(追記 2009年1月19日)
多数のコメントありがとうございます。
コメント欄でmasuda氏が指摘されたように、私に事実誤認がありました。プリンスリーグ、高円宮杯では高等学校の生徒でなくても出場できますね。
反論を読ませていただいても、私の意見は変わりません。詳細については別に述べようと思いますので、しばしお待ち下さい。
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高校選手権が行われる季節になると、毎年クラブチーム(特にJクラブユース)と高等学校の強化面での比較が議論される事になる。どちらが強い、どちらが強化に適切か、過去に比べてレベルが低い、将来性を考えると云々等々。まあ、若年層の大会と言うものは「その時点での完成」とは異なった函数で評価されるべき部分もあるから、色々な議論が可能。これらの議論は、直接強化を担当されている日本協会関係者にはとても重要だろうし、我々野次馬にも格好の酒の肴。肴をしゃぶりながら、大迫や中西のこれからを愉しみに思うのは悪くない。
考えてみれば、3年前にも2年前にも似たような講釈を垂れたのだが、今年風の武藤版肴のしゃぶり方を。
ここ数年のJクラブユースが絡む大会、高円宮杯、Jユースカップなど、の充実振りは大したものだと思う。大会への注目も高まっているし、権威も上がってきた。ただし、これら一連の大会でJクラブユースが活躍すればするほど、疑問も覚えてくるのだ。「これじゃあ、高等学校の大会と同じじゃないか」と。何故ならば、両者とも、学齢で高校3年生までの選手同士が試合をしているからだ。
もちろん、Jクラブユースには高等学校にないメリットがある。それは飛び級だ。最近ではガンバの宇佐美が話題になっているが、過去も山口、稲本、市川、阿部ら多くの選手が高校在籍時にJデビューしているし、森本に至っては中学生時点でデビューしている。これは学校チームでは不可能な事で、鹿児島育英館中学校の選手は鹿児島城西高校の公式戦に出られないし、流経大柏高校の選手は流通経済大学の公式戦には出られない。これはJクラブユースの大きなメリットだ。そして、この「飛び級」を含め日本のトップクラブ、日本いや世界のトップを目指そうとする優秀な素材がこちらを選択する大きな理由の1つになっているのだろう。
しかし、サッカー的に見れば、飛び級以外には学齢の上限が同じなので、高等学校のチームとJクラブユースと決定的に違いはない。Jクラブユース選手にしても、残念ながら「飛び級」の機会に恵まれる選手は限られており、多くの選手は同年代との試合に終始するのだし。
と考えれば、「高等学校だけの大会」、「クラブだけの大会」が分離されている事そのものがもったいないではないか。高校選手権のように、これだけ盛大に行われる(投資もされている)壮大なトーナメント戦にクラブチームが参加できないのは、やはりサッカー的見地からは見世物としても強化の件からも面白くない。比較的近い次期にクラブチーム独自の大会が行われている訳だが、(あくまでもサッカー的な見地からは)「一緒にやればいいじゃないか」と言いたくなる。「双方が戦う大会はプリンスリーグや高円宮がある」ではなく「双方が戦う大会はプリンスリーグや高円宮しかない」と考えるのが、サッカー的発想と言うものだ。
もし、「分離した大会があった方がいい」と「サッカーの都合」での反論があれば聞かせて欲しい。誤解されては困るが「高等学校の方が強化、育成の方が適切」とか「色々な強化手段があるべき」が反論にならないのは言うまでもない。多様な強化ルートがある方がよいに決まっているが、切磋琢磨の機会は統合されるべきと言っているのだ。高等学校、Jクラブユース、さらには一般のクラブまでが混在した大会は、テレビ局が相互対立を煽るにも格好ではないか。
たとえば、J1がいる都道府県から複数チーム出られる事にでもして64チーム出場。ついでにグループリーグ方式にして、優勝まで最高8試合消化と言う大会にしても、冬休み直後から始めれば何とかなりそうではないか。
と考えていたら、もっと違う事を考え付いたのでそれは後日。
2009年01月15日
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[etc.]高校サッカー選手権雑感
Excerpt: 地上波で全国的に放送され、高視聴率を取り、決勝では国立が満員になるような国内サッカー大会の一つと考えると、そんな場で優勝する事はJだったら本当に難しい。 福島は何世紀先になるんだろうか、って感じ..
Weblog: あお、きいろ、みどり。な日々。
Tracked: 2009-01-18 01:48
えっと、出られます。出られるはずです。鹿児島育英館中学は
鹿児島城西高校の下部組織として(多分)登録されていますから。
登録は出来ても実際に出場できるかはその選手の実力しだいですが、
一昨年の高円宮杯に青森山田中の選手が青森山田高の選手として
スタメン出場しています。たしか、党首殿のところに観戦記も
残ってるんじゃないかな。静岡学園にも静学中の選手が
登録されていたように思います。要は、JFAにクラブ登録が
認められれば下部組織の選手は起用できるわけです。
岡山湯郷ベルの下部組織として作陽高校女子サッカー部が
登録されているくらいですから、学校名が違うくらいは
クラブ登録の障壁にならないはずです。
ただし、下部組織の選手が出場できるのはJFA及びその下部組織が
主催する大会(プリンスリーグとか高円宮杯ですね)だけで、
高体連や中体連の主催する大会はそれぞれに登録されている
選手しか出場できません。高校選手権は高体連主催の大会で、
中学生に出場資格はないわけです。つまり、高校選手権は
高円宮杯やJユースカップに比べて選手がより制限されている
わけで、対等の大会ではありません。
>もし、「分離した大会があった方がいい」と「サッカーの都合」での反論があれば聞かせて欲しい。
単純な話で、「ユースの出場を認めたら三鷹高校や暁星高校には
ノーチャンスになる」からです。
仮にユースの出場を認めたら、東京都代表はFC東京、ヴェルディ、
三菱養和の3強の独占状態になります。本気でプロ目指して
いる奴らとそうでない連中との差は歴然としてある。
1発勝負なら帝京、成立、脩徳あたりまではチャンスが
回ってくるでしょうが、三鷹だともう無理でしょう。
彼らのような「高校でサッカーを辞める子供たち」に
全国大会への挑戦権を奪うことが若年層の競技者人口に
影響を与えないわけがありません。
武藤さんにとってはサッカーをやっていて世界を目指さない
選手は強化の邪魔に過ぎないのでしょうが、現実には
世界を目指すような選手はよほどの変り種です。
日本みたいな豊かな国で、プロスポーツ選手のような
リスクの多い職業を目指す者が主流になるはずがない
(し、主流にすべきでもない。そんなことしなくても
そこそこの生活が出来る社会を作るのが大人の仕事です)。
すでに、サッカーはエリートのための特殊なスポーツに
なりつつあります。Jユースへの選手の集中によって
「プロを目指すクラブ」と「プロになるには足りない高校」の
差別が進みつつある。高校選手権へのユースの参加は
この傾向を加速させ、高校入学前に選別に敗れた選手たちの
サッカーからの離脱を促すことになるでしょう。
長期的には競技者人口を減らす向きに働くでしょうね。
今回の決勝に出場した3年生のうち、高校を卒業したあとに
サッカーを続ける子は少ないでしょう。(鹿児島という
日本で一番貧乏な県では、これ以上続けられないという
事情もあるでしょうが)そういった「高校で燃え尽きる
選手のための大会」が人気を博しているのは日本サッカーの
ためにもいいことだと思いますよ。彼らの子供たちが、
次の世代の日本サッカーを支えることになるんですから。
気持ちよくサッカーを辞められる環境を提供すべきです。
との自慢をこめて反論を。
ワールドカップやら大陸別選手権に
クラブチームを出しマンUが優勝して、でどうなの?って思いませんか?それと同じ。
作られた理念も目的も違う二種類のチームを混ぜ合わせ戦うのは「然程意味が無い」のです。
「強化」の観点ばかりでなく教育って言うと
青臭いので「思い出作り」の観点からも考え
