2009年06月02日

続結構な試合でした

 もちろん問題点も散見された。たとえば、相変わらず闘莉王がナニな事(前半のあの自滅決定機提供を本大会でやられてはたまらない)、連動が充実している裏返しとして後方の選手が押し上げている時にトップがボールを納められず逆襲を食らった場合の対応に課題があった事(世界中どんなチームでもこの課題を抱えているような気もするが)、大久保が元気ななかった事など(達也が負傷がちなので、短いドリブルで敵を切り裂く事ができる大久保の重要性は先々より重要になってくるはずなのだが)。
 ケチをつけようと思えばいくらでもつけられる。曰くベルギーは1軍半だとか、中1日だとか(実際、はるばる極東まで来て、3日間に2試合やると言うのは、たしかに無茶苦茶な日程だな)。まあ、ホームで行われる国際試合に中々強豪が来てくれないのも、日程調整がつかない事が最大の要因。これは広義の日程問題とも言えるのだろう。

 しかし、いくらどうこう言っても、このベルギー戦が完璧に近い勝利だった事は間違いない。チリ戦では結構敵に好機を許していたが、ベルギー戦は例の闘莉王のナニを除けばピンチらしいピンチもなかった。さらにベルギーは疲労もあったのだろうが、相当守備的な布陣を敷いてきた(そういう意味ではアジア予選らしい展開とも言えた)。これを打ち破って大量点をあげたのだから大変結構な事だった。 この2試合何がうまく運んだのか、大きなポイントが4点あったと思う。

 1つ目は岡崎の成長、待望久しいストライカ候補と言っても過言ではないだろう。
 チリ戦は敵も真っ向勝負を挑んできた事もあり、いわゆる「こじあける」作業は必要ではなかった。前半の2得点はその典型例で、いずれもMFからの速くて長い縦のボールを起点にしての速攻がうまく決まったもの。ただし重要だったのは、岡崎が決めるべき当たり前のシュートを落ち着いて決めてくれた事。1点目はポストプレイそのものがすばらしかったが、長いシュートに詰めると言う基本中の基本を守った。2点目は中澤の芸術的パスを受けた後のトラップが絶妙だった。位置取りが改善されたのか、従来よりも格段に無理をしない体勢で敵ゴールに向かっていけるようになってきた。
 ベルギー戦の得点も見事だったが、この試合では前半から同じようなよい位置取りでゴール前に飛び込んだ場面が複数回あった。あのような飛び込みを繰り返せばいつか点は入る。日本が勝ち切れなかった昨年のウズベク戦や2月の豪州戦でも、「いい感じ」の飛び込みはあったがいよいよそれが本物になってきたと言う事か。
 全く異なるパタンから3得点を決めてくれた訳だが、この勢いで一気に伸びて欲しいところだ。

 2つ目はサイドからのセンタリングに連携の向上がはっきり見られた事。
 ベルギーが守備を固めようとしてきたから、当然日本は両翼から仕掛ける事になる。そのえぐった後のセンタリングに工夫が見られた。右サイドから内田や俊輔が再三プルバック(えぐってグラウンダのマイナスのセンタリング)を狙ったり、一番遠いところの選手に合わせるなど。これらはそれぞれ、そこに受け手が走り込んでいるからできる訳で、相互理解の向上と言える。さらにこれに応じて、長谷部、遠藤、さらに中澤らが高精度のミドルシュートを次々に枠に飛ばしたのもよかった。
 長友の先制点も、これまで多様なセンタリングに散々悩まされていた敵GKがセンタリングに決め付けた体勢になっていたところを、思い切りよく狙ったもの。ある意味では、センタリングからの連携向上の賜物と言える得点だった。
 チリ戦でFC東京のチームメートの今野が同じ左DFで充実したプレイを見せ、レギュラ争いに登場してきた。しかし、この日の大活躍で、長友は定位置を再確保した感がある。

 3つ目は中村憲剛。憲剛をトップ下に起用した事は2つの意味で大成功だった。
 まず、3月のバーレーン戦から目立ち始めた中央で起点を作る攻撃が、憲剛が絡む事でかなり交通整理された。憲剛の受けの巧さと正確で速いパスが有効。岡崎あたりが粘って憲剛がよい体勢でボールを受け、敵DFを中央に寄せておいてサイドに展開する攻撃はかなり有効だった。ベルギー戦の1点目も2点目もいわゆるバイタルエリアあたりで、憲剛が仕掛けられる状況を作れたのが大きかった。遠藤と中村俊輔が作る緩急の仕上げを憲剛が担った事になる。
 さらに憲剛が最前線近くにいる事で、攻撃での急ぎ過ぎも是正されたように思う。憲剛のところでボールが落ち着く事で、他の選手が得意のスピードでボールに寄る事ができたのではないか。これにより、これまで以上に攻めに落ち着きがでてきた感があった。
 俊輔と遠藤と憲剛を同時に機能させるやり方は色々考えられる。オシム爺さんは憲剛の視野の広さを活かすためにボランチに起用し、遠藤と俊輔を攻撃的MFに並べ圧倒的な技巧で敵を崩す算段をしたが、3人を軸にしたボール回しが目的化してしまった感があった(爺さんの事だから、先々の打開策はあったように思うが)。今回の岡田氏の起用は、憲剛の特長である視野の広さを活かすのを捨て、技巧と判断力とシュートの巧さのみを活かそうとする策。もったいない感じもするが、展開は遠藤と俊輔に任せると考えれば、1つの発想だと思うし、この2連戦を見る限りはかなりうまくいった。

 4つ目は楢崎のフィードがすばらしかった事。以前から、日本が攻め切れない要因の1つに、ゴールキーパからのフィードが遅く、速攻で崩しきれないのが多い事があるのではないかと考えていた。それがこの2試合での楢崎のフィードの早く効果的なのに驚いたのだ。最も見事だったのはチリ戦の憲剛への完璧なラストパスとなるパントキック。あれの外し方は憲剛もすごかったけれど。 

 ウズベクもカタールも豪州も、岡崎と憲剛にすさまじい当たり(反則まじりの)を仕掛けてくるだろう。岡崎が知性でその厳しい守備をどう突破するか。憲剛が、いかに敵のプレッシャをさばくか(憲剛にはファウル奪取と言うカードもありそうだ)。
 もっともこの2人にマークが集中する(ウズベクやカタールからすれば「集中せざるを得ない」が正しいだろう)事で、俊輔がこれまでの試合にないくらい自由にプレイできる可能性もある。
 ワールドカップ予選の勝負どころが近づいてきた。いよいよ史上最強の感が出てきた日本代表。多いに期待してまずはこの週末を待ちたい。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
確かに、憲剛のマークがキツくなれば,俊輔はだいぶ
楽になるでしょうね(拍手)
 ウズベクもこの2戦は研究してくるでしょうから、この意味では
意味のある「かませ犬との試合」だったのかも知れません。

正直「おもしろかった」二戦でした。
欧州の匂いをプンプン振り撒く本田のプレイ、中澤があの位置でプレイできる戦術、
岡田氏の成長というか、バルサが魅せてくれた勝利の産物というか、
「なんとなく一歩前進」という感じです(笑

また、岡崎の位置には、森本のプレイスタイルがものすごくマッチしそうで、
彼が召集されれば、更に期待の持てるチームになるんじゃないかとワクワクします。

まずはウズベク戦。
準備運動は十分過ぎるほど十分。
期待を胸に、テレビに喰い付いて、念を送るつもりです。
Posted by 吉田@仙台 at 2009年06月03日 04:51
私も、憲剛がトップ下に入り、急ぎすぎがなくなったことが大きいと感じました。岡崎も縦だけでなく、横、後ろとバランスよくボールを受けるので、この二人がかみ合ったサッカーは、「縦にすばやくボールを運ぶサッカー」ではなく、可塑性の高いボール廻しができていました。この二人の代わりに、田中、大久保が入って玉田と組むのが、岡田さんの目指していたサッカーだと思うので、三人のコンディションが戻った時には元に戻ってしまうのか心配。
俊輔と本田は、ポジションが同じで、プレースタイルがちがう。どちらが入るとチームがどう変わるか、比べながらみているだけで面白い。
Posted by ひき at 2009年06月03日 10:23
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック