2009年05月07日

まだACLを愉しむ

 ともあれ、いやなチームが絡まなければACLは本当に愉しい大会だ。
 グランパスは蔚山現代に4−1で勝利し、1試合を残して1位抜けを決めてしまった。スコアだけを見ると、あるいはスポーツニュースの得点シーンのみを抽出した映像を見ると、いかにも楽勝に思えるかもしれない。しかし、90分間リアルタイムの映像を堪能したのだが、戦闘能力がほぼ互角の非常に難しい試合だった。それだからこそ、いずれも美しかった4得点によるこの勝利は非常に貴重で価値のあるものだった。

 序盤、分厚く守備を固める蔚山に対し、グランパスは丁寧にボールを回す。韓国のチームが守りに入ってしまうと、そう簡単には崩せない。3ラインがよい距離を保ち、相互の連携も中々だ。
 「後半勝負になるのかな」と思い始めた矢先に、グランパスが遅攻後の連続攻撃から先制した。すごい攻撃だった。左サイドで小川(吉村?)が敵MFを引き付けて杉本に好パス。杉本は得意の強引なドリブルでペナルティエリアに切れ込むが、蔚山DFがかろうじて止め、クリア。そのクリアをフリーで拾った阿部が逆サイドに正確なクロス。一度外に開いていた巻弟が落ち着いて折り返し、後方からトップスピードで走りこんだ小川が見事なダイビングヘッドで決めた。蔚山の守備はかなり分厚かったが、杉本のドリブルを跳ね返す事でバランスが崩れ、直後の連続攻撃への対応が遅れた。それにしても、こぼれ球を阿部が拾った直後の巻弟と小川の動きはすばらしく、完全に蔚山DF陣は2人を見失っていた。その巻弟に正確に合わせた阿部もお見事でした。
 先制された蔚山がやや前に出てくるが、これで逆にDFの裏にスペースができた。左への展開を受けたダヴィが落ち着いてキープした瞬間、小川が長躯蔚山守備陣の後方を狙う。ダヴィからのパスを受けた小川はそのまま左サイドを切り裂き、速い球足のクロスを二アサイドに。そこには逆サイドからニアに長躯していた巻弟が飛び込んできて2−0。小川の判断力と献身性、巻の球際の強さと得点への意欲が光る、見事な逆襲速攻だった。この時間帯、蔚山が中途半端に前に出てきてくれたのがグランパスに幸いした。もし、ここで(後述する)2点目以降のように、前掛りに来られたらかなり苦しかったように思う。

 追い込まれた蔚山は、呉章銀を投入し攻撃重視に切り替えてきた。そして主将の玄泳敏のFKから196cmの長身金シンオク(漢字不明)が見事なヘディングシュート。グランパスDFの増川は191cmと言うが、自分より長身の選手への対応に苦しんでいた。この金シンオクはここまで大きいのでさすがに動きはゆっくりだが、この手の長身選手には珍しくしっかりと飛んでヘディングができる。将来いやらしい選手になるかもしれない。
 1点差で迎えた後半序盤、蔚山は幾度となく両翼で2対2を作り、ゴールライン近くまで進出し、スペースを確保した選手が不正確ではあるがクロスを入れる。そこに金シンオクと趙珍洙が飛び込んで来て再三危ない場面を作られた。これだけの長身FWがいるチームに対しては、とにかくゴールライン近くにポイントを作らせないのが大事なのだが、連戦で疲労の色が濃いグランパスは、どうしても押し込まれてしまう。この後半立ち上がりの約10分を我慢し切ったのが大きかった。
 そして、右サイドの同じような場所のFKからの2得点で突き放すのに成功。3点目は阿部がゴールに巻くボールを蹴りダヴィが決めた。このFK直前にダヴィ→玉田の交代準備が済んでいたが、交代を遅らせたら、ダヴィが決めてしまった(キッカーとしての玉田に期待する選択肢もあったはずだから、交代を待つ判断がズバリ当たった)。4点目はトリックプレイ、小川が蹴る振りをして走りぬけ、玉田強いグラウンダパス、巻が見事な動きで落とし、全くフリーで走りこんだ小川が(利き足でない)左足で狙い済ました強シュートを決めたもの。

 チーム全体の疲労が濃く、思うようにプレスがかからないグランパスだったが、さすがに3点差は大きい。蔚山も後半序盤のように精力的な攻撃がなくなり、そのままタイムアップ。
 マギヌンが壊され、玉田も回復途上、中村直もベンチ外、と言う苦しい台所事情下で、小川、阿部、ダヴィ、巻弟らが、持てる個性を発揮して美しい得点を連発しての勝利。これをピクシーマジックと言うのだろうか。
posted by 武藤文雄 at 23:30| Comment(2) | TrackBack(0) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
4得点ともとても美しいゴールでした。
その中でも印象に残ったのは小川でした。

阿部のクロスがあがった瞬間、相手ゴールへトップスピードで走り込んだ1点目。
左サイドでダヴィがボールに触れたのを確認すると、裏に縦へ走り抜けた2点目。
ダミーキッカーとしてボールを跨いでそのまま走り、巻きからの折り返しをズドン!の4点目。
確信を持ってランニングをしていたのが印象的でした。

春先はコンディションが悪かったのですが、ここへ来て調子が戻ってきたようです。
いつ代表に呼ばれても不思議でない選手ですね。
Posted by あら at 2009年05月09日 11:20
さらにグランパスはCBのバヤリツァも家庭の事情で一時帰国中でした。
去年は終盤マギヌン1人欠けただけで失速しましたが、今年は強行日程を、悪いながらにも若手を使いながらこなす
ピクシーのやりくり上手ぶりと、3バック導入などの柔軟さに唸らされます。
ウルサンも単純な高さでは名古屋を圧倒していました。単純な放り込みを続けられたらどうなっていたか分からないゲームでした。
ACLは面白いです、きちんとアジア地域のレベルアップに貢献する方向に育てばいいのですが。

Posted by とし at 2009年05月09日 16:31
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック