2009年05月05日

又々ACLを愉しむ

 アントラーズは地元で水原三星に3−0で快勝。第1節で1−4で完敗した難敵に3点差の熨斗をつけてお返ししたのだから大したものだ。
 序盤からアントラーズは攻めこみ、水原は5DF気味に分厚く守る。後述するが、アントラーズは「勝たなければならない」で、水原は「引き分けで十二分」なのだから当然の展開。ただ、水原の守備が厚いのはわかるが、「守りを固める」にしては中途半端な印象を感じる場面が2回もあった。1つ目はラインの上げ下げが巧くいかないようで、序盤に本山が巧く裏を付く好機が獲得できた事。人数が揃っている状態で、あそこまで簡単に裏を取らせてしまう守備組織の甘さは、このレベルとしては信じられないものだった。2つ目は、中盤で水原が巧くボールを奪い3対3となる絶好機(最後GK曽ケ端が1対1を見事にファインセーブ)の直後、逆にこぼれたボールからアントラーズが速攻を仕掛け4対3になる絶好機に仕返せた事(これはこれで、逆サイドへのボールが短く逸機)。アントラーズの速攻の速さは当然偵察でわかっているだろうに、攻撃から守備の切り替えの遅さが不思議だった。

 小笠原も「水原の守備の甘さ」を感じていたのではないか、自身はあまり無理をせずに後方で冷静にボールを回して試合を作っていた。
 そして、ショートコーナから見事に先制。野沢がマルキーニョスとの連携から速いボールを上げ、敵DFのマークを逃れた大岩が二アサイドで見事に合わせた。大ベテランが欠場した守備の中核岩政の穴を埋める以上の大仕事をやってのけた(直前の接触プレイで上半身を痛めていたようにも見え、心配させられたのだが)。
 2点目は完全に崩した見事な攻撃。左からのサイドチェンジで小笠原と内田で数的優位を作ったところで勝負あり。内田の追い越しから完全にフリーになった小笠原が狙い済ましたグラウンダの速いボールを入れ、敵DFが処理しきれず最後はマルキーニョスが体勢を崩しながら押し込んだ。余談ながら、この日も内田は低調。よほど疲労がたまっているのか、有効な攻撃も少なく、守備も不安定で危ない場面を作られていた。あれだけ調子を落としているのだから、最初から新井場を使えばよいと思うのだが。
 2点差になって、水原は同点にしようとして前掛りになり、アントラーズの思う壺となった。3点目は、水原の分厚い攻めにかなり危ない状態に押し込まれたところから、新井場?がクリア。興梠の突破とマルキーニョスの落ち着いた得点と、絵に描いたような逆襲速攻を成功させた。
 ここ数試合、アントラーズは厳しい日程下のため、後半は極端にできが悪くなる。それを理解して多くの試合では前半に勝負を決めてしまうのだが、この試合もその得意パタンにはめ込んだのだから大したものだ。

