氏の引退時にこんな文章を書いた事がある。選手相馬直樹は、決して格段の天分に恵まれた選手には思えなかったが、知恵と工夫で代表の主力に上り詰めた。その知性は、きっと指導者としても成功するのではないかと思うからだ。
個人的にゼルビアと言うクラブに期待するところは大きい。Jリーグの多くは、親会社の関連などで、人工的にその街に「降り立った」クラブ、あるいはJリーグ開幕以降地域主導で「作られた」クラブがほとんどだ。JSL時代からある程度地域密着が進んでいた(せずにはいられなかった)サンフレッチェ、(人工的と言う意味では最も人工的だが)元々地域のサッカー選手育成ピラミッドが作られていた上に乗っかったエスパルス、正に地域を代表するサッカークラブだったヴァンフォーレあたりが例外なくらいか。結果として、多くのクラブが地元のサッカー界と的確に融合するのに、それぞれ苦労してきた。いや、今でも、関係がギクシャクしているクラブも多い。
ところが、ゼルビアはサッカーどころとして定着している町田市が、選手流出を防ぐと言う事も狙いの1つとして作られ、トップを狙おうとするクラブだ。地域のサッカー界と密着した状態でトップクラブを狙うと言う意味では、非常に自然な成り立ちに思える。欧州なり南米のスポーツクラブに似た雰囲気を感じるのだ。
もちろん、首都圏がゆえの悩みもあるだろうし、周辺には強力なライバルも多く、決して平坦な道のりとはならないだろうが。
そのようなゼルビアが、コーチ経験もない相馬氏をいきなり監督に抜擢した所に、新鮮さを感じる。よい出会いになる事を期待したい。
つまらない不安を2点。
1つ目。相馬氏のテレビでの解説振りに、あまり感心しなかった事。以前触れたこの事例に限らず、結構「危ない」解説が多かった。
もっとも、解説がうまい人がよい監督には限らないし、テレビ解説のように瞬間的にうまい言い回しが要求される仕事と監督業とは随分異なるから、気にする必要はないかもしれない。
2つ目。少々発言の脇が甘い事。サッカーダイジェスト2月9日号に、氏のゼルビア監督就任に伴うインタビュー形式の記事が載っているが、驚くべき発言が掲載されている。引用しよう。
「例えば『サッカーダイジェスト』では、セルジオ越後さんがコラムを書いていらっしゃるけど、セルジオさんは本音を語っているよね。評論家として一生メシを食っていく覚悟があるし、現場に戻られるつもりもないからリスクを負える。だけど僕は違った。日本のサッカー界をよくしたい、という部分はセルジオさんと同じだけど、そこへのアプローチの仕方は違って、評論家ではなく、指導者やマネジメントの方面に進みたいと思っていたから。」信じ難い脇の甘さである。あなた、これでは、今まで自分は「将来指導者、マネジメントに進みたいので、「本音」を言わずにきた」と語っているも同然ではないか。言いたい事はわかるが、言わない方がいいよ、こう言う事は。
もっとも、人前で「言うべきではない真実」を吐露してしまう名監督も多い。ジョゼ・モウリーニョ氏とか、フィリップ・トルシェ氏とか。気にする事はないかもしれないな。
相馬氏の前任は、かの戸塚哲也氏。相当実績ある前任者との比較される難しい立場ではあるが、Jリーグを目指すクラブの監督からキャリアを始めるのはすばらしい事。現役時代同様、知的な指導者ぶりを発揮してくれる事を期待したい。









若いので、じっくりステップアップしていただきたいです。日本では一度何らかの烙印を押されると、そのイメージ付きまとう傾向が強いですから。いい方も悪い方もですが。。。とにかく応援します。
選手は“自身”の体を使ってその能力を出すのが仕事。
監督は主に言葉で“他人”の体を動かし、チームとしての能力を出すのが仕事。
だから、名選手は名監督になることは少ない。
監督には別の資質が必要だからだ。
名選手が監督を務めるとき陥りがちなのが、自分はこう動けたから、こう動けるはずだとか自分はこうだったから、彼らもこう思っているはずだと自身の経験則“だけで”考えること。
それは当てはまるときもあれば、当てはまらない時もある。なぜなら、選手は他人だからだ。
元日本代表監督ファルカン監督も、現役時代その言動、振る舞いより理知的なサッカー選手として知られ、卓越した戦術眼により「走る指揮官」の異名をとった。
だが、監督としては大失敗(ブラジル代表監督1年程度で解任、日本代表監督1年持たずに解任、ブラジルのクラブ辞任)。
結局、監督としての能力があるかどうかは、実際にある程度の期間指導させてみないと分からないということ。