今節の日本勢は何と4戦4勝。考えてみれば、第1節が3勝1敗、第2節が2勝2分け、前節も3勝1分けと過去毎節とも結構景気はよかったが、全勝と言う響きはいっそうの趣があるな。
アントラーズは、シンガポール国防軍にホームで快勝。敵地で苦戦しながらも1度手あわせてしている相手とのホームでの再戦、さすがにヘマはなかった。
やはりこのクラブで気になるのは選手の体調。そして疑問なのは内田の酷使、途中交代したがあまり調子がいいように見えなかった。この日の相手に内田をスタメン起用する必要があったのだろうか。勝負は今週末以降のJリーグであり、5月5日の水原三星戦のはずなのだが。いずれにしても、水原戦は何とも面白いタイトルマッチになりそう、ACL1次ラウンド屈指の大勝負になる(祝日だし現地に行こうかな、いいドライブだし)。
ガンバは高温多湿の敵地で堅実に勝利し、早くも2次ラウンド出場を確定した。
スリウィジャヤの中途半端な対応は疑問。守るならば、万博の試合のようにしっかりと引く時は引くべきし、ホームの利点を活かし攻めるならば、もっと前に人をかけるべきだった。レアンドロの先制弾も、スリウィジャヤが中途半端に出てきたところを、山口が見事に裏を突いたのが奏功したもの。
一方、西野氏の(遠藤の)バイタルエリアのスペースを空ける算段が見事だった。ハーフウェイラインを越えたあたりで遠藤自らはウロウロと動き敵を引き出しておいて、バイタルエリア手前の橋本、佐々木、寺田の3人に1度ボールを預け、リターンを受けるや外に走り出させる。そこで外へ開く選手に敵が付いて行くところで、第3、第4の選手がバイタルエリアを狙う。そこに遠藤が絶妙なパス。そのため、前半早々から佐々木なり寺田なりが再三フリーで前を向いた状態で(この2人の成長はまことにめでたい)仕掛けを狙う事ができていた。。そうこうしているうちに、前半終了間際の分厚い攻めから佐々木が2点目を上げ、勝負を決めた。
アナウンサと解説者が「スリウィジャヤは諦めていない」、「この高温下では早く3点差にしないと危ない」など、ありもしない危険を一生懸命煽っていたが、ガンバの選手はあわてずに試合をクローズした。万博で大差が付いてもスリウィジャヤは諦めずに丁寧な守備を継続したではないか。ホームで2点差になろうとも、彼らがホームで諦めないのは当然だろう。それをわかっているガンバが冷静にボールを回して時計を進めているのだ。アナウンサはさておき、解説者があそこまで不的確な認識を語るのはいかがなものか。
それにしても、守備固めの時間に遠藤に代えて休養十分の明神が出てくるのだから豪華なものだ。この選手層下で、西野氏にユナイテッドに臨んで欲しかったな。って、今年も拡大トヨタカップに出ればいいのか。
一方で豪州勢と戦ったフロンターレとグランパスは似た印象の試合を戦った。攻勢を取り、頑健で結構ラフな敵守備に苦労しながら先制し、終盤にやや不運に危ない場面をつかまれ、結局振り切り堂々の勝ち点3。
敵地であれ以上考えられない勝利を飾ったフロンターレは、豪雨の等々力にマリナーズを迎えた。名誉挽回の気持ちもあったのだろう、マリナーズはオーストラリアンフットボールを思わせる激しい当たりをしてきた。中国のように日本選手の身体を狙ってくるのとは異なり、マリナーズの選手は何も考えずに当たってくる。毎回傷つくわけではないから、接触直後もフロンターレ選手は持ちこたえる事もあり、主審は笛を吹かない。この、いいかげんな主審判断に、フロンターレは結構悩まされた。
それでも憲剛とジュニーニョを軸に攻勢を取り、後半立ち上がりに先制。オフサイドトラップのかけ損ねから交通事故のような同点弾を許したが、交代出場のレナチーニョの決勝点で突き放した。ここ最近あまり機能していなかったレナチーニョの得点で、難しい試合に勝利したのは大きいのではないか。
2年前同様、比較的楽に2次トーナメント進出を決めたフロンターレ。まずは残り2試合を大事に戦い、1位抜けを狙いたいところだ。
ホームでは非常に内容の悪い試合でかろうじて引き分けたグランパス。敵地での再戦に、ピクシーも3DF採用、隼磨の代わりに竹内を起用するなど動いてきた。選手達も「勝負どころ」と認識していたのだろう、
開始早々に複数回危ない場面があったが、以降は前節とは見違えるほどよい出足を見せ攻勢に立つ。しかし、前半はマギヌンがラフプレイで壊されるなどもあり無得点(マギヌンを壊したベンジャミンは極めて悪質なタックル、退場が妥当だと思った、ベンジャミンはその後も中村直志を蹴っ飛ばすなど複数回退場になってもおかしくない大暴れ)。
しかし、マギヌンと交代で出た杉本が、右サイドから再三強引に縦に切り裂くプレイを見せ少しずつ好機が増える。決勝点は敵のミスパスを巧く拾った竹内が杉本につなぎ、杉本の縦突破からのクロスを、ファーから入り込んだ小川が決めたもの。竹内の抜擢に加え、不運な負傷交代の杉本がキーになるあたりは、運を含めピクシーの采配がズバリ。
その後のPK。試合後に楢崎も語ったと言うが、キッカーのペトロフスキは疲れ切った表情で覇気も感じられなかった。あれでは、楢崎は破れる訳がない、蹴る前から勝負がついていたようなもの。この楢崎のPKストップのような好プレイ1つ1つが、日本サッカーのアジアでの存在感を高めていく。
フロンターレもグランパスも、攻勢を取りながらも敵守備陣の激しい当たりに悩んでいた。豪州の選手は頑健だから、どうしてもゴール前の競り合いで破り切れない事が多い。このような「単純な強さ」に対し、判断力や技巧でどう打ち破るか。
終盤迎えた苦境、フロンターレの交通事故失点、グランパスのPK提供。先制し、丁寧にボールをキープしながらも、Jのトップチームが一瞬の隙で決定機を許してしまう現状。これはこれで結構な反省材料だと思う。
このあたりの日本サッカーの課題が顕在化するのも、タフなアジアのタイトルマッチがゆえなのか。もっとも、その課題を抱えつつも勝ち切ったあたりに、今の日本サッカー、Jの充実を見た。
2009年04月23日
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