2008年07月17日

続反町康治に改めて期待する

 私は、五輪代表監督に就任してからの反町氏のチーム作りには多々疑問を抱き、散々悪態をついてきたが、一方で相応に五輪本大会に期待していた。今回の五輪代表は最前線こそ人材に欠けるきらいはあるが、中盤より後ろの人材は強力な事。東アジア独特の多湿な気候でしかも比較的短期な大会なので、気候に慣れていて体調を整えやすい日本に有利な事(2002年大会でも列強の早期敗退の要因の1つに気候があった、もちろん独特の審判判定もあったけれど)。そして、アルビレックス時代の実績から考えても、反町氏は短期決戦に逆算的にチームを作るのは巧いのではないかとの期待もあった。
 実際、アンゴラ戦、トゥーロン大会、カメルーン戦と、日本の試合振りは悪くなかった。特にただでさえ強かった最終ラインに新たに吉田、森重が加わり、サイドバックの面々は次々にA代表で実績を挙げるなど、後方の選手の充実は中々だった。反町氏も以前のように、2軍3軍を構成して悦にいったり、強力なサイドプレイヤがいるのにその前にFWを3人並べたりする無意味な策を繰り返したり、攻撃が得意な選手を並べて守備的に戦い自ら事態を悪化させるような策を弄する事もなくなってきた。あれほど嫌っていた谷口(この年代の中盤選手では最高の実績を持つ選手と呼んでも過言ではなかろう)を起用するようになったのも納得できる采配だった。もっとも、森本のワントップには感心しなかったが。

 そう思っていた矢先の過日のオーバエージ選考の顛末には大いに失望させられた。オーバエージを使わないのが日本だけとの報道を耳にすると、いよいよ日本協会の不首尾にも、反町氏の無策にもいらだちを感じずにはいられない。繰り返すが、サッカーは経験豊富な選手がいた方がずっと強いチームを作れる競技なのだ。そして、そのような強いチームで上を目指すからこそ、若者達は一層成長する事ができる。そのための準備の拙さにも失望してきたが、諦めの良さには驚きを禁じ得ない。A代表選手を除いても、いくらでもこのチームを強くできそうな選手は多数いるのは再三繰り返した事。例えば、以前も少し触れたが、中田浩二をこのチームに加えると言う手段もあったと思う。
 そして、今回の最終メンバ選考。さらに考え込んでしまった。明らかに攻撃面では華やかさに欠けるメンバ編成。ではリアリズムに徹してとにかく全試合無失点を目指すのかと言うと、そうとも言えない。何とも中途半端なメンバ構成だと感じずにはいられないのだ。

 さすがに青山直晃の不選考には驚いた。このチームの予選突破時点での最大の武器は、西川(負傷離脱の際は山本がよく頑張った)、青山直、水本の強力な守備と、青山直の得点力だったのだが。
 最大6試合戦うレギュレーションの戦いにも関わらず僅か18人登録と言うのがそもそも非常識なのは確か。そして、不思議な事に世代別代表チームというのは、特定のポジションに人材が偏る事がある。今回はそれが最終ラインだった訳だ。枠の少なさから、スペシャリストよりもジェネラリストが優先され、細貝と森重が選ばれ、純粋なセンタバック3人を2人に減らすと言う事になったのだろう。「だったら、今期のJでの実績から、水本を落した方が妥当なのではないか」などの茶々を入れたくはなるけれど。
 もっとも、よい守備者がたくさんいるならば、そのようなタレントを生かし守備を固めるチームを作ると言う方策もありだと思う。たとえば、水本や森重をサイドに回し、A代表サイドバックトリオのいずれかをサイドMFに起用したり、吉田や細貝を中盤の底に並べ徹底して守る策だ。これは奇策と言ってもいいだろう。しかし、アジア予選と違い相当な強い相手に複数回勝とうと言うのだから、それなりの奇策も必要なはずだ。
 けれども、反町氏はそれを好まなかったと言う事だろう。攻守両面の潜在能力は非常に高いが、しばしば消えたり気を抜いたりする悪癖が抜け切れない梶山を選考したのも、「単純に守る気はない」と言う気持ちの現れだろう。

