グランパスが敵地でアル・イテハドに2−6の惨敗を喫した。灼熱の敵地と言う環境、負傷者が続出したメンバ構成、開始早々の退場劇、相手が強力だった事、ピクシーの采配ミスなどが錯綜した結果だった。
開始早々の竹内の退場は妥当な判定。完全に裏を突かれた場面で、明らかなファウルを犯してしまった。抜け出されたところで「勝負あり」だった訳だが、敵地のあの時間帯なのだから自重して欲しかった。元々グランパスは、増川、バヤリッツァの離脱で、ただでさえ苦しい布陣だったが、この退場でいよいよセンタバックが枯渇してしまった。ピクシーはセンタバック経験のある阿部を中央に回し、小川をサイドバックに下げる苦しい布陣。
直後、隼磨の巧みな前進のクロスからケネディが先制点を決める。退場の混乱劇でアル・イテハドも落ち着かぬ間の隙を突いた見事な攻撃。1人少なくとも、守ると決めれば試合はやりやすくなる、と思ったがそうは問屋がおろさなかった。グランパスは4−4−1で守備ブロックを作り、守りを固めようとするのだが、問題が多過ぎた。まず、ワントップのケネディのチェイシングがあまりに淡白。さらに両サイドの守備の約束が曖昧で、マギヌンとブルザノビッチの中途半端な位置取り。ために、敵の4DFが自在にボールを回し、サイドに容易に拠点を作られる。結果的に、DFラインが引っ張られ、正確なグラウンダのボールがトップに入る。その状態で、チュニジアやサウジ代表の中心選手が突破を図ってくるのはを、急造のCB阿部につぶせと言うのは酷な話。しかも、サウジのチームとは思えない程、攻撃に変化がある。このあたりは、カルデロン氏の指導の賜物か。再三裏を取られ決定機を許してしまった。同点に追いつかれた後に、ケネディがさすがのヘディングの強さで作ったワンチャンスを、中村が鮮やかな反転から決めて2ー1にして前半を終えたが、守備のてこ入れは必須と言う印象だった。
後半、ピクシーは控えで唯一のDF佐藤将をブルザノビッチに代えて起用。佐藤を左サイドに起用し小川を上げるのかと思ったが、佐藤は吉田と阿部の中央?に位置取りし、5−3−1として、ケネディの孤立に対しては、中村が長駆する事でフォローする形となった。けれども、中村の献身で逆襲時にある程度攻め込む事はできるようにはなったが、サイドの人数が減り、さらに中央で最も頼りになる吉田が右サイドに引っ張られるために、一層守備の傷口は広がった。そして、相当な高温多湿、過酷な長距離遠征、中3日の日程、選手達の疲労も顕著になっていく。
それでも、選手達は粘り強く戦い、シュートミスと広野の再三のファインプレイでリードを守っていたグランパスだが、後半20分に右、左、中央と大きく揺さぶられ同点。このあたりで左サイドを1人で守っていた小川が完全に疲労しているのは明らかだった。ピクシーがアレックスを呼んだので、小川と交代と思ったが、中村との交代。確かに中盤でキープできる選手の起用はわからなくもないが、中村の消耗は小川に比べれば小さいように見えたのが。
後半30分、疲労困憊の小川から崩されるも、広野がまたも超ファインセーブ。ところが、そのこぼれ球を小川がクリアし切れず拾われ、ついに逆転弾を浴びる。あの状況の小川を攻めるのは気の毒と言う印象が強く、このあたり、いつ失点してもおかしくない状態だった。
ここでピクシーは、ケネディに代えて玉田を投入。玉田が元気よくピッチに飛び出したのを見て悪い予感がした。玉田は案の定、「同点を狙って」精力的にボールを引き出そうとする。それに合わせ、アレックスやマギヌンが押し上げる。これがアル・イテハドが「逆転狙いで前掛り」のタイミングならば有効だったろうが、「逆転して落ち着いた」状態だったから、火に油を注ぐ形となった。仕掛けるならば遅過ぎたのだ。そして、微妙な判定ながらPKを取られ4−2となる。
もうグランパスの守備ラインはヘロヘロだったが、2点差となりアル・イテハドの攻撃も落ち着いていたらから無理をしなければあれ以上の破綻はなかっただろう。けれども、攻撃ラインの選手は無理な前進を繰り返し、逆襲の好餌となってしまった。敵地で開始早々に退場者を出したのだから、2点とっての2点差負けで十分とは考えなかったのだろうか。ロスタイムの2点はあまりに痛い。この試合はリーグ戦でも一発勝負でもなく、ホーム&アウェイだったと言うのに。消耗した選手達は攻められないが、無理を仕掛けたのが交代出場してまだ身体はもちろんだが十分アタマも働くはずのアレックスと玉田だっただけに何とも微妙な印象を持った。戦う以上は勝ちたいと言う気持ちはわからずでもないが...
センタバックが枯渇し、破綻する日程下での厳しい遠征、厳しい気候条件、早々の退場劇、そして何より強力な敵。さしものピクシーも、ここまでの過酷な環境は読み切れなかったのか。
瑞穂でこの難敵に4点差で勝つ事は極めて難しい事は間違いない。それでもピクシーは諦めないだろう。往々にして「大差ノルマ」の試合は無理にバランスを崩した攻撃的布陣を組み過ぎバランスを崩して破綻する事が多い。アラブのチームは駆け引きを好むから、無理をしない試合を狙ってくるだろう。むしろ、ある程度バランスに配慮した布陣で、後半30分までに2点差に持ち込む事ができれば、あるいは。
2009年10月23日
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