2009年06月18日

なぜ、たくさん選手を連れて行かなかったのか

 このような生ぬるい悔しさは、通常の悔しさよりも堪える。そう思って映像をみていたら、「NIPPON FOREVER IN OUR SHADOW」 のダンマクが出てきて、一層悔しくなった。わかりやすい英語だし、TV映りのよい場所だったし、相当な知恵者がいるのだなと。TVの前でサポータ冥利を感じる一瞬ではあった。

 阿部と玉田に期待すると書いたのだが、どうやら別離の日となってしまったようだ。
 ケーヒルはワールドクラスに近い選手だし、巧妙な位置取りと強さが武器の選手だからやられるのは仕方がない(とは言いたくないが、よい選手にやられるのは不快極まりない一種の快感だ)。だけど、やられ方と言うものがあるだろう。なぜ1点目の時は身体を寄せるのをやめてしまったのか。2点目の時だって見失った訳でもないのに、どうして簡単に振り切られてしまうのか。何か球際で「がんばる事、粘る事をやめてしまった」ようにしか見えなかった。フィジカルでやられたのではない、メンタルでやられたのだ。Jにデビューした頃見せてくれた能力、長短のボールをあやつって試合を作り、押し込まれた時にも読みのよさを含めた強さで敵のボールを切る事ができる守備力。幻だったとは言いたくないのだが。
 玉田がほとんどボールに絡めなかった事。妙に右に流れては、左足に持ち替えて機を逸した事。(いつもの事だが)目に見える「ガンバリ」が見えなかった事。たまにボールに絡むと憲剛を軸にしたつなぎのリズムを崩す事。こう言った事は仕方がない。今風の表現を使えば「仕様」だろう。しかし、終盤フリーで左足のミドルシュートが力なくシュバルツアの正面に行ってしまったのは失望した。まあ前半終了間際の直接FKは見事だったが、あれとて中村俊輔なり本田が出ていれば蹴る機会はないのだし。玉田の最大の問題は、あの左足が猛威をふるう頻度が極めて低い事に尽きる。04年アジアカップの準決勝と決勝で見せた格段のシュート能力、ブラジル守備陣をも個人能力で突破した一撃。幻だったとは言いたくないのだが。

 この日の最大の問題は、豪州にたくさんの選手を連れて行かなかった事だろう。いくら消化試合でもゴールキーパを2人ベンチに入れる状況はひどすぎる。本田を連れていかなかったのはやはり不思議で仕方がない(今晩のTVのニュース番組に出ているくらいなのに)。まあ、何かの理由があったにせよ、だったら他の選手を連れて行けばいいではないか。今のチームは組織守備がしっかりしているから、チリ戦の山田直のように戦術眼のある選手ならば、すぐに順応は可能だろう。この週末からJリーグが再開する以上、突然の追加召集に相当な問題があるのは理解できなくもないのだが。
 もちろん、文句を言いたい事は他にもあるが、この人数問題が一番の不満だ。

 実際、松井が負傷退場(足を痛めたのを自己申告していたようだから、戦術的交代ではなく負傷による交代だと見た)してしまい、攻撃のカードらしいカードは興梠しか残っていなかった(興梠はリードしている時間帯に使って欲しかった、あの抑揚あるドリブルは敵が引いた状況よりもカウンタアタックで有効だから)。
 またカードがないと言っても、終盤山口を玉田に代えて投入し、闘莉王を前線に出すのは一手段だと思ったのだが。今野を後方に下げれば拾えなくなるし、ケネディ(あまり調子はよくなかったようだが)とマクドナルドが前線に残っているのに後方の選手を減らすのは、逆に攻めの頻度を減らしてしまうだろうから代わりのCB投入は必要だ(槙野もとてもいいが、あの終盤に代表デビューの若者起用は酷と言うものだろうから)。もちろん、闘莉王を起用してもパワープレイを狙うような無謀を行うのではなく、憲剛を軸に短いパスで中央突破とサイド攻撃(矢野と内田の右サイド、興梠と長友の左サイド)を繰り返す。リードされてからも、決定機とまでは言い難いが、松井や矢野が好機を掴むまでは攻め込めていた。闘莉王と岡崎の2トップならば少々不正確なラストパスでも、枠に飛ばす可能性は高まったのではないか。

 まあ明るい話題もなくはなかった。
 代表で久々に中盤に使われた今野はよかった。以前も述べたが、遠藤、長谷部に今野を組み合わせたトレスボランチは見てみたい組み合わせだ。岡崎も得点こそなかったが、シャープな突破、的確な飛び込みを見せてくれた。間違いなく成長している。松井も負傷は残念だったが、独特のドリブルを(カタール戦と異なり)敵陣近くで見せ、十分な戦力である事をアピールした。中澤不在で攻守の軸として機能した闘莉王は言うまでもない。

 全くの偶然だが、本業都合で数日前から豪州在住の豪州人の同僚と頻繁にメール交換をしていた。で、やりとりしながら、「また本大会でやっつけるのは悪いから来年は違うグループがいいね」、「でもアジアカップではこっちが」的なやりとりをしていた。そして、彼から今朝届いたメール
「No comments for you today Muto san……」
 一晩経ち、少し気持ちが落ち着いたところだったが、一層怒りが増してきた。だからサポータはやめられない。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(11) | TrackBack(2) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
> またカードがないと言っても、終盤山口を玉田に代えて投入し、闘莉王を前線に出すのは一手段だと思ったのだが。

闘莉王の相方が中澤だったらそうしていたでしょうね。
……というより、中澤がいたら頼みもしないのに勝手に
前線に張り付いていたと思いますよ、闘莉王は。

レッズでも代表でも「上がったまま帰ってこない」は
時折見られるパターンじゃないですか。豪州戦は
典型的な帰ってこなくなるパターンの展開で、
それでも上がりっぱなしにならなかったというのは
「闘莉王は相方を信用してなかった」ということなんじゃないかな。
Posted by masuda at 2009年06月19日 03:25
masudaさんへ
こうゆう事情もあったようです
ピム・ファーベク監督「ベンチで見ていて、怖いのは闘莉王だけだった。彼はFWのような動きを何度もしていたからだ。だから私は2点目が入った後、カールとマクドナルドを変えて2トップにした。これで闘莉王は最後まで攻撃参加できなくなった。私の戦略は完璧だったと思う」
ttp://www.jsports.co.jp/press/column/article/N2009061818222402.html
Posted by at 2009年06月19日 07:31
GK 楢崎

DF 中澤
DF 岩政
DF 吉田
DF 増川
DF 長友

MF 中村
MF 本田
MF 中村
MF 遠藤
MF 長谷部
MF 松井
MF 柏木
MF 香川
MF 山田

FW “闘莉王”
FW 前田
FW 渡邉
FW 森本
FW 岡崎

欧州遠征のプレスリリースでは、コレくらい強いメッセージを出してくれ! 
代表監督ならそれくらいして、残りの日本人FWの尻を叩いて欲しい!!
別に実行しなくて良いからさw
Posted by TE at 2009年06月19日 08:26
メチャクチャ悔しい。
怒りも絶頂!
が、オーストラリアのおかげで明確な基準ができたと思います。
「世界」と互角に戦うには、まずコイツ等をぶっ潰さなければいけない、と
燃えてきたっ!
Posted by ali at 2009年06月19日 10:42
玉田と平野孝がダブって見えました。
ワントップで玉田なら柳沢の方が良さそうですし
センターバックも最高の余地ありですね
明神、柏木、小笠原なんかが居ればなぁ
とも思いました。
Posted by at 2009年06月19日 13:46
まー消化試合だし。
なりふりかまわず高さを使ってきたのは
相手が日本だからっていうのもある。
阿部ちゃんはボランチかSBのサブということで。

