2008年07月31日

攻撃連携がどこまで完成するか

 あの豪雨だし、「82分でおしまい」と言う判断に不満はない。あの時間帯は、閃光と轟音の時間差はかなり小さくなっていたし、何より真上から雷鳴が轟き始めていたし、結構危ない雰囲気が漂っていた。また、そこまでの双方の攻防も存分に満足できる価値があり、82分間経過時点で4000円の投資に対しては、既に十分なリターンも得ていた(事情があって、珍しく指定席だったのです)。しかし、先制後しっかりと試合をクローズしに来ているアルゼンチンに対し、香川がどこまで抵抗できるのかは見たかったと言う残念な思いも強い。昨日も述べたが、この日ほど彼我の差を少なく感じたアルゼンチン戦はかつてなかった(唯一の例外は98年に俊輔のループで勝った試合だが、あれは先方は必ずしもベストとは言えない編成だった)。それだけに、クローズ体制に入ったアルゼンチンでも、それなりに慌てさせられないかと、淡い期待を抱いていたのだ。あの10年前のトゥルーズ(ああ、あれから10年経ったのか)でさえ、最後の15分間は井原が最後の力を振り絞ってラインを上げ、中田を軸に攻勢をかけ、決定機とは言わずとも好機を複数回掴んだのだから。さすがに水本や森重では当時の井原とは比較にすらならないが、香川を当時の中田と比べるのは構わないだろう。
 まあ、いいや。「サッカーの神の『北京本大会での再対決にとっておくべし』との思し召し」と考えよう。

 守備について。
 まず遅攻への対応。マスケラーノとガゴにあれだけ高速に展開されれば、どんなチームだって押し込まれる事は覚悟しなければならない。さらにトップの動きも狡猾ゆえ、どうしてもその間隙に入り込むリケルメが前を向いてプレイ可能になってしまう。それでも本田拓(不用意なファウルをしたり軽率に当たる悪癖は随分と減ってきた)は、よくコースを限定。過去再三突然消える事で他選手に多大な負担をかけていた梶山も中盤でそれなりにはアルゼンチンの攻撃を「切る」事に成功していた。豪州戦で課題だった組織的中盤守備はまた改善されたと言ってよいだろう。
 ただし、内田は幾度も内側に絞り過ぎ、ディマリアを外側でフリーにしてしまった。もうちょっと外側で粘って欲しいところ。これは内田の悪癖で、たとえば2月の東アジア選手権の韓国戦でもこれで先制を許している。攻撃がよかっただけに、守備にもう一工夫欲しい。
 逆サイドの安田は、アグエロの圧力によく耐えた。ただ、そこでアグエロが突破を断念し、後方にサポートするガゴに下げると、昨日嘆いたようにここでのトラップが超正確で、本田拓が止めに行く間もなく展開されてしまう。これはもうどうしようもない。
 ただし、西川を含めた真ん中の3人は、そこから見事な反発力で、執拗な攻撃を凌ぎ切った。
 残りの準備期間で中盤守備の組織化はより推進されるだろうから、「守りを固める」モードに入れば、そう容易には失点しない守備網が構築できそうだ。

 速攻への対応もよかった。アルゼンチンの高速ドリブルに対し、どの選手も的確なディレイをして、破綻を防いでいた。中でも森重の落ち着いた対応は素晴らしかった。吉田と合わせ、これだけの守備タレントをベンチに置くのはもったいないから、森重を中盤に上げて使ったらどうかと真剣に思ったのだが。水本はすっかり一時期の不振を脱し主将なので固定されると仮定しての事だが。
 失点は完全に個による力負け。アグエロのターン(ちょっとハンドっぽかったが)だが、あれは読んでくれよ、水本。ディマリアの抜け出しに敢え無く抜かれた安田も、もう少し身体を張って欲しかった。安田が本当の意味で大成するためには、縦への技術と共に相当な「ファイト」を前面に出す選手になる必要があるはず。あそこは、全身を横に倒して、顔面を使ってでも止めてくれ。たとえば、韓国の金致佑ならきっと止めたぜ。
 そのちょっと前、香川が巧いドリブルで(たぶん)マスケラーノを外し、そのボールを奪い取るようにして打った本田圭のミドルシュートがバーを叩いた。何となく、この場面以降日本選手に「行けるのではないか」と欲が出て、梶山より前の選手が皆妙に前掛りになったように見えた。そうしたら、ドンと逆襲速攻で崩されちゃった訳なのだが、あそこで我慢するのは若い選手には難しいのか。いや、この場面の経験で、2度とヘマはしないと前向きに考えよう。
 全くの戯言だが、失点場面直前に内田の攻撃参加を、かなり激しいタックルで止めたのはディマリアだった(と思う、このあたり、雨でだいぶ遠目が苦しくなっていた)。2枚目の黄色が出てもいいくらいの厳しいタックルだった。これが勝負のアヤと言うものだろうな。

