2008年07月09日

次期日本協会会長の責務

 次期日本協会会長の決定が間近に迫ってきた。本件に関して、今日は「きれい事」を述べておきたい。

 人事報道の常かもしれないが、既に怪しげな憶測記事があちこちを飛び回っている。しかし、どなたがその任を引き受けるにせよ、次期会長は非常に大変な責務を負うことになる。現在の日本協会会長が、片付けるべき問題の多くを放置したままにしているため、相当まずい状態になっているからだ。これは、2年前のドイツでよい成績を上げられなかったとか、代表の観客動員が思わしくなく決算が赤字になったと言った事ではない。これらの問題も大変残念ではあるが、ある種の結果論である。勝ち負けは相手のある話だし、赤字にしても日本サッカー協会は営利企業ではなく出資者に利益還元をする使命がある訳ではないのだから、キャッシュフローが決定的に破綻しないと言う前提においては、決定的な罪とは言えないだろう(とは言え反省をしてもらう必要は当然あるのだが)。
 私が指摘する深刻な問題点は、「解決すべき問題の多くが放置され、さらに対応が硬直化している事」だ。
 
 例えば完全に破綻している日程問題を放置している事。
 今年も来年もワールドカップ予選は2月から始まる。既に現在の代表選手は、非常に短いオフしか許されずプレイを続けている。そして、秋にはJリーグ、アジアチャンピオンズカップ、そしてワールドカップ予選と、次々に重要な試合が錯綜する。
 本件に関して、最近2つ驚いた、と言うかあきれた事がある。
 1つはアジアカップ予選が来年1月に行われる事だ。AFCが何を言おうが、日本や韓国では1月はオフであり、選手を休ませるべき時なのだ。2月に試合があるのと、1月に試合がある意味は全く異なる。もちろんアジアの日程は、各国の事情を整理しながら決められるのは当然であり、日本の都合どおりにならないのは当然である。しかし、既に今年の天皇杯の日程までガッチリ固まっている日本サッカー界は、どうやっても対応できないではないか。元々、これらのアジアカップ予選にA代表選手ではなく若手選手を起用するのは規定路線だったろうが、ではその若手Jリーガたちはいつ休むのか。
 この(日本から見たら)滅茶苦茶な日程に対して日本協会首脳は、事前にどのような予防線をはっていたのだろうか。またどうして日程発表後に日本協会首脳は不満を公式に発言しないのだろうか。
 もう1つはやや前のニュースだが、将来のJリーグ構想が発表された。それによると、J2を22チーム、J1を18チームを上限にすると言う。この破綻している日程を改善する方策はJ1のチーム数を減らすしかない事がどうしてわからないのか。1年間は365日、52週、12ヶ月しかない。限られた日程で全ての試合をこなすために採る手段は明確なはずだ。
 日程問題を解決するのは容易ではない。上記のようにJ1のチーム数を減らすとか、天皇杯の日程を見直すとか、シーズン制を見直すと(と言って日本の豪雪地では1,2月のリーグ戦実施は不可能だ)、一部のスポンサとの契約とか、アジアの他国のシーズンの横にらみとか、幾多の問題がある。したがって、1,2年で解決できる問題ではない。しかし、だからと言って放置し続けては永久に解決しない。結果的には日本のサッカー界にとって最も大切な資産である有力選手が疲弊してしまう。
 それなのに、アジアの日程はどんどんと悪化するのを放置し、リーグ戦の将来像検討でトップリーグのチーム数削減が議論されないのは、もはや凡人の理解の範疇の外である。問題を解決できないのは仕方がないかもしれない、しかし問題を解決しようとしていない事、あるいは問題を把握できていない事は極めて深刻である。

 このように日本協会の意思決定力が極端に落ちている事は本件に限った事ではない。

 我那覇のドーピング濡れ衣事件(第三者機関から完全に無題だったと最終判定された事、我那覇の「クロ」誤判定を行った際の判定基準そのものの運用不適切を指摘されたのだから「濡れ衣」と言う表現が妥当だろう)は、そこに至る進捗も最終結論もおそまつだったが、最終判定後の対応の稚拙さと言ったらなかった。最終判定後の日本協会(担当はJリーグと言う事になるが、事実上の判定部門は日本協会と捉えるべきだろう、何故ならば問題発生時に日本協会は、Jリーグとフロンターレ(あるいは我那覇)との仲裁には立たず、完全にJリーグ支持に回ったのだから)の振る舞いを見る限り、負ける事を想定した準備(態度や発言や対応策)が全くなされていなかったようだが、公的な組織としては情けない限りの事だ。もし負けないと思っていたのだとしたら、それはそれで相当なものだが。

 先日の浦和スタジアムの乱闘事件の収拾策もあいまいなままだ。ガンバサイドは当該サポータの永久追放を発表するなど、明確な対応をしているが、もう1つレッズの動きは見えない。レッズがどのような対応を取るべきかどうかは、本稿とは直接関係ないのでここでは意見を控えるが、あれだけの大事になったのだから、両クラブに任せるのではなく、日本協会が主導して事態の収拾にあたるべきだろう。けれども、日本協会は試合直後を除いて明確な動きをせず、ただ傍観しているようにしか見えない。

