2008年11月26日

都並監督解任に思う

 横浜FCが都並監督の解任を発表した。
 この人についてはあまりに思い入れが深く、過去も随分と書いてきた。簡単におさらい。
 まずこの男は私とほぼ同年代。先方は私の事をもちろん知らないだろうが、読売ユース時代からのエリート選手である選手都並は高校時代から有名だった。また、高校時代の友人が国体で手合わせをして「すごい選手だ」と語っていたのも忘れ難い。
 日本代表選手として3回も世界大会にあと一歩まで行って涙を飲んだ実績。これは自慢話だが、私はその悲劇の試合を3つとも現場で体験している、ちなみに3度目は都並選手は負傷離脱でベンチにいたのだが。
 そして、ベガルタの監督として。監督時代のあれこれについてはこの3つエントリまとめた。特に最初のエントリでは、監督としての奮闘振りへのリンクもたくさん貼っているので、興味があればどうぞ。まあ、それにしても世界サッカー史にも稀なる数学的ミスまで堪能させていた訳だが。
 そして、その後のセレッソ監督更迭前後、横浜FC監督就任後などにも、都度感想を書いてきた。何と言おうが、「とても気になるサッカー人」であるには違いないのだ。
 そして、今回の解任報道直前の試合まで生観戦する事ができた訳だ。

 先日ベガルタは都並氏率いる横浜FCに悔しい引き分けを演じたのだが、久々に見た都並氏のチームは「いかにも」と言う印象を提供してくれた。
 4人ずつのDF、MFで後方を固め、激しいプレスで敵MFの動きを厳しく押える。常に先手を許したベガルタは、エースの梁への厳しいマークがあった事もあり、上滑りの無理なパスを狙うばかりで、完全に攻めあぐんだ。この組織的で分厚い守備は、05年のベガルタのリーグ戦終盤の好調時代を思い出させてくれた。ただ、後半立ち上がりと終了間際にベガルタに出し抜かれた勝負弱さは気になったが。
 一方で横浜FCの攻撃には感心しなかった。御給と難波の2トップはなかなか強力だし、運動量は落ちてきているが三浦淳もいる。しかし、せっかくよい場所でボールを奪っても、攻撃が分厚くないのだ。後方からの選手の連動はしっかりしているが、追い越しの動きが少ない。2点もやられたチームのサポータが言うのも何だが、当方のDFのミスがなければペースは掴まれているが失点の怖れは少ないように感じた。実はこれも05年のベガルタと同じ印象なのだ。もっとも、当時のベガルタは大黒柱のシルビーニョがいたので、今年の横浜FCよりは勝負ところでの得点力があり、J2上位に行けたのだが。
 
 たしかに、これまでの都並氏の監督経歴はいずれも「J1昇格」と相当難しい結果を期待されてのものだった。しかし、昨年セレッソを早々に更迭された時はスタートダッシュ失敗、今年の横浜FCでの解任は攻撃力不足と、ベガルタ時代の失敗を再現しているように思えるのだが。
 都並氏としては、おそらく守備の分厚く少ないチャンスを拾える堅実なチームを作る事がJ2突破の要因と考えているのだろう。しかし都並氏は、三浦俊也氏のように徹底した守備固めまでは行わず、松田浩氏のように組織的な攻め込みは狙わず、石崎信弘氏のようにチーム全体の敢闘精神を高める事もせず、小林伸二氏のように選手の特長を引き出した攻撃も作ろうとしていない。
 そして、都並氏がこれらの名将達より間違いなく優れている事は「選手としての格段の実績」。「これは監督の能力評価と言う意味では長所にはならない」との向きもあろうが、セレッソの監督であれば香川や柿谷のような逸材の精神的な面での指導で活かせる可能性があったようにも思えたのだが、今となっては詮無きこと。

 3度目の失敗となった都並氏の挑戦。「次」は彼に訪れてくれるのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(4) | TrackBack(1) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
横浜FCは都並氏と3年契約を結びました。
なので都並氏はクラブと話し合って中長期的にチームを育成して行く指導していたたのですが、クラブは結果が出ていないと解任。
セレッソを解任された時もそうでした。
クラブと話し合って若手の育成をして行く指導(あえて外国人枠もフルに使わず)をしていたのですが、クラブはこのままではJ1昇格に届かないと解任。
率直に言ってどちらのクラブもJ1昇格を目指すには戦力的にどうかと思うので、フロントが監督にのみに責任を押し付けているようにも見受けられます。
まあもちろん育てながら勝てる名将もいるでしょうけれど。
これまでと違った環境の、J2下位チームやもう一つ下のカテゴリーで都並氏が率いたらどうなるか見てみたいですね。
Posted by at 2008年11月27日 02:04
都並氏が見切られるのは、大筋を読まず、選手寄りの仕事に終始し、
出している結果が、「上」を納得させらないから。

選手ウケばかり狙って、「プロクラブ」が進むべき道を見誤る。
結果、多くの選手に「損」をさせる。

サッカーの世界に限ったことじゃありません。

現場のウケに終始して、結局会社同士の競争に負ける。
結果、ボーナスを増額させてあげられない管理職。
フツーのサラリーマン社会だって、フツーにある姿です。

選んだ職業は「サッカーの監督」。それもプロクラブのトップチーム。
誤解を恐れずに例えれば、取締役じゃなく
「会社のコアビジネスのプロジェクトリーダー」

大きな予算をつけてもらって、受け取るのは漠然とした指示。
先読み能力が無い、単なる宴会部長的親分肌ではやってられません。


都並さんの明るいキャラは大好きですし、仙台時代の印象も、シーズン
中盤までは応援してました。ホントに。
武藤さんが見てきた通り、チームの選手であれば、最高の「メンバー」で
あることは間違い無いのでしょう。

武藤さんはお優しいので「新しい芽の発掘」という才能に期待をされて
いる様子。・・・でも、新しい芽のために、摘まれてしまう蕾が多かったことも
忘れないでいただきたい。


ピッチでの栄光、錚々たるキャリアを捨てたキャラを作れば、監督として
復活の芽もあるでしょうが、現状では、地味な苦労をわざわざしないほうが
良いのでは・・と思います。

あれだけの実績とキャラクターです。
TVなどの「光の差す場所だけ」で活動されたほうが、サッカー界の為になるのでは?
と考えます。
Posted by 吉田@仙台 at 2008年11月27日 11:44
「コアビジネスのプロジェクトリーダー」というのはうまい表現ですね。

人間的魅力も必要だけど、プロジェクトを細かいタスクに落とし込む細かさもなきゃいけないですからね。
Posted by げらげら at 2008年11月27日 23:36
武藤さんに犬飼氏について批判、いや講釈して欲しいっす。
Posted by も at 2008年11月28日 09:43
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