2008年12月16日

ベガルタ2009年シーズンに向けて(上)

 あのような試合を終えてまだ3日しか経っていないのだが、ベガルタの人事問題がマスコミで話題になっている。
「頼むから静かにしていてくれ、俺に余韻を愉しませてくれ」
と心底思う。しばらくは目を閉じて、梁や関口や祐樹や富田の奮闘を思い出したいのだ。そうすると松浦の映像も浮かんできてしまうのが悩みではあるが。

 仕方がない事なのだろう。既に日本サッカー界の日程は破綻している。破綻している現状では、私が余韻を浸るよりは、選手達への休息、各クラブが来期の準備を準備する期間、ピッチ上の美を理解できないマスコミが擬似情報をやりとりする事でサッカーに耳目を集める、それらが優先されるのは当然だろう。嫌ならば、私が耳を塞げばいいのだし。
 耳を塞げばいいとわかってても、ついつい口だけは出したくなるのだから、私もこらえ性がないものだとも思うのだが。

 個別人事と言う短期的問題に触れる前に、私が現状のベガルタで最も気になっている事を述べておきたい。それはベガルタユース出身を含めた若手の獲得、育成の問題だ。昨日、「20代前半の非レンタル選手が多数揃い結構な事だ」と述べたが、一方で深刻な問題を感じている。それは、そう言った自前選手が入団以来結構年月が経っている事だ。菅井、広大、田村、富田、関口、中島、中原と言った面々だが、一番若い富田と広大で22歳で4年目。言い換えれば、ここ3シーズンで獲得した新人選手のうち、田村(これらの陣容の中で唯一大卒の2年目、24歳)を除いて、まだ十分な戦力になっていないのだ。無論、選手の獲得手段は新卒に限らない。中島は菅井、中原、田村と同年齢であり、J1トップクラブで目が出きらなかったタレントの移籍による獲得も有力な手段なのだが。
 毎年毎年J1昇格に失敗してきた事、監督をクルクル代え続けてきた事なども、確かに大きな問題ではある。しかし、そう言った短期問題よりも、継続的に優秀な若手選手を獲得(ベガルタユースでの育成と併せ)する事、言い換えるとそのような活動が行える仕組みを確立する事は格段に重要なはず。もっとも「仕組み」と言うのは簡単なのだが、この仕組みの確立は極めて厄介な継続的作業だ。たとえばスカウト、指導陣と言った人的資源であり、選手が能力を伸ばしやすい環境を提供する事でありと、非常に多岐に渡る粘り強い活動なのだから。特にこのオフは、長年ベガルタの若年層育成に貢献してきた内田育成部長がチームを去るとの発表もあり、今後の体制が気になるところだ。
 
 以上述べたように、まずは長期戦略の継続が重要な事を強調したい。既に来期に向けて、レイソルユースの島川獲得の発表や、特別指定選手富山の他チーム入りの報道がなされているが、今後の動きに注目していきたい。
 「そんな悠長な事を考えるより、まず来期のJ1昇格だ!」とお考えの向きがあるかもしれないが、我々は「今期の体制であそこまで行けた事」にもっと自信を持ってよいのではないか。長期戦略の継続と短期の歓喜は、方策さえ過たなければ、決して矛盾しないはずだ。
 と言う事で、短期戦術については、続きで。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
千葉暁弘君や西村光司君など、来年はユースからの昇格組が出てきそうに思います。イタリアからトュミアッティ氏を招聘して地盤を固めた時期を思い起こすと、そろそろ芽が出てもいいですよね。
Posted by タカ at 2008年12月17日 20:59
おっしゃる通りですね。
やはり長期的に戦えるクラブを作るのであれば
下部組織・スカウティングの充実は避けては
通れません。

手倉森氏は去年のサポカンでその辺をしっかり
語っていたので頼もしいと思います。
ただ…内田さんと望月さんが辞められる…
という事で、来期以降はどうなるのかちょっと
心配ではありますが…

Posted by きんかい at 2008年12月17日 21:08
ミもフタも無いですが、雇ってすぐに役立つような選手なら
J1クラブが先に抑えちゃうわけで、ベガルタのような
(J1に比べれば)貧乏クラブにまで即戦力が回って
くるほど、ユース年代の選手層は厚くないということ
じゃないかと思います。ナイジェリアユース世代あたり
までは「若ければ若いほど上手い選手が多い」という
感じでしたけど、今はそんなことないですからね。

意図的かどうかはともかく、「即戦力とは言いがたい選手を
何年もかけてじっくり育てる」のは、それはそれで
ありかもという気がします。現実問題として、ベガルタの
財務状況が劇的に改善される見込みも残念ながらないですし。

もちろん、「雇ってから育てる」じゃなくて「ユースを使って
雇う前に育てる」の方がいいに決まっていますが、
そうなると宮城県全体の育成年代のレベルアップという
問題に突き当たるからなぁ。
Posted by masuda at 2008年12月18日 04:05
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