ねばなりません。おそらく日本最強の高校は
広島の皆実ではなく同県の吉田高校でしょう。
なぜなら吉田高校に入れなかった生徒の集まる
のが皆実高校ですから。おれおちたせn
それにユースからこぼれ落ちた選手の直接の
復讐が高円宮杯であり、間接の復讐が
高校選手権です。今回の皆実高校然り、
セルティックの25番の選手の敗者復活の場
であったのも然り。
武藤さん自身が「やはりサッカー的見地からは見世物としても強化の件からも面白くない。」とお書きになっているように、プレーヤーの視点を欠いていらっしゃいます。むしろ、いろいろな制限のある全国大会がもっとあったほうが、多くの選手に「全国制覇の夢」を与えることになり、プレーヤー(最も積極的なサッカーへの関与)として盛り上がるでしょう。公立高校選手権とか、専門学校選手権とか(もうあるかな?)。野球には定時制高校の選手権もあったような。
大学だと、学部別の全国大会もあって、そこでプレーする選手たちは、プロとは無縁ですが、間違いなく「サッカーファン」です。彼等の子供の中には、サッカー好きのお父さんの影響で、プロを目指す子供もでてくるかもしれません。
裾野のひろがりは、日本のサッカーに良い影響を与えると思います。
>今回の決勝に出場した3年生のうち、高校を卒業したあとにサッカーを続ける子は少ないでしょう。(鹿児島という日本で一番貧乏な県では、これ以上続けられないという事情もあるでしょうが)
の下りに多少憤りを感じてしまいました。考えようによっては、地方蔑視ですし、『日本で一番貧しい県(よりどころも不明)』→『サッカーなんてやってられない』という論旨の展開に関しても『?』です。masudaさんが意図的に鹿児島県関係者を煽ってられるのならそれはそれで結構ですが・・・
まずは高体連の枠組みで選手権の価値を高める施策がいいと思います。
すぐにできそうなものとして、やはりGL化。
このブログからリンクされていた方の案で言えば、
現在の参加48校を4チーム12グループに分け、グループ1位と、各グループ2位のうち上位4チームを合わせた16チームでトーナメントを行うとおう方式は、
会場・審判・スタッフ・資金の確保の面でどのくらいの壁があるのかはわかりませんが、
一考の価値はあると思います。
強豪同士が真剣勝負の場での試合を数多くこなすことが、彼らに経験を与え、弱いといわれる精神面の強化に繋がると見ています。
それが選手・ファンの裾野の拡大に繋がるかはわかりませんが。
>単純な話で、「ユースの出場を認めたら三鷹高校や暁星高校には
>ノーチャンスになる」からです。
青森山田は選手権に12年連続14回目の出場です。
星陵は10年連続19回目の出場です。
ユースの出場関係なくノーチャンスの高校なんて沢山あります。
>すでに、サッカーはエリートのための特殊なスポーツに
>なりつつあります。Jユースへの選手の集中によって
>「プロを目指すクラブ」と「プロになるには足りない高校」の
>差別が進みつつある。高校選手権へのユースの参加は
>この傾向を加速させ、高校入学前に選別に敗れた選手たちの
>サッカーからの離脱を促すことになるでしょう。
高校でサッカーやってるすべての選手がプロを目指してるわけでも
全国を目指してるわけでもありません。
サッカーが好きだからサッカー部に入る選手は沢山います。
選手権に出場しなくてもプロになった選手はいますし
高校時代無名でも大学サッカーで頑張ってプロになった選手はいます。
高校時代プロからオファーがあっても大学に行く選手もいます。
高校での選抜に敗れたからサッカーを辞めるなんて浅はかな人は
貴方みたいな無知な人ぐらいでしょう。
あとユースに行く選手がすべてプロを目指してると勘違いしてませんか?
