2009年05月25日

野次馬が見た多摩川クラシコ

 多摩川クラシコ。
 発想と言い、名称と言い、訴求と言い、そのバカバカしさが絶品ですばらしい。そして、この試合のために伊豆大島に行く企画など、考える方も考える方だし、乗る方も乗る方だし、さらには茶々を入れるライバルサポータが登場するなど、尊敬すべきバカがたくさんいるのは、何とも喜ばしい事だ。
 考えてみれば、この2クラブは比較的安定した親会社を持ち、首都圏がゆえにスポンサを集めやすい環境にあり、何よりフロントがまじめに客を集める算段を継続していると言う意味では似ているクラブだ。フロンターレは前身の富士通、FC東京は前身の東京ガス、それぞれ比較的歴史の長いクラブではあるが、両クラブとも本腰を入れてトップリーグを目指したのは、Jリーグ開幕後の90年代半ば以降と言うところも似ている(富士通は70年代後半に、一時国内トップを目指し、中村一義を初めとするトップタレントを獲得した事もあったが)。

 しかしながら、現時点でこの両クラブには「ちょっとした差」がついている。FC東京は04年にナビスコを制したものの、Jリーグでは思うようにトップレベルには到達できていない。一方、フロンターレはJ上位の常連。07年シーズンのACLでは堂々の準々決勝進出。今期もACLに出場し、2次トーナメントに進出を決めている。タイトルこそ獲得できていないが、間違いなくJのトップクラブとしての地位は確保しつつある。
 そしてこの試合。FC東京のサポータの方々に、この「ちょっとした差」を改めて痛感させるものだったのではないか。

 フロンターレは過日の浦項製鉄戦の疲労があったのだろうか。序盤からFC東京ペースで試合は進む。鄭大世をブルーノ・クアドロスと今野が厳しくマークし、梶山が長いパスを操り、平山のスローだが効果的なターンを軸に再三好機を掴む。そして、前半半ばにはCKから今野が、後半立ち上がりにはカボレの突破(フロンターレの菊地の対応もまずかったが)から石川直が、それぞれ見事な得点を決めて2−0とリードした。フロンターレの各選手の体調が今一歩な事もあり、ホームのFC東京がそのまま押し切る構図が見えつつあった。ところが、試合はここから信じ難い展開を見せる。

 憲剛の好展開からジュニーニョがよい体勢で敵陣に正対し好スルーパス。鄭大世が、見事なターンで抜け出すと、ブルーノは見え見えのファウルで止めた。PKに加え、議論の余地のない退場。ブルーノは鄭と序盤から火花飛び散るようなぶつかり合いをしていたので、本能的に「突破させるものか」と反則をしてしまったのだろうか。しかし、本能でプレイされては城福氏もたまらない。せっかくの2点差リードが1点差となりしかも10人での戦い。なんら言い訳の余地も何もない、ただただ愚かな反則だった。
 城福氏は、茂庭を石川直に代えて投入し、守備を固める。かと思ったのだが、10人で1点差でリードしているFC東京は、必ずしも守備を固めず、そのまま成り行きでのプレイを継続する。フロンターレも疲労は顕著だったので、ここをしっかり守っていればしのげた可能性は高かったと思う。
 かくして憲剛を軸とするフロンターレが息を吹き返す。そして、明らかに集中を欠いたプレイでボールを奪われた梶山が鄭をファウルで止める(ボールに行っているようにも見えたが、あれだけ伸びきりのタックルだけにファウルを取られても仕方がないだろう)。さらにそのFK、主審に文句を言っているうちに、ヴィトール・ジュニオールに簡単にクイックスタートを許し、谷口が同点弾。それでもまだ同点だったのだから、ここで落ち着けばまだ反撃の可能性はあったのだが、そのまま漫然と試合を継続したようにしか見えなかった。そして、石川直が不在となった右サイドを、平山の中途半端な位置取りと徳永と梶山の緩慢な対応で、ジュニーニョにえぐられ、レナチーニョに簡単に3点目を許す。後は憲剛がやるべき仕事は、1人少ない相手にボールをゆっくりと回し、淡々と時計を進めるだけだった。
 フロンターレサイドから見たら奇跡の11分間、FC東京サイドから見たら悪夢の11分間なのだろうが、野次馬から見たら、ただの間抜けな11分間だった。FC東京の中途半端な対応を冷静に見て攻勢を仕掛けた憲剛とジュニーニョはさすがだったけれども。

 試合後の城福氏のコメントには考え込んでしまった。一部を抜粋しておく。
選手たちには顔を上げろと言いました。胸を張る内容だったと思います。僕らはいいサッカーをやり続けることが仕事で、今日のサッカーは悲観することはないと思っています。
どうやら、J's goal独特の「審判批判カット」があったようだが、この敗戦を審判のせいにしてはまずかろう。
 2−0までの梶山と平山を軸にしたFC東京のサッカーはすばらしいものだったが、サッカーは90分間続くもの。不運だった事は否定しないし、いかにもサッカーらしい試合でもあったが、あの試合で胸を張るのはいかがなものか。
 野次馬が見た限りでは、FC東京は審判のせいではなく、ブルーノ・クアドロスと梶山と言う中心選手の軽率なプレイと、リードしていて数的不利になった場合のセオリーを守らなかったら負けたのである。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
城福さんの審判に対するコメントは批判ではなく中傷やいちゃもんのたぐいです。
彼の審判に対するコメントに建設的な意図は全くなく勝てなかった時の言い訳にすぎません。
彼は去年から何度も何度も審判中傷を繰り返してます。
彼の今までのコメントを読む限り彼は審判はどんな些細なミスジャッジもしてはいけないと考えているようです。
いい加減FC東京の関係者は彼にそんな審判は存在しない事を教えてあげるべきです。
まあ今季5度もJリーグに意見書を提出してるクラブにそんな事を期待するだけ無駄でしょうけど。
Posted by at 2009年05月26日 14:40
>そんな審判は存在しない事を教えてあげるべきです。
それはそのとおりです。
けど、それと意見書を出す・出さないはまったく関係のないことです。
Posted by at 2009年05月30日 22:00
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