2008年07月04日

五輪代表オーバエージ招集不発問題

 「だから言ったではないか」
と言うのが、今回の五輪代表オーバエージ騒動、特にヴィッセルの大久保派遣拒絶に関する私の意見である。
 以前より幾度も述べているが、日本のトップレベルのサッカー界は破綻する日程問題の最中にあり、五輪開催中もJリーグは開催される。また、ワールドカップ予選で代表選手は過酷な試合数をこなさなければならない。このような状況下で、いかに五輪代表がオーバエージを使うか。過日述べたが周到な計画性が不可避であり、具体的には早い段階でA代表選考からもれている優秀なオーバエージ選手の指名を行うべきだったのだ。
 いや、それでもA代表選手を使いたいと反町氏が考えるならば、もっと早い段階にどの選手を選考するか決定し、早い段階からクラブと折衝すべきだった。クラブ側も準備期間が長ければ対処のしようもあるし、交渉が決裂したら他の選手(クラブ)に打診する時間的余裕があったはず。
 それでも、通常のリーグ開催時の中心選手の長期離脱は、相当クラブからの反発を招いたはずだ。その反発を予想していない反町氏と協会首脳の能天気さは何なのだろうか。いや、アルビレックス時代の反町氏の(よく言えば)用意周到(悪く言えば)細か過ぎる準備を考えると、もっとうがった見方(もちろん邪推です)をする事も可能だな。反町氏に対して、協会首脳が「大丈夫、いざとなったらJチームに拒絶権はないから」と語っていたにも関わらず、直前で反町氏はハシゴを外されたのではないかと。

 遠藤の離脱については非常に不運としか言いようがないが、五輪云々以前に遠藤の体調が心配だ。一昨年も遠藤は病気で長期離脱を余儀なくされたが、ワールドカップ予選、アジアチャンピオンズリーグと重要な試合が控える状況を考えれば、そもそもオーバエージとして五輪に連れて行くことそのものに無理があったような気がする。まずは体調の回復を祈りたい。

 また、逆説的な言い方になるが、元々オーバエージを2人しか起用しないと言う判断も気になった(「西川離脱に備えて楢崎に期待した」と言う報道があったが、どうも論理的な整合がよくわからない、「もし西川が負傷した際はGKにオーバエージを起用し、別なオーバエージのフィールドプレイヤを外す」と言う理屈ならば理解できるのだが)。さらには、反町氏に問いたいのだが、大久保、遠藤が招集できなくなったのは仕方がないが、もうオーバエージの招集は諦めてしまっていいのだろうか。上記で述べたように、小笠原、明神、寿人あるいは中村直志あたりを呼ぶ手はあると思う。また、A代表のトライアルと言う視点から、最近好調の我那覇、飛び出せるMF小川あたりなど面白いのではないか。
 言うまでもなく、オーバエージを加えた方が格段に強いチームが作れるはずだ。サッカーと言う競技において経験が非常に重要。もちろん、23歳以下でもトップレベルの能力を持った選手は世界中に多数いる。北京大会に出場しそうな選手でもメッシなどはその代表格だ。日本においても、釜本邦茂、井原正巳、中田英寿らは、その年齢で既に日本代表において中心選手と言うよりは、傑出した存在になっていた。
 けれども、多くの選手は23歳以下では完成せず、そのあたりの年齢層のみのチームでは、駆け引きや安定度や精神的な粘りに課題が残る。そこに経験豊富な選手を3枚入れる事ができれば、チームのバランスは格段に向上し、戦闘能力は高まる。まともな監督が、まともなオーバエージ選手を3名選考すれば、格段にチームは強くなるのだ。この場合選考される選手は、必ずしも「スーパー」な選手である必要はなく(もちろん「スーパー」な選手ならば、なおさら有効だろうが)、若い選手にない精神的な落ち着き、老獪な読み、、チームのための献身性などの特長があれば、それだけで非常に有効な「補強」になるはずだ。そのような意味で「オーバエージ枠を五輪に設けた事」で、五輪サッカーの質は格段に上がった。
 よく「若い選手にベテランを急に入れるとチームのバランスが崩れる」などと言う向きがあるが、もしそうならばそれは監督が無能なだけである。しばしばアテネ五輪でオーバエージの加入がチームのバランスを崩したとの論評があるが、それは問題をすり変えている。4年前の山本氏は3月に予選に勝利した後も、時間が限られていると言う事を考えずに「競争」と言う名の下に多数の選手を選び続け、オーバエージ選考の選手を含めベストメンバを判断し切れなかっただけである。
 そのような観点から、私は反町氏が妙にオーバエージ選考に拘泥しない事が気になってしかたがないのだ。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(22) | TrackBack(2) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今頃必死になって各クラブを駆けずり回っていることを期待しましょう・・・
Posted by at 2008年07月08日 01:46
アテネはOA選手の戦術理解がおかしかった。
ソガは連携不足で不安定さを露呈させ、小野はトップ下として使ったはずなのに
下がり目のパス捌き役になってしまってFW孤立。
山本さんがその辺を上手くコーチできなかったのが原因ですが
選手も求められている事を理解してなかった。

