2009年05月28日

バルセロナの質的向上

 ワクワクする芸術を愉しめたので、早起きした甲斐があったのは間違いない。だから、文句を言うのは筋違いだとは思うが、あそこまで一方的な試合になりユナイテッドが無抵抗で終わった事、2得点とも「もう少し巧く守っていれば防げたのではないか」と思える事は、ちょっと意外と言うか不満も感じた。終盤ユナイテッドの名手達が精神的にも切れたような状態になり、攻撃が淡白になるのみならず、足の裏を見せるようなタックルを連発するのには驚いた。もっとも、あまりに一方的な流れなので、主審も退場処分を下さず、試合は無難にまとめたようだった。
 まあ1つの仮説だが、ユナイテッドくらい世界選抜的な強いチームを作ってしまうと、常に自分たちが最強と言う戦い方になってしまい、より強いチームに当たった際の抵抗手段が中々思いつかないのかもしれないな。

 考えてみれば(と語るほど「考える」必要のない常識かもしれないが)シャビもイニエスタもメッシも、皆バルセロナの若年層チームの出身。これはこの日の最大の貢献者は、グアルディオーラ氏よりも若年層チームのスカウトではなかろうか。と、間抜けた事を考えたくなるくらい、この3人はすごかった。今さら感動する事でもないのだが、巧い事ももちろん巧いのだが、パスの方向の選択がもう完璧。ユナイテッドの選手達が取れそうで取れない状況を継続されて、どんどんと疲弊していった。

 この3人を見ていると、やはりサッカーは技術と判断力に尽きるのだと、改めて当たり前の事を認識させられるではないか。
 特にシャビは99年ワールドユース決勝での完敗時にその力を見せ付けられた。当時の小野(決勝は出場停止でいなかったが)、本山、小笠原、遠藤らとの差を思い起こし、さらに10年が経過し先方が世界最高の名手(と言っても過言ではないでしょう)に成長した現在の差を考える事で、何がしかの「世界トップとの距離」の指標になるのではないか。
 この試合の約8時間前の森島スタジアムでの我らが代表選手たちのパスワークも見事だったが、(当たり前だが)上には上がいる。いつか、我々がこのようなパスワークを見せられるようになるには、このクラスのタレントの育成に成功しなければならない。まだまだ差は大きく果てしない努力が必要なのだろうが、アフリカ系の大柄で瞬発力に秀でたタレントの育成よりは、現実的で我々にも検討可能なはずだ。

 しかし、私が若い頃、少なくとも80年代前半あたりまでのバルセロナと言えば、スペイン中の名手を(レアル・マドリードと競争しながら)かき集め、さらに要所に世界屈指の外国人(典型例がクライフでありマラドーナだった)を置いた、正に現金札束と言う印象のクラブだった。監督にしても、バイスバイラー氏、ミヘルス氏、ラテック氏、メノッティ氏など、他クラブで大成功した監督の招聘が再三。そして、その割にフロントにこらえ性がないので、すぐにフロント、監督、中心選手で揉め事が始まり、毎期のようにレアル・マドリードの後塵を拝す事が多く、何かしらカネの無駄ばかりしている印象が強かった。
 しかし、選手としての大英雄クライフが監督になったあたりから、グアルディオラを筆頭に自前の若年層チーム出身選手が次々と登場し、しかもチームもスキルフルで攻撃的なスタイルが定着してきた。
そして、紆余曲折を経ながらも、ライカールト氏、グアルディオラ氏と言った、クライフの弟子筋の優秀な監督に率いられて、いよいよ「芸術的でしかも強い」チームを作る事に成功してきている訳だ。
 単独のクラブと国のサッカー界は少々異なるが、このような向上は格好の学習材料だとも思う。

 このような金満クラブの質的向上を実感する、実に見事な中盤のパスワークだったな。いや、堪能しました。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(3) | TrackBack(2) | 海外 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これほど「相手に何もさせずに完勝した決勝戦」というのは、『チャンピオンズカップ』時代の’93〜’94シーズンの【ミラン[4−0]バルセローナ】(アテネ)以来ですかね?
Posted by 19番ゲート at 2009年05月31日 01:37
バルセロナが上がったというより周りが落ちたと思います。
代表を見ると他の国の方が勝率は高いのにクラブでは落ちる。
EU枠のおかげで他所の国から来る選手が増え、戦術の浸透度が低くなってしまい
個の能力に頼りすぎている感じがします。
バルサもテンカテがいた時の方が組織的だったので
今のチームはまだ成長の余地があると思ってますが
3冠を取ってしまったことでチームは崩れるかもしれません。

ユースも含めて長期のプランでチームを作ってきた2チームが決勝に残ったことは
積み重ねが重要なんだと力説できる良い材料になりますねw
Posted by at 2009年06月02日 15:14
テンカテって誰ですか?
Posted by 教えてください at 2009年06月18日 00:33
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