2010年01月14日

サヌアの逆転劇(下)

 諸事多忙で更新をさぼっているうちに、オフにもかかわらず(と言っても高校サッカーはやっていたが)サッカー界も色々な動きがあり、講釈を書きたいネタも随分とたまってしまった。変化がある事そのものは、よい事なのだろう。ともあれ、イエメン戦について、続きを書くところから再開しよう。

 この試合が、選手達にとってすばらしい経験になったのは間違いない。「このような機会を今後も...」と言いたいところだが、相当難しい事に気がつく。今回はAFCの無思想な日程決定のために、やむを得ず若手選手のチームを派遣し、先方のA代表チームと公式戦を戦う事ができたもの。この無思想が継続しなければ、「このような機会」は再発しない(そして、言うまでもなくその再発は望ましくない事態だ)。
 現実的に今回のようなB代表チームを編成するとしたら、五輪代表チームと言う事になろうが、そうなると年齢制限は結構きつく、今回の選手のほとんどは対象外となる。と言ってA代表と五輪代表と独立して、別なチームを作っての遠征は、破綻している現状の日程を考えれば不可能に近いだろう。
 そうこう考えると、今回のチームが上下動激しくスリリングな試合を見せてくれた事、そして結果を出した事は、僥倖だった事がわかる。サッカーの神様が、我々にお年玉をくれたとでも思って、カクカク画面を記憶して行く事にしようか。

 実は、カクカクから読み取った各選手への寸評をほぼ書き終えていたのだが、既にベネズエラ戦のメンバが発表になり、タイミングを逸した感があり、まとめるのは断念。とは言え、米本の初代表については触れない訳にはいかない。
 米本の苦闘は、この日最大の失望であり、この日2番目の成果でもあった。前半、米本はホームで勢いに乗って攻めかけるイエメンの攻撃を中盤で止めるのに失敗した。カクカクなので経緯詳細は不明だが、再三敵のドリブルに打ち破られてしまった。しかも、結果的に位置取りがどんどんと後方になり、バックラインに吸収されて、状況を一層悪くしていた。さらにせっかくボールを確保しても、効果的に散らす事ができなかった。後半に入り、状況は改善したが、持ち味の展開は思うようにできなかった。ようやく同点以降、完全な日本ペースになった時間帯で、良好なサイドチェンジで展開できるようになったのだが。
 後半柏木が後方に引いて来て近くでプレイできたのも大きいのかもしれない。普段は横に梶山がいるしな。まあ、大人相手の国際試合は初めての経験であり、ダメなプレイをしながら、段々と改善していったのだから、まずはよしとすべきか。先日、明神を一緒に招集して欲しかったと述べたが、明神がいたら米本はあんな苦労をしなかっただろうから、これまたよしとすべきなのか。

 で、平山なのだが。
 そもそもスタメンに選ばれていない事を反省してもらいたいのだが、まあいいや。まず、山田の不運な負傷での交代直後に強引な突破からシュートを狙ったのはよかった。そして、以降もFC東京で見せる引き出しのよさと受けの巧さに加えて、とにかくシュートに持ち込もうとするのがまたよかった。
 1点目。金崎が平山を信頼してあそこに正確に蹴り込んだのが見事だったし、0−2になった直後のためか敵DFの集中もやや甘かった。ともあれ、あの高さはやはり大したものだ。問題は敵DFが厳しくマークしている状態で、駆け引きとおしくらまんじゅうに打ち勝ってあそこに飛び込めるかだ。このあたりが絶品だった日本協会技術委員長の直接指導にも期待しよう。
 一番嬉しかったのは2点目。平山は、乾のセンタリングに飛び込むも、GKと交錯してボールがこぼれる。それを冷静にコントロールしてターンして流し込んだ。平山の最大の特長はボール扱いの正確さにある。こう言った不慮の事態に陥っても、慌てなければこのように見事なコントロールが可能。かつて日本人のストライカで、これだけボール扱いがよかったのは、釜本、戸塚、カズ、久保くらいか。たとえば、カズがゴール前でバウンドしたボールを冷静に幾度も蹴り込んでくれたが、平山はそれを継げる人材だと思うのだが。
 3点目はある意味で平山が最も得意な形。平山と言うと「高さ」を期待する人が多いが(もちろん、その高さも1点目のように見事なのだが)、「横への動きの後」に合わせるの巧い。ヘディングシュートも横に大きく移動した後に決めたものも多い。しかも左右両足でしっかりと打てる。その特長をよく理解した相棒がいた事をちょっと思い出したりして(その相棒も早く「場」をつかみ直してトップレベルに再登場して欲しいのだが)。
 もう1つ。平山が「得点を狙い続け、実際にたくさんシュートを決めた」事で大きかったのは、金崎の存在があったようにも思う。FC東京の攻撃的MFは石川直宏、羽生、鈴木達也など、「突破」、「かく乱」を武器にするタレントが多い。そのため、梶山、あるいは今野、米本が長いボールを入れて、平山が受ける事が、攻撃の重要ポイントになっている(梶山、平山コンビのこの攻撃は、調子に乗るとJでも屈指の強力な前進方策)。ところが、この日は金崎が持ち上がって前線で好パスを狙うので、平山は「受ける」ために下がるよりも、「打つ」ために上がる姿勢でボールを受けられた。そうなると、平山が得点力を発揮するためには、やはり米本の一層の成長が必要と言う事か。
posted by 武藤文雄 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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