで整備されている。そして後述するが、手倉森氏が守備の再構築を主眼にチームを整備している構想は正しいと思っている。

 けれども、どうにも点が入らないのは頭が痛い。何せ上記8月以降の6試合、奪えた得点は僅かに1点なのだから。
 多産系の点取屋がいないから得点力不足に苦しんでいるわけで、まずは月並みだが好機を増やすべく努力するしかない(「いや攻撃力が貧困だから大量に点を稼ぐストライカがいない」との禅問答の講釈を垂れるのもおもしろいが、今は置いておく)。
 そのためには、勝負どころで人数をかけた攻撃を行うことに尽きる。
 どうしても守備的に戦うやり方をしている以上、攻撃の頻度は少ない。しかし、よい形でボールを奪った時に人数をかけて攻められるかどうか、これは選手個々の守備から攻撃への切替の判断(チームとしての意思統一)にかかっている。逆説めくが、有効な多人数速攻がしかけられない状況ならば、無理に前に行かずボールを保持した遅攻に切り替える判断も重要だ。相手が守備ブロックを固めても、松下佳貴や上原力也ならばそのブロックを崩すパスを出すことができるから、人数をかけた攻め直しもしかけられる。この意思統一が8月シーズンはまだまだ成熟していなかった。この代表ウィークでどこまで改善できたか期待したい。
 人数をかけた攻撃をしかける以上、ボールを奪われた後の敵の速攻にどう備えるかも重要だ。幸い、ベガルタの組織守備は整備されており、8月シーズンを見てもそのリスクはかなり小さかった、このあたりの整備は手倉森氏はさすがと言えるだろう。点がとれないからこそ守備を強化した手倉森氏のやり方は正しかったのだ。地味ながら夏のオフの補強の大ヒットと言える福森直也と周囲の連係も次第に成熟していくだろうから、逆襲の備えはますます充実するだろう。
 もちろん、失敗はあった。マリノス戦は敵の強力なプレスに耐えているうちに2点差とされてしまった。FC東京戦は、永井謙祐と高萩洋次郎の老獪な2トップの受けと位置取り、試合終盤にMFに起用された森重真人の格段の守備力で、速攻後の連続攻撃を許しピンチの連続だった。とは言え、マリノスのような強力な前線守備や、FC東京のような高度な判断力を備えたベテランを並べられるようなチームは、そう多くはない。また上記した守備組織の一層の成熟があれば、速攻をしのいだ後のつなぎで敵プレスをもっと上手に外せるようになるはず。だから、大胆に人数をかけた攻撃を整備するのは十二分に可能なはずだ。

 もう一つ改善を期待したいのは、もっと個々の選手の特長を活かすことだ。
 例えばフェリペ・カルドーゾ。後方からの高いボールについては収めることはもちろん、ヘディングの競り合いに勝つことも滅多にない。したがって、後方からのロビングを前線にいれてもほとんど意味はない。しかし、足元に入ったボールターンは格段にうまい。五輪オフの直前の札幌戦、押し込まれた前半たった1回よいグラウンダのパスを受け見事なターンから、真瀬の得点につなげた場面は忘れ難い。押し込まれる時間帯にDFがロングボールで逃げる局面はさておき、ボールを回して敵プレスをかいくぐった時に縦パスを入れる後方の選手達には工夫が欲しい。
 例えば氣田亮真。前を向いた状態でボールを受ければ、鋭いドリブル突破を見せてくれる。しかし、敵の組織守備下で後ろを向いた状態でボールを受けてもほとんど機能しない。そのため消えてしまうことが多い。氣田自身の位置取りの向上も必要だが(もうシーズンも2/3過ぎたのだから、そろそろ自ら解決して欲しいのだが)、手倉森氏ももう少し采配に工夫できないか。例えば左右対称ではないフォーメーションをとり、大胆に氣田のベースポジションを大外にして、福森や蜂須賀にサイドチェンジを狙わせるとか。
 余談ながら、サイドMFには(もう若手とは言えなくなってしまったのが寂しいが)ユース育ちの佐々木匠、今シーズンの補強の切り札と期待された秋山陽介らがいるのだが、ベンチ入りの機会もほとんどない。手倉森氏の彼らへの評価が、現状の氣田未満なのは残念なことだ。
 このあたりはネガティブに考えるとキリがない。一方で百点満点ではないかもしれないが、個別に武器を持ったタレントは揃っているのだ。色々文句を言ったが、F・カルドーゾのターン、自分の間合いでの氣田の突破、佐々木の中盤からの抜け出すドリブル、秋山の左クロスなどレベルの高い攻撃兵器は揃っている。後は手倉森氏が、それらの特長をいかに組み合わせるかなのだ。
 
 約10年前にACLに出場した時の手倉森サッカーの魅力は、後方から一気に(一揆に?)多くの選手が攻撃にからむ速攻、湧き出る速攻だったのだ。各選手の意思統一、特長が異なる選手の組み合わせの妙。
 2021年の手倉森氏の課題は、いかにそれを再現するかにある。基盤は完成しているのだ、絶対にやれるはずだ。

 確かに状況は苦しい。
 正にサポータ冥利に尽きるシーズンではないか。積み上がらない勝ち点、しかも参戦しても声を出すことができない疫病禍。(自粛とは言え)移動にも制限がかかり、思うように競技場にも行かれない。
 切歯扼腕が継続し稀に歓喜雀躍が訪れるのが、サッカーの最大の魔力。半世紀近くサッカーに浸り切ってきたが、ここまでその魔力そのものを体験できるシーズンも珍しい。最終節終了時には(遠隔なのか、アクリル板ごしなのか、ワクチン完了してのオープン居酒屋方式なのかはさておき)「いんや苦しいシーズンだったっちゃね」と、サポータ仲間と共に祝杯を上げられることを確信している。
posted by 武藤文雄 at 10:33| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月10日

快勝だったが学ばない森保氏、やはり更迭が妥当

 森保氏は早々に更迭すべきと確信を持った中国戦の快勝劇だった。

 理由は明白、短期決戦の試合を勝ち抜くための采配が稚拙のみならず、直前の失敗の反省を織り込むことができないからだ。今のまま森保氏に代表を託したとしても、ワールドカップ出場権を獲得する可能性はそれなりに高いと思う。しかし、本大会で1次ラウンドを突破し1/16ファイナルを勝ちベスト8に進むことは、森保氏では極めて難しい。
 アジアカップの決勝進出、五輪のベスト4、森保氏の戦績は決して悪くない。内容面でも、五輪で見せてくれた守備網の堅牢さは中々のものだった。また能力の高い若い選手、Jリーグで台頭してきた選手を丹念に試し、おそらく史上最高レベルの選手層の厚いチームを作ったのも森保氏の功績だ。
 けれども、選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。要は1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。
 さらに悪いことに、失敗したことの反省が反映されていない。五輪での敗因は、選手選考段階のミスを含め、中心選手の消耗を放置したことにあった。オマーン戦は、選手の合流不可や負傷があったにもかかわらず試合前に対応せず、さらに雨中の試合で消耗した選手を交代させず終了間際の失態を招いた。中国戦は、敵の作戦ミスもあり前半先制に成功、後半攻めに切り替えてきた相手を冷静にいなしての完勝。けれども、交代策があまりに拙かった。危ない場面がなかったのは単に相手が弱かったからだ。
 五輪の失敗の反省が、最終予選の2試合で何も活かされなかったのだ。

 これまでも森保氏の采配に疑問は多かった。けれども、長期的に「何か」を考えているがための不可解さだと思っていた。たとえば、アジア選手権で韓国になすすべなく敗れたり、アジアU23選手権で無策のまま完敗を繰返したときは、腹がかなり立ったけれども、その「何か」を見極めたいと思っていた。
 しかし、五輪からこの最終予選の2連戦、長期的見解がどうあろうが、本腰を入れて勝負する試合でも、采配の稚拙さ、反省のなさが明らかになった。「何か」は幻だった。「何か」はないのだ。采配が稚拙で反省がないだけのことだったのだ。ワールドカップ本大会の采配を森保氏に託すのは、あり得ないことだ。

 中国戦については、詳細を論じる必要もない試合だった。単に中国が弱かったのだ。
 前半は、明らかな先方の自滅。5-4-1で守備を固める事自体は否定しないが、前線でのプレスもなく、両サイドの守備もいい加減。後方に引いて一切プレスをかけない1970年代風のサッカー。解説の岡田氏が外に開いた室屋や長友に対し、中盤の選手が当たりに行かずサイドバックが対応しているのを見て、激怒していたのには笑った。中国協会は今からでもよいので、岡田氏を監督にしたらよいのではないかw。
 それでも、日本はオマーン戦の衝撃が抜け切っていないのか、中々ギアが入らなかったが、あそこまで非組織的守備網ならばいつか崩れる。大迫がまったくのフリーでポストに当てた時はイヤな予感がしたが、伊東が持ち味の縦突破を見せ大迫が難しいシュートをキッチリ決めてくれた。
 これで本来のプレイを取り戻した日本。後半から帰化選手を大量に投入し前に出てきたところで、一切好機を作らせなかった落ち着いた試合運びは見事だった。

 ただし、追加点をとれなかったのは残念だった。
 要因の1つには、76分に起用された鎌田の調子が極端に悪かったことが挙げられる。落ち着いて中国をいなして好機すら許していない終盤、焦る相手を引き出して速攻をしかけてトドメを刺したい時間帯だったのだが。鎌田は、引き出しの動きが少ないのみならず、中途半端なドリブルで再三ボールを奪われてしまった。オマーン戦も残念なプレイ振りだったが、まだシーズン開幕直後で疲労がたまる時期でもないが、どうしたのだろうか。こののオフの移籍問題が尾を引いてでもいるのだろうか。もちろん、それを見極められず起用した森保氏の責任なのだが。
 さらにそのほかの交代策がひどかった。後半序盤に古橋が負傷し、交代の1枠を使っていたから後半の交代機会は残り2回。常識的には鎌田投入と同時に、もう1人(2人でも3人でもよいが)フレッシュな選手を入れるべきだろう。大迫に代えてオナイウ、久保に代えて堂安、柴崎に代えて守田などいくつも選択肢があったのだが。そして終盤長友の負傷時に佐々木を入れる時にも他の選手を代えることができたはずだ。
 現実的に後半の展開を見る限り、失点のリスクは非常に小さいものだった。しかし、その小さいリスクを几帳面に消すことが短期決戦での勝利の要諦なのだ。そして、森保氏は五輪と言う勝負どころで失敗した。さらに、その直後のワールドカップ最終予選の最初の2試合でその失敗の反省を活かせなかった。
 更迭が適切と言うものだろう。

 もちろん森保氏への不満はこれだけではない。
 特に攻撃面において、選手の特長を組み合わせた連係を作ろうとしないこと。森保氏のチームを見ていると、南野や久保のシュート能力を活かす、伊東の縦突破を活かす、古橋の裏抜けを活かす、オナイウのゴールエリアでの強さを活かす、このような各選手の特長を組み合わせる連係は、ほとんど見られない。両サイドにしても、サイドバックとサイドMFを有機的に組み合わせたインナーラップやダブルオーバラップなどの細工は見られない。ただ、4-2-3-1に選手をはめこんでいるだけだ。
 4-2-3-1と言う選手配置にこだわり、そこに選手を当てはめることしかしないのも不満だ。Jで猛威をふるっている三笘や前田大然を、五輪では4-2-3-1に無理矢理押し込みほとんど機能させられなかったことは記憶に新しい。
 けれども、こう言った不満は、ある意味で監督のスタイルと言えるかもしれないし、ワールドカップ本大会の重要な試合までカードを隠している可能性がある。もしかしたら、森保氏は本大会の1/16ファイナルや準々決勝で、南野と久保と堂安と鎌田を田中碧が鮮やかに操る、今まで見たことがない鮮やかな連係を見せてくれるのかもしれない。あるいは、突然に選手配置を4-3-3に切り替え三笘と伊東の両翼が強豪国の守備網を切り裂くのかもしれない。だから、文句は言い続けるだろうが、このような不満は勝負どころまで結論は断定できない。
 これらについては、まだわからない。

 けれども。
 1試合、1試合を勝ち切るために、丹念に几帳面に工夫することができないのは論外だ。
 序盤に述べたことを繰り返す。選手の体調を見極められないこと、選手交代について計画性がないこと、勝っている試合のクローズが稚拙なこと。そして、五輪での最大の失敗である選手の消耗対応を反省していないこと。要は森保氏は、1試合ずつ丁寧に勝ち切る用兵が決定的にお粗末なのだ。これは将来の改善は期待できない。
 これだけの選手を準備できたのだ。
 来年のカタールワールドカップ、私は森保氏に采配を委ねるべきではないと思う。ベスト8以上の成果を挙げる確率を少しでも上げるために。
 森保氏の更迭を望むものである。
posted by 武藤文雄 at 23:57| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月02日

森保さんさようなら

 昨晩、最終予選前夜だし、作文しようかなと思い立った。それで、あれこれ調べたらビックリ。昨日も散々愚痴を述べたが、守田と冨安が不在、板倉が負傷離脱とのこと。元々守備的MFを多数呼んでいなかったのだし、さっさと新しい選手を召集すればよいのに事態悪化を放置。昨日になって、ルヴァンカップにフル出場していた昌子を急遽招集。結果的に、後方中央は麻也、植田、航、柴崎の4人しかおらず、控えが実質不在。危機的状況である。
 しかし、今日の昼休みにもっとビックリした。昼食をとりながら、スマフォをいじったのだが、これだけの緊急事態なのに、それを騒いでいるマスコミやサッカーライターが見受けられないのだ。
 様々な媒体で、日本代表人気の落ち込みが報道されている。しかし、この緊急事態についての報道がほとんど見つからないのは、量の問題ではないだろう。単純に質の問題に尽きる。試合前に何が起こっているのか、練習を見たり、選手や監督を取材せずともわかるこの状況が報道されていない。しかも、森保監督は直前の五輪で中盤後方の選手の消耗を放置したことで敗退しているのだ。五輪での反省欠如どころか、不測の事態の放置。いかにも森保氏らしいと、おもしろがるか悲観するかはさておき、この試合の最大の注目点をほとんどのマスコミが気にしていない。Jリーグが開幕して約30年、7ワールドカップの年月が経った。多様なサッカー記事を楽しむことができている。しかし、今回は衝撃だった。当たり前のことを、当たり前に書く書き手が日本にほとんどいないことに。
 ピッチ上には無数に優秀な選手がいて、多くの個性的な指導者がいて、毎週楽しいトップリーグを楽しむことができる。我々のサッカー界は世界的にもトップに近い環境を獲得できたと思っていたのだが。もちろん、優秀なライターがJリーグの定期取材に回ってしまい、代表取材に回っていないなどの付帯状況には注意が必要だとは思うけれども。

 そして、この後方選手の層の薄さが直接的敗因となった。

 0-1で負けたことはしかたがない。しかし、あまりに負け方が不甲斐なかった。

 オマーンは1ヶ月合宿で調整していたと言うが各選手の体調はかなりよさそうだった。かつてイランを指導していたイヴァンコビッチ氏は、よく組織的なサッカーを叩き込んでおり、単純に選手の個人能力では突破できそうもなかった。また雨でかなり重馬場になったため、速いパスを回して敵を振り回して疲労を誘うのも簡単ではなかった。その結果、遠藤航も柴崎も後方に位置取り、まず守備の安定を図らざるを得なくなった。
 さらに悪いことに、つまらないミスが多い。オマーンは稠密な守備網を敷いている。そのため、軽いパスでは引っかけられてしまう、しかもオマーン各選手の意思統一は中々で、ボールを奪われた直後の動きが素早く、速攻に結びつけられるケースが多い。だから、各選手ともゆっくりでよいから丁寧にプレイをして、いつも慌てた速攻を狙うべきではなかった。むしろ、このようなチームはしっかりとキープすれば、食いついてくるので裏をねらえる機会も増えてくる。
 しかし、何か各選手にフワフワ感があり、ミスパスも減らず、決定機を演出する頻度もほとんどなく時計は進む。考えてみれば当たり前だ、次々と離脱する選手が出ているのに、監督は選手を補充しようとしない。監督のいい加減な試合に臨む姿勢が選手に伝播したのだ。

 そうこうして苦戦しているうちに、柴崎、酒井、長友の消耗が明らかになってきた。両サイドバックは大ベテランだし、柴崎は守備に相当振り回されていた。しかも上述のように柴崎の交代要員は不在。しかし、酒井と長友には山根、室屋、中山ら強力な交代選手がいたのだが、森保氏は動かない。
 前線の交代選手も機能しない。スコットランドで猛威をふるう古橋は前線でなく左サイドで孤立、堂安と久保は運動量が少なく、オマーンの集中守備を破れない。そして、彼らに有効なパスを出せる選手は、皆消耗している。
 失点時の左サイドの守備も残念だったが、クロスが上げられた瞬間に植田が出し抜かれてしまった。植田を攻めるのは酷と言うものだろう。元々空中戦の強さから、終盤の守備固めや、ここぞと言う時のセットプレイの強さを期待して選抜されている選手。離脱者が相次ぎ急遽先発起用されて、疲労した終盤のできごとだった。

 森保氏のこれまでの貢献に感謝したい。
 用兵面では多々不満の残る監督だったが、粘り強く選手を試し、史上最強感が漂う選手層のチームを作ってくれたのだから。
 けれども、選手が思うように集められないのに、何も手を打たなかったのはあり得ない。今日の重要な試合への真剣さが欠けていたのだ。結果として、そのいい加減な態度は、選手達にも伝播してしまった。

 とりあえず、ドーハでの中国戦は、反町技術委員長が務めればよいだろう。選手の能力は疑いないのだから、立て直しは容易だ。
 疫病禍のためとは言え、森保一氏最後の代表監督試合を生観戦できなかったことを、悔いるものである。
posted by 武藤文雄 at 23:51| Comment(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ワールドカップ予選ホームオマーン戦前夜2021

 いよいよワールドカップ3次予選(事実上の最終予選)が始まる。五輪代表の苦闘、再開後のJリーグ、さらにはブラインドサッカーの惜敗など、ただでさえお腹いっぱい状態のところ。そこに長期戦のホーム&アウェイの予選が絡んでくるのだから、贅沢なものだ。
 明日のオマーン戦はパナソニックスタジアム吹田、疫病禍下の折、さすがに参戦は断念した。このような折々に、世の中の正常化を願わずにはいられない。

 最終予選初戦と言うのは、色々思い出深いものがある。あのフランス予選、ウズベキスタン戦のカズの大爆発(今思えばこの稀代のストライカが日の丸をつけて光り輝くのは、この試合が最後となるのだが…もっともあれから24年経ってまだ現役って何なのだろうか)、ドイツ予選は北朝鮮相手に小笠原の先制と大黒のアディショナルタイム(終盤の中村俊輔を軸にした猛攻はいかにもジーコ氏のチームらしかった)、南アフリカ予選は敵地でバーレーンに3-2の勝利(3-0から闘莉王のミスなどで1点差にされたのはご愛嬌だった)、ブラジル予選は(明日と同じ)オマーンに3-0で快勝(この勝ちっぷりは日本サッカー史に残る完勝、前田遼一の完成がすばらしかった)、そして前回のUAE戦は酒井宏樹と長谷部のミスから1-2の逆転負け(ハリルホジッチ氏の岡崎→浅野、清武→宇佐美、大島→原口の交代はそれぞれ合理的だったが、ことごとく裏目に出たのが味わい深かった)。
 さて明日はどのような試合を見ることができるだろうか。

