中でも山雅がレッズを破った映像をいくつか見たが、美しい専用競技場の満員近い大観衆。真っ赤なレッズサポータに負けない、緑の山雅サポータ達。得点や勝利の瞬間の大熱狂。試合内容も番狂わせの要因もよくわからないが、とにかくそこには「サッカーの醍醐味」があった。
強豪クラブの責務の一つに、地方の小さなクラブに敵地で鮮やかに負ける事がある。たとえばこれとかこれとか。ただし、これらの実例は1部リーグにおけるお話なのだが、今回の物語は、1部リーグ屈指の経済規模を誇るクラブが、実質的に4部リーグのクラブに敵地で敗れ去ったのだから、ドラマ性は格段なものがある。もちろん、歴史はこれから刻まれる。山雅が近い将来Jリーグ入りを狙っている事、しかし同地域にJ入りを狙うクラブが多いため中々北信越リーグを抜け出せない事はよく知られた話。山雅の歴史の中で、この日の勝利がどのような位置づけに記録されていく事になるのかにも、注目していきたい。
しかも(繰り返しになるが)その舞台装置が中々素敵な専用競技場だった事、満員に近い大観衆が地元クラブが演じた大番狂わせを堪能した事、もちろんこの日も大量に参戦していたレッズサポータがまさかの敗戦を多いに嘆いた事、さらに夜のテレビニュースで我々野次馬がこの大番狂わせを愉しんだ事等々、何とも重みのある大事件だった。我々日本サッカー界の懐も相当深いものになってきているのを再認識できる一幕とでも言おうか。
やはり天皇杯は天皇杯で愉しい。大番狂わせも愉しいし、壮大なトーナメント戦が少しずつ進んで行く雰囲気にも、リーグ戦やナビスコカップとはまた異なる魅力がある。いつか、我々がワールドカップに優勝するためにも、天皇杯をFAカップばりの名誉あふれるタイトルマッチに育てて行きたいではないか。
天皇杯を議論する上では、一連の日程破綻問題を避けては通れないのは言うまでもない。ところが、今年から日本協会が日程問題に敢えて耳をふさぐかのうようの施策を導入している。今年からJ1クラブが2回戦からの登場となったり、ベストメンバ規定を天皇杯に拡大したり(その割に平行して代表戦が行われたり)。おそらく、ここ10年来、多くのトップクラブが外国人選手を帰国させた体制で天皇杯に臨んだり、リーグ戦の残留、昇格争いを優先させる采配を行っている事を防ごうと言う発想からなのだろう。しかし、姑息なルールでクラブサイドを強引に押さえようとしても、今の日程のままでは代表選手抜きでの開催になるなど、本質的な解決にはならない。姑息なルールの連発は、結果的に将来、天皇杯そのものへの各クラブの取り組みに無理を起こさせる事になり、天皇杯の愉しさが損なわれたり、権威が一層損なわれる事態を恐れるものだ。特にベストメンバ規定のような異様なルールを天皇杯に持ち込む事で、近い将来「出場辞退したい」と真剣に考えるクラブが出てきてからでは遅いのだ。そのような意向に対して、「強制出場義務づけ」と協会が大騒ぎする惨めで見苦しい事態など、絶対にあってはいけない。
そう考えると、天皇杯をいかに発展させていくかについては、日程面からより大きな改革が必要になる。以前日程問題について検討した際の天皇杯改革私案部分を、この機会に再掲しておきたい。
決勝の元日開催にこだわる人がいるが、元日は必ずしも決勝開催には向いていない。1月1日は東京圏の人口が1年中で最も少なくなる日である事、当日の夜のTVは固定娯楽番組が行われ天皇杯決勝特集番組が組まれない事、翌日は新聞休刊日で露出が極端に少ない事など。過去元日の決勝が一種の風物詩だった時代もあるが、もはやサッカーの認知度は当時より格段に高く、拘泥する必要はないと思うのだが。以前より「正月の決勝戦はやめましょう」と再三再四述べてきた。さらに話を進めて、天皇杯を2年越しで行おうと言う(B)案と(C)案はそれぞれ気に入っているのだが。それにより、1年近くの時間をかけざるを得ない地域予選の影響で、リーグ戦終盤を過密日程にせざるを得ない現状から脱却できるからだ。2年越しの大会開催は、学生チームにはなじまない部分もあるが、何かを捨てなければ、事態は解決できない程に、日本サッカー界の日程破綻が進んでいる現状を鑑みると、やむを得ないと思う。
