2009年10月06日

日本代表センタバック控え問題

 南アフリカに向けた日本代表チームの最大の懸念の1つとして、センタバックの控え問題がある。

 もちろん、レギュラが事実上確定している中澤と闘莉王の2人についても、まだまだ向上、改善を期待したい。過日のガーナ戦で、中澤はギャンに見事やられた訳だが、中澤の年齢で今から一層のフィジカル強化は難しかろうが、「よりよく読める選手」への成長は可能なはず。また、闘莉王にしても、時々見せるおバカからは、そろそろ卒業願いたいところだ。
 中々よい第3のセンタバックが決まって来ない事の要因に、最近のセンタバックへの要求仕様がどんどん高くなっている事が挙げられるのは確か。欧州やアフリカの選手の大型化はどんどん進み、190cm近い(しかも相応の足技を持つ)選手は珍しくなくなった。したがって、特にCBには上背のみならずある程度の体重と瞬発力と言うやや矛盾した素養が必要となってきている。さらに、サッカーの守備戦術の向上に対抗するため、後方からの精度高いパス出しがますます要求されている。戦術眼の必要性は言うまでもない。大きくて、強くて、速くて、巧くて、頭がよいCBでなければ、ワールドカップでは通用しそうもないのだ。
 考えてみれば、そのようなCBなど、日本のサッカーの歴史においては、過去井原正巳くらいしか存在しなかったのだから、そう簡単に第3のCBが見つからないのも仕方がないかもしれないのだが。

 元々岡田氏は、このポジションのバックアップとして、寺田周平と高木和道を幾度かテストしていた。この2人は185cmを越える長身で、俊敏な選手への対応もそれなりにこなし、前線へのフィードも「まあ許せるか」と言うレベルを持っていた。実際、昨秋行われたドーハカタール戦では、負傷離脱した中澤の代わりに寺田が起用され、無難なプレイを見せていた。ところが、寺田は年齢のためもあるのか今期は負傷がちでフロンターレでも試合出場機会が非常に限られて来ている。高木に至ってはガンバに移籍したが、レギュラを奪えず、1時はCBとしては4番手の扱いだった事もあった。結果として、昨年岡田氏が確保した大型CBが、2枚とも今年に入り全く使えなくなってしまったのだ。
 また、オシム爺さん時代から阿部勇樹が常に「本業ではないが」と言う注釈付きで、CBに使われる事が多かった。岡田氏が急遽代表監督に就任した昨年1、2月の試合では負傷離脱していた闘莉王の代わりは阿部が務め堅実なプレイを見せていた。ところが、以降阿部は代表で不首尾を連発する。昨3月のマナマバーレーン戦での決勝点を許す淡白な守備(一番の責任がGKの川口の大チョンボだった事は間違いないが、そのピンチを作ったのは阿部だった)。予選突破後には、横浜カタール戦でCBではなく本来のMFでの起用だったが凡庸なプレイ、そしてメルボルン豪州戦では無様な2失点に絡む対応ミス。特に豪州戦では、敵のエース格ケーヒルに対して「気持ちで負けているのではないか」とのプレイ振りで失望させられた。同様に、今野泰幸もオシム爺さん時代からCBに起用される事もあり、最近FC東京でもCBを務める事が多いが、高さと言う面では課題が残る。 
 その他にも、岡田氏は、山口智、岩政大樹などJリーグを代表するCB、水本裕貴、森重真人、槙野智章などの若手の好CBらを招集はしてきたものの、ほとんど出場機会を提供していない。

 今回の3戦に招集されたのは、岩政と若手の岩下敬輔が招集されている。さすがに今回のシリーズでは彼らにチャンスが与えられるのではないか。
 岩政は単純な強さと言う意味ではリーグ屈指の評価が定着しているが、精度のよいボールが入ったFWへの対応に課題がある。敵FWに巧く身体を入れられた際に我慢が仕切れなくなり、急いで当たってしまう事が散見されるのだ。だからこそ、厳しい国際試合で「試してみる」事が必要なタレントだとも思う。代表復帰した前回の欧州遠征ではベストコンディションではなかったとの事だが、今回のシリーズではどうなるか。
 一方の岩下は、遠藤保仁と同じ桜島中、鹿児島実業出身と言う名門育ち、高校選手権での優勝経験などもあったが、若年層代表とは、あまり縁がなかった。上記の高木の移籍に伴い今期よりフルレギュラを獲得し、一気に成長して来たタレント。落ち着いた対応と球出しのよさが特長の選手だが、ちょっとまだ線が細い感がある。まずは地元静岡での香港戦起用が期待されるところだ。

 ここまで、あまり多くのCBを実戦で試してこなかった岡田氏の真意はよくわからない。ただ、結果論として良好な第3のCBが見つかっていないと言う事実のみ残っている。今回のシリーズでの岩政、岩下の去就にまずは注目したい。
 もう1つ。岡田氏は、いざとなったらワールドカップ出場経験もあり強さと技巧に優れた(ただし、精神的には少々不安定な)ベテランを呼び戻せばよいと思っているのかもしれないのだが。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(10) | TrackBack(1) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
末筆の、第3のベテランCBが必要となったとき。
第3CB+中澤の組合せなら安心できますが、第3CB+闘莉王の組合せは恐ろしいと思います。
いやだからこそ見てみたい気も・・
Posted by ゆし at 2009年10月07日 01:57
最後の段落のベテランって誰でしょうか…

精神的に不安定………


松田直樹かな?

松田はもちろんだけれど、松田とも中澤とも同僚で、栗原勇蔵という好CBがいますが、武藤さんは栗原についてはどうお考えですか?

チョンテセに完勝したナビスコ辺りは素晴らしい出来でしたが…
Posted by くろぺ at 2009年10月07日 02:35
はじめてコメントします。よろしくお願いします。
第3のCB候補ですが、名古屋の吉田麻也はいかがでしょう?フィジカルも良く、サッカーインテリジェンスあふれる選手だと思うのですが。
ただ、闘莉王と同じく、時折見せるポカが玉にキズですが・・・。
Posted by pixyole at 2009年10月07日 12:15
エスパサポの贔屓目はあると思いますが、高さと強さという点では青山直晃を推したいです。

パワープレー時の攻撃参加という意味でもぜひ使って欲しい選手です。
Posted by あっきー at 2009年10月07日 12:45
松田はその「いざとなったら…」枠の選手だと思います。
(武藤さんが松田のことを指していたかどうかはわかりませんが)
ポジションは違いますが、小笠原や明神もその枠でしょうね。
Posted by 受験生 at 2009年10月07日 16:27
今となっては、坪井を引きとめなかったことを岡田監督は悔やんでいるかもしれませんね。
サブに居たら安心な選手なのですが。
Posted by 受験生 at 2009年10月07日 16:30
つい最近まで「ゼロトップ」を試した岡田監督なら、いっそオールミッドフィルダーのチームを作ってトータルフットボールをやったらどうかな。もちろん、全員がでかくて、早くて、強くて、うまくて、頭がいいミッドフィルダーということで。
ラグビーでは、全員がバックスのように走り回るチームを言い間違えて「オールブラックス」と呼んだらそのままチーム名になってしまったなんてこともあったそうですし。

いや、ちゃちゃです。すいません。
Posted by 神社米価 at 2009年10月07日 17:01
若手は割と良いのがいるけど、中堅がいないんですね。
若手は経験が少ないのが怖いのと、安定してクラブと代表を両立できるかどうか?

永田充とか古賀正紘とか駄目なんでしょうか?
逃げた菊地も割といいCBだったなあ。
寺田を選んだ時点で、とにかく高さが欲しいのは分るけど
今のシステムだとそれじゃ、ロクなCBを選べないと思います。
Posted by at 2009年10月07日 18:03
電車内で爆笑しました>第3CB+闘莉王の組合せ
今度ウィイレかなにかで試したいです!(笑)
Posted by けんご at 2009年10月07日 18:55
第3のCB=松田選手
とすれば、直前のタイミングでの加入という事が予想されますよね。
彼の経験はチームにとってメリットとなります。
特に期待できるのはチームの精神的支柱にある中村俊輔選手のプレー以外の負担軽減でしょうか。
やっぱり中村選手にはピッチ上でファンタスティックなプレーでチームに貢献して欲しいです。
その為には松田選手のようなベテランが必要と思われます。マリノスさぽとしては、現在もあのフィジカルをキープする見えない努力は評価に値するでしょう。
Posted by サイドバック1番 at 2009年10月07日 22:52
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