 過去色々森保氏には文句を言ってきた。しかし、何のかの言っても、今我々が所有しているチームは、各ポジション穴がほとんどなく、史上最強感も漂っている。ややゴールキーパと左バックの層が薄い感もあったが、先日の五輪での谷晃生と中山雄太の活躍で埋まりつつある。
 などと思っていたら、相変わらずおもしろい人選を行うのが森保氏だ。まず両サイドバックを酒井宏樹、山根視来、室屋成、長友佑都、佐々木翔、中山雄太とそれぞれ3人選抜。3DFを試したいのではないかとの報道もあったが、その場合原口元気と伊東純也もサイドMF候補となるから、サイドプレイヤは余剰気味。 
 一方で中盤後方のタレントは遠藤航、守田英正、柴崎岳の3人だけ。森保氏はこのポジションの人数が足りなかったことによる失敗を、つい最近の五輪で犯しているのだが。例えばここには川辺駿、橋本拳人、稲垣洋などを最近選考しているし、谷口彰悟をこのポジションで試している。そして何より田中碧もいる。消耗の激しいポジションなのだから、厚めに選んでおいて損はないと思うのだが。まあ、森保氏としては、五輪同様板倉滉を中盤要員と考えているのかもしれないが。
 などとと思っていたら、冨安健洋と守田が来日できず、板倉が負傷離脱とのこと。守備的MFどころかCBまで足りなくなってしまった。3DFのトライどころではなく、CBは吉田麻也と植田直通、守備的MFは遠藤航と柴崎のみ、控えすらいない。急遽昌子源を呼び戻したとのことだが、昌子は今日のルヴァンカップをフル出場している。何とまあ段取りの悪いことだ。せめて1日前に決断していれば状況はましだったのだろうが。少なくともこのオマーン戦については、比較的近隣で今日ルヴァンがなかった神戸から、ベテランの山口蛍や売り出し中の菊池流帆を呼ぶような方策もあったのではないか。
 それにしても、森保氏は、よほど現役時代の自分と同じポジションの遠藤航を消耗させるのが、お好きなようだ。 

 勝ち点勘定からすれば、開幕のホーム戦だからキッチリと勝ち点3を確保したいところ。いや次節の中立地中国戦と合わせて勝ち点6をとっておきたい(3節は灼熱のサウジでのアウェイゲーム、4節は地元とは言え難敵豪州だから)。
 そこに対する最大の不安は、上記散々嫌味を言ったように、CBと守備的MFに控えすらいない惨状が挙げられる。麻也、植田、遠藤航、柴崎の誰かが負傷したり消耗した場合、中山や佐々木が使われる可能性が高いが(今日試合をしている昌子よりは体調がよいだろうから)、ぶっつけ感が満載だなこれは。
 また、豊富な攻撃ラインのタレントを、森保氏が使いこなせるのかも不安。五輪でも特定の選手に拘泥して選手の消耗を招いたことは記憶に新しい。しかも得点について、最も期待できる南野拓実が本調子でないと言う情報もある。
 立ち上がりにうまくチームがはまり、早々に点がとれれば、オマーンを前に引き出すことができるだろう。そうなれば、鎌田大地と大迫勇也を軸にした速攻から好機を大量に作れる流れを作ることもできそうだ。しかし、常識的にはオマーンは後方を固めてくるだろうから、前半は相手を疲れさせるべくボールを回し、後半勝負となる可能性もある。その際に、先日の五輪ニュージーランド戦のように、森保氏が采配機能不全を起こさないでくれればよいのだが。

 などと不安を語るのも、代表戦の楽しみだ。選手の個人能力では圧倒しているのだし、前線の選手の知性や技巧でオマーン守備網を再三切り裂くのを楽しみにキックオフを待つのが、正しい楽しみ方と言うものか。
posted by 武藤文雄 at 01:29| Comment(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする