少々遅くなったが、ACLでアントラーズがFCソウルに苦杯を喫した件について。
1次リーグの最中、アントラーズの試合で解説をしていた名波浩氏が
「出場32クラブの中で、最もこのタイトルを欲しがっているのは、アントラーズではないか」
と語っていた。かつて死闘を演じたライバルに対し、尊敬(と「俺はジュビロでアジアチャンピオン取ったものね」と言う微妙な優越感と)を込めた的確なコメント。実際、昨期の苦杯もあり、今期アントラーズはACLを「本気で」狙っていたと思う。
そして今期、今のところアントラーズの強さはJでも際立っている。元々小差の試合を勝ち切る巧さがあるクラブだが、速攻の切れ味、最終ラインの粘り、勝負どころの見極めと駆け引きなど見事な試合の連続。ところが、「本気で」狙っていたACLは今年もダメだった訳だ。
「なぜ、かくも国内では強いアントラーズは、アジアでは勝ち切れないのか。」
が、各方面で話題になるのもむべなるかなである。
その問いに対する私なりの答えは、身も蓋もないが「運がない」事に尽きるような気がする。
先日ガンバの敗退に関して、3点ガンバに舞い降りた不運を語らせていただいた。具体的には
(1)1/16ファイナルがH&Aではなく一発勝負だった事
(2)いきなりフロンターレのような強豪と戦う組み合わせの不運
(3)大黒柱の遠藤の代表疲れ
そして、アントラーズも類似した不運に襲われていた。
まず(1)は言うまでもないだろう。結果的にホームで2−2の引き分けからのPK負けだったが、これが2試合あれば、アントラーズはもっとじっくりと戦えたはずだ
(2)についても、相手のFCソウルは相当が強いチームだった。ソウルが相当強い事は1次リーグでガンバが苦労した時点でわかっていた事。金致佑は負傷で不在だったが、若手のエース格の寄誠庸、李昇烈など優秀な選手も多い。若手が軸だけに不安定さもあり、1次リーグでは山東魯能に苦戦をしたようだが(まあ、あのラフファイトには世界中のいずれのチームでも苦労するだろうが)、ソウルが東アジアでは日本勢を除くと最も厄介な難敵の1つだった事は間違いない。もっとも、ソウルが1位抜けならば、ここにはガンバが来る組み合わせだった訳で、アントラーズは最初から組み分けが悪かった事になる。ガンバが、フロンターレが1次リーグで自滅したためにいきなり手合わせする事になった不運とは種類の異なる不運と言えるだろうか。
(3)についても、代表から戻った内田の疲労は明らかだった。ただし、これは不運ではなく、オリヴェイラ氏の数少ない自責と言うべき。アントラーズは内田のポジションには新井場を起用するオプションを持つ。それでも、オリヴェイラ氏は、このソウル戦直前のJのジュビロ戦、内田にこだわった起用を継続したのだから。。まあ、好意的に解釈すれば「オリヴェイラ氏は内田を世界レベルのサイドバックに育成しようと試練を与えている」となるのかもしれないが(1次リーグ時も、疲労困憊の内田起用を継続したな)。
そうこう考えると、内田の件でガンバよりは不運度は低いのは確かだが、やはり「運がない」のが最大要因に思える。
そして、大陸チャンピオンと言うのはそう簡単に獲得できるものではない。ましてリーグ戦ではないのだから、常に運不運がつきまとう。
たとえばUEFAチャンピオンズリーグ。前身のチャンピオンズカップを含め、54回行われているが、チェルシー、アーセナル、レンジャーズ、スポルティングなどと言った強豪は1度も優勝していない。歴史的に多くの名選手を輩出し、常時欧州を代表するクラブだったユベントスでさえ30回目でようやく初優勝できた。同様にバルセロナに至っては37回目での初めての欧州制覇。
たとえば、リベルタドーレス杯。こちらは49回行われているが、コリンチャンズ、フルミネンセ、アトレチコ・ミネイロ、ロサリオ・セントラルなどは優勝していない。ボカは6回も優勝しているが、初制覇は17回目の事。サンパウロはトヨタカップを3回制覇しているが、リベルタドーレス杯は33回目が初栄冠。
やはり、過去27回しか行われていないACL(前身のACC時代を含めて)で、アントラーズが1度も優勝できていないのも運不運の範疇の中に思えてくるではないか。以前も書いた事があるが、日本勢が5回も優勝している(古河(現ジェフ)、読売(現ヴェルディ)、ジュビロ、レッズ、ガンバ)のは、それはそれで大したものだとも思う。
ちなみにこちらが指摘した審判との相性問題は、確かに検討には値する問題だと思う(これはこれで別に検討し講釈を垂れてみたいとは思う)。ただし、小笠原がACLの審判の判定に苦しむのは今に始まったことではない。また、このソウル戦のファウルについては、2発とも警告を食らっても仕方がない判定だった。したがって小笠原の退場自体は「アントラーズの問題」ではなく「小笠原の問題」と理解するのが妥当と思う。
いずれにしても、審判問題はアントラーズがアジアで勝てない1つの要因だとは思うが、決定的要因とは思えない。上記した通り、日本の単独チームは(時に審判に苦しむ事はあるが)再三ACL(ACC)を制覇しているし、アントラーズの選手を含む日本代表もアジアでのタイトル獲得を幾度となく獲得しているからだ。
やはり主要因は「運がない」事ではなかろうか。
現実的にアントラーズが今期のJ1でベスト3に入る確率はかなり高いだろう。まずは、来期のオリヴェイラ氏と小笠原の仲間達の復讐戦に期待すると言う事だ。
2009年07月02日
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まず、対戦相手がFCソウルになったこと。このチームの属したグループは、ガンバと山東がおり、最終節でソウルが、初戦で1-4で大敗したガンバに勝ったとしても、山東がグループ最弱と思われるスリウィジャヤに勝ってしまえば2位以内には届かず、或いはガンバがソウルに最低でも引き分けてさえくれていれば、鹿島のR16の相手は山東になっていた筈ですよね。
ところが西野監督は、自らのチームが余裕で1位確定していたために、前々から公言していた通りに、17歳の宇佐美貴史を公式戦デビューさせ、尚且つDFラインまでをも含めて「総取っ替え」を敢行してしまいました…。宇佐美については公式戦デビュー、プロ初ゴールと、ファンへのお披露目も含めて成功したと思いますが、初戦で大勝したとはいえ元々は力のあるチームだけに、終了間際にバタバタし立て続けに失点を喫し勝ち点3を献上してしまいました。失点時、普段殆ど試合出場の機会が無い高木和道の動揺した情け無い表情が画面に大写しになったのが、やけに記憶に残っています…。
西野監督は自チームのコンディションのみを最優先したのでしょうが、心の中では「仮にメンバー落ちのウチが負けてもあの山東がインドネシアのチームにいくらなんでも負けるわけはないからグループの大勢には全く影響しないだろう…」と思っていたかどうか、はたまた何も考えていなかったのかしかし…。
ところがここで、もう毎年のお約束になっている「中国チームが東南アジアのチームに完敗!」という「お笑い」がやはりというか起こってしまいました…。
結局、西野監督の極端さ(思慮浅さ?)と、山東の毎度のお約束という2重の「何やってんだよ…。」が重なり合い、鹿島の相手がソウルになってしまったという…。
もし山東が鹿島の相手になっていたら、中国での試合ならばともかく、アウェーではホームでの執念ともいえるような開き直りのラフファイトは影を潜め、借りてきた猫状態になることが中国チームには多いですから、まぁやってみなければわかりませんが、過去の現実からして、かなり高い確率で鹿島が勝ち抜けたのではないかと、そんな風に思いを廻らしておりました…。
ガンバの相手が川崎になってしまったこと。そして逆転負けを喰らってしまったこと。この不運はもしかしたら、鹿島のR16初戦を難しいものにさせられた鹿島ファンの、そして一昨年からのACLでの日本勢の好調さを持続させ、1チームでも多い上位進出をと思っていた全体のファンからの、直接的ではないにしろ、多少は影響したであろうあの「総取っ替え」を敢行した西野監督への「怨念」だったのかもしれませんね。
野暮な突っ込みですが、当時はリーグ優勝しないと
チャンピオンズカップに出られなかったわけですから、
バルサはチャンピオンズカップの出場自体が少なかったんですよ。
バルサはチャンピオンズカップ出場5回目での初優勝で、
それまでの戦績は、
1959-60 ベスト4(優勝したレアル・マドリードに敗退)
1969-61 準優勝(ベンフィカに敗退)
1974-75 不明(wikiに載ってません。誰か教えて)
1985-86 準優勝(ステアウア・ブカレストに敗退)
で、出場したときは必ずと言っていいほど優勝争いに
絡んでいます。それだけレアル・マドリードの壁
(37年間で22回の優勝)が高かったということでしょう。
同時期にユヴェントスは毎年のようにチャンピオンズカップに
出場していて優勝できなかったわけですから、
「一発勝負の難しさ」というのは確かにあったのでしょう。
ですが「チャンピオンズカップに出場すること自体が
難しかった」という当時の状況も考慮しないといけないのでは?
ちゃんと調べたわけではありませんが、レンジャースや
スポルティングはセルティックやベンフィカ・FCポルトに
出場自体を阻まれているんじゃないかなぁ。
現在のように「強豪は半自動的にチャンピオンズリーグに
出場できる」というのも、大変は大変なのでしょうがね。
10人でもかなり押し込んでいたんだけれど、決める感じはしませんでした。
ダニーロは得点力低いし、あの枠で置いておくには物足りない。
お前、こんなとこまで来てそんな寝言をダラダラ書き連ねて、恥ずかしくないの?
サポからしてそんな他力本願な泣き言恨み言を本気でほざいているようでは、勝てる見込みなど最初からなかったな。
要は、鹿島が自力でソウルに勝ちさえすれば良かっただけの事。
Jでならすぐファールにしてもらえるもんだからすぐコロコロ転がってアピールするわ、Jの審判なら簡単に欺けるものだから小狡いラフプレーはするわ(国際審判は欺けなかったので赤紙出されたが)。
ホームゲームだと思って油断をしすぎ、調子に乗りすぎだった。
あれでは永久に国外のタイトルは取れんよ。