2010年01月07日

サヌアの逆転劇(上)

 若い選手が良好な(失敗経験を含めた)経験を積めた事、色々と課題はあるが平山と言う異才がハットトリックを演じた事、勝ち点3を獲得し本大会出場を決めた事など、結果的に結構な試合ではあった。ただし、山田直輝の重傷を除いては。
 少々の判定の不平等はご愛敬だが、明らかに選手が大怪我をするようなラフプレイは排斥されなければならない。そして、審判団の重要な仕事は、試合をうまく管理制御する事のみならず、そのようなラフプレイを未然に防ぐ事も含まれる。けれども、アジアの国際試合では、ホームで戦う中国チームの試合を底辺に、このような事態が多すぎる。もちろん、中国チームとは異なり、この日のイエメンのプレイ振りは組織的狼藉ではなかったのだが、何とかしたいものだ。

 しかし、ひどい前半だった。
 非常に難しい試合になる事は試合前から予想されていた。経験の浅い選手達による、ほほぶっつけ本番のチーム構成。天皇杯決勝に出場した吉田を除くと、ほとんどの選手が約1ヶ月振りの試合と言うブランク。ただでさえ文化圏が極端に異なるアラビア半島国。テロの噂による精神的な緊張、高地ゆえ希薄な空気。序盤にかなり危険なプレイを許容した審判団。タイトルマッチを戦う上では「最悪に近い」環境での試合だった事は間違いない。
 しかし、だからと言って、あそこまでまともに組立ができなくてよい訳がない。立ち上がりに敵のチェックが厳しく、思うように攻められなかったのは仕方がない。
 けれども、CKでの無防備さは何だ。難しい試合だからこそ、セットプレイの守備は慎重に行わなければならない。
 けれども、どうしてあんなに、単調に前に蹴ってしまったのだ。敵地ゆえ序盤に激しいチェックがくるからこそ、丁寧に我慢したつなぎをしなければならない。
 本来であれば前半からメンバ交代をして体制を立て直すべきところだろうが、山田の負傷(平山と交代)があったために、それも叶わなかった。0ー2とリードされた時はどうなる事かと、さすがに心配したが、直後の金崎のCKから平山が打点の高いヘッドを決め、前半のうちに1点差にできた事、前半終盤のセットプレイからの決定的ピンチを権田の好反応でしのいだ事が、結果的に分岐点となった。

 岡田監督は、後半立ち上がりから、山村(ほとんどの時間帯消えていて印象に残るプレイはあまりなかった)に代えて乾を起用。乾が開始早々左サイドを崩すドリブルを見せ、そこから日本はペースを掴む。菊地(前半はCBだったが後半は槙野と入れ替わって右バック)の押し上げと乾のドリブルを、金崎がうまく使い、再三好機を作る。そして、乾の右サイド突破からの低いクロスを、平山がGKと交錯しながら、落ち着いてターンして振り向き様左足で決めて同点とした。
 以降は金崎と柏木(後半から上下関係がうまく機能した)によくボールが集まり、日本が丁寧に組み立てる事に成功、完全な日本ペースとなり、幾度か決定機をつかむ。そして、例によって右サイドのうまい崩しから、金崎が逆サイドに展開、それを受けた渡辺が左から低く鋭いクロスを入れ、平山がGKの鼻先でみごとに左足で合わせて決勝点を決めた。 
 以降は、権田、吉田、槙野を軸にしっかりと守り、試合をクローズ。同じイエメンとの敵地戦、オシム爺さんが率いた当時のフルメンバのチームが3年半前に散々苦労したのだから、内容も結果も上々ととらえるべきなのだろうなと。

 ネット経由で見る画質は粗いしカクカク気味で、芳しいものではなかった。そのために、個々の選手の技術の発揮具合を把握するのは難しかったが、日本の選手のほとんどは見慣れたタレントだったので、試合の流れを把握するには全く問題なかった。特に後半日本が自らの意図で組み立てられるようになると、それぞれの選手の見慣れたプレイスタイルが見分けられるようになり、ほぼ実情が把握できるようになった。ただし、ボールがネットを揺らしたのか、外れたのかを理解するのは、結構難しく、ガッツポーズなどで判断する事になったので、歓喜や悲嘆の速応性には課題の残る試合ではあった。
 ただ、パーソナルコンピュータ画面で観る真剣勝負は中々愉しいものだった。画面を大きくすると画質が落ちるので小さくした方がかえって見やすい。すると、PC画面で他のアプリも見る事ができる。結果的に、Twitterなど冷やかしながらカクカクを愉しむ事と相成った。当初は、現地にいる宇都宮徹壱氏のコメントが、カクカクを補足してくれる事を期待したのだが、どうやら会場の無線LANがうまく機能しなかったらしく氏の現地コメントは取得できず。けれども、日本中でカクカクを愉しんでいる仲間達と、やりとりができた。UGと共通の友人(今回も、先日の南アフリカも、ほぼ全ての敵地戦に参戦しているOさん)が映像に登場した事を共に喜ぶ。別な友人は「毎試合、アラビア語の実況でもイイような気がしてきた。」と鋭い発言を発する。さらにFC東京サポータの某著名ライターが「平山10点!権田7点!ヨネ・・・超おまけで6点!(大甘)」と語るものだから、つい知的労働者オタクとしては「ダメ、甘すぎる。4点。」と厳しい返答を返す。
 1人でPC画面を見ながら、槙野たちの奮闘を見ていたはずが、日本中の友人と隣で参戦できた気分。これはこれで、新しいサッカー観戦のスタイルだと思った次第。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
前半は異物のボランチ山村が機能しなくてプレスがかからなくて失点。
後半は柏木がボランチに入ってプレスが機能して無失点。
あと槙野はSBできなくて菊地はできた。
そんな感じです。

特に後半は3人で囲んでプレスという守備ができるようになり
柏木と菊地がパスの配給役になってボールが回るようになりました。

練習で見たはずなのに、なぜあのスタメンを組んだのかが謎です。
試合が始まってみて失敗だと気がついたみたいな他人事のような監督のコメントが・・・。
Posted by at 2010年01月09日 07:44
あのイラン戦はちょうど6年前位でしょうか。『俺は伝説の始まりを見た!!世界に通用する日本人エースストライカーの誕生の瞬間!!カズ、ヒデの次はこの男だ!!』と身震いした私としては、岡ちゃんが継続して召集しなければならなくなった程の結果を平山が出してくれたこと、とても嬉しく思ってます(しかし「五輪にしろプロにしろ初戦は強いが」との声もあり…)。


余談ですが表題を目にした瞬間、『どこかで放送やってたの!? 武藤氏独自のルートがあるのか!?』と思っちゃいました(笑)

自分のネット環境の拙さもあるとは思うんですが、あのカクカクでここまで戦評出来るとはさすがです。
Posted by 木村カズ at 2010年01月10日 11:54
平山はJで5点以上取ってから騒ごうよ
現状は巻の方がいい
ところで俊敏系FW好きの岡ちゃんは平山を招集するきっかけが出来て嬉しいのか、不愉快に思ってるのか本音が聞きだいね
いつも発言と行動が逆の腹黒い監督だから本心がわかんない(笑)
Posted by 地方妻 at 2010年01月11日 16:20
前半の出来は明らかに岡田監督の責任でしたね。

急造チームだからこそCBは前に行くタイプと後ろで待つタイプを組ませて役割を明確にさせるべきだったのに、招集メンバーで唯一前に行けるタイプの槙野をSB起用。

中盤の底は米本&山村とマイボールの時に気のきいたプレーが出来ない二人。
米本は繋ぎのパスはまだマシですが視野もセンスもパス精度もまだまだで、後ろに今野、横に梶山、前に羽生がいるからこそ輝ける選手です。
山村に関しては可哀想の一言。
招集されるべきじゃなかった選手の中で最大の被害者でした。

マスコミは岡田監督に対してもっと厳しく追及するべきでした。
新戦力の発掘なんて最初からする気が無かったんだろうって。
Posted by at 2010年01月12日 01:32
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