全寮制の広島ユースにすらプロを目指してない選手はいますよ。
http://j-leaguers.net/special/history2008/file027.html
ここの高校生時代(サンフレッチェ広島ユース)を読んでください。
プロになるためにユースじゃなくサッカー部に入る選手も結構います。
一部のユース以外は強豪校の方が良い環境です。
貴方はユースに幻想を持ちすぎです。
>長期的には競技者人口を減らす向きに働くでしょうね。
>高校を卒業したあとにサッカーを続ける子は少ないでしょう。
>「高校で燃え尽きる選手のための大会」
>気持ちよくサッカーを辞められる環境を提供すべきです。
競技人口のことを考えるなら大学生や社会人になっても
サッカーを続けられる環境を提供すべきでしょ。
何言ってるんですか?
実際のところ仕事をしながら(プロを目指したりといった一定以上のレベル維持した上で)サッカーを続けるというのは難しいと思いますし。
サッカーに関しては一区切りを付けて就職や進学で同じ様に頑張ろうとする事は間違いじゃないと思います。
もちろん草サッカーやフットサルを楽しめる環境を増やす事は必要だと思いますけどね。
メディアのみの頭でっかちになってませんか?
サッカーは地域の社会人や地区のみだけでも楽しい試合はありますので、単純に競技者人口が減るとは思えませんよ。
中学や高校でのサッカー経験者が社会人になってから、また始める事もよくありますしね。
極論だけど国同士のW杯にクラブを出せみたいな感じがする。
そんな事より高円宮杯をもっと注目してもらえる大会にするとかリーグの充実を図るとかそういう努力をした方がいいと思う。
私は
「J1のチームがある県」からは「高校1チーム、クラブ1チーム選出(別予選?)」
という文意かと思いました、武藤さんの意図は分かりませんが。
また、少なくとも学生時代サッカーボールを真剣に追い掛けたという、武藤さんが
「(プロを目指す)エリート以外のサッカー」を、否定しているとは、みじんも思いません。
http://www.salon2002.net/monthly/2008/01.html
http://www.salon2002.net/monthly/2008/01.html
>全寮制の広島ユースにすらプロを目指してない選手はいますよ。
>http://j-leaguers.net/special/history2008/file027.html
>ここの高校生時代(サンフレッチェ広島ユース)を読んでください。
一選手のこのインタビューだけを切り取って話をしないで下さい。
ユースに上がる選手はプロを目指して上がってきます。
しかし3年間という長い生活の中で徐々に考え方が変わり、プロではなく進学め目指したり他の道を模索する選手も出てくる、というのが正しいと思いますよ?
それに母校・地域代表という視聴者の感情の練り込みもあるので、そこにプロを目指すJユースを組み込んだコンテンツとして再編成するのは無理があるかと。ユース側からすれば、育成が主眼であるのだから必要以上に勝利至上主義に巻き込まれたくないのもあるかと思います。
やる側もそれが分かっているから、棲み分けとしてプリンスリーグ・高円宮杯を育てている途中だと思います。それが実質的な高校年代の頂点を争う大会であると認識されれば、今以上に注目が集まりメディアやファンを巻き込んでいくのはないでしょうか。
冬の選手権は現状以上に参加者、主催者、観戦者がwin-win-winのシステムを成立することができれば変わるでしょうが、上記の理由から観戦者だけが得をするシステムにはなり難いと思います。
ユースの参加を認めたら大会自体が違う大会になってしまいます。
日本とスペイン等の欧州を比較すると若年層において、一人当たりの公式戦の経験数が圧倒的に日本は少ないです。
可能な限り全ての選手が週1でリーグ戦を経験できる環境ことこそ、真の強化なのですから。
よく言われる『練習では日本人は巧いが試合ではそれを発揮できない』のは、若年のうちに試合より練習の比率が多いからです。
練習の巧い選手より、サッカーの巧い選手を育てるためには例えばリーグ戦を中心とした改革の方が良いと思います。
切磋琢磨の機会が統合されるのは良いことに決まってる。
ユースと高校チームが戦う団体抗争をテレビで見れるなんて最高じゃん。
て思ってから、『私は常に勉強している。あなた方は〜』てモウリーニョ語録を思い出しました。
実際にサッカーをやってる人が感じることややること、
実際にやってるのを見て楽しむ人が感じることややること、
面白いですね。