 で、このグループの順位について。以下わかりづらければこちらを参照ください。
 今大会のレギュレーションは、1位抜けだと1/16ファイナルでホームで戦えるため、1,2位の差もそれなりに大きい。もちろん、2位と3位の差(勝ち抜きと敗退)の差の方が大きいけれども。
 また同勝ち点時のレギュレーションはこちら(英語はAFC規定からのコピー、日本語は武藤の意訳)。
If two or more Teams are equal on the basis of the above criterion, their place shall be determined as follows(2つ以上のチームが同勝点で並んだ場合の順位は下記で決める):
A) Greater number of points obtained in the group matches between the Teams concerned(相互の試合の勝ち点)
B) Goal difference resulting from the group matches between the Teams concerned; (Away goals do not apply)(相互の試合の得失点差、アウェイゴールは考慮しない)
C) Greater number of goals scored in the group matches between the Teams concerned; (Away goals do not apply)(相互の試合の総得点数、アウェイゴールは考慮しない)
D) Goal difference in all the group matches(グループリーグ全体の得失点差)
E) Greater number of goals scored in all the group matches(グループリーグ全体の総得点数)
F) Kicks from the penalty mark if only two Teams are involved and they are both on the field of play(当該チームが最終戦を試合をしていたならばPK戦)
G) Fewer score calculated according to the number of yellow and red cards received in the group matches. (Appendix 2)(グループリーグで食らった警告、退場)
H) Drawing of lots(抽選)
 そして、この試合前の時点でアントラーズと水原は勝ち点9、3位の上海申花は勝ち点6、4位のシンガポール国防軍は全敗で勝ち点ゼロ。
 以下、このアントラーズ戦に臨んだ水原三星の勝ち点勘定を考える。現実的に考えて、水原三星は次節はホームでのシンガポール国防軍戦で勝ち点+3は確実だろう。そうすると、水原三星からずれば、この試合は「負けなければよい」ものとなる。もし、アントラーズに勝てれば事実上1位決定は言うまでもない。引き分けでも、勝ち点で追いつかれる可能性があるのはアントラーズが次節に上海申花に勝った場合だけ、しかしその場合でも対アントラーズは1勝1分けだから上記規定A)で水原がトップ。さらにもしこの試合で負けたとしても(1位抜けは難しくなるが)最終節でアントラーズが上海に負けない限りは、上海よりは勝ち点で上回り2位には入れる。もし、アントラーズが上海に負けても3チームが同勝ち点で並ぶ(上海がシンガポール国防軍に勝てば)。もしそうなった場合、ここまでの3チームの対戦成績は
水原4−1鹿島
鹿島2−0上海
上海2−1水原
水原2−1上海
このアントラーズ戦前の時点で、水原の相互得失点差はプラス3(アントラーズはマイナス1、上海はマイナス2)。もし3すくみになったとしても、この相互得失点差がプラスならば悪くても2位にはなれる。
 そう考えるとこの日の水原は、引き分け以上で1位、2点差以内の負けならば2位以上が、それぞれ確定する状況だった。それが3点差の負けなのだから、ゲームプランがまずいと言うか、アントラーズがさすがと言うか。

 でアントラーズ。完璧な勝利で一気に有利になった。残る上海戦でアントラーズは1点差の負けよりもよければ1位抜けだが、2点差で負けると3すくみ、3点差以上で負けると脱落となる。圧倒的に有利だが、最終戦が上海とのアウェイゲームなので、少々厄介かなと思われた。別に述べようと思うが、フロンターレが天津泰達にやられたような語るに落ちる試合を余儀なくされるのが中国と言う国だからだ。

 ところが...

 上海申花が敵地でシンガポール国防軍と引き分けちゃった。
 と言う事で上海がアントラーズに追いつく事はなくなった。こうなると、アントラーズは2位以上は既に確定。1位抜けのためには、引き分け以上ならOK。負けたとしたら、水原との一騎打ちとなり、全グループでの得失点差、総得点での争いとなる。それも並ぶとカードをどのくらい食らったかになるが(もしアントラーズが4点差で水原に勝っていれば、相互成績差で水原を上回るから既に1位確定だった)。現在の得失点差はアントラーズはプラス10(総得点は15)、水原はプラス2(総得点は9)。もしアントラーズが上海に負けるとすると、得失点差はプラス9以下になるから、水原はシンガポール国防軍戦はまずは8点差以上を目指すことになる。
 ここで問題になるのは、この2試合のキックオフ時間。水原対シンガポール国防軍は韓国時間の19時半、上海対アントラーズは中国時間の20時。時差が1時間あるから、アントラーズは水原のキックオフ後1時間半後に試合開始となる。つまり、アントラーズは水原の結果を見ながら試合ができるので、圧倒的に有利なのだ。文句を言う筋合いではないかもしれないが、やはりAFCはここはキックオフ時間をそろえるべきなのではなかろうか(現実的に平日のナイトゲームだから動員面を考えると難しいのだが)。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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