天皇杯改革には色々な考え方がある。
(A)年間の日本全クラブのチャンピオンシップと言う考え方を守るならば
日程を繰り上げ、11月の最終週を決勝とする。日程は日本中1ヶ月繰り上げる。(地方の日程の繰上げは相当難しくなるのだが)
(B)予選から本大会決勝までを2年越しとする
天皇杯は2年越しの大会とする。
毎年3月から12月まで、1年間かけて各県代表を選ぶ。
毎年本大会は翌年3月からJクラブを加え実施。
決勝は7月の「海の日」、9月の「秋分の日」あたりに実施する。
(C)天皇杯は2年に1回とする
(B)をさらに発展させた考え方である。
タイトルの獲得頻度が減ると価値が高まると言う観点から検討の余地はあるかと。
(B)、(C)については、日本のチームの多くが1年サイクルで動いていると言う観点からは反論があるかもしれない。しかし、いわゆる学校チーム以外は本質的には1年サイクルには拘る必要がないと言う発想から考えた案である。
いや、拙案に限らず、よりよい案があれば、どんどんと検討して行くべきである。何かを変えて行かないと、日程破綻問題は解決されず、実り豊かな天皇杯を愉しめなくなるのではないかと、危惧するものである。
先日の「foot!」で、評論家Kさんが
『最近はFAカップを軽視する傾向にある・・・』と
コメントしてましたが、ほんとのところは?
ACLが重要な大会に育てば、言質のとおり
日程が無茶苦茶なうえにベストメンバー規定なら
『辞退してもいい』大会に縮小させてみるのも
一手かもしれません。
天皇杯だけを語ると真実を見誤るので注意ですね。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1307897809&owner_id=6168846
これを見る限り浦和のカウンター対策がお粗末だったと言わざるを得ないと思います。
おそらく(無意識下にでも)甘く見ていたんでしょうね
会長の望み通りにアマチュアがプロに勝ちました。
外国人をメンバーに入れてはいけない(日本人同士で戦う)
こんなルールがあれば、大学生達はもっとJのチームを飲み込みそうな気がします。。。
えっと、こんなにのんびり選考する必要がどこに
あるんでしょうか?
東京都を例に取ると、社会人予選が1月末から3月末。
クラブユース連盟予選が前年12月から2月初め。
専門学校連盟予選が2月。大学予選が4月から5月にかけて
行われており、7月に学生・社会人代表決定戦を戦って、
8月末に東京都予選本戦を行う形式です。大学とそれ以外で
開催期間がずれていますが、全部合わせて3ヶ月くらいじゃ
ないかなぁ。一番チームが多い東京でこれですから、
他のところも長くて3ヶ月では?。「1年近くの
時間をかけざるを得ない」というのはどの都道府県の
ことでしょうか?
予選に空白期間があるのは4〜6月にリーグ戦をやって
いるためで、「もっと早く決めろ」と言われれば予選の
前倒しは可能です。リーグ戦が7月8月のクソ暑い時期に
はみ出してくるのはあまりうれしくはないですけどね。
アマチュア側からすれば、天皇杯は出来るだけ遅い時期に
やってもらったほうが助かるんです。遅ければ遅いほど
チームが仕上がってきますから。高校生チームが天皇杯で
全然勝てなくなったのは、全国にJを目指すアマチュアチームが
増えてきたというのもありますが、天皇杯が9月に前倒しに
なったというのも大きいと思いますよ。
#まぁ、昨今は高円宮杯と天皇杯がバッティングして
#天皇杯のほうに2軍を出さざるをえないという問題もあるんですが。
スポナビで宇都宮氏が天皇杯のコラムを書いてますが、JだけでなくJFLを目指す各地域リーグの強豪チームすら過密日程みたいですね。
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/emp_cup/89th/text/200909200002-spnavi.html
日本協会の会長さんは、日本サッカー全体を考える立場ではないのか?と疑問を覚えます。