玉田は単に使われ方の問題でしょう。
本来はツートップの下がり目かトップ下なんだけど
そこでスタメン奪うのは無理でしょうねえ。
本来はトップに茂原みたいのが欲しいんですよ、大木さんは。
体が強くて展開もできる0トップ気味の布陣。
だから巻や矢野をトップで使わない。
久保や柳沢が理想でしょうけど、コンディションがね−。
本田や谷口をトップに使ってみるのも一興。
Posted by at 2009年06月19日 17:31
TEさん

FW “闘莉王”
いいですね。ただFWの尻をたたくつもりで起用したら、そのまま定着…なんて冗談みたいなことがおこりそうな気がするのがちょっと怖いところでしょうか?
Posted by 元横浜市民 at 2009年06月19日 21:17
TEさん
DF吉田を選ぶあなたは素晴らしいです。しかし、増川は本人も自覚しているようですが、調子の波が大きすぎるので代表には厳しいと思います。3試合に1度、何もない場面で致命的なピンチを演出するのが「仕様」では・・・。

玉田について
いつかのバーレーン戦で玉田のポストワークが機能した試合もありましたが、豪州レベルだとフィジカルが弱すぎて間違いなく機能しませんね。
例えば、名古屋ではペナルティーエリア付近でボールを受けたときに、すぐには動かないことで(時間を造り)選択肢を増やすというプレーをします。これはピクシーの得意なプレーで、当然チームにもこれを求めています。こういった監督のアイデアを元にしたプレーを名古屋において忠実に実行しているのが玉田です。
しかし、そういう要素が代表にはほとんど還元されていないように見えるのは、玉田のレベルが低いのか、代表の監督に攻撃を構築するアイデアが足りていないのか、あるいは両方か・・・。
シュートについては・・・いいシュートを打てるポイントが少ないと書いた方がいましたが、全くその通りですね。

ひとつ気になったことで、武藤氏は目に見える頑張りが無いと書かれていますが、相手からのボール奪取回数は攻撃の選手ではむしろ一番多かった気がしたのですが・・・?勘違いかもしれないので、分かる方がいればご指摘下さい。
Posted by ヘタレグランパスファン at 2009年06月20日 00:20
首題:「なぜ、たくさん選手を連れて行かなかったのか」

回答:「監督がアホだから」

Posted by at 2009年06月20日 01:22
どうやらオーストラリアは、代表戦初キャップが2人いたらしい。

キューウェル、ブレシアーノ、ムーア、エマートン、ウィルクシャー、チッパーフィールド、アロイージなどことごとく不在。
すごいね。

失点シーンをよく見ると、1点目は、中央でケネディがトゥーリオの前に入りこみ競り合っていて、2点目は、わざとトゥーリオの背後に入り込み、背中を押さえつけトゥーリオが飛ぶのを押さえ込んでいる。そしてどちらも背後にいるケーヒルに繋いでいる。一本目はハイクロス、二本目は低めで速いクロス。

ケネディがトゥーリオを封じ込み、ジャンプ力があり、シュートの上手いケーヒルが決める。
おそらく練習通りだったんだろう。
みんな高さでやられたとか言ってるけど、そうじゃない。戦術だよ。

阿部も玉田も今野も橋本も、そして山口も、みんな間違いなく良い選手だよ。問題は、その起用方法。おまけに、ベンチにはGKが2人、MFはゼロ。やれやれだな。
Posted by K at 2009年06月20日 22:47
↑Kさん

戦術的、フィジカル的な事も含めた「高さ」でしょう。

たとえば一点目のパターン、逆に日本のFKだとして、阿部と今野がケネディを挟んであの高さのボールをゴールに飛ばせるかといえば、厳しいでしょうし。
Posted by ベガ at 2009年06月21日 09:49
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