 一方で最前線のメンバを見ると、別な意味でわからなくなる。
 今回のチームは明らかにFWは人材不足気味だ。もっともこの世代がユース時代には、「平山と前田俊介がいたので、日本にはまれなストライカ(FWではなく、ストライカである事に注意)が揃った」とぬか喜びしていたのだが。現状でJでレギュラを獲得していて、このチームで実績があるのは、李忠成くらい。反町氏もここの選考に相当悩んだのだろう。そして、決定的なタレントが少ないためか、逆にFWに4枠使うと言う選択を行ったようだ。
 李忠成は当然の選考、森本は一皮さえむけてくれればボカスカ点を取る雰囲気を持っているのでこれまた当然か。しかし、豊田も岡崎もよい選手だとは思うがこの2人を揃えてメンバに残して、攻撃力が豊かな強力MFを落すとなると、どうにも納得できない。具体的に言えば、梅崎や柏木、あるいは思い切って金崎と言った、実績のある面々の方がよかったのではないかと思うのだ(試合勘の欠如からか切れ味を失った水野は仕方がないだろうが)。もちろん、本田圭と香川は悪くない。しかし、この2人だけで列強の守備ラインを幾試合も続けて破ることができるだろうか。
 もちろん、豊田も岡崎も敢闘精神あふれる戦えるFWだ。技巧派の起用を最小限にして、敢闘型の選手を多数選考するのも一手段だろう。けれども、そうするならば、青山直を残し、梶山を外すなど、「守る」と言う事に徹底したチームを作るべきだったのではないか。

 と、考えれば考えるほど、今回の選考は、どこかで中途半端なものを感じてしまうのだ。オーバエージの混乱と合わせ、反町氏は監督としての自分が最も輝いていたアルビレックス時代の再来を狙い、わざと中途半端で窮屈な選手選考を行ったのではないかとすら思ってしまう。
 しかし、決まった事だ。こうやって講釈を垂れるのはそれはそれで愉しいが、とにかく応援に専念しよう。

 ちょっと話題を変える。
 ここ最近のワールドカップや五輪を思い出してみよう。日本は世界中のいずれの国に対しても、それなりには戦えるのだ。ドイツでは、あれだけチーム全体のコンディションが悪く、監督の交代策が異様だったにも関わらず、豪州を終盤までリードし、クロアチアとは引き分けた。アテネでは、大会に入っても監督がテストを繰り返す信じ難い状況下で、(敗れはしたが)イタリア、パラグアイからたくさん点を取り、敗退決定後にも頑張ってガーナを倒したのだ。ただし、「それなりに戦う」と、「勝ち切る」一歩譲って「守り切る」との差は確かに大きいのだが。
 「マカイのいるオランダに勝てる訳がない」と言うのは、サッカーをしっかりと見ていない人のたわ言に過ぎない(もちろん私だって、簡単に勝てるとは全く思っていないし、負ける確率もそれなりのものだとは思っているよ)。先日、オランダ監督が「よいグループに入れた」と語ったインタビューが話題になったが、よく読むと彼が最も警戒しているのは「会場国に距離が近く気候が似ている」日本だった。
 さすがに、リケルメとメッシがいるアルゼンチン、カカーと(たぶん)ロナウジーニョがいるブラジルに勝つのは相当難しいだろう。けれども、今からコンディショニングを含めたよい準備をして、スカウティングを充実させ、敵の嫌がる事を徹底し、ほんのちょっとの幸運に恵まれれば、ほとんどの国とは相応に戦えるはずだ。安田の意気やよしである。

 五輪予選での主軸選手で、本大会メンバからギリギリで落ちたと言えば、遠藤と啓太が思い起こされる。ここは青山直には、この2人の先輩の後を継ぐ捲土重来を期待したい。いや、選考外になった全ての選手も。勝負はまだまだ先なのだ。
 また、梶山、岡崎、豊田らには大変失礼な表現をさせていただいた。今回の五輪最中に彼らに(そして彼らを選考した反町氏にも)謝罪する機会が来るのを、切に望んでいる。そして、全選手には誇りを持って準備に取り組み、戦い抜いて欲しい。4年前とは違い、活躍さえすればA代表はすぐそこだ。

 上記したが反町氏は、ここから先は、正にアルビレックス時代に得意とした世界に突入する。相対的には決して恵まれない戦闘能力のチームを率い、審判の癖や敵将の性癖を分析し、壁の順番や想定される敵の交代それぞれにまで事細かに指示を行い、自分のインタビューを選手が聞く事まで織り込んだ発言をして、多くのサポータに歓喜を提供し続けた(「した」ではない「し続けた」のだ)あのアルビレックス時代だ。
 よい成績を期待したい。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(13) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オーバーエイジ不使用問題はなんだかスピード社の水着問題みたい。
大人の事情が現場の足を引っ張るのはどこの世界も一緒なんですかねぇ…。
オーバーエイジ不使用という事態が戦う前から選手達にネガティブな影響を与えなければいいな〜と思います。
Posted by salgado at 2008年07月18日 04:25
「実績」と「今の調子」のどちらを取るかというのは代表監督に絶えず付きまとう頭痛の種ですね。
そして「今の調子」では完全に青山より吉田です。
柏木や梅崎は僕も大好きな選手ですがケガであったり所属チームの選手層であったりで継続して試合に出ておらずトップフォームでは無いということ。(金崎は何故選ばれないのか「?」ですが・・・)
長友はオマーン戦までは完全なレギュラだったしね。
トップ4人は「劣勢の状況でいかに点に結びつける仕事ができるか」という選考基準では無いでしょうか?


とはいえ僕も期待してますよ。
根拠は無いですが案外こういう時に限って勝ち進んだりしてwと考えてます。

いいんですよ。我々は無根拠に期待して盛大に裏切られれば。
それが応援団の仕事です。
ニヒルに構えてたって何も楽しくないですしね。

結果が出てから土下座するなり叩くなりすればw
それもまた我々の愉しみでしょう!
Posted by GK20 at 2008年07月18日 08:36
まあ、なんだかんだで結局は悪口かい。w
だからさ、この勢いをあっちの「代表監督」に向けろって。
優先順位、プライオリティーの逆転。
五輪でどうのこうの言ってもねえ。
Posted by at 2008年07月18日 08:59
7/17にカカーの名前を挙げるのはさすがに不勉強すぎやしないですかねぇ。
Posted by at 2008年07月18日 12:43
↑なに? おせーて。
Posted by at 2008年07月18日 15:35
鼻糞カレンより、今の五輪代表FWの方がよっぽど期待がもてるよ
Posted by かか at 2008年07月18日 22:24
ほんと、代表監督の悪口をこれだけ並べて、
どうしてホントの代表監督には遠慮する?

やだね、裏がありそう。
Posted by at 2008年07月19日 04:02
4年間、色々あった
布陣は4-3-3もしくは3-4-3
『水野と家長の両サイドが平山に合わせる』
『守備は伊野波、青山、そして水本で鉄壁』
『中盤は和製ジダンの梶山が支配する!!』
『なんで谷口を選ばないんだ反町もオシムも!!』
『梅崎がA代表選出!!すごい!!』
『安田と内田!!A代表サイドバック!!』
『水野がセルティックへ?!うおおおおおお』
『香川!!次の五輪にも出られる平成ベビー!!』
…色々と妄想できた
4年間、楽しい思いをありがとう
選ばれなかった人の分も頑張ってください
Posted by 352 at 2008年07月19日 10:58
>>大人の事情が現場の足を引っ張る

 事情じゃなくて、単なる反町と協会の準備不足。
 FIFAもオーバーエージは応召義務なしの見解を正式に発表しているんだから、あらかじめきっちりと依頼をおこなっておくべきだったのに、最後の最後になって慌てて動いて墓穴を掘った。
 その事前の根回しも、最高責任者である反町がさっさと候補を絞らないことには動きようがないんだから、結局は反町の準備不足ということだと思うけど。
Posted by at 2008年07月19日 11:58
> 2008年07月18日 08:59

アンタいいかげんにヨソに行けば?
片思いは見苦しいよw
Posted by at 2008年07月19日 23:21
守っても結局はFWが点を取ってくれなきゃ結果は出ないですけどね。
去年のWYみたいに積極的に前に出る守備をしていく方が良いと思います。
セルビアみたいなやり方はユースでは通用しますけど
OAもいる五輪では大して効果は無いでしょうね。
ビッククラブにいる選手はそういう戦いに慣れているし。
Posted by at 2008年07月20日 02:51
オランダ、ナイジェリア、アメリカ。。。

一体、何を期待しろと?
Posted by at 2008年07月20日 02:55
>2008年07月19日 23:21

なんかつらいことあったのか?
Posted by at 2008年07月20日 02:56
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