 攻撃について。
 守備でもよく闘った梶山が、攻撃でも妙な欲を出さずにしかも消える事なく、香川と本田圭を前に向かせる事に専念し、いい起点となっていた。梶山については別に講釈を垂れたいと思う。
 そして、香川が前を向いてボールを持てれば、相当の頻度で攻め込む事に成功した。中でも内田の突破は前に出るタイミングが絶妙でアルゼンチンの左サイドのモンソンとディマリアを悩ませた。そして、セットプレイになると本田圭のクセ球が活きる。ちょっとの幸運があれば、日本が先に点を取ってもおかしくない、とまで言うと言い過ぎだな、日本が先に点を取る可能性もある展開となった。
 ただし、ペナルティエリアの中に入ると、いささか厳しい。強力センタバックに対し、技術でもスピードでも崩し切れなかった。考えてみれば、内田も突破までは進めたが、決定的なクロスを上げた訳ではなかった。日本の決定機はいずれも本田圭のキック絡み。
 とにかく残りの日々で、連携と共通認識を高め、各自の判断力に期待する事につきるだろう。たとえば、左サイドで香川との連携でうまくフリーになった安田がカーブをかけたセンタリングを上げたが、敵陣前には豊田しかいない場面があった。受け手は「香川と安田を信じて上がらなければならない」と言う意味では連携の向上が必要だし、安田は「瞬時の判断にもっと磨きをかけて欲しい」と言う意味では判断力に課題が残る場面だった。

 ここまでの経緯は別として、4年前に比べれば、監督が大会までにチームを完成させようとしているだけ、期待が持てそうに思えてきた。
 
余談その1
(モンソン)
 左バックをやっていたモンソンは90年ワールドカップで活躍し、決勝で退場になったDFモンソンに雰囲気が似ていたと思うのですが、親子なのでしょうか。全く無関係なのでしょうか。誰か知っている人がいたら教えてください。

余談その2
(猛暑期の雨対応について)
 暑い盛りの試合ゆえ、上下の雨合羽を持参しなかった(あんなのを身につけたら脱水症状を起こしてしまう季節だ)。そのため傘とビニールの膝掛けと言う軽対応しかなかったため、特に下半身がそこそこ濡れてしまった。本業帰りの観戦だったため、靴やズボンへのダメージは避けたいところだったのだが(大きなビニール袋を2セット持っていたので、PCや書類を入れた本皮の鞄の完全保護には成功)。今後日本の亜熱帯化が進むと思われるが(これとシーズン制の議論は別ね(笑))、猛暑期の下半身対応(こう書くと何か危ない)に課題が残った一戦だった。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(10) | TrackBack(0) | 五輪 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
アルゼンチンはラベッシがハズレだったので結構せめあぐんでました。
ディマリアはスタメンを奪取するために必死だったんじゃないでしょうか。
メッシが来るようなので、本番はもうちょっと強いです。

萌が使えなくなったので、梶山はスタメンになるでしょうが
本番はもうちょっと積極性が欲しい所です。
あとは豊田の所に李、安田の所に長友が入るかな?と思いました。

雷雨すごかったです。
夏なので大玉の雨粒になってましたが、アレは雹ですよね。
通路が寿司詰めになってしまったし、屋根が無いのは辛い・・・。
横国だったらあんな事にはならないのに。
Posted by at 2008年08月01日 07:18
梶山も中盤でそれなりにはアルゼンチンの攻撃を「切る」事に成功していた。
守備でもよく闘った梶山が、

途中でニュアンスが変わってますが・・・

明らかに梶山よりも細貝の方がいいと思います。
細貝の怪我は間に合うのでしょうか。
Posted by 。。。。。 at 2008年08月01日 11:37
傘ですか!
昔ながらの観戦方法ですね。
Posted by at 2008年08月01日 12:35
て、スタンドで傘さすなよ
まわりが迷惑なんだよ
いい大人なんだから、基本的な観戦マナーぐらい身につけておくべき
Posted by at 2008年08月02日 10:59
いい大人なんだから、基本的な観戦マナーぐらい身につけておくべき

ってお前知ったかぶてんじゃね〜よ。
だめなら入り口で没収されてるよ。
Posted by at 2008年08月02日 13:44
雷雨で携帯が水没しデータが全て消えてしまいました。
私の鞄は予想以上に防水力が高く、外からの水を完全に弾く代わりに、中に入った水も決して外に逃がさない素材だったようです。
1リットル以上の水を鞄に溜めた私は愚か者でした・・・。

あの日の雷雨は、最後に落とされた選手たちの気持ちがこもった悔し涙雨だったのではないでしょうか。
Posted by gani at 2008年08月02日 19:33
>>だめなら入り口で没収されてるよ。

 実力行使されないと、やるべきか、やるべきでないかの判断がつかないとはw。
 マナー、思いやりってのはそんなもんじゃないと思うが。
Posted by at 2008年08月02日 20:17
ご指摘どおり、確かに誤解を招く表現でした。競技場での傘の取り扱いは慎重を要します。今回は後方の人が早々に退散したので、比較的楽でしたが。
いずれにしても、競技場での傘は難しいですね。
Posted by 武藤 at 2008年08月02日 22:24
>だめなら入り口で没収されてるよ。

マナーの意味を知らんわけだ。w
Posted by at 2008年08月03日 08:12
90年の代表のモンソン(pedro damian monzon)と今の五輪代表のモンソン(fabian luciano monzon)ですが、スペイン語のウィキペディア等を見た限りでは特に親子という記述はありませんでした。
Posted by at 2008年08月03日 13:06
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