 審判問題への対応も疑問が多い。建前的に審判の権威を守ろうとして「あたかも100%審判はミスをしない」と言う態度を取るものだから、議論に無理が生じるのだ。どんな審判でも間違いはあるものだ、それを認めないものだから、議論が噛み合わなくなる。そして形骸的な対応を連続するものだから、結果的に日々真摯な努力を積んでいる優秀で士気も高い審判の方々が、周囲から貶められる事になっている。

 これだけの問題が放置されているのを大変な責務と見るか、今まで放置されていたのだから成果を出すのが簡単と見るかは、人それぞれだろうけれど。
posted by 武藤文雄 at 23:19| Comment(15) | TrackBack(1) | サッカー一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日程問題は仕方ないのではないでしょうか。一部18チームは他国のリーグと比べてもそれほど多いとは思いませんし、ACLの日程は初期と比べてかなり改善されたのではないでしょうか。
それよりも必要なのはターンオーバーを認めるもしくは黙認することでしょう。昨季の川崎Fへの糾弾は理解できませんでした。当然興行的な損失はあるかもしれませんがそれは各クラブが自己責任で負うべきだと思います。
次期JFA会長の柔軟な対応を望みます。
Posted by オフトジャパンからサッカーを見始めた若造 at 2008年07月10日 00:07
じゃ、代表を見捨てましょうかw
Posted by at 2008年07月10日 00:22
だからこの勢いを「青メガネ」に向けろって。w
Posted by at 2008年07月10日 00:46
馬鹿だな。ガンバの実行犯は常習者。今までも何度も他クラブとトラブル起こしてその度表向き出入り禁止になっててすぐ復活。そんなの有名な話だよ。クラブ側が彼らに応援用具貸し出してるんだし。浦和戦の次の試合も普通に観戦してたよ。知ったかぶりせず事情をよく調べてから書いたらいいのに。浦和側も対応を発表してるし。
Posted by 報道鵜呑みさんなんだね at 2008年07月10日 05:13
武藤さんのおっしゃるとおりです。
ただ、一度増やしたチーム数を減らすのは、かなり大変だと思います。
公務員と同じようなもんですね。

でも、本気で向き合ってもらいたいと切に願うばかりです。
日程問題を解決するには、トップリーグの参加チーム数を減らす以外にありませんから。

あと個人的には、会長の公選制をなんとか実現してほしい・・・
Posted by 山口 at 2008年07月10日 08:54
チーム数減らさないならナビスコのグループリーグ廃止してノックアウト方式でやったらいいんじゃないかと。ホームアンドアウェイにしても日程は少しは楽になる
Posted by at 2008年07月10日 09:12
チーム数は18で良いのでは?
その代わりナビスコは「暗黙」の若手お試しカップにする。
いっそのこと「ナビスコフレッシュカップ」と名称変えても良いでしょう。
天皇杯はアマチュアの祭典に。
ACLは決勝以外東西分断(別進行)。

これでかなり解決するのでは?

Posted by at 2008年07月10日 13:55
遠藤という日本の宝をあわよくば2回も失いかけているというのに
どうして協会は学ばないのでしょう。歯痒くて仕方ありません。
日本人のまずいところに、
死人が出ない限り根本的な組織の見直しができないというのがあると思うのですが。
Posted by とし at 2008年07月10日 17:42
あとユニフォームを赤と白を基調にしたものにすべきですね。ジャパンブルー(笑)ですよ。青なんて何にも関係ない。首元の黄色とか舐めてるでしょ。誰なんだ青にしたキチガイは?
Posted by ちくび at 2008年07月10日 18:21
ラグビー日本代表と同じカラーにしてほしいですね。
平尾さんが理事に入ったら是非。
Posted by mm at 2008年07月10日 21:37
思うに、あの困り者の現会長は2002年の就任当初から華々しく目立つ仕事しかやってこなかった気がします。
こういった面倒くさくて地味な仕事は全てスルー、だから私は当時から大嫌いでしたね。
そして残念ながら次期会長にもあまり期待はしていません。
日本サッカーはどうなってしまうのでしょう。
Posted by at 2008年07月10日 23:04
×あわよくば→○あやうく
Posted by at 2008年07月11日 00:14
釜本の追い出しに成功しただけでもたいしたもんだよ。

ほんと良かった。
Posted by at 2008年07月11日 10:32
>ジャパンブルー(笑)
>誰なんだ青にしたキチガイは?

じゃ、イタリアは何で青なの?

東大のライトブルー(京大がダークブルー、ケンブリッジとオックスフォードにならったものという)をそのまま採用したという。(某日本サッカー史研究サイトから)
JFAがちゃんとした調査をしないで、いい加減な説明しかしないから、かくのごとき(笑)やら「キチガイ」呼ばわりがでる。
紅白は、セカンドカラーならいいかもね。ラグビーはセカンドがブルー(紺)だし。
Posted by おやは at 2008年07月14日 00:14
赤は絶対嫌ですね
赤を基調とするユニのイメージって
W杯3位を「購入」したりマルディーニに延髄斬りしたり
無観客試合を演出してくれたりGKにライダーキックしてくれる
とても民度の低い印象しか無いんですよねー。

かといって赤、青、黄の「某学会カラー」と
囁かれてる現ユニもどうかと思いますけど
Posted by カワマー at 2008年07月17日 11:49
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Tracked: 2008-07-13 09:48