2010年01月28日

小野伸二と稲本潤一

 小野伸二と稲本潤一がJリーグに帰ってくる。私はこの2人の「現状」を見ると、何とも複雑な気持ちになってくる。若い頃抱いた「期待」と「現状」のあまりの落差に。

 小野伸二は1度は欧州あるいは世界の頂点に近付いてくれた。
 フェイエノールトでUEFAカップを制覇したし、あのチェコ戦でネドベドと互角の攻防を見せてくれた姿を忘れる事はできない。
 私にとっての小野は、「世界にも稀な全軍を技巧と判断でリードできるタレント」だった。フェイエノールトでも、レッズでも、もちろん日本代表でも、体調がよい時には「世界にも稀な」プレイを見せてくれた。そして、その片鱗を最後に見たのは、4年前のワールドカップ直前の試合だった。
 以降の小野を語るのはつらい。以前、これだけの事を書いた事がある。そして、残念ながら現状の想いは変わっていない。
 その小野が清水に帰ってくる。本当に最後のチャンスだと思う。
 ただし、小野はまず定位置争いからのスタートになる。エスパルスの中盤は、藤本、枝村、兵働、本田拓也など、有為な人材が多いが、それぞれがもう1つ伸び切っておらず、相も変わらず最後の最後は伊東に頼るところがある。だからと言って、ドイツでも思うように出場機会が得られなかった小野がすぐに定位置確保とはならないだろう。しかも、レイソルで相当な実績を挙げてきた杉山浩太もいるし。
 でも、やはり私は小野に期待したい。幸い、エスパルスには岡崎がいる。小野がかつての輝きを取り戻し、エスパルス全軍を指揮し、あの(若い頃に再三みせてくれた)振りが速く正確でタイミングが完璧なスルーパスを再三岡崎に通してくれれば。Jで岡崎はおもしろいようにボカスカ点を取ってくれるだろう。そして、そうなれば、小野の南アフリカの可能性も...

 稲本が世界を席巻したのは、結局(今のところ)あのベルギー戦だけだった(いや、あのロシア戦の得点にも感涙したけれど)。
それにしても、あのベルギー戦の「爆発的な前進力」は忘れる事はできない。もちろん、あの2点目の強烈な前進もすばらしかったし、あの幻の3点目の技巧と強さと言ったら。
 けれども、それっきりだった。あの時点では、「アーセナルはレベルが高過ぎた、でもワールドカップでもあれだけやれたのだ、きっと凄い選手になるに違いない」と皆が思っていた。しかし、大変残念な事に、以降イングランドでもトルコでもドイツでもフランスでも、常時出場するところまでは到達できなかった。稲本がクラブの試合に年間30試合以上出場したのは、2000年のガンバ(当時稲本は21歳だった)が最後なのだ。言い換えれば、稲本は以降1年たりとも、年間フル出場を果たす事なく日本に帰ってきたのだ。
 もちろん不運もあった。あのイングランド戦での負傷は本当に残念だった。また、あの難しかったドイツワールドカップ、クロアチア戦の後半起用された稲本は信じ難い頑張りで0−0の引き分けに貢献してくれた。決して、稲本は消えていた訳ではないのは確かだ。でも、あのベルギー戦を思えば、もっともっと凄いプレイを見せてくれる選手になるはずだったと期待してもおかしくなかっただろう。
 その稲本が日本に帰ってくる。本当に最後のチャンスだと思う。
 フロンターレは稲本にアンカーの定位置を提供する事になるだろう。そして、谷口を上下動させ、憲剛を自由にプレイさせる。元々、前を向いた時の技巧が最高で中盤後方から挙動を開始するのが得意だった憲剛は、ここ最近かなり前方でプレイしても敵の厳しいプレッシャをのがれて妙技を見せるようになってきている。とすれば、経験豊富で後方を固める強い守備的MFは憲剛が能力を発揮するために非常に重要なはず。そして、憲剛と稲本の連携が成熟すれば、稲本の南アフリカでの挑戦が非常に現実的なものになるはずだ。

 小野も稲本も、視野にあるのは南アフリカだろう。
 これだけの逸材が伸び切っていない現実を悲しみつつも、この2人が苦闘してもなお幾多の名手が日本に揃っている現実を愉しみたい。そして、この2人が奇跡的な復活を遂げて、若い頃抱いた「期待」以上のプレイを見せてくれたならば、これ以上の喜びはない。
posted by 武藤文雄 at 23:55| Comment(3) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小野も稲本も、そして城もあの怪我さえなければ・・・と、残念でなりません。でも、城は横浜FCで幸せな引退をしました。小野も稲本も一花咲かせてほしいですね。
Posted by くみちょ at 2010年01月29日 19:59
彼らに対して失礼かと。
結局遠回しな批判にしかとれないです。
彼等がJの旬ネタであるがために書いただけのような気がしてならない。
彼らは今でも一流ですし、競争など不必要です。
Posted by あま at 2010年02月20日 14:39
なんすか、遠藤と中村中心てやってきたつけが今になってでてきましたね。
ポストプレーができる柳沢をよばず、3手先を考えてパスを出す小野と小笠原をよばず。。
結局、岡田は自分の戦術浸透が可能なクラブチームを作りたいみたいだが、代表では無理。精鋭をあつめてなんぽ。。
しかも、弱い相手に横パスしか出さないじてんで気付くべきじゃない?
サッカーは意外性がないと崩すことはできない。小野をただのテクニシャンと批判するが、テクニックがなければ相手を抜くことはできないんだよ。横パスだけ。逃げてるだけのサッカーなのはそのせい。長い間の連携というが、うまいやつがやりゃ、そんなもんは始めからうまく行くんだ、サッカーやったことがある人はわかるけど。。
代表のディフェンス陣は歴代最高なのに。。残年過ぎる代表へ。
Posted by あま at 2010年06月06日 05:09
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