2010年01月19日

トリニータ経営絶望問題3

 トリニータに対し、J当局が2億5千万円の追加融資を決定したと言う。
 
 Jリーグサイドから見れば、「仕方のない結論」だと思う。現実的に、追加融資をしなければトリニータがトップクラブとしての活動を継続できなくなる事はどうやら間違いない事態のようだったからだ。もしそうなれば、何よりサッカー界は非常に大きな痛手をこうむる。今までトッププロのサッカーがあった街から、それがなくなってしまう状況の被害は想像できないくらい大きなものだ。加えて、言うまでもなく、既に融資した3億5千万円の回収が絶望的になるのみならず、既にトリニータが来期(この3月に開幕するシーズンを来期と呼ぶ)に向けて契約した全選手が路頭に迷う事になる。
 一方、融資をするにあたってのリスクは追加の融資の回収失敗(と金利収入減少)だが、これは今後の経営指導でそのリスクはある程度は減らせるはずだ。上記した悪夢的な状況と比較すると、「仕方のない結論」と言う事になると思う。

 約1ヶ月前に私は2つ文章で、とにかく「経営のスリム化」、「借金の早期返却の明確化」を提案させていただいた。また、私のような野次馬ではなく、以前ベルマーレの会長を勤めていた河野太郎氏は、愛情あふれる現実的提言をしていた。
 けれども、トリニータサイドの危機意識の低さは当時の危惧以上だったようだ。J1昇格の可能性がない状態で、どうして代表経験のある働き盛りの選手と再契約をする必要があったのか。複数年契約だとしても、早々に「売りに出せば」違約金込みで固定費を減らせたはずだ(たとえ買いたたかれても、固定費を減らす方が経営は格段に楽になる)。
 またマスコミによると、皇甫官監督が「J1復帰」をキーワードにしていると言うが、気は確かなのだろうか。J1復帰のためには、6億円のJの借金のみならず、10億円の債務超過解消がノルマと言われている(個人的にはJに借金を返せば、J1昇格権を提供してよいとは思っているが)。乱暴に言えば、今期J1に復帰するためには1年間で10億円のキャッシュを作らなければならない。トリニータは約10億円の予算計画をJに提出したと言うが、20億円くらいの売り上げを上げる必要があるのだ。皇甫氏のような発言は百害あって一利なしの典型である。
 ちなみに、報道によると移動費として予算化されていた3千万円の追加削減がノルマになっているらしい。今期の敵地戦は18試合、移動する人数を25人とすると。3千万円÷18÷25=約7万円、まあ削減指示が出た全額が敵地への遠征費用ではないにしても、「1回の遠征で1人あたり万円単位は削減できると即日判断される移動費」の予算で、2億5千万円の融資を依頼する度胸は中々のものではないか。
 今からでも遅くはない、人件費(もちろん選手、指導陣のみならずフロント、スタッフなど)の削減を、一層進める事をお勧めしたい。いや、トリニータの実績を見る限り、人件費の他の支出も妙に多いのだが、とにかく出る費用を最小限に一層削る事しかない。そして、1年目でいくら負債を減らす事ができるか、キャッシュメークの実力を見せられるか、それが何よりも重要なのだ。

 さらに言えば、もう遅いが、Jから借金をしなければならないと公開された時点で、来期に向かい大胆なスリム化を図り、J2の中堅クラブ程度の支出計画に圧縮していればよかったのだ。そうすれば、収入が少々減っても、2億円以上の利益が期待できる予算計画を立てられたはずだ。そうすれば、今回の追加融資なしで、金融機関から正常な融資を受けられた可能性は高い。さらに健全な借金返済実績を積み上げれば、来期終盤には追加の融資あるいは億円単位の出資企業が登場し、かなり早い段階でJ1昇格権を獲得できた可能性もある。そうなればしめたもので、過去次々と優秀な監督を連れてくるのに成功した眼力、幾多の若手の育成に成功した基盤力が、俄然生きていた事だろう。
 しかし、もう遅い。
 トリニータは、ここ数ヶ月、いや1ヶ月を無為に過ごし、放漫経営を継続する形態となり、一層厳しい状況に自らを追い込んでしまった。以前私が危惧した「緩慢な死」との戦いが始まろうとしている。

 日本各地にJリーグを目指すクラブは多数存在する。近い将来、J2を陥落するクラブが登場する。それが何年後になるのかはわからないが、トリニータはそれまでにJからの融資を相当額返済しておく必要がある。そうしなければ、無条件で下位リーグに落とされる決議を受けたり、大幅な勝ち点削減の処置を食らっても、何の不満も言えない状況なのだ。

 私はサッカー狂だ。友の緩慢な死は望まない。私の危惧が外れる事を切に望む。
posted by 武藤文雄 at 23:45| Comment(3) | TrackBack(0) | Jリーグ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ご指摘全くその通りで返す言葉がありません。菊地に関しては個人的にクラブや本人に移籍してくれとメールし手紙も出しましたが…本人ブログの通りです。あと、株主やフロントの脳内花畑状態についても弁護しようがありません。詳しくは大分県議のあそう栄作氏ブログに株主総会の風景が記されています。私はそれを読んで絶望と共に前社長が決して責任追及されない見えない力の存在を確信しました。今夜のテレビ朝日の夕方のニュースでの彼の弾けっぷりも凄かったですし…しかし、あんな無責任な前社長を未だに擁護する人間がクラブ中枢に多数存在するのも事実で…ファンボや原がチームに残るのも院政ではとささやかれています。 結局、大分には河野太郎は居なかったという事ではないかと諦観しています。あの03最終節を観た仲間として仙台の健闘祈ります。
Posted by たいすけ at 2010年01月20日 21:07
「クラブ」とは倒産しても消滅することは無い前提で存在してるので
Fはレアケースで消滅しましたが、たとえアマチュアになっても
存続自体はできるシステムになってるはずです。

この後に及んでこんな甘い経営を考えてるクラブは
J加盟を取り消してしまえばいいんです。
他にもJリーグに入りたいクラブはあり、今後もこのような
放漫経営による崩壊は起こるでしょう。

フィオレンティーナを見てください。
クラブを建て直そうとする人さえいれば、復活できるんです。
Posted by    at 2010年01月21日 00:03
あそう栄作氏のブログを見て気が変になりそうになりました。経営に関わる人間は全員外部の金を当てにして自分達が稼ぐ必要性を感じてないとしか思えません。
「借金あってもJ1昇格、リーグにお願いすればなんとかなるよ!」と考えているのでしょう。
Jリーグは追加融資を断るべきでした。融資を認めたことで、大分に際限なく金を突っ込む泥沼にはまることを危惧します。
Posted by うわうわ at 2010年01月21日 01:02
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