2009年02月28日

WBCへの期待と疑問

 WBCが近づきマスコミの盛り上がりも中々のものがある。色々な見方はあろうが、私はWBCを愉しみにしている。
 私は昔から野球の世界選手権の登場を心待ちにしていたのだ。決勝戦で、いわゆる日本らしい野球で合衆国を打ち破ったら、さぞ気持ちがいいだろうなと思いつつ。そう言う意味では、期待していたストーリとは随分違ってはいたが、前回の世界制覇には素直に喜んだものだった(もちろん、サッカー人としての羨望も強くあったけれど)。
 何が愉しいかと言えば、合衆国人と飲んでいる時に野球に話を持っていき、「何はともあれ、俺達は世界チャンピオンだからね。」と語る事。突然話が飛ぶが、以前豪州人とトルコ人と飲んでいた時に、ワールドカップの話になり、双方から「そう言えばワールドカップでお前らを」と突っ込まれ「シュン」としたのは、これはこれで実に心地よい思い出だ、やはりサッカーの方が格段にグローバルだな。
 コメント欄で、マスコミのWBCへの取り上げ方に苦言を呈した方が複数名いらっしゃった。そのような思いは私にもある。けれども、仕方がないではないか。その程度のマスコミしか我々は所有していないのだ。少しずつ改善していく事は必要だし、努力していくべきだろうが、現状は現状。マスコミ云々はさておき、私は素直にタフな国際試合を愉しむ方が、格段にトクだと思っている。

 戯言はさておき、第2回に向けて素人なりの素朴な疑問、感想を3点(もちろん以降もまた戯言だけれども)。

 まず前回も述べたが松井秀樹の不在が残念。誤解しないで欲しいが、私は松井を非難する気持ちは一切ない。特に今回は負傷上がりだった事もあり、やむを得なかったのだろう。しかしながら、日本野球史に残るこのスーパースターが現役時代に2回もあった世界選手権に出場できなかった事は非常に残念に思えてならない。稲葉も村田ももちろんいい。しかし、イチローと松井が競演する国際試合を1度は見たかったではないか。これはON砲時代に幼少を過ごした中年男のノスタルジアかもしれないが。

 2つ目は大観衆に公開する練習の是非。一部のスポーツ新聞に本件に関して、報道陣にも練習を公開しない岡田氏率いるサッカー代表を揶揄する文章まで掲載された。そのような浅薄な議論はさておき、素人ながら野球代表は大丈夫なのか心配になる。野球のトップチーム(と言うよりはトップ中のトップだな)が臨む国際試合。守備連携の強化、攻守いずれものサインプレイなど、確認し習熟する必要がある事項は無数にあるはずだ。そして、そのような鍛錬は見て面白いものではなく、一般観衆への公開とはなじまないものように思うのだが。ごく限られた強化期間なのに、大観衆下でそのような集中的な鍛錬は難しくなかったのだろうか。ファンサービス、金儲け、いずれも重要だが、WBCの連覇の方がもっと重要ではないか(その方がよりレベルの高いファンサービスだし、より多くの金儲けにつながるように思うのだが)。もっとも、そのような厳しくレベルの高い鍛錬はしっかり行われたが、マスコミが表層的な報道しかしていないために、私が心配しているだけかもしれないが。

 3つ目は強化試合について。先日豪州と強化試合を2試合、大差で勝利した。しかし、豪州には大変失礼だが、戦闘能力差が非常に大きく、実質的な強化になったかは甚だ疑問。戦闘能力と国民の関心と言う視点からは、野球代表にとっての豪州は、サッカー代表におけるフィリピンなり台湾のようなものだろう(もっとも、アテネで中畑氏率いる野球日本代表は豪州に負けたのだったな)。マスコミによる景気付けにはちょうどよいかもしれないが、実質的な強化に役立ったとは思えない。
 せめて(サッカーにおける)タイやインドネシアのようなチームとやれれば、状況は飛躍的に改善するのだろうが、残念な事に野球にはそのようなチームはない。タイっぽい感じがする台湾、バーレーンっぽい感じがする韓国は、予選の当該対戦国。まあ、1次ラウンドで台湾や韓国のように骨っぽい相手と戦い強化しながら、ファイナルで合衆国、プエルトリコ、ドミニカと言った強豪と戦おうとするのが現実的なのだろう。
 と書いていたら、今日はライオンズに苦杯。結果は感心したものではないが、本番に向けてはよい準備となったのではなかろうか。
 もっとも、有料準備試合でこんな事態になったら、サッカーだったら大騒ぎになるだろうが、野球はどうなのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:50| Comment(3) | TrackBack(0) | サッカー外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も野球とサッカー、両者共に見るのは好きです。
野球の練習ってあんなもんでしょう(笑)。細かいサインプレーの練習などは室内練習場でやってますし。
それにしても、前回WBCをアメリカが初めてブチ上げた時、
日本球界とマスコミが揃って「ハア?何言ってんだ?」の論調だった事を思い出します。
それも今は昔で、ノリやすい国民性とマスコミの迎合性は、
サッカーでも味合わされてきた事だからか、少し引いた目で見てしまう自分もいますね。
Posted by とし at 2009年03月01日 07:17
武藤さん一流の、皮肉をも込めた「期待」だと受け止めました(笑)
確かに、マスコミの滑稽さをも含めた所で冷やかし半分で見るのもそれはそれで面白いかもしれませんね。

公開練習の件で岡田監督(というかサッカーでは当たり前のやり方)を引き合いに出したという話は、驚きというか、凄いですね…。それを書いた記者は、少なくともWBCが、サッカーのW杯と同等かそれ以上の大会だと本気で思い込んでるんでしょうから。野球を愛する余りサッカーが憎いのかはたまたただの無知か…。マスコミ人としての羞恥心の欠片も無い人間を放置せざるを得ないほど、今のマスコミは追い詰められているんですね。
Posted by たーち at 2009年03月01日 14:09
ひとつふたつ負けても、いちいち騒がないイタリア、決勝トーナメントに入らないと盛り上がらないイタリア。
野球に関しては、日本も、サッカーのイタリアのように見られる空気はあるかもしれないです。

Posted by 徒然 at 2009年03月02日 00:15
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