今回も色々と選手を試してるとはいえ、足りない所は分かっているのだから
調整も含めて早目に組み込んでおくべきでした。
ひと月前に召集されてもU23なんか興味が無い選手にとっては
どういうチームなのか、それから学習するわけで合わせるのが難しいです。
日本の個人能力からいって、いきなり合わせるのはまだ早いと思います。
Posted by at 2008年07月08日 04:07
ぼくも、和とか、同意のバランス、もしくは仲良し集団という観点で、さらに過去結果が出ていないという背景を加えて、オリンピック予選メンバーに急にOA入れなくていいんじゃないかなあ。って単純に思ってました。
でも、OA枠という観点には、なんかがあるなとも感じていました。

   そのような意味で「オーバエージ枠を五輪に設けた事」で、
   五輪サッカーの質は格段に上がった。

この記述は、とてもよく理解できました。
おかげさまでまた少しサッカーを理解できました。

で、Coachって大事なのね。そして最近つくづく感じているのですが、運営(協会・クラブ運営・部活運営など)って、大事なんだなあと思いました。
ある段階から、サッカーは総合力ですよね。
Posted by まるこう at 2008年07月08日 10:20
まず、反町氏に対する不信などの個人的評価と反町ジャパンが形成しているサッカーの質に対する評価を一緒に論じないでほしい。
偶然か必然かは、もう少し検証する必要があるが、今の反町ジャパンのサッカーには未来の日本サッカーに必要な志向性がある。
反町批判という過去に振り上げた拳の収めどころに窮して、サッカーそのものの質を見抜けないのであれば、それはJFAのトップ同様にサッカーを観る目が老害に侵されているとしか言いようが無い。

五輪サッカーの意義は、近い将来への確実な投資である。
つまり、五輪世代の選手達が自分達の力で世界の強豪と戦う素晴らしい経験を経て、自らの成長と共に近い将来のA代表選手としての資質を深める事が最大の意義であり、目先の勝利に拘り、チームの原型すら壊しかねないOA枠の使用や、それを助長する評説は、中長期の展望を持たないJFAと大差の無い愚考でしかない。

遠藤には気の毒であるが、今回は本来の五輪サッカーの意義が回復しそうである。
五輪世代の選手達には、『40年ぶりのメダル獲得』などの馬鹿な煽りに惑わされること無く、しっかりと自分達の目標を定めて、近い将来への投資の場として良質の経験を積んでほしい。
Posted by プーアール at 2008年07月08日 15:17
監督はもともとOA使う気なかったんじゃないですかね、裸の付き合いで絆が深まったかわいい選手たちですし
むしろ協会からはOAを使えという圧力があったんじゃないかなと予想しています。
Posted by ぱいろっと at 2008年07月08日 18:40
世界の強豪と戦う経験とか言って、結局全然勝てないと経験もなにも無いんですよね。
アテネで惨敗した結果、あの選手たちに何が残りましたか?
監督がOA入れてチームを纏め上げる力量無いってだけで、チームを強くするチャンスをみすみす逃して、惨敗したら何も残らないと思うんですけどね
Posted by げる at 2008年07月08日 19:00
そういえばアテネの時って
シドニー選考漏れ同窓会OAだった気が・・・

Posted by 相談役 at 2008年07月08日 20:19
まず第一に協会の各クラブへの態度、トータルで見た五輪代表チームマネジメントの拙さが攻められるべきなことは同意ですが、オーバーエイジの必然性については、もっと議論されるべきところではないでしょうか。
個人的な意見ですが、フル代表選考もれしていても、オーバーエイジは勤続疲労抱えてますし、U-23だけで戦って成果を出した方が日本サッカーの底上げになるのではないかと思います。
Posted by とんちゃん at 2008年07月08日 22:59
>プーアールさん
はどなたに話しかけておられるのですか?
>反町氏に対する不信などの個人的評価と
>反町ジャパンが形成しているサッカーの質に対する評価を一緒に論じないでほしい
と仰っておられますが、武藤さんはこの文章では
オーバーエイジ枠の意義とその運用の仕方について語っておられるだけで、
反町監督については「新潟時代はあれだけ用意周到だったのに、今回はらしくないよね」と述べるにとどまっていると思います。
コメント欄にもあなたの主張にあてはまる人は居ないと思われますが。
Posted by kagura at 2008年07月08日 23:34
>プーアールさん
はどなたに話しかけておられるのですか?
>反町氏に対する不信などの個人的評価と
>反町ジャパンが形成しているサッカーの質に対する評価を一緒に論じないでほしい
と仰っておられますが、武藤さんはこの文章では
オーバーエイジ枠の意義とその運用の仕方について語っておられるだけで、
反町監督については「新潟時代はあれだけ用意周到だったのに、今回はらしくないよね」と述べるにとどまっていると思います。
コメント欄にもあなたの主張にあてはまる人は居ないと思われますが。
Posted by kagura at 2008年07月08日 23:35
他の代表監督に文句つける勢いで、
例の青メガネにも言ってやりなさい。

まあ、第5代表決定戦にはいないだろうけど。。。
サウジが相手か・・・?
Posted by at 2008年07月09日 00:04
やっぱりリケルメクラスがいると頼もしいですよね。

23以下の選手もその人と一緒に練習やプレイできるだけで嬉しい&テンション上がる…みたいな人じゃないと…なかなか効果があがらない気もします。

高原をリハビリ兼ねて連れてくのが最適と思いますね!誰も文句言わない(笑)ヘタすると覚醒して帰ってくるかも。

がなちゃんも汚名挽回じゃないけど全国区な再チャンスあげてほしい。
行く側にもメリットが欲しいですよね。

あと大黒と中田浩も連れてって〜。
Posted by だってねぇ at 2008年07月09日 00:57
オランダのオーバーエイジ選出と比べると手際の拙劣さが一層際だちますよね。

オランダの基準は
・30より上のベテラン
・A代表経験はあるが今は無縁
・FW2,DF1という枠は固める

で通しましたからね。
で選ばれたのは
・実績知名度ともに抜群のマカーイ
・ハーン監督がヘーレンフェーレン監督時の主力で今もエースストライカーのシボン
・右サイドバックもセンターバックもできるポリバレントなヤリンズ
というように一つ一つの選出がとても合理的。
Posted by マグナカルタ at 2008年07月09日 08:04
kaguraさん
ご指摘いただいた部分は、武藤さんの記事をチェックされている見識の高い方々へのメッセージとしてコメントさせていただきました。
最近、見解が違うケースも多々ありますが、武藤さんに対する長年のリスペクトは変わっておりません。
ただし、影響力の強い方ですので、もう少し中長期の強化に繋がる姿勢についても説いてほしいという希望は持っております。
Posted by プーアール at 2008年07月09日 08:49
結局2大会連続で「中盤の要」「フォワードの柱」「GK」(今回はケガの場合のみ、ですが)という「チームの背骨」をOAに頼らないといけないっていうのは何か情けない気がしますね...。
日本の五輪世代への準備体制(合宿期間の長さとか親善試合の多さとか)は世界でも類を見ないくらい充実しているそうですが、それでも軸を作れないのか、と。
とはいっても諸外国も似たようなポジションを(リケルメとかロナウジーニョ&ロビーニョとか)をOAで入れるんだからいずこも同じなのかな??
Posted by baron at 2008年07月09日 11:16
>反町監督については「新潟時代はあれだけ用意周到だったのに、今回はらしくないよね」と述べるにとどまっていると思います。


あんたそりゃあ読解力なさすぎ。w
あるいは過去レス読んでなさすぎ。

「青メガネの勘違い」についての記述と比較してごらん。

Posted by at 2008年07月09日 12:46
問題は反町監督の態度だと思います。↓は全てスポーツ紙からの伝聞ですが

いつまでたっても正式な要請がない、しかしなぜかマスコミには大久保招集の話が賑わっている。
仕方がないので、神戸社長自ら反町監督に電話して断りを入れる。
社長自ら断りの電話を入れたにもかかわらず、その後反町氏はクラブの頭越しに大久保に直接五輪に出たいか尋ねる。
その大久保のコメントが、なぜかマスコミに漏れて紙面を飾る。
神戸側は不信感を募らせる。
正式な要請がないまま、いきなり6月30日までにメディカルチェックを受けろと協会が伝えてくる。
ますます神戸側は不信感を募らせる。
その後ようやく神戸側に大久保招集の要請が為される。
当然神戸側は要請を突っぱねる、
この辺でようやく神戸側が本気で怒っていることに気付き、慌てて反町氏と小野氏でお願いに行く。
神戸側再度拒否で大久保招集失敗。

このほかにも、田島氏が「招集には強制力がある」などと、シーズン前のJリーグの実行委員会の話し合いとは違うことを言ったことが
神戸側をさらに激怒させました。
反町氏は交渉が拗れていた最中にも、「もうオレの範ちゅうを超えている。ノータッチ」などと選手を選ぶ決定権のある人とは思えない
無責任な事を言っています。
こんな不誠実でいい加減な人の元に選手は貸したくないですよね。
Posted by at 2008年07月09日 23:42
おいおい、反町にそこまで権限が与えられいるわけが無いだろう。(笑)

こんなつまらん扇動に載せられるな。

Posted by at 2008年07月10日 00:49
 ほほぉ、代表監督に選手選考の権限はなかったのかぁ。
 それは知らなかった。
 で、誰が選んだの?
Posted by at 2008年07月10日 21:46
つまらない揚げ足取りは止めましょうよ
Posted by at 2008年07月10日 22:54
> ほほぉ、代表監督に選手選考の権限はなかったのかぁ。

ほら、読解力ゼロ。w
自分で自分が何を言ってるのか理解できてないわけだ。w
Posted by at 2008年07月11日 10:37
げるさん
>アテネで惨敗した結果、あの選手たちに何が残りましたか?

では何を持って残っていないと言えるのでしょうか?

人の人生経験について何を得たかなんて本人しかわからないでしょう。
周りが経験を積ませた方が良いというのは分かりますが、それで彼らは何を得たなどと結果を話すことができるのでしょうか。
Posted by at 2008年